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原子力に関する世論調査



昭和59年5月
(総理府)
内閣総理大臣官房広報室

〔本概要を読む際の注意〕

1 Nは比率算出の基数であり(Number of Casesの略)、100%が何人の回答に相当するかを示す。特に示していない場合はN=2,252人(回収数)である。

2 標本誤差の幅はN(比率算出の基数)と得られた結果の比率によって異なる。代表的な場合の誤差(単純誤差のみ2σで計算)を示すと、次のとおりである。


 なお、本調査のように2段抽出の場合は誤差が若干増加するのが普通であり、標本誤差以外にも質問のかたよりや調査員のミスにもとづくものなどの計算不能の誤差もある。

3 質問の種類を示す記号は次のとおりである。

(S.Q.):前問で特定の回答をした一部の回答者に対して続けて行った質問(Sub−Questionの略)。

(M.A.):1回答者が2以上の回答をすることができる質問(Multiple Answersの略)。このとき回答数計(M.T.)は回答者数(100%)を超える。

〔回答票〕:回答を列記したカードを示して、その中から回答を選ばせる質問。

4 「U調査結果の概要」で用いたパーセンテージは、小数点以下を四捨五入している。その結果、合計が100%にならない場合は、合計が100%になるよう調整した。

 I 調査の概要

1 調査の目的 原子力発電の円滑な推進のため、国民の合意形成が重要な課題である。このため、原子力に関する認識、原子力発電に対する認識や安全性の認識などを調査し、国民の意識動向を把握するものである。

2 調査項目

(1) 原子力に対する認識
(2) 原子力発電に対する認識
(3) 原子力発電の安全性に対する認識

3 調査対象
(1) 母集団 全国20歳以上の者
(2) 標本数3,000人
(3) 抽出法 層化二段無作為抽出法

4 調査時期 昭和59年3月1日〜3月7日

5 調査方法 調査員による面接聴取

6 回収結果 有効回収数(率)2,252人(75.1%)

〔参考〕本調査で比較した世論調査
○昭和55年2月「省エネルギー・省資源に関する世論調査」(該当者数4,085人)
○昭和55年11月「省エネルギーに関する世論調査」(該当者数4,113人)
○昭和56年11月「省エネルギーに関する世論調査」(該当者数4,007人)

 U 調査結果の概要

1 原子力に対する認識

(1) 原子力のイメージ

 原子力という言葉を聞いて何を思い浮かべるかまず一般的なイメージ(表1)を聞いたところ、「エネルギー」を挙げた者が62%と最も多く、次いで「軍備」31%、「安全性」26%、「環境問題」26%、「技術革新」15%などの順となっている。(複数回答)(表1)

表1 原子力のイメージ(一般的)

 次に、利用面のイメージ(表2)を聞いたところ、「発電」を挙げた者が75%と最も多く、次いで「ガンの治療」38%となっており、「食品の保存」、「金属製品の検査」、「植物の品種改良」はいずれも1割未満となっている。(複数回答)(表2)

表2 原子力のイメージ(利用面)

(2) 原子力の平和利用の周知

 わが国では、原子力の利用は法律によって平和目的に限られており、軍事目的に利用されることはないが、このようなことを聞いたことがあるかどうか聞いたところ、「聞いたことがある」と答えた者は7割を占めている。

 これを性別に見ると、「聞いたことがある」者は男性が8割、女性が6割となっている。(表3)

表3 原子力の利用は平和目的に限られていることの周知

(3) 原子力についての知識

 原子力について知りたいことはどのようなことか聞いたところ、「放射線(能)の人や環境への影響」39%、「放射性廃棄物の処理・処分対策」34%、「原子力発電所の安全対策」30%を上位に挙げており、以下「原子力の必要性」18%、「原子力発電所の故障等の実状」18%などの順となっている。(複数回答)(表4)

表4 原子力について知りたい事柄 (複数回答)

 また、原子力についての知識を主としてどのようなものから得たか聞いたところ、「テレビやラジオの放送」(74%)、「新聞や雑誌の記事」(63%)から得たと答えた者が多く、それ以外のものから得た者は少ない。(複数回答)(表5)

表5 原子力の知識は主に何から得たか

(4) 原子力に関する言葉の周知

 原子力に関する言葉を見たり聞いたりしたことがあるか聞いたところ、「原子力船」を挙げた者が86%と最も多く、以下「放射性廃棄物」59%、「エックス線コンピュータ断層撮影(X線CT)」43%、「核融合」41%、「プルトニウム」30%、「核燃料サイクル」29%などの順となっている。(複数回答)(表6)

表6 原子力に関する言葉の周知

2 原子力発電に対する認識

(1) 石油代替エネルギーの開発や石油代替エネルギーへの転換

 石油にかわるエネルギー(石油代替エネルギー)の開発や石油代替エネルギーへの転換は必要だと思うか聞いたところ、「思う」と答えた者は、8割を占めている。

 これを前回調査(56年11月)結果と比べると、開発や転換は必要と「思う」と答えた者は、85%から79%と減少している。

 年齢別に見ると、若年齢層になるに従って、開発や転換は必要と「思う」者が多くなっている。(表7)

表7 石油代替エネルギーの開発や石油代替エネルギーへの転換を必要と思うか

(2) 現在及び将来における主力発電

 わが国は、現在どの発電が電力の主力になっていると思うか聞いたところ、「火力発電」51%、「水力発電」29%、「原子力発電」10%などとなっている。

 さらに、今後はどの発電が電力の主力になると思うか聞いたところ、「原子力発電」が51%と全体の半数を占め、次いで「太陽光発電」18%、「火力発電」10%などの順となっている。(表8)

表8 現在及び将来における主力発電

 これを過去の調査結果と比べると、「原子力発電」が電力の主力になると思う者は55年2月調査33%、55年11月調査47%、56年11月調査50%から59年3月調査では51%となっている。(図1)

図1 将来における発電はどれが主力電力となるか

(3) 総発電電力量に占める原子力発電の今後の割合

 わが国では、現在総発電電力量の約20%が源子力によって発電されているが、今後この割合をどのようにしたらよいと思うか聞いたところ、「多くしたほうがよい」と思う者が36%、「現在程度でよい」と思う者が33%で「減らしたほうがよい」と思う者が9%となっている。なお「わからない」は22%となっている。

 これを前回調査(56年11月)結果と比べると、「多くしたほうがよい」と答えた者は40%から36%となっている。

 年齢別では「多くしたほうがよい」は若年齢層に多い。(表9)

表9 総発電電力量に占める原子力発電の今後の割合

3 原子力発電の安全性に対する認識

(1) 原子力発電所に対する不安感

 原子力発電所に対する不安感については、「心配(不安)に思うことがある」者は70%で、「心配(不安)に思うことはない」者は30%となっている。

 これを過去の調査結果と比べると、「心配(不安)に思うことがある」者は増えている。(表10)

表10 原子力発電所に対する不安感

 さらに、原子力発電所に対する不安感がある者(1,571人)に、それはどのようなことか聞いたところ、「事故や故障などで放射線(能)が漏れるから」を挙げた者が46%と最も多く、次いで「放射線(能)が人体や子孫に影響を与えるから」35%、「廃棄物の保管や処理・処分などから」29%、「放射線(能)は目に見えないから」21%、「事故や故障などの状況をよく知らされないから」21%、「世間一般に危険だと言われているから」20%などの順となっている。(複数回答)(表11)

表11 原子力発電所に対する不安の理由

(2) 原子力発電所に対する安全対策

 原子力発電所の原子炉やその関連施設について安全対策が十分行われていると思うかどうか聞いたところ、「そうは思わない」と答えた者は38%で、「十分行われている」と答えた者の30%より多く、「わからない」は32%となっている。

 これを前回調査(56年11月)結果と比べると、「そうは思わない」者が減っており、「十分行われている」と思う者との割合は接近した。(表12)

表12 原子力発電所の安全対策は十分行われているか

(3) 放射線量に関する周知

 自然界から1年間に約100ミリレムの放射線を受けていることを知っているかを聞いたところ、「知っている」と答えた者は14%で、「放射線の量は知らないが、放射線を自然界から受けていることは知っている」者は33%で合わせて、放射線を自然界から受けていることを知っている者は47%となっており、「自然界から受ける放射線及びその放射線量ともに知らない」者は53%となっている。

 これを性別に見ると、放射線を自然界から受けていることを知っている者は、男性が55%、女性が38%と男性の方が周知度は高い。(表13)

表13 放射線を自然界から受けていることの周知

 次に、胸のX線(レントゲン)間接撮影の1回分は、約100ミリレムの放射線を受けることを知っているかを聞いたところ、「知っている」者は4割、「知らない」者は6割となっている。

 これを前回調査(56年11月)結果と比べると、「知っている」者の割合は増加している。(表14)

表14 胸のX線(レントゲン)間接撮影1回分約100ミリレムの放射線を受けることの周知

 さらに、原子力発電所によって受ける放射線の量は、その周辺で1年間に5ミリレム以下になるように管理されていることを知っているか聞いたところ、「知っている」者は1割(13%)で、9割(87%)の者が「知らない」と答えている。この割合は前回調査(56年11月)結果と比べてもほとんど変化はみられない。

 性別に見ると、「知っている」者は男性が2割であるのに対し、女性は1割となっている。(表15)

表15 原子力発電所によって受ける放射線量の管理の周知

(4) 原子力安全委員会における再審査及び公開ヒアリングの周知

 原子力発電所の設置に当たって、原子力安全委員会において再審査が行われていることを知っているかどうか聞いたところ、「知っている」者は3人に1人の割合となっている。(図2−(1))
 また、再審査を行う際、原子力安全委員会において、必要に応じ、公開ヒアリング(公聴会)が行われていることを知っているかどうか聞いたところ、4割の者が「知っている」と答えている。(図2−(2))

図2−(1) 再審査の周知度  図2−(2) 公開ヒアリングの周知度

(5) 原子力発電を円滑に進めるために重要なこと

 原子力発電を円滑に進めるにはどのようなことが重要だと思うか聞いたところ、「原子力発電施設の安全対策を徹底させること」が46%と半数近くを占め、以下「原子力発電の安全性や必要性を周知させること」23%、「公開ヒアリング(公聴会)などで地元住民の意見を十分聞くこと」14%、「地元の福祉の向上に資するような措置を講じること」4%となっている。(表16)

表16 原子力発電を円滑に進めるために重要なこと

(6) 放射性廃棄物の処理・処分の技術開発について

 原子力発電などに伴って発生する放射性廃棄物開発についての処理・処分の技術開発については、現在、国・政府関係機関等によって進められているが、このことを知っているかどうか聞いたところ、「知っている」者と「知らない(わからない)」者の割合は二分している。

 これを性別に見ると「知っている」者は男性の6割に対し、女性は4割となっている。

 また、年齢別では、「知っている」は20歳代と60歳以上の者が他の年齢層に比べて低くなっている。(表17)

表17 放射性廃棄物の処理・処分の技術開発について


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