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原研とインドネシア原子力庁及びオーストラリア原子力委員会との協力について



日本原子力研究所

(1) 原研とインドネシア原子力庁との放射線利用分野における協力実施取極め

 原研とインドネシア原子力庁は放射線利用分野における研究協力取極めを昭和59年5月1日に締結した。本協力取極めは、岩動大臣の訪インドネシアの機会をとらえ、同大臣およびハビビインドネシア科学技術大臣の同席のもとに、藤波原研理事長とアヒルムインドネシア原子力庁長官との間で署名された。

 本協力取極めは、日本政府とインドネシア政府との間に締結されている科学技術協力協定を枠組とし、科学技術庁原子力局長とインドネシア原子力庁長官との間の書簡交換に基づいて締結されたものである。本取極めの有効期間は5年間であるが、両当事者の合意によって延長することができる。

 本取極めは放射線照射利用研究の推進を目的としており、当面は放射線による天然ゴムの改質を目標とした共同研究を進める。インドネシアはマレーシアに次いで世界第2位の天然ゴムの産出国であり、本共同研究によって開発される技術が天然ゴムの付加価値を高め用途を拡大することが期待されており、その成果は日本、インドネシア両国に利益をもたらすものである。協力は研究の分担、研究者の交流、および研究成果に関する情報交換と討論等を通して行われる。協力計画等の重要な事項は原研とインドネシア原子力庁のメンバーからなる運営委員会によって決定されることとなっている。

 第1回の運営委員会は6月21日から東京で開催されることとなっており、そのため、アヒムサ長官及びリドワン副長官が来日する。今年度の計画はこの委員会で具体的に議論され決定されることとなるが、研究者の交流、および一部の研究機械のインドネシアヘの持込みが開始される見込みである。

 協力の対象は当面は天然ゴムの改質だが、将来は更に他の放射線利用の開発に拡大されていくことも考えられる。

 この取極めは、原研にとってははじめての開発途上国との協力実施取極めであり、これまでRCAなどの多国間協力を通して途上国協力を進めてきた原研が、2国間の協力にも着手したことが注目される。

原研−インドネシア原子力庁間協力取極めの調印に出席され祝辞をのべる岩動大臣及びハビビ大臣

(2) 原研とオーストラリア原子力委員会との高レベル放射性廃棄物処理処分技術の研究開発に関する協力

 先般、岩動大臣がインドネシアに続きオーストラリアを視察された折、5月2日に日豪政府間でとりかわされた口上書を受けて、日本原子力研究所藤波理事長とオーストラリア原子力委員会ブレンナン委員長は、5月3日ルーカスハイツ研究所に於て、岩動大臣の同席のもとに高レベル放射性廃棄物処理処分技術の研究開発について協力するための実施取極めをまとめるべく、必要な情報交換と専門家の相互訪問を行うことを内容とする覚書に署名した。

 オーストラリアでは、かねてからオーストラリア国立大学リングウッド教授等によって高レベル放射性廃液を酸化チタン粉末等と混合し、天然に長く安定に存在している岩石に似せた組成にして、高温高圧で焼き固め人工岩石化する「シンロック固化法」の研究が進められていたが、最近オーストラリア原子力委員会のプロジェクトとして取上げられ、ルーカスハイツ研究所に於て、コールドのデモンストレーションプラントの建設並びに小規模のホット実験が行われている。しかしオーストラリアには実際の高レベル廃液は全く無く、シンロック固化法の実用性評価の決め手となる高レベルホット試験を実施できないので、その点に関し我が国に協力が要請されていた。我が国では再処理からの高レベル廃液はホウケイ酸ガラスによりガラス固化する技術が実用化段階に達しているが、長期安定性、高温における放射性物質の耐浸出性等により優れたシンロック固化方式は、処分条件を緩和できる可能性もあり、将来技術として期待されており、今回の協力によりオーストラリアと相補的な研究協力が期待されている。オーストラリアとの協力は当面シンロック固化法について行われるが、その他の課題についても適当なものがあれば付け加えることが出来る。なお本協力については、日本側からは科技庁、原研、動燃、オーストラリア側からは資源エネルギー省、原子力委員会、オーストラリア国立大学等の代表で構成される調整委員会で討議調整しつつ進めることとされており、来る7月19日に第1回会合が予定されている。

原研とオーストラリア原子力委員会との高レベル放射性廃棄物処理処分技術の研究開発に関する協力の覚書に署名する藤波理事長及びブレンナン委員長


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