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放射線利用専門部会の設置について


昭和55年11月25日
原子力委員会

 1 設置の目的

 医療、工業、農業等多様な分野で利用され、国民生活の向上に大きく寄与している放射線利用に関し、放射線化学の研究開発及び実用化並びに加速器の医学利用に係る研究開発の推進等についての方策を調査審議するため、放射線利用専門部会を設置する。

 2 審議事項

 本専門部会は、次の事項について調査審議する。

(1) 放射線化学の研究開発及び実用化に関する事項
(2) 加速器の医学利用に係る研究開発に関する事項
(3) その他これらに関し必要な事項

 3 専門部会の構成

(1) 本専門部会の構成は、別途定める。

(2) 本専門部会は、その調査審議に資するため、必要に応じ、分科会を設けることができるものとする。

(解説)

 1 設置理由

 放射線は、医療、工業、放射線化学、食品照射等多くの分野で利用されており、特に近年、医学分野を始めとして、利用範囲が拡大するとともに、RI使用量も急増している。研究開発についても、放射線医学総合研究所等の国立試験研究機関、日本原子力研究所、民間企業等の多数の機関において進めらているが、放射線利用技術の高度化・多様化に伴つて、関係機関にまたがる研究課題が増加しており、特に、次の分野については、関係機関における研究課題を調整し、総合的、計画的に研究開発を進める必要がある。

(1) 放射線化学の研究については、近年、生物学(酵素の固定化等)、医学(制がん剤カプセル等)、工学(有機ガラス等)等の他の分野の専門家との共同研究により開発を行う必要が高まつていることにかんがみ、これまでの研究開発の進め方を見直し、必要に応じ研究開発体制を整備し、その研究開発計画を策定する必要がある。

 なお、放射線化学の研究については、研究成果があがつたにもかかわらず代替技術との競合等から実用化に到らないものが多くあり、研究課題の選定に当たつては実用化の可能性について充分な検討が必要である。

(2) 医学利用の分野については、近年放射線利用の成果には目ざましいものがあるが、特に放射線によるがん治療では、放射線医学総合研究所の速中性子線治療が良好な成果をあげており、更に各機関で、π-中間子線、重イオン粒子線等によるがん治療の研究が試みられようとしている。しかしながら、これらの研究開発については相当の資金が必要になること、研究開発に当たつては工学、物理学等の専門家との協力が必要になること等から、研究開発の目的及び必要性を明確にするとともに、研究開発体制及び研究開発計画について検討する必要がある。

 2 検討課題

(1) 放射線化学の研究開発

① 実用化に至るまでの問題点の検討
② 重点研究課題及びその研究開発の進め方の検討
③ 研究開発計画の策定

(2) 加速器の医学利用に係る研究開発

① 研究開発の目的及び必要性の検討
② 研究開発体制の検討
③ 研究開発計画の策定

(3) その他

 3 スケジュール等

(1) 来年8月までに報告をとりまとめることとする。

(2) 専門部会の調査・審議に当たっては、専門部会の下に分科会(放射線化学、加速器医学利用の2分科会)を設置する。


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