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原子力発電所等に係る防災対策上当面とるべき措置について


昭和54年7月12日
中央防災会議決定

 原子力発電所等に係る防災対策については、災害対策基本法に基づき所要の措置が講じられることになっているが、先般の米国スリーマイルアイランド原子力発電所の事故の経験にかんがみ、中央防災会議において、原子力発電所等に係る防災対策の特有の事象に着目して、具体的対応策の充実整備を図っているところである。

 このうち、原子力発電所等に係る防災対策特有の事象に着目した当面とるべき措置については、各省庁におけるこれまでの再点検の結果を踏まえ、次のような措置を講ずるものとする。

1. 原子力発電所等と国の機関及び地方公共団体とを結ぶ緊急時連絡体制を常時整備・維持するとともに、原子力発電所等における事故の影響が周辺地域に及ぶおそれがある場合には、国務大臣を本部長とし、関係行政機関の職員を本部員とする事故対策本部を設置して、これに対処することとする。

2. 原子力安全委員会に緊急技術助言組織を設置し、国は、この技術的助言を得て災害応急対策を実施する地方公共団体等に対し、指示、指導又は助言に遺漏なきを期する。

3. 緊急時に、直ちに現地へ国が派遣する原子炉、放射線防護等に関する専門家からなる組織体制を常時整備・維持する。

4. 緊急時に直ちに現地に動員すべき緊急モニタリング要員及び機器の動員体制を常時整備・維持する。

5. 緊急時に現地における緊急医療活動を充実強化するため、国の緊急医療派遣体制を常時整備・維持する。

 これらの措置により、関係各省庁が地方公共団体、原子力発電所等に対し、適切な指示、助言を行うことによって、原子力発電所等に係る災害応急対策には、当面支障が生ずることはないと考えられるが、更に、原子力安全委員会において審議中の専門的、技術的事項に関する検討結果がまとまり次第、これを十分尊重し、原子力発電所等に係る防災対策の一層の充実整備を図るものとする。


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