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放射線作業従事者等の健康診断のあり方について


昭和53年6月
放射線作業従事者等健康診断検討会

昭和53年6月28日
科学技術庁原子力安全局長
  牧村 信之 殿
放射線作業従事者等健康診断検討会
座長 熊取 敏之

放射線作業従事者等の健康診断のあり方について(検討結果報告)

 本検討会は、昭和51年11月、貴職による委嘱を受けて、放射線作業従事者等の健康診断のあり方について医学的な観点から検討してきたところであるが、今般、別紙のとおりその結果を取りまとめたので、報告する。

 なお、この報告の附属書は、報告本文と一体のものとして取り扱われるべきものである。

 また、検討の経過は別添1、本検討会において検討の参考とした資料の目録は別添2のとおりである。

(別紙)

放射線作業従事者等の健康診断のあり方について(検討結果報告)

 放射線障害防止法(同法施行規則)その他の放射線障害防止関係法令において、現在規定されている放射線作業従事者等に対する放射線健康診断については、今後は、次のような内容のものに改めることとするのが適当であると考える。

1 放射線健康診断の対象者

(1)就業前放射線健康診断

 放射線業務上(以下「業務上」という。)は被ばくする作業者(年被ばく線量が線量当量限度の1/10を超えるおそれのない作業環境・作業状況下にある者は除く。以下同じ。)を対象とすること。

(2)就業中定期放射線健康診断

 業務上被ばくする作業者のうち、年被ばく線量が線量当量限度の3/10を超えるおそれのあるような作業環境・作業状況下にあるものを対象とし、年被ばく線量が線量当量限度の3/10を超えるおそれのない作業環境・作業状況下にあるものは対象から除くこと。

2 放射線健康診断の時期・頻度

(1)就業前放射線健康診断の時期

 初めて業務上被ばくすることとなるときまでに行うこと。

(2)就業中定期放射線健康診断の頻度

 1年に1回の頻度とすること。

3 放射線健康診断の項目

(1)就業前放射線健康診断
イ 被ばくの状況

 放射線の被ばく歴の有無、被ばく歴を有する者に対する作業の場所、内容及び期間、集積線量その他放射線による被ばくの状況に関する事項の調査は、事業者が行い、その結果を放射線健康診断を担当する医者に提示すること。

ロ 皮ふ

 必要か否かの判断は、健康管理に責任を持つ医師にゆだねること。

ハ 眼

 必要か否かの判断は、健康管理に責任を持つ医師にゆだねること。

ニ 血液

 血色素量、赤血球数及び白血球数の検査を行い、この外、健康管理に責任を持つ医師が必要と認めた者に対しては、白血球像等の検査を実施すること。

(2)就業中定期放射線健康診断
イ 被ばくの状況

 作業の場所、内容及び期間、集積線量の他放射線による被ばくの状況に関する事項の調査は、事業者が行い、その結果を放射線健康診断を担当する医師に提示すること。

ロ 皮ふ

 必要か否かの判断は、健康管理に責任を持つ医師にゆだねること。

ハ 眼

 必要か否かの判断は、健康管理に責任を持つ医師にゆだねること。

ニ 血液

 血色素量、赤血球数及び白血球数の検査を行い、この他、健康管理に責任を持つ医師が必要と認めた者に対しては、白血球像等の検査を実施すること。

4 放射線健康診断に関連する事項

(1)実施義務者

 放射線健康診断の実施義務者が同一の作業者について重複している場合は、実施義務者が重複するがゆえの放射線健康診断の無用の繰返しはさけるべきであって、適切な実施体制が計られる必要がある。

(2)医師の勧告等

 放射線健康診断を担当した医師が必要あるとして健康管理に関することを、事業者等に対し勧告、指導又は助言した場合は、関係者はそれを遵守すべきである。

(3)放射線健康診断結果の本人への通知

 放射線健康診断の結果の本人への通知は、異常があった場合又はその疑いがある場合にのみ、通知すればよいものとすること。

 ただし、本人の要求する場合は必ず通知するものとすること。

(4)秘密の保持

 放射線健康診断の実施に伴い、知り得た個人に関する秘密については、関係者により厳守されるべきである。

(附属書)

1 総論

(1)放射線健康診断の考え方
イ 健康診断の意義

 放射線健康診断を考える場合、まず、職場における一般の健康診断の意義について考える必要がある。

 職場における健康診断は、特段の自覚症状を訴えていない作業者を対象に、特定の時期に、主として集団健康診断という技法により行われるものである。

 この健康診断の目的は、単に何らかの異常所見を持つ作業者をふるい分けることに止まるものではなく、むしろ、そこから得られた健康に関する情報により、作業者の健康状態の総合的評価を行い、併せて作業環境・作業状況の評価を行うことにある。

 健康診断は、一般健康診断(従事する業務の種類には関係なく、全作業者を対象とする一般の健康診断をいう。以下同じ。)と特殊健康診断(健康上特定の影響を及ぼす可能性のある特定の業務に従事する作業者を対象として、当該業務に特に密接な関連性を有する項目であって、一般健康診断では行わないものを行う特別の健康診断をいう。以下同じ。)に分けられるが、特殊健康診断は、一般健康診断に附加され、それを補完するものと考えるべきである。

ロ 放射線健康診断の意義

 放射線健康診断は、特殊健康診断の一つとして、業務上被ばくする作業者を対象として特別の項目について行う健康診断であって、一般健康診断の結果とともに総合評価することにより、作業者が当該放射線業務に従事し、又は継続して従事し得るかどうかを確認することを主なねらいとするが、同時に事故時被ばくによって職業性疾病が発生した時の基礎的な情報の整備をも目的としている。さらにまた、放射線健康診断は、作業環境・作業状況における有害要因の発見と排除のための有用な情報を得ることもあり得ることを考慮して行われるものである。

 現在は、被ばく管理の技術の向上、普及により、最大許容線量を超えることのないように管理することは可能であり、一方、被ばくが最大許容線量を超えない限り、放射線による皮ふ、眼、血液等の異常は起きないと考えられる。したがって、かりに健康診断によって、放射線による身体上の異常が発見されたとすれば、そこには必ず被ばく管理上の欠陥があると考えなければならない。

 換言すれば、健康診断によって、放射線による身体異常の情報が得られたときには、その情報は被ばく管理上の有用な情報として活用されるべきであり、被ばく管理が行われている集団についての健康診断の目的を異常者の発見にのみおくことは適切ではない。

(注)関連する一般健康診断の取扱い

 放射線健康診断のあり方を検討するに当たっては、一般健康診断と放射線健康診断が上記のように密接な関連を持つものであるところから、本来、一般健康診断についても検討をし、それと関連を持たせながら放射線健康診断のあり方を検討するのが望ましい。

 しかしながら、今回の検討の範囲が基本的には特殊健康診断たる放射線健康診断に限られていること等から、現行法令上規定されている一般健康診断をそのまま前提として、放射線健康診断のあり方を検討したものである。

(2)異常時の措置

 現在、大量の放射性同位元素の体内摂取、皮ふ創傷面の汚染等異常時の措置を健康診断の領域に含めている法令もあるが、このような場合の措置は、健康診断とは別の医学的処置であって、これには次のようなものが含まれると考える。すなわち、医師の助言、診察又は医療処置である。

(3)放射線健康診断と法規制

 放射線健康診断の実施に当たって選択されるべき項目の決定と結果の判定等については、医学的にみて合理的であると判断される限度において法規制を最小限にするのが望ましい。

2 放射線健康診断の対象者

(1)就業前放射線健康診断

 業務上被ばくする作業者に対して就業前に放射線健康診断を実施することは、放射線健康診断の意義からして重要なことである(1の(1)のロ 参照)。

 ただし、年被ばく線量が線量当量限度の1/10を超えるおそれのない作業環境・作業状況下にあるものは、当該被ばく線量が一般公衆に対して定められた線量当量限度を超えないものであることに鑑み、放射線のための特別な健康管理は必要としないと考えられるもので、健康診断についても就業前の一般建康診断が行われていれば、それに付加して放射線健康診断を行う必要はない。

(2)就業中定期放射線健康診断

 業務上被ばくする作業者であっても、その被ばく線量は作業の体様等によりさまざまである。したがって、それらを就業中の定期放射線健康診断の対象者として一律に取り扱うことは適当でない。

 予測し得る被ばく線量によって、就業中の定期放射線健康診断の必要性を判断する必要がある。

 具体的には、業務上被ばくする作業者を、ICRP勧告(Publ.26)によって提示されているところに従って、
イ 年被ばく線量が線量当量限度の3/10を超えるおそれのあるような作業環境・作業状況下にある者
ロ 年被ばく線量が線量当量限度の3/10を超えるおそれのない作業環境・作業状況下にある者

に2区分し、前者は、就業中の定期放射線健康診断と定期一般健康診断を実施することとし、後者は、就業中の定期一般健康診断のみを実施することでたりるとするのが適当である。

(3)現行法令では、放射線健康診断の実施対象者の範囲が各法令間で若干まちまちであり、また、放射線健康診断の実施対象者とするかどうかの判断を、放射線管理区域に立ち入るかどうか、及び立ち入り時間により区別している。このことは適当でないので、上述したところにより各法令間で放射線健康診断実施対象者の範囲を統一するとともに、その区分を判定する際の基準等を示した具体的な指針を何らかの方法で示す必要があろう。

3 放射線健康診断の時期・頻度

(1)就業前放射線健康診断の時期

 初めて業務上被ばくすることとなるときまでに、就業前の放射線健康診断を完了させなければならない。

 そうして、その結果は、直接には当該放射線業務へ就業し得ることの確認あるいは就業に当たって付与する何らかの条件に関する判断と結び付けられなければならない。

 なお、業務上の被ばく歴を有する者については、放射線業務に従事していた従前の事業所における健康診断の結果を何らかの方法によって入手することが可能な場合には、その入手した情報をも活用することによって、その者についての就業前の放射線健康診断を補完することも重要であろう。

(2)就業中定期放射線健康診断の頻度

 就業中の定期放射線健康診断の実施の頻度は、1年に1回とするのが適当である。

 放射線健康診断は、その特殊健康診断としての意義からして一般健康診断を前提としているものである。

 被ばく管理が行われ、かつ、一般健康診断が適切に実施されている限り、放射線健康診断を1年に1回の頻度で実施することにより、健康管理を行うための必要な情報を十分に得ることができるであろう。したがっていたずらに頻度多く同一の検査を行うことは受診者等の負担のみ多くして有効な健康管理とは言いがたいと考える。また、健康診断のスクリーニング機能によって発見された何らかの異常又はその疑いのある者に対しては、別途精密検査等の医学的処置が適切にとられることも当然である。

4 放射線健康診断の項目

(1)被ばくの状況

 放射線業務に新たに就業する者、又は、既に従事している者の被ばくの状況は、被ばく管理に法律上責任を有している事業者において調査し、把握されるべきである。すなわち、就業前の放射線健康診断及び就業中の定期放射線健康診断とも、被ばく歴の有無(就業中定期放射線健康診断の場合を除く。)、被ばく歴を有する者に対する作業の場所、内容及び期間、集積線量その他被ばくの状況に関する事項は、まず、事業者が把握して、放射線健康診断を担当する医師に提示するようにすべきである。

 医師においては、提示された被ばくの状況の情報を検討したうえ、放射線健康診断の有用な情報の一つとして活用されるべきである。

(2)皮ふ

 皮ふについては、従来より、高頻度の放射線健康診断の項目として、業務上被ばくする作業者を対象に実施されてきた。しかし、皮ふ障害の発生は、最大許容線量をはるかに超える事故時被ばくによる以外には起き難いので、すべての放射線業務に従事する作業者にこの検査を義務づけるのは適当でない。

 したがって、被ばく歴、過去の放射線障害の状況、異常被ばくの可能性等の状況、被ばく管理の状況等から、皮ふの検査の必要性を健康管理に責任を持つ医師が必要と認めた者について実施することとするのが適当である。

 なお、この場合、検査の対象とする部位は、放射線被ばくのおそれのある部位のみでよいのは、当然である。

 放射線業務に起因する皮ふ障害の発見のための検査は、定期ではなく、事故等の異常被ばくのとき又はその疑いがあったとき及びそれ以降に実施することでよい。これは、健康診断の領域ではなく、異常時の措置としての医学的処置の領域である。

(3)眼

 眼については、現行法令の規定では、「医師が必要でないと認めたときは、省略することができる(電離放射線障害防止規則及び船員電離放射線障害防止規則)」、「医師が必要と認めた場合に限る(職員の放射線障害の防止−人事院規則)」又は「中性子線、アルファ線及び重陽子線による被ばくのおそれのある場合に限る(放射線障害防止法施行規則)」というように、それぞれ条件が付されている。

 それは、事故等による眼の異常被ばくの場合を除くと、被ばく管理が行われ、最大許容線量が確保されている限りは、放射線業務に起因する白内障が生ずる可能性はないと考えてよく、年被ばく線量が線量当量限度の3/10を超えるおそれのあるような作業環境・作業状況下にある者(就業中定期放射線健康診断の対象者)であっても、それらの者に対して、常に画一的に行う必要がないと考えられるからである。

 したがって、現行法令において、放射線健康診断の項目として眼を実施すべきか否かの判断について医師にゆだねていることは妥当であり、放射線健康診断において眼の検査が必要な状況にあるか否かは、健康管理に責任を持つ医師の判断にゆだね、それが必要と認められた者について実施することとするのが適当である。

 以上のことから、放射線業務に起因する眼の障害の発見のための検査は、事故等の異常被ばくのとき又はその疑いがあったとき及びそれ以降に実施することが必要であるが、それらの検査は健康診断の領域ではなく、異常時の措置としての医学的処置の領域である。

(4)血液

 一般に血液の検査の結果は、個人の健康状態を把握するための有用な情報である。しかしながら、血液検査が放射線を対象とする特殊健康診断にのみ不可欠の項目であると位置付けることが必ずしも適当であるとは考えられない。なぜならば、被ばく管理が行われ、最大許容線量が確保されている限り、放射線健康診断の際に行われる血液の検査で発見されるような放射線障害が生ずる可能性はないであろうと思われるからである。

 むしろ、血液の検査は、作業者全員を対象とする一般健康診断の項目の一つとして実施することにより、放射線業務という特定の業務に従事することと関係なく、最も基礎的な健康の評価の一指標として活用すべきものである。

 しかしながら、現行法令上の一般健康診断の項目に血液の検査が採用されておらず、また、今回の検討の範囲が基本的には特殊健康診断たる放射線健康診断に限られていること等からして、少なくとも、血色素量、赤血球数及び白血球数の検査を放射線健康診断で行うこととすべきであるといわざるを得ない。また、大線量被ばく事故に際しては、白血球像等の推移は、被ばく者に対する処置を決める上で有用である。

 したがって、白血球像等の検査が必要な状況にあるか否かは、健康管理に責任を持つ医師の判断にゆだね、それが必要と認められた者について実施することとするのが適当である。

5 放射線健康診断に関連する事項

(1)実施義務者

 放射線健康診断の実施にあたり、業務上被ばくする作業者を直接雇用する事業者と放射性同位元素等の使用等を行う事業者(放射線施設の管理の責任を有する事業者)の両者が、同一の作業者にかかる実施義務を負い、それぞれの実施義務者による放射線健康診断が同一の作業者について繰返し実施されることがある。

 これは、それぞれの放射線健康診断が適切に実施されておれば無用の重複であって、合理的な実施体制にあるとはいえない。

 このような場合には、受診者等の無意味な負担は避けるべきであって、適切な実施体制が計られる必要がある。

(2)医師の勧告等

 放射線健康診断を担当した医師が、その結果に基づき必要あるとして放射線業務に従事する作業者の健康管理に関することについて、事業者等に対して勧告、指導又は助言した場合には、関係者はそれを遵守すべきである。さらに、健康診断結果に基づいて、事業者の責任において、職場の健康管理上の適切な措置がなされることが重要である。

(3)放射線健康診断結果の本人への通知

 放射線健康診断の結果の本人への通知は、必ずしも、その都度記録の写しを交付する必要があるとは考えられず、異常があった場合又はその疑いがある場合及び本人の要求した場合に、本人に通知することでよいであろう。

 通知することの意義は、そのことにより本人が何らかの具体的な予防的、治療的行為をとることにあると考えるが、そのためには、上記の場合のみ通知を行うことが十分である。

(4)秘密の保持

 放射線健康診断の結果については、それが本来の目的を逸脱した用途に使用される場合は、受診者の利益を著しく傷つける可能性があることにかんがみ、関係者は健康管理の結果につき、みだりにこれを第三者にもらすことがあってはならないことはいうまでもない。現行法令においては、守秘義務は、刑法第134条第1項、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律第19条、労働安全衛生法第104条等に規定されているが、関係者においては、これらの法令の趣旨にかんがみ、これらの守秘義務は厳守されるべきである。

(別添1)

検討の経過
昭和51年12月6日 第1回検討会

 「検討会の進め方」と「健康診断の現状と問題点」について検討
昭和51年12月27日 第2回検討会

 「放射線健康診断のあり方」について検討
昭和52年2月10日 第3回検討会

 「放射線健康診断のあり方」について検討
昭和52年4月11日 第4回検討会「放射線健康診断のあり方」について検討
昭和52年6月6日 第5回検討会

 「放射線健康診断のあり方」について検討
昭和52年6月28日 第6回検討会

 「放射線健康診断のあり方」について検討

(別添2)

検討の参考とした資料
1 国際放射線防護委員会勧告について(放射線審議会建議 昭和51年5月)
2 放射線作業従事者等健康診断検討基礎資料(原子力安全局 昭和51年12月)
3 国際放射線防護委員会勧告(Publ.9及びPubl.26)
4 放射線障害と放射線管理(保健の科学 第17巻第4号(1975) 吉澤康雄)
5 放射線作業従事者を対象とした皮ふ検査の考え方及びやり方(保健物理 10、13〜16(1975) 吉澤他)
6 放射線作業従事者を対象とした眼の検査の考え方及びやり方(保健物理 11、35〜39、(1976) 吉澤他)
7 フイルムバッジによる外部被ばく線量管理の手引き(科学技術庁原子力安全局−放射線障害防止中央協議会 昭和51年3月)
8 事業場における健康診断実施に関する意見書(産業医学18巻、Jap.J.Ind.Health、Vol.18、1976、健康診断委員会)
9 シンポジウム1−健康診断をめぐる諸問題(産業医学18巻、Jap.J.Ind.Health、Vol.18,1976)
10 集団検診(WHO)(財団法人 日本公衆衛生協会)

(参考)

放射線作業従事者等健康診断検討会の開催について
昭和51年11月1日
原子力安全局

1 開催の目的

 放射線審議会の意見具申「国際放射線防護委員会勧告について」(昭和51年5月27日)における「最近の医学の進歩等を勘案し、現行法令の健康診断の項目について再検討することが望ましい。」との指摘に対処して、放射線作業従事者等の健康診断のあり方について検討するため、放射線作業従事者健康診断検討会(以下「検討会」という。)を開催する。

2 検討事項

 検討会は、次の事項について調査検討を行う。

(1)健康診断の対象者の範囲
(2)健康診断の項目・部位
(3)健康診断の時期・頻度
(4)その他関連する事項
3 検討会の構成

 検討会は、検討事項に関し学識経験を有する者10人以内で構成する。

 なお、オブザーバーとして関係行政機関の職員が出席するものとするほか、必要に応じ参考人の出席を求めることができるものとする。

4 検討の期間

 昭和52年3月末までに検討結果を取りまとめる。

5 庶務

 検討会の庶務は、科学技術庁原子力安全局放射線安全課において処理する。

放射線作業従事者等健康診断検討委員
熊取 敏之 放射線医学総合研究所長
黒川 良康 動力炉・核燃料開発事業団安全管理室長
館野 之男 放射線医学総合研究所臨床研究部第3研究室長
皆川 洋二 日本電信電話公社東京中央健康管理所労働医学科部長
宮永 一郎 日本原子力研究所東海研究所副所長
吉澤 康雄 東京大学医学部教授

計6人
オブザーバー
人事院論員局福祉課長 (人事院規則10−5)
厚生省医務局総務課長 (医療)
厚生省薬務局企画課長 (薬事法)
運輸省船員局労働基準課長 (船員法)
労働省安全衛生部労働衛生課長 (労働安全衛生法)
科学技術庁原子力安全局原子力安全課長 (総括課)
科学技術庁原子力安全局原子炉規制課長 (炉規制法)
科学技術庁原子力安全局核燃料規制課長 (炉規制法)
科学技術庁原子力安全局放射線安全課長 (放射線障害防止法)

計9人


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