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放射線障害防止法の施行状況


昭和52年5月
科学技術庁原子力安全局
放射線安全課

はじめに

 近年我が国における放射性同位元素及び放射線発生装置の利用の進展はめざましく、産業、医療、研究、教育等の各分野において、使用事業所が著しく増加してきており、また、使用形態も多様化して使用する放射性同位元素等の種類、数量も増加してきている。

 これらの放射性同位元素等の取扱いに係る放射線障害の防止、公共の安全の確保に関しては、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法)が昭和32年に制定され、33年4月1日から施行されて以来52年3月末までで19年になるが、最近の諸情勢から同法の施行に関する行政は、一段とその重要性を増してきている。

 本資料は、今後の本行政の運営に資することを目的として、昭和51年度までの同法施行事務の基本的な統計を集計整理して時系列に収録し、あわせて最近の資料を補い、同51年度末現在における状況を示したものである。

(備考)

 放射性同位元素等の利用に関する詳細な実態については、別にとりまとめている、「放射線利用統計」(日本アイソトープ協会から刊行)を参照のこと。

 T 放射性同位元素等の使用事業所、販売事業所及び廃棄事業所の状況

第1表 放射線障害防止法に基づく許可届出事業所総数

第2表 使用事業所数の推移

第3表 機関別使用事業所数の推移

第4表 設置主体別機関別使用事業所数

第1図 期間別使用事業所数の水位(各年度末現在)

第5表 都道府県別機関別使用事業所数

第6表 販売所業所数及び廃棄事業所数の推移

第7表 販売形態別販売事業所数

第8表 都府県別、販売形態別販売事業所数

第9表 放射線障害防止法に係る申請、届出等の受理状況

第10表 放射線取扱主任者免状交付数(種類別、年度別)

第11表 放射線取扱主任者試験の実施状況(第1種、第2種)

(1) 第1種放射線取扱主任者試験

(2) 第2種放射線取扱主任者試験

(参考)放射線取扱主任者試験の受験申込者数(第1種・第2種合計)の近年の増加状況

第12表 年度別、機関別立入検査実施状況

昭和51年度における放射性同位元素等の事故等(放射線障害防止法関係)


 U 放射線障害防止対策の強化

 上述のような近年における放射線利用の急速な普及拡大、一部の事業所における事故の発生等の諸情勢に対処して、科学技術庁では、昭和49年度から特に次のような諸施策を講じ、放射線障害の防止に関する対策の強化を図ってきた。

1 取扱事業所の総点検の実施

 昭和49年5月20日付け科学技術庁長官名文書により、放射性同位元素等を取り扱う全事業所に総点検を実施させ、問題点を改善させた。

2 放射線障害防止対策要綱の策定・実施

 前記総点検の結果等を踏まえて、昭和49年8月30日「放射線障害防止対策要綱」を策定し、その後、同対策要綱に基づいて、前記のように放射線障害防止法の許認可等の厳正な審査、立入検査の効果的な実施等行政運営の改善に努めるとともに、次の諸施策を推進している。

(注)同対策要綱の骨子
@ 法令遵守確保のための監督指導等の強化
A 事業所等の自主的安全活動の促進
B 非破壊検査事業所等に対する監督指導の強化、安全教育。広報等の特別対策
C 障害防止法の施行体制等の基本的検討

3 関係監督官庁の連携協力体制の確立と監督指導の効果的推進

(1) 昭和49年5月16日関係省庁と「放射線障害防止関係省庁連絡会議」を設置し、放射線障害防止に係る諸対策について連絡協議を行い、関係行政の円滑かつ効率的な運営を図っている(当初4省庁、現在9省庁)

 同連絡会議は、昭和49〜51年度に11回開催され、総点検の実施、その結果に基づく立入検査・指導、盗難防止対策(後記)、各省庁の行政運営等について連絡協議を行い、当庁のほか関係法令を所管する労働省、厚生省、人事院等関係省庁において放射線障害防止を関係行政の重点に取り上げ、監督指導を進めた。

(2)関係省庁において、都道府県医療監視員、労働基準監督職員、警察官等の研修、大学の放射線担当者の研修等が行われ、当庁も協力した。

 (注)昭和50年度には、放射線医学総合研究所における厚生省(都道府県)職員の研修のほか、日本原子力研究所のアイソトープ研修に特別のコースを設けて、労働省、警察等の監督行政に従事する職員の研修が行われた。

4 事業所・業界の自主的安全活動の組織的推進

(1) 国立事業所に係る「各省庁放射線障害防止対策連絡会議」の設置・開催

 国立事業所の放射線安全管理の徹底につき、人事院主催により、昭和49年7月29日、17省庁をもって「各省庁放射線障害防止対策連絡会議」が設置され、諸対策が進められている。

(2) 民間事業所に係る「放射線障害防止中央協議会」の設置と活動
 昭和49年8月30日の科学技術庁長官の要請に基づき、同年10月29日、関係業界団体26団体を構成員として「放射線障害防止中央協議会」が設立され、各種の委員会を設けて自主的安全活動を進めた。(現在27団体)

 同中央協議会は、昭和50〜51年度においては、総会、各種委員会の開催のほか、当庁との協同により、次の事業を行った。

イ.放射線安全管理講習会の開催

 @ 第1回 50.7.16 東京(501名参加)
 A 第2回 50.12.2 大阪(505名参加)
 B 第3回 51.2.26 仙台(194名参加)
 C 第4回 51.10.29 福岡(325名参加)
 D 第5回 51.11.4 東京(841名参加)
 E 第6回 52.3.10 東京−夜光塗料関係(60名参加)

ロ.安全管理資料の作成、配布

 @ 放射線障害の防止に関する行政指導通知・通達集(50.8)
 A フィルムバッジによる外部被ばく線量管理の手引き(51.3)
 B 放射性廃棄物管理の手引(51.9)
 C 記帳・記録の手引(52.3)
 D ガンマ線照射装置の使用に係る非破壊検査安全対策要綱(52.3)
 E その他講習会資料等

5 非破壊検査関係事業所に対する特別措置

(1) 昭和49年5月判明した非破壊検査関係の事故等にかんがみ、同年5〜6月に全国の非破壊検査専業事業所に対し一斉立入検査を実施し、所要の改善措置を行わせたが、更に、51年秋再度一斉立入検査を実施し、安全管理の徹底を図った。

(注)放射線障害防止法の使用の許可を受けている非破壊検査専業事業所は、昭和52年3月31日現在25社の41事業所である。

(2) 労働安全衛生法の体系において、非破壊検査に使用されるガンマ線照射装置の構造規格が定められ、また、労働安全衛生法施行令等の改正により現場ごとの「ガンマ線透過写真撮影作業主任者」の制度が設けられ、昭和52年4月1日から現場ごとの配置が義務づけられた。

(3) 非破壊検査専業会社に対し昭和51年10月1日付け原子力安全局長名通達を出し、全専業事業所から3カ月ごと及び1年ごとに被ばく線量の報告を徴することとした。

(4) 前記「放射線障害防止中央協議会」の中に検査実施者側・発注者側・検査機器製造者側の三者構成の「非破壊検査安全対策委員会」を設け、当庁と労働省の指導のもとに安全対策について種々検討を行い、昭和52年3月、「ガンマ線照射装置の使用に係る非破壊検査安全対策要綱」を策定した。関係事業所に配布し、安全管理の徹底を図っている。

6 病院、大学の安全管理の徹底についての特別措置

 病院と大学については、既往の事故等や管理の実態にかんがみ、特に次のような施策を講じた。

(1) 病院については、立入検査の重点対象とし、また、昭和50年8月28日全国の使用許可・届出病院に対し、原子力局長名文書をもって安全管理の徹底を図ったほか、厚生省医務局長に対し、49年7月4日付け及び50年8月28日付け原子力局長名文書をもって、医療機関における放射性同位元素の取扱いに関する監督指導の徹底を要請した。厚生省では、累次にわたり各都道府県知事に対し診療用放射線の安全管理の徹底について医務局長名文書で通知し、各都道府県において毎年病院・診療所の医療監視を実施している。

(2) 大学については、立入検査の重点対象とするほか、文部省学術国際局長に対し、49年6月22日付け原子力局長名文書をもって、大学全般における放射線安全管理の徹底について監督指導を要請した。文部省では、同年9月7日全国の国公私立大学長に対し、放射線管理体制を整理するよう、学術国際局長名文書で通知したほか、さらに昭和50年4月から大学における放射線の安全管理に関し検討会を設けて調査・検討を行い、その検討結果を得て同年12月15日付け学術国際局長名文書で各大学に通知する等、安全対策を進めている。

 また、別に私立大学の関係では、日本私立大学連盟において、前記の放射線障害防止中央協議会に対処して関係の21大学43事業所をもって「放射線障害防止連絡会」が設立され、昭和50年度から各種の活動が行われている。

7 放射性同位元素盗難防止対策の策定と指導

 昭和49年8月の非破壊検査(株)の関西電力(株)美浜発電所における192Irの盗難・恐喝事件の発生等にかんがみ、放射性同位元素の盗難防止対策について、放射線障害防止関係省庁連絡会議で検討を行い、昭和50年3月12日同連絡会議了解として、「放射性同位元素盗難防止対策要綱」を策定し、その後、これに沿って関係各省庁において指導を行っている。


(注)同対策要綱の骨子
1 盗難の予防措置
 (1) 取扱事業所全般の措置
 (2) 非破壊検査使用時の特別措置
 (3) 運搬に際しての措置
2 盗難発生の場合の緊急措置
 (1) 届出、報告、通報
 (2) 関係事業所の探査等
 (3) 関係行政機関の措置
3 本対策の実施確保措置

8 放射線障害防止に関する教育・広報

(1) 昭和49年10月〜11月、放射線障害防止に関するポスター(1万部)及びパンフレット(3万部)を作成し、放射性同位元素等を取り扱う全事業所及び関係官公庁等に配布し、安全に関する認識の高揚、安全管理の徹底を図った。

(2) 昭和50年度及び51年度においては、科学技術庁と放射線障害防止中央協議会の共催で、前記のように、「放射線安全管理講習会」を全国で6回開催したほか、各種の指導資料を作成、配布した。

9 放射線障害防止法の基本的見直し

 放射線障害防止法は、昭和32年に制定された後35年と41年以法律あるいは附属命令の一部改正が行われているが、その後ICRP勧告等国際的基準の進展、国内の放射線利用の実態の進展・変化等が進んでおり、このような内外の諸情勢を踏まえて同法の技術基準その他の規制内容等について種々検討を進めた。

(1) ICRPの1965年勧告については、放射線審議会基本部会において検討が進められた結果、昭和51年5月27日、同審議会会長から内閣総理大臣に検討結果についての意見具申がなされた。

(2) 放射線作業従事者等の健康診断のあり方について、昭和51年11月、「放射線作業従事者等健康診断検討会」(委員:学識経験者6名、オブザーバー:関係行政機関の職員)を設け、同年12月6日第1回会議以降検討を進めている。

(3) 現行法令でMPC(濃度基準値)の定められていない核種で使用されるものが増加してきているのに対応し、関係省庁と検討のうえ、新たに29核種についてMPCを定めることとし、関係告示の改正案をまとめ、昭和52年3月23日放射線審議会に諮問した。

(4) IAEA1973年輸送規則の取り入れに係る輸送関係法規の整備、海洋汚染防止条約(ロンドン条約)の批准に備えての海洋投棄関係法規の整備について、検討を進めた。

(5) また、国内の実態と関係を含め、放射線障害防止法の解釈運用等の見直しも進め、63Ni装備のガスクロマトグラフィー装置の取扱い、非破壊検査の取扱いその他種々の問題について、同法上の取扱いの改善・明確化等を行った。

(注)これらの諸検討の参考とするため、昭和50年10月から年末にかけて、全国の許可・届出事業所について、「放射線取扱主任者実態調査」と「RI関係放射性廃棄物実態調査」を実施した。(51年3〜4月結果を発表)


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