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動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の安全性の確認について


昭和52年5月20日
原子力委員会

 当委員会は、核燃料安全専門審査会から報告のあった動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設からの低レベル廃液の海への放出に係る詳細な審査の結果及び同再処理施設のホット試験に係る安全性についての審査の結果について検討してきたが、本日これを了承した。

 当委員会としては、以上の検討の結果から、本再処理施設からの低レベル廃液の海への放出に係る安全性は十分に確保されること等を考慮すると、動力炉・核燃料開発事業団が策定したホット試験に係る試運転計画は妥当であり、同事業団がこれに基づいてホット試験を実施することは安全上支障がないものと判断する。

(参考)

1 当委員会は、昭和44年、本再処理施設の設置に係る安全審査において、施設の安全性、周辺公衆の受ける被ばく線量等について当時得られていた知見を基に十分厳しい条件で審査を行い、安全性は十分確保し得ることを確認した。

2 これに先立って当委員会は、昭和41年7月7日には、本再処理施設からの低レベル廃液の海への放出について、関連する調査研究を国立研究機関、地元県、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団(当時、原子燃料公社)等が協力して実施し、操業開始前に同調査研究の結果を取り入れて詳細な審査を行うとの方針の決定を行い、更に、ウラン試験、ホット試験等に係る安全性確認の手続きに関する昭和50年2月25日の当委員会決定において、上記詳細な審査をホット試験開始前に行うとの方針を明らかにしたところである。

 これらの決定に基づき行った今般の審査において、本再処理施設からの低レベル廃液の海への放出に伴い周辺公衆が受ける被ばく線量は、昭和44年の本再処理施設の設置に係る安全審査において評価した線量を更に下回り、安全上問題のないことを再確認した。

 なお、動力炉・核燃料開発事業団においては、海へ放出される放射性物質の低減化技術に関する研究開発が鋭意行われており、その実用化により、被ばく線量は更に低減することが期待される。

3 ホット試験についても、昭和50年2月25日の上記当委員会決定において、同試験開始前にその安全性を確認するとの方針を明らかにしたところであるが、今般、動力炉・核燃料開発事業団の策定したホット試験計画に基づき、工程試験の項目、内容、確認事項等の妥当性及びホット試験中の放射性廃棄物の管理、環境監視等の安全対策について、ウラン試験結果の評価を踏まえて検討を行い、いずれも問題のないことを確認した。

4 また、同じく昭和50年2月25日の当委員会決定の示すとおり、本格操業開始前には、試運転結果を評価して本再処理施設の安全性を確認することとしており、更に、ホット試験開始以降においては、動力炉・核燃料開発事業団が環境モニタリングの結果等に基づいて評価する周辺公衆の受ける被ばく線量を当委員会環境放射線モニタリング中央評価専門部会において改めて評価し、本再処理施設の安全確保の徹底を図ることとしている。


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