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関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の
設置変更(1号原子炉施設の変更)について(答申)


50原委第704号
昭和50年12月23日

内閣総理大臣 殿

原子力委員会委員長


関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の
設置変更(1号原子炉施設の変更)について(答申)


 昭和50年11月18日付け50原第9489号で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号および第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。





(別添)

昭和50年12月12日
原子力委員会

委員長 佐々木義武殿

原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄


関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更
(1号原子炉施設の変更)に係る安全性について


 当審査会は、昭和50年11月18日付け50原委第605号をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。




Ⅰ 審査結果

 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「高浜発電所原子炉設置変更許可申請書(1号原子炉施設の変更)」(昭和50年11月7日付け申請)等に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。




Ⅱ 変更内容


1 ほう素濃度の調整

 取替炉心初期定格出力時の制御材としてのほう素濃度を1,600ppm以下とする。


2 バーナプルポイズンの使用

 取替炉心においてもバーナブルポイズンを炉心内に分布配置して使用する。使用本数は592本以下とする。(従来は、初装荷炉心のみの使用、本数は892本)




Ⅲ 審査内容


1 ほう素濃度の調整及びバーナブルポイズンの使用

 今後、本原子炉の取替炉心において新燃料集合体装荷数の増大の可能性があり、これに基づく炉心反応度制御のために本変更の必要性が生じたものである。
 炉心の出力分布を乱すことなく反応度制御を行うのに有効なほう素濃度制御については、出力運転状態において減速材温度係数を負に保つために、ほう素濃度を1,600ppm以下にするという制限が定められている。
 また、炉心の反応度バランスの関係からバーナブルポイズンを使用することとなるがこれについては、炉心の出力分布をつとめて平坦化するよう炉心構成に当って炉心内に分布配置されることになっている。
 なお、今後の取替炉心においても、最大反応度価値を有する制御棒クラスタ1本が全引き抜きの状態であっても他の制御棒クラスタによって運転温度において1%以上の反応度の停止余裕を確保するという条件は満足することになっている。
 これらの考え方は、取替炉心の原子炉固有の安全性を含む安全性確保の観点から妥当である。



2 取替炉心における安全性

 バーナブルポイズンを用いる取替炉心は、1に述べた点のほか、設置許可の際に行われた安全性解析の条件を逸脱しないように炉心構成を行うことになっている。これが達成できることを確認するために、予想される数ケースについて炉心解析を行い得られた炉心特性値と従前の安全性解析に用いられた炉心特性値との比較を行ったが、ピーキング係数、反応度係数等の安全性に影響を与える数値は安全側であることが示されている。
 このことから、取替炉心でのバーナブルポイズンの使用によっても十分に安全性が確保できるように炉心構成が行えるものと判断する。




Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和50年11月19日の第142回審査会及び昭和50年12月12日の第143回審査会において審査を行い本報告書を決定した。




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