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NPT再検討会議最終宣言(仮訳)




前  文

 核兵器の不拡散に関する条約の規定に従い、同条約の前文の目的の実現及び同条約の規定の遵守を確保するように同条約の運用を検討するため、1975年5月にジュネーヴにおいて会合した同条約の締約国は、条約の目的が引き続き重要性を有していることを認識し、条約への普遍的な参加が得られれば、国際的平和が著しく強化され、すべての国の安全が高められるとの信念を確認し、この目的を達成するためには、条約の実施にあたり、すべての締約国の間の、すなわち核兵器国及び非核兵器国の間の、相互の責任と義務の受諾可能な均衡をはかることが重要であることを固く確信し、
 核戦争の危険が人類の存続にとり依然として重大な脅威であることを認識し、
 核兵器その他の核爆発装置のより一層の拡散の防止が核戦争を回避する諸努力の中で依然重要な要素であること、並びにこの目的は、核軍備競争の停止に向ってのより急速な進展により並びに厳重かつ効果的な国際管理のもとにおける全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約に従って諸国の軍備から核兵器を除去すべく現存の核兵器を制限及び削減することにより一層促進されるであろうことを確信し、
 締約国が核兵器のすべての実験的爆発の永久的停止の達成を求めるとの決意を表明したことを想起し、諸国間の緊張緩和傾向が核軍備競争の停止に向ってのより顕著な進展を容易にする好ましい環境をつくり出していることを考慮し、
 原子力が、特に、変わりつつある経済環境のもとで、発電の分野で及び先進国と開発途上国間の経済的、技術的格差の漸進的除去に貢献する上で果しうる重要な役割に注目し、
 原子力の平和的応用の加速的な拡大及び発展が、効果的な保障措置がとられない限り、核爆発能力のより一層の拡散を促進するであろうことを認識し、
 平和的な原子力活動に対する国際原子力機関(IAEA)の保障措置の適用及び改善における十分な協力が引き続き必要であることを認識し、
 すべての締約国が平和的目的のための原子力の応用を一層発展させるため可能な最大限度まで科学的情報を交換することに参加し、及び単独で又は他の国と協力してその応用の一層の発展に貢献する権利を有することを想起し、
 核技術の平和的応用の利益(核兵器国が核爆発装置の開発から得ることができるすべての技術上の副産物を含む)が、平和的目的のため、すべての締約国に提供されるべきであるという原則を再確認し、すべての締約国が条約の目的を達成するための具体的なかつ効果的措置をとるよう努力する義務があることを認識して、
 以下のとおり宣言する。


目  的

 締約国は、核兵器のより一層の拡散を回避するという強い共通の関心を再確認する。締約国は、条約に対する強い支持、条約の諸原則及び諸目的に対する変りない確信、並びに条約の規定を十分かつより効果的に履行すべき約束を再確認する。
 締約国は、以下の国際的努力において条約の果す重要な役割を再確認する。

 ○核兵器のより一層の拡散を防止する。
 ○核軍備競争の停止を達成し、核軍備の縮小の方向で効果的な措置をとる。
 ○適当な保障措置の下での原子力の平和的利用における協力を促進する。


第1条及び第2条の再検討

 会議による検討の結果、条約の第1条及び第2条により締約国に課せられた義務が、すべての締約国により忠実に遵守されてきていることを確認する。会議は、これらの規定を引き続き厳守することが、核兵器のより一層の拡散を回避するという共通の目的達成のうえで依然要であると確信する。


第3条の再検討

 会議は、条約第3条1に基づくIAEAの検認活動が、各国の主権を尊重し、かつ締約国の経済的、科学的又は技術的発展又は平和的な原子力活動における国際協力を妨げていないことに注目する。会議は、このような状態が維持されることを強く要請する。会議は、第3条1に基づく保障措置が、すべての締約国が等しく利益を得るように、差別なしに今後とも実施されることを極めて重要と考える。
 会議は、締約国の義務及び第3条1に基づくIAEA保障措置の適用を容易にするためのIAEAとの協力の双方の観点から核物質の計量管理制度の重要性に注目する。会議は、平和的な原子力活動を行っているすべての国に対し、実効的な計量管理制度を設立、維持することを希望し、またIAEAが各国のかかる努力を支援する態勢にあることを歓迎する。
 会議は、実効的なIAEA保障措置への強力な支持を表明する。かかる観点から会議は、一方において非締約国たる非核兵器国と締結する保障措置協定が適切な有効期間を有し、いかなる核爆発装置への転用をも排除し、さらに再輸出に際して、保障措置をひきつづき適用するための適切な条項を含んでいることを確保しつつ、IAEA保障措置の標準化及びその適用の普遍性をめざす努力を強化することを勧告する。
 会議は、とりわけ最適の費用対効果を確保するために保障措置技術、機器、情報処理及び実施の改善に一層の配慮とより十分な支持を与えるよう勧告する。会議は、IAEA事務局長による常設保障措置実施諮問グループの設立を満足をもって注目する。
 会議は、締約国で未だにIAEAとの間で保障措置協定を締結していない国が出来るだけ早急にこれを締結することの必要性を強調する。
 条約第3条2の実施に関し、会議は、核物質又は設備を供給する数多くの国が非締約国たる非核兵器国に対するある品目の輸出の際に必要とするIAEA保障措置のための一定の最小限の標準的要件を採択したことに注目する(IAEA資料INFCIRC/209とその追加)。会議は、上記標準的要件に含まれている核兵器その他の核爆発装置への不転用の約束についての、これらの国によって定められた条件を重視する。
 会議は、以下の諸点につき強く要請する。

(A)すべての可能な方法で、保障措置に関連する共通の輸出要件を強化すべきこと、特に、非締約国たる輸入国におけるすべての平和的な原子力活動に保障措置を適用することによって強化すべきこと。

(B)かかる共通要件は、すべての供給国及び受領国が受け入れられるかぎり最も広汎な措置とすること。

(C)すべての締約国は、積極的にこれらの目的に向って努力すべきこと。
 会議は、以下の諸点に注目する。

(A) 第3条2に基づき必要とされる保障措置は輸入国のすべての平和的な原子力活動に適用されるべきであるとの多数の締約国の熟慮された見解。

(B)(1)非締約国たる非核兵器国に対し了知しうる形で移転された科学的及び技術的情報の使用によって処理、使用又は生産された核物質に関する保障措置の共通要件を作ることが望ましいとの示唆。

(2)保障措置のこの側面が更に検討されうるとの希望。
 会議は、1975年以降適当な時期にIAEA理事会が行うIAEA保障措置の財政に関する取決めの再検討の際には開発途上国の困難な財政状況を十分念頭におくべきことを勧告する。会議は、更にその際、関係締約国が、保障措置経費負担に占める開発途上国の割合を適当な限度に制限する措置を探究するように勧告する。
 会議は、保障措置査察員に関して、とりわけ、「できる限り広い地理的基礎によって職員を募集することの重要性に対して、妥当な考慮を払うものとする。」と規定するIAEA憲章第7条DをIAEAが遵守することが、極めて重要であると考える。また、会議は、保障措置の訓練はすべての地域の者が受けることの出来るものとするよう勧告する。
 会議は、核物質が常に効果的に防護されるべきことを確信して、核物質の効果的防護の統一的かつ最小限の水準を確保する観点から、使用、貯蔵及び輸送中の核物質の盗難防護措置(フィジカル・プロテクション)のための締約国の責任に関する原則を含む具体的な勧告の作成をIAEAにおいて継続するための行動がとられるよう強く要請する。
 会議は、平和的な原子力活動に携わるすべての国に対し(1)核物質のこのような防護を確保するために必要と思われる国際協定及び国際取極を締結すること、また(2)各国各々の盗難防護措置制度の枠内でIAEAの勧告を出来るだけ早急にかつ効果的に適用することを要請する。


第4条の再検討

 会議は、第4条1の枠内で、条約のいかなる規定も無差別にかつ第1条及び第2条の規定に従って平和的目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させることについてのすべての締約国の奪い得ない権利に影響を及ぼすものと解してはならないことを再確認する。 会議は、第4条2の枠内で、原子力の平和的利用のため設備、資材並びに科学的及び技術的情報を可能な最大限度まで交換することを容易にするとのすべての締約国の約束及びかかる交換に参加するすべての締約国の権利を再確認し、その日標のためになされた努力を歓迎する。条約が原子力の平和的利用における国際協力を拡大するための有用な枠組であることに注目しつつ、会議は、この基盤の上で、かつ条約に従って、核技術の平和的応用の利益がすべての締約国に提供されるべきであるということを確保するために一層の努力が必要であることを確信する。
 会議は、条約の目的及び保障措置の要件に合致した形で、核物質、設備及び最新の開発を含む技術を出来る限り完全に交換することの必要性が今後とも存在することを認める。会議は、締約国は、可能なときは、単独又は他の国若しくは国際機関と共同して、世界の開発途上にある地域の必要に妥当な考慮を払って、平和的目的のための原子力の応用、特に締約国である非核兵器国の領域における応用の一層の発展に貢献することに協力するとの約束を再確認する。会議は、第4条2に関連して開発途上国の増大する必要を認識して、この分野において、開発途上国に対し、二国間及びIAEA、UNDP等の多数国間のチャネルを通じた援助を継続し、増大させることが必要であると考える。
 会議は、条約第4条を出来る限り完全に実施するためには、締約先進国が締約開発途上国における原子力の平和的利用に対し特別の援助を提供するため、必要な措置をとること、拠出を行うこと及び計画を策定することにつき可能な限り速やかに検討しなければならないと考える。
 会議は、平和的な原子力施設の継続的な運転に関連する協力を含め、原子力の平和利用のための装置、資材、サービス及び科学的、技術的情報の提供、有利なまたは他の適切な金融上の取極並びに原子力分野における技術援助の提供を決定する際には、締約国は、受領国が条約に参加しているか否かに重点をおかなければならないことを勧告する。会議は、この点に関連して、締約開発途上国の増大する必要に応えるための何らかの特定の措置には、二国間または信託基金及び贈与を管理するIAEAの組織のような多数国間のチャネルを通じるより多くの補足的な自発的援助を含みうることを勧告する。
 会議は、更に締約国は、可能なときは、締約開発途上国がIAEAに提出した「技術的に健全な」技術援助要請であって、IAEAが自己の資金源でまかなうことができないもの並びにIAEA非加盟国である締約開発途上国によってなされた「技術的に健全な」技術援助要請に対し、できる限り応えるよう勧告する。
 会議は、地域的又は多数国核燃料サイクルセンターが、原子力発電計画を開始又は拡張しつつある多くの国の必要を安全かつ経済的に満足させる有利な方法でありうると同時に盗難防護措置(フィジカル・プロテクション)及びIAEA保障措置の適用を容易にし、条約の目標に寄与しうることを認める。
 会議は、この分野におけるIAEAの研究を歓迎し、研究を可能な限り迅速に行い、かつ、継続することを勧告する。会譲は、かかる研究は、諸問題中、特にそのプロジェクトと関連して処理される必要がある複雑な実際上及び組織上の困難を確認することを含むべきであると考える。
 会議は、すべての締約国に、可能なときは、就中、化学再処理工場、プルトニウム燃料製造工場、廃棄物処理装置及び使用済燃料長期貯蔵のような施設の建設及び運転に関する経済性の資料を適宜IAEAに提供すること及び特定の地域における地域的核燃料サイクルセンターの設立に関するフィジビリティー・スタディをIAEAが行うことを可能にするよう援助することによりこのような研究に協力するよう強く要請する。
 会議は、このような研究が積極的な結論を導き、地域的又は多数国核燃料サイクルセンターの設置が計画される場合には、締約国は可能ならば、この計画の策定と実現に協力し援助を提供することを希望する。


第5条の再検討

 会議は、核爆発のあらゆる平和的応用から生ずることのある利益が締約国たる非核兵器国に第5条の規定及びその他の適用される国際的な義務に従い提供されることを確保するために適切な措置をとるとの締約国の義務を再確認する。これに関連して、会議は、また、かかるサービスは、締約国たる非核兵器国に無差別の原則に基づいて提供されること並びに使用される
核爆発装置についてその非核兵器国の負担する費用ができる限り低額であり、かつ、研究及び開発のためのいかなる費用をも含まないことを再確認する。
 会議は、かかる潜在的利益が条約の規定に従い、第5条で要求されている適当な国際的監視及び適当な国際的手続に従い、また、その他の適用される国際的義務に従って核兵器国により提供される核爆発サービスを通じて、非締約国たる非核兵器国に提供されうることに注目する。会議は、平和目的の核爆発の潜在的利益の享受が核爆発能力のいかなる拡散にもつながるものであってはならないことが枢要と考える。
 会議は、IAEAが、それを通じて核爆発の平和的応用から生ずることのある利益をすべての非核兵器国に提供する、条約第5条に言及されている、適切な国際機関であると考える。従って、会議はIAEAが条約第5条に規定されている特別の国際協定の構造と内容に含まれている重要な法律的問題を確認し、検討する作業を促進し、また、その構造と内容に関する検討を開始すること、またかかる作業は、軍縮委員会及び国連総会の見解を考慮に入れ、かかる作業に参加することを希望するIAEA非加盟国たる締約国の参加を可能にすることを強く要請する。
 会議は平和目的の核爆発の技術はいまだ開発と研究の段階にあること、並びに今後更に調査検討を必要とする数多くの相互に関連した国際的法制面及びその他の側面があることに注目する。
 会議は、IAEAで行われてきたこの分野における作業を評価し、国連総会決議3261D(XXIX)に従って、かかる作業が継続されることを期待する。会議は、IAEAが核爆発の平和的応用のためのサービス提供に関連した事項において中心的役割を果たすべきことを強調する。会議は、IAEAがその権限の範囲内でこの問題の検討を拡大し核爆発の平和的応用の具体的適用のすべての側面及び関連事項を包含すべきであると信ずる。この目的のために、会議は、IAEAに対し政府間の協議が行われ、かつ、この分野におけるIAEAの活動に助言を与えることの出来るような適切な機関を設立するよう強く要請する。
 会議は、軍縮委員会が国連総会決議3261D(XXIX)に従いIAEAの見解を適切に考慮して核爆発の平和的応用の軍備管理面での意味あいについて検討することに大きな重要性を付する。
 会議は、第30回国連総会が国連決議3261D(XXIX)に基づく報告を受領し、核爆発の平和的応用の実施に関係する問題を各国が討議する機会を提供するであろうことに注目する。会議は、更に第30回国連総会における討議の結果はIAEA及び軍縮委員会が本問題を更に検討していく上で考慮するために提供されるであろうことに注目する。


第6条の再検討

 会議は、すべての締約国が次の事項に関する効果的な措置につき、誠実に交渉を行うことを約束した条約第6条の規定を想起する。

 ・核軍備競争の早期の停止
 ・核軍備の縮小
 ・厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約

 会議は、条約の第6条の履行に貢献する措置として、最近の数年間に具体化されかつ締結された軍備の制限及び縮小に関する諸合意を歓迎するとともに、軍備競争、特に核軍備競争が依然として減じていないことに重大な懸念を表明する。
 従って、会議は、条約の第6条の早期かつ効果的な履行を達成するため、条約の各締約国、特に核兵器国による絶え間ない、断固とした努力を強く要請する。
 会議は、1963年の部分的核実験禁止条約の前文において表明され、かつ核兵器不拡散条約の前文において繰返し表明された核兵器のすべての実験的爆発の永久的停止を達成するとの決意を確認する。会議は、すべての核兵器実験を禁止する条約の締結が核軍備競争を停止する最も重要な措置の一つであるとの見解を表明する。会議は、締結国である核兵器国が率先してこの問題についての技術的かつ政治的諸困難を早期に解活するようにとの希望を表明する。会議は、効果的な包括的核実験禁止条約の締結についての合意に達するためこれらの締約国である核兵器国があらゆる努力を行うことを訴える。会議の代表団の多くは、この目的のため、締約国たる核兵器国が、あらゆる国に開放され、実効性を確保するための適当な規定を含む、特定の期間参加国があらゆる核兵器実験を停止するとの協定を、できるだけ速やかに締結すべきであり、かつそのような協定の内容を核兵器実験の普遍的かつ永久的禁止を達成するためこの期間中に検討すべきであるとの願望を表明した。一方、会議は、地下核兵器実験の制限に関する条約の署名国たる核兵器国に対し、地下核兵器実験の回数を最小に制限するよう要請する。会議は、かかる措置がすべての核兵器の実験的爆発を永久に禁止する条約を締結するための交渉への特別の価値を有する誘因となると信ずる。
 会議は、戦略兵器の制限に関する交渉に参加している核兵器国に対し、1974年11月にそれらの国の首脳によって大筋が決められた新協定をできるだけ速やかに締結するために努力するよう訴える。会議は、かかる協定の締結に続き核兵器システムの一層の制限及び顕著な削減に関する次の交渉ができる限り速やかに開始されることを期待する。
 会議は、軍縮委員会が、初期の進展にもかかわらず、最近は条約の第6条の目的を進めるための新しい実質的措置についての合意に達することができなかったことに注目する。従って締約国である軍縮委員会のすべての構成国、特に核兵器国に対し、軍縮委員会の議題に関するすべての問題について効果的な軍縮についての合意を達成するため努力を倍加するよう強く要請する。
 会議は、すべての締約国が、国際連合、軍縮委員会及びこれらの国が参加している他の交渉を通じて、厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小の目標に貢献する軍備の制限及び軍備縮小についての合意の締結に向って決意をもって作業するようにとの希望を表明する。
 会議は、軍縮が万人の関心事項であり、軍備競争と軍備縮小の分野における情勢についてすべての国の政府および国民に対して情報を提供することは第6条の目的達成上大きな重要性を持つものであるとの見解を表明する。従って会議は、世界の与論及びすべての国の政府に対して第6条の規定の実現のために達成された進展状況を正しく知らせるため軍縮問題に関する情報の収集、編纂、流布についての現存する機能を改善する方途につき国連が考慮するよう要請する。


第7条の再検討及び非核兵器国の安全保障

 会議は、すべての国が、その独立、領土保全及び主権を確保する必要のあることを認識し、核兵器の取得を放棄した締約国である非核兵器国の安全保障を確保しかつ強化することの特別の重要性を強調する。会議は、締約国が安全保障の面においてそれぞれ異なる状況におかれており、従って、これらの国の安全についての懸念に応えるような種々の適当な手段を講じることが必要であることを認める。
 会議は、核兵器の放棄を相互に確め合う最良の方法として、また、相互の安全保障を強化する効果的な方法の一つとして、非核兵器国が条約に参加する重要性を強調する。
 会議は、締約国である非核兵器国の安全を確保するため、核兵器の使用を伴う侵略行為の犠牲またはそのような侵略の威嚇の対象となった締約国である非核兵器国に対し、国連憲章に従い、直ちに援助を提供し又は支持する旨表明した寄託国の宣言(同宣言は、国連安保理決議255(1968)により歓迎された)を尊重するとの寄託国の変りない決意に注目する。
 会議は、条約第7条の規定に留意し、当該地帯の直接関係国の発意に基づき、またそれらの国の間に合意のある国際的に認められた非核兵器地帯の設置は、核兵器の拡散を防止する効果的な方法の一つであり、それらの直接関係国の安全保障に大きく貢献しうるものであると考える。会議は、このような非核兵器地帯の設置に向ってとられた措置を歓迎する。
 会議は、非核兵器地帯設置のためのいかなる取極も、その最大限の効果を発揮するためには、核兵器国の協力が必要であることを認識する。会議においては、核兵器国が、これらの地域的取極の規定により完全に拘束されることになる国に対し、適当な方法により、安全保障の面で拘束力のある保証を与えるよう多くの代表により強く要請された。
 また会議においては、特に締約国である核兵器国がすべての締約国である非核兵器国の安全保障を確保するため断固とした努力を払うよう強く要請された。この目的のため会議は、核兵器国であるか、非核兵器国であるかを問わず、すべての国に対し、国連憲章に従って、国際関係において核兵器を伴うものであれ、非核兵器を伴うものであれ、武力による威嚇または武力の行使を慎しむよう強く要請する。更に会議は、すべての締約国とりわけ核兵器国が、締約国である非核兵器国の安全保障を強化すべく効果的な措置をとるとともにこの会議において表明された諸見解を考慮に入れつつ、すべての適当なフォーラムにおいてその目的のため実際的なあらゆる方法の検討を促進する責任を有することを強調する。


第8条の再検討

 会議は、国連加盟国である締約国に対し、国際連合事務総長が下記の項目を、第31回国連総会の仮議題に含めるよう要請することを慫慂する。「核兵器の不拡散に関する条約の締約国の第1回再検討会議の結論の実施」
 会議に参加した締約国は、寄託国政府に対し、条約の運用を検討するための第2回会議が1980年に開かれるよう提案する。
 従って、会議は、国連加盟国である締約国に対し、国際連合事務総長が、下記の項目を第33回国連総会の仮議題に含めるよう要請することを慫慂する。「核兵器の不拡散に関する条約の締約国の第1回再検討会議の結論の実施と第2回再検討会議の準備委員会の設立」


第9条の再検討

 条約発効後の過去5カ年間は、条約が国際的に広く受諾されたことを示した。会議は、より広汎な参加の達成に向っての最近の進展を歓迎する。同時に、会議は条約が現在なお普遍的な参加を達成していないことに懸念の意をもって注目する。従って、会議は、条約に参加しない国ができるだけ早期にこの条約に参加するようにとの希望を表明する。
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