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核兵器不拡散条約(NPT)と原子力平和利用の推進に関する見解


昭和50年2月21日
原子力委員会


 当委員会は、今回行われた国際原子力機関(IAEA)とのNPT第3条に基づく保障措置協定に関する第5次予備交渉の経過及び結果をみれば、NPT下における保障措置のわが国への適用が、他の締結国に比して実質的に不利にならない所謂平等性は確保し得るものと評価する。又、この結果NPT下の保障措置は、現在わが国が二国間協定に基づいて実施されているIAEA保障措置に比し、その内容において改善され、商業秘密の保護についても、より慎重に配慮されることが期し得るものと考える。
 原子力の研究、開発、利用を平和目的に限ることを基本理念とするわが国にとって、核燃料物質等の核兵器その他の核爆発装置への転用を防止することは当然であり、又、平和利用推進のためには、それらの疑念を払拭することが必要である。
 NPTは各加盟国に対し、NPTに基づく保障措置の適用がない限り、原子力平和利用のための核原料物質、特殊核分裂性物質又は設備、資材等を供給しないことを義務づけている一方、すべての加盟国に対して、これらの設備、資材等を可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束させている。即ちNPT体制の外においては、原子力平和利用に係る核原料物質、特殊核分裂性物質、設備、資材等の将来に亘る安定供給を確保し得る保証はない。
 よって、今後わが国の原子力平和利用を更に進めるためには、保障措置に関する平等性確保の見通しが得られた今日、速やかにNPT加盟の途を講ずることが望ましい。


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