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昭和48年度原子力開発利用動態調査結果


50年1月

1 わが国における原子力開発利用の推進に必要な基礎資料を作成するため、統計報告調整法に基づき行政管理庁の承認を得て昭和42年度より毎年原子力開発利用動態調査を実施しているが、48年度における原子力平和利用関係全分野の従事者、研究開発費、設備投資、生産等の実態調査結果をとりまとめた。
 これまでの調査結果からは、わが国の原子力開発利用が年々、拡大してきていることが読みとれるが、48年度では、昨年度と同様にその伸びがやや鈍化した。既ち、研修派遣者及び研究開発費が前年度を上廻る増加を示したが、従事者数、設備投資額、生産実績など主要活動指標はいずれも前年度をかなり下廻る伸び率となっており、47年度に引続き原子力産業界のスローダウンを如実に示している。

2 回答状況

3 調査結果

原子力関係諸指標の推移

(1)原子力関係従事者
 48年度末における原子力関係従事者数は、53,737人となり、前年度に比して1.2%増加している。このうち、民間企業に属する者が28,351人で全体の52.8%(前年度50.3%)を占めている。このような民間企業の微増に比較して研究機関は、9,216人(前年度9,563人)、医療機関は、8,737人(前年度10,585人)等となっており、いずれも減少したことは注目される。一方放射線関係従事者数についてみると、その総数は48,155人(前年度比10.6%増)となり、なかでも研究機関が19.9%と増加し、全体の20.5%(9,865人)を占めている。
 48年度末の研究者(10,754人)、技術者(13,279人)についてみると、その総数は24,033人(前年度比6.3%増)となっているが、特に民間企業における「原子力安全管理科学技術者」(51.4%)の伸びが大きい。

(2)研修
 48年度の研修派遣者数は、3,128人で前年度に比して7.9%増加している。特に1ヵ年未満の国内研修が全体の92.3%(2,888人)を占めており、海外研修が相対的に減少している。研修内容についても前年度と同様に国内での研修は放射線研修(2,308人)が多く、海外での研修は原子炉研修(120人)が中心になっている。

(3)研究開発
 48年度の研究開発のための支出費は1,000億円で前年度より12.1%増加している。これを機関別にみると、研究機関(原研、動燃等を含む)が734億円で全体の73.4%を占めている。
 また、研究性格別にみると、開発研究が641億円(全体の64.1%)、応用研究が200億円(20%)、基礎研究が159億円(15.9%)を占めている。
 さらに、経営主体別にみると国が753億円(全体の75.3%)、民間が225億円(22.5%)を占めている。

(4)設備投資
 設備投資額は、47年度の1,960億円に比し、48年度は2,352億円と約20%増加している。増加は主として民間企業の2,244億円(前年度1,850億円)によるものである。
 設備投資の増加した主なものは原子力発電所の2,154億円(前年度1,723億円)が最も大きく、加工施設、放射線利用関係施設がそれぞれ35億円(前年度30億円)、64億円(前年度57億円)とこれについて大きくなっている。逆に原子炉製造施設(77億円から32億円に)及び再処理施設(61億円から57億円に)の設備投資が減少している。
 また、民間企業の設備投資の増加を業種別にみると、電気事業者によるものが2,154億円(前年度1,723億円)で25%増加しその大部分を占め、このほか電気機械工業が13億円(前年度11億円)となっている。逆に設備投資の減少した業種としては輸送用機械工業(67億円から13億円に)、精密機械工業(2億円から0.3億円に)等がある。

(5)生産
 生産額は、47年度の501億円に比し48年度は730億円と45.9%増加している。この生産額を分野別にみると、原子炉機器が498億円(前年度381億円)で30.1%増加し全体の68.2%を占め、つづいて核燃料関係が130億円(前年度59億円)、放射線利用機器が101億円(前年度61億円)となっている。
 また、業種別にみると電気機械工業が352億円で前年度に比し208億円と大きく増加(44%)している。逆に輸送用機械工業及び鉄鋼業がともに減少して各々88億円(43%減)、26億円(76%減)となっている。

参考資料

第1表 原子力関係従事者

第2表 機関別、専門分野別研究者及び技術者

第3表 機関別放射線関係従事者

第4表 研修派遣者

第5表 機関別、研究性格別研究開発費

第6表 原子炉核燃料関係及び放射線利用関係施設別投資額

第7表品目別生産実績

 

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