ガンマ線透過試験作業(いわゆる非破壊検査)に係る近年の一連の事故等に鑑み、今後同種の事故の発生を防止し、一層安全の確保を図るため、労働大臣から昭和49年10月30日放射線審議会に電離放射線障害防止規則の一部改正等について諮問があった。
同諮問を受けた放射線審議会においては、第28回総会並びに第9回及び第10回アイソトープ部会で慎重に審議を行った結果(10月号及び11月号参照)、昭和49年12月17日労働大臣あてに一部意見を付し、了承する旨を別紙のとおり答申した。
(別紙)
電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱(放射線障害の防止に関する技術的基準に関する部分)、エックス線装置等構造規格の一部を改正する告示案要綱及びガンマ線照射装置構造規格を定める告示案要綱について(答申)
49放審議第14号
昭和49年12月17日
電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱(放射線障害の防止に関する技術的基準に関する部分),エックス線装置等構造規格の一部を改正する告示案要綱及びガンマ線照射装置構造規格を定める告示案要綱について(答申) |
昭和49年10月30日付け労働省発基第89号をもって本審議会に諮問のあった標記の件については、総会及びアイソトープ部会において慎重に審議を行った結果、下記のとおり結論を得たので、この旨答申する。
なお、本規則等の施行にあたっては、他の関係法令との関係について円滑な運用を図るよう特に配慮されたい。
1.電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱について
次の事項を除くものについては、要綱のとおりで適当である。
(1)第3項関係
放射線源が線源容器から脱落した場合等について、放射線源を線源容器内に収納する作業を行うときに用いられる鉗子の長さを1m以上のものと限定することは適切でないので、これる削ること。
(2)第4項関係
ガンマ線透過試験作業主任者免許試験については、エックス線作業主任者免許試験の内容及び程度との関係について十分の調整を図ること。
(3)第5項関係
透過試験用ガンマ線照射装置の線源容器から放射線源を取り出すすべての場合についてワイヤレリーズ方式による放射線源送出し装置によると限定するのは適切でないので、この限定は移動させて使用する装置の線源容器から放射線源を取り出す場合についてのみとするよう改めること。
2.エックス線装置等構造規格の一部を改正する告示案要綱について
要綱のとおりで適当である。
3.ガンマ線照射装置構造規格を定める告示案要綱について
次の事項を除くものについては、要綱のとおり適当である。
(1)第2項関係
イ ガンマ線照射装置をシャッター方式のもののみに限定することは適切でないので、迷路方式のものについても認めるよう改めること。
ロ シヤッターの開閉を確認する位置を照射口から線維にさらされるおそれのない位置とすることは適切でないので、開閉を操作する位置と改めること。
(2)第3項関係
放射線源を線源容器から取り出して使用する透過試験用ガンマ線照射装置のすべてについてワイヤレリーズ方式による放射線源送出し装置を有するものと限定することは適切でないので、この限定は移動させて使用する装置についてのみとするよう改めること。
(3)第7項関係
放射線源が脱落しないよう確実に固定できる構造の内容を今後できるだけ具体的に規定するよう検討すること。
(4)第8項関係
最大量の放射性同位元素を線源容器に収納した場合において、線源容器の表面から5センチメートルの距離における照射線量率を線源容器に表示させることは、他の法令との整合の問題があり、当面これを削ること。
(5)第9項関係
放射線源又はそのホルダーの表面に「放射能」の文字等を表示させるガンマ線照射装置は、ワイヤレリーズ方式の透過試験用ガンマ線照射装置のみに限定するよう改めること。
なお、ガンマ線透過試験作業主任者制度の運用にあたっては、特に放射線取扱主任者制度との関係について明確にし、施行にあたってこれについて所要の措置を講ずるとともに、ガンマ線透過試験作業主任者の職務内容については作業現場における安全確保の充実の観点から十分に配慮したうえ規定することが望ましい。
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