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昭和49年度原子力平和利用研究委託費の追加公募分の交付決定



 昭和49年度原子力平和利用研究委託費の追加公募分については、さる12月6日試験研究題目及び申請書の提出期間について官報に告示し、12月17日申請を締切った。その後、書類審査、申請内容聴取、関係機関との意見交換等を行ない、原子力委員会の議を経て12月26日付で次のとおり交付決定を行なった。

1 試験研究題目
2 委託費の額
3 受託者
4 試験研究期間
5 交付概要

遮蔽構造における高速中性子の挙動に関する試験研究
22,003,000円
(財)原子力安全研究協会
49.12.26〜503.31

(研究目的)

 遮蔽構造におけるダクト等での高速中性子のストリーミングの挙動を解明するには、モンテカルロ法、輸送理論計算法などを用いた詳細な計算を行う必要がある。しかし、実際には計算時間等の制約のため、何らかの方法でこれら計算の簡略化が必要であり、アルベド(後方散乱)を適宜、積分した形で利用することが多い。一方、世界的にアルベドに関する実験は少なく、このため測定値も少なく、また、実験上の測定条件は限定されている。
 この様な現状に鑑み、わが国においてこの分野の研究を行うことは原子炉の安全性確保に重要な問題である。このため、本試験研究は原子炉の遮蔽構造の設計基準の確立に資することを目標として、遮蔽構造におけるダクト等での高速中性子の挙動を解明する解析コードを検討することを目的とする。

(研究内容)

1 高速中性子のアルベド計算コードの検討

 ORNLで開発されたMORSEモンテカルロコードをIBMs/360−195システム用に整備し、また上記コードで使用する核データを準備し出力を処理して最終結果を得るための処理コードを整備する。整備された計算コードを用い鉄平板に入射した中性子が鉄平板により反射された場合を対象として、エネルギースペクトラム等の計算条件を設定し、鉄のアルベドを求める例題計算を行い計算コードの機能を評価する。

2 高速中性子のアルベド測定法の検討

 中性子スペクトロメータ及び高速中性子源炉実験孔からの高速中性子束を用い、鉄平板に対し一定角度で入射し、一定角度方向に反射する中性子のエネルギースペクトラムを測定する方法について試験装置を試作し、試験的な測定を行うことにより最適実験条件を検討する。


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