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昭和49年度原子力平和利用研究委託費の交付決定 |
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(研究目的) (研究内容) 1 疲労とクリープの相互効果の研究 疲労とクリープの相互効果を明らかにするため350℃~650℃の温度範囲において、歪速度、歪保持時間及び荷重保持時間を変えた疲労試験を実施するとともに約24時間のリラクゼーション速度試験並びにクリープ速度試験を行う。 1.1 歪速度効果試験 次のとおり条件を設定し歪制御完全両振り疲労試験を行う。
但しSUS316については環境効果を調べるために真空中で行なう。 1.2 歪保持効果試験
但しSUS316については環境効果を調べるために真空中で行う。 1.3 荷重保持効果試験 1.4 リラクゼーション試験 1・2項の試験結果を歪保持時間約24時間の場合まで外そうして評価できるようにするため、次のとおり条件を設定して約24時間のリラクゼーション試験を行う。
1.5 クリープ試験
1.6 静引張試験 SUS304及び21/4Cr-1Moの平滑試験片及びSUS316の切欠き付試験片(応力集中係数2条件)について静引張試験を室温、350℃、550℃、650℃の4温度で行う。 1.7 クリープ破断試験 SUS304、21/4Cr-1Moの平滑試験片及びSUS316の切欠き付試験片(応力集中係数2条件)について、次の試験温度において約100~1,000時間のクリープ破断試験を行う。 SUS304 550℃および650℃ 1.8 組識試験 1.2および1.3項で試験を行った試験片について、破断後組織解析を行い、試験条件の相違がミクロ組識変化に及ぼす影響を調査する。 2 ラチェット機構の研究 ラチェット変形の発生限並びに変形機構を解明するため次のとおり条件を設定し、中空円筒試験片に一定内圧を負荷した状態で、これに両振りの繰返し引張圧縮歪を与える試験を実施する。
試験温度 なお試験結果の解析の基礎資料とするため、内圧のみ軸力のみによる試験も実施する。 3 理論解析 1.3項の切欠き付試験片に関するクリープ挙動及び2項のラチェット変形機構に理論的根拠を与え、試験結果の一般化をはかるため計算方法として、空間的には有限要素法を時間的には差分法を用いて理論解析を行う。 2 原子炉耐圧部の不安定破壊に対する安全基準に関する試験研究
(研究目的) 原子炉一次系の配管は、使用温度が高いことや、内部に貯えられるエネルギーが大きいことから、主として不安定延性破壊が重要な問題となるが、原子炉耐圧部に適用する不安定延性破壊評価基準についてはさらに研究を進める必要がある。また従来不安定延性破壊伝播の理論については数多く提案されているが、まだ残された問題も多く今後さらに実験を実施し理論の妥当性を広く検討する必要がある。 (研究内容) 対象として沸騰水型軽水炉の再循環用配管、加圧水型軽水炉の一次系配管および格納容器貫通配管などを考え、ステンレス鋼管と炭素鋼管について以下の試験を実施する。 1 材料基礎試験 使用材料の基礎的特性を把握するために次の試験を実施する。 1.1 単軸引張試験 2 破壊発生試験 2.1 2軸引張試験 2軸応力状態下での破壊挙動を調査するため2軸引張試験機を用い、炭素鋼管の一部を切出し、中央に切欠をつけた試験片について破壊特性を調べ他の結果と比較検討する。実験は室温がそれより若干低い温度で実施し破壊応力、限界COD(限界切欠開口量)の測定を行なう。 2.2 静的切欠曲げ試験(COD試験) 2.3 不安定延性破壊発生試験 3 破壊伝播試験 3. DWTT 使用材料に対するNDT温度を把握し、Fra-cture Analysis Diagramを作成するために本試験を実施する。試験片は炭素鋼管から切出して行なう。 3.2 不安定延性破壊伝播試験 鋼管をたて割にし、両端部に機械切欠を加工した大型試験片により不安定延性破壊伝播特性の評価を行なう。ステンレス鋼管は室温での単純引張モードを実施し、炭素鋼管については室温と約100℃の2条件において単純引張、衝撃の2モードの他に切欠長さも2条件変えて試験する。測定項目としては、破壊応力、延性破壊伝播限界KC値、亀裂伝播速度、荷重変化破壊モードの5点である。 4 平板の弾塑性域での動的CODの解析 円筒の切欠の動的COD値を平板の切欠の動的COD値で近似できると考え、有限要素法を使用して弾塑性域での動的COD解析を行なう。 5 総合評価 上記各項目の各試験結果を比較し、原子炉一次系配管の不安定延性破壊に対する評価方法の検討を行なう。
(研究目的) 原子炉建物は一般の建物と異なり建物の剛性が非常に高く、かつその重心が極端に低く地中に深く埋込まれているために重心が地表面下にあることも少なくない。このような状態での地震時の建物の動的挙動は、地盤と建物との相互作用、特に地下側壁と基礎底面の効果に大きく支配されるが、これに着目した研究がないため現状での動的解析では原子炉建物と地盤の相互作用を適切に解析する方法が採用されていない。 (研究内容) 原子炉建物と地盤の動的相互作用の解析 (1)振動エネルギーの地下逸散が基礎底面からのみとした場合 4 原子力発電所における設計地震の策定に関する研究
(研究目的) 原子力発電所の安全上重要な施設の地震に対する安全性は、設計地震に基づいて行なわれる動的解析から求まる地震力に対して安全であるよう設計することで確保される。 (研究内容) 地震の型、周辺の断層の影響、上下動等を考慮した合理的、かつ、精度の高い設計地震の策定方法を確立するため、田野畑(岩手)、白丸(石川)、内之浦(鹿児島)、市浦(青森)、深川(山口)、海南(徳島)を対象地域に選定し、次の研究を行なう。 1 考慮すべき地震の精度向上 選定6地域について考慮すべき地震を型別(海型、陸型等)に分け、それぞれの規模、震源位置たどを過去の地震記録(被害記録等)より想定する。 2 断層モデルの設定と震源域の腰動特性検討 各地の地震観測所の選定6地域周辺を震源とする地震記象(波形記録等)を収集調査し、選定地域周辺における断展モデルを地震学的に推定し、考慮すべき断層規模を設定する。このうち太平洋側および日本海側の代表地点について設定した断層から発生する地震動を検討する。 3 上下動特性の検討 過去の代表的な地震の地震記象などから一般的な上下動に関する振動特性を検討する。 4 設計用地震波の作成 上記の研究成果を総合して、選定地点の基盤における地震動の強さ(加速度、速度など)、振動特性(周波数特性など)、継続時間などを想定し設計地震動を作成する。 5 原子力発電所用計測制御装置の耐震性に関する試験研究
(研究目的) 原子力発電所の安全性確保に欠くことのできない種々の耐震クラスAの計測制御装置については耐震性に関する総合的、組識的研究を行ない、国内規格、基準を整備する必要がある。そのため耐震クラスAの計測制御装置の耐震性に関する合理的、標準的な評価法の確立および規格、基準を作成するため、原子力発電所用計測制御装置の耐震性に関する試験研究を行なって、基礎資料を得ることが必要である。 (研究内容) 1 盤の振動試験 原子力発電所に使用されている盤のなかから代表的な形状のモデル盤を選定し、振動試験を行ない、盤の振動特性を求める。 1)掃引振動試験 2)応答試験 2 振動試験結果の評価 1)質点モデルによって各盤の固有振動数、動特性及び応答特性を計算し、モデルの近似度を調べる。 2)盤に取り付けられる各種器具(計器、継電器、開閉器など)のうち、代表的なものを選び、その単体耐振性能について既存データを収集する。 6 使用済核燃料輸送容器の耐火性に関する試験研究
(研究目的) 原子力発電の実用化に伴い、使用済核燃料の輸送が現実の問題となっており、キャスクの安全設計並びに安全性の評価が早急に解決されなければならない重要な課題となっている。 (研究内容) 実用規模として80t程度の横置円筒状キャスクを想定し、その約1/2、1/2.5(約10t、5t)のキャスクモデルについて火災試験を行なう。 1 キャスクモデルの設計及び製作 キャスクモデルは円筒横置形で、胴部、端部ともに外側が構造用鋼板、内側がステンレス板で、間に鉛を鋳込んだ3層より成るものとし、そめ大きさ及び個数は次のとおりとする。 約1/2縮尺(約10t)1個 ただし、温度上昇による鉛の膨張を考慮して鉛膨張室を設けるものとする。 2 火災試験設備の計画及び準備 試験中の燃料の溢流を防止する構造を有する燃焼皿を設置し、その中に適当な高さの位置に供試キャスクモデルを設置できるよう架台を設ける。燃焼皿には予め予備実験で検定された量の燃料を入れ燃焼時間の制御を行なう。燃料は石油系の燃料(発熱料11,000ないし11,700kcal/kg蒸留の終点最大330℃、引火点最低46℃の燃料)を使用する。実験場に取付けた風向風速計で実験条件の適否を判断し実験開始時間を決定する。 3 火災試験 本実験では、各キャスクモデルに約100の測定点を設け熱電対を装置して多点温度記録計に接続し、一定時間間隔で各部の温度変化を自動的に測定する。 4 試験結果の評価 上記試験結果から火災に対するキャスクの安全性、有効適切な試験方法について評価検討を行なう。 7 隔膜によるガス状放射性廃棄物の分離装置の試作研究
(研究目的) 最近、放射性物質の環境への放出に対しゼロリリーズがさけばれるようになってきた。現在、原子力施設からの排ガス中の放射性希ガスを除去する方法としては、種々の方法が開発されつつある。これらの中で、隔膜法はその操作が常温でかつ簡単であることから有望視されている。しかし隔膜のガス透過係数が小さいことと分離係数が小さいために、分離性能が小さくなり、その結果、装置が大きくなるという欠点を有している。 (研究内容) 1 9段カスケードガス分離装置の設計 窒素、クリプトン混合ガス中からクリプトンガスを分離するノルマルカスケード、ジャンプカスケード及びリサイクルカスケードについて、所要の膜面積と段数、所要機器の種類と台数などを比較・検討する。 2 9段カスケード分離装置の試作 (1)濃縮側4段カスケードの機器の試作 (2)9段カスケードの試作 8 環境放射能試料に関する各種測定器の分析目標値の最適化に関する試験研究
(研究目的) 長期的な見地における環境保全の立場からは、判断の基礎資料として、より低いレベルの環境放射能の測定の必要性が強く認識されている。この極低レベルの環境放射能の測定法については、一応め技術の検討が行なわれているが、更に定常的な分析法としてより効率的な測定法の開発をすすめることは環境放射能定常測定の普及に伴って不可欠のことである。 (研究内容) 本試験研究においては、環境放射能試料についてγ線分光分析法を中心として下記の諸項目について研究を行う。 ○ 対象核種としては、γ線放出体とし、代表的核分裂生成物137Cs、144Ce等及び代表的誘導放射能核種60Co等とする。 ○ 対象とする測定器は、Ge(Lⅰ)半導体検出器とNaI(Tl)シンチレーション検出器とする。この両者は、現在定常測定器として最も普及活用されている。 1 試料の前処理方法 試料の前処理としての化学的分離(セシウムのリンモリブデン酸による沈澱分離、コバルト・セリウムのアルカリ性硫化物沈澱分離など)を行った試料と未処理の粘土質海底土を各々の測定器により測定試験を行ない、検出限界を検討する。 2 試料特性と検出限界 試料特性(粒度、乾燥度、容量、形状及び化学的成分など)の異なる試料を同一の測定器で測定し、検出限界との相関性を検討する。 3 測定条件と検出限界 測定時間を1時間から2、3日の範囲に変えて測定し、試料の分析目標値を得るための最適測定時間について検討する。 4 総合的検討 以上の結果を基とし、粘度質海底土の測定に適合する分析目標値について、前処理、測定条件及び誤差について、最適化をはかり、目的に合致した測定結果を得る最適な測定方法について検討を行う。 9 舶用炉型式の技術的評価に関する研究
(研究目的) 本試験研究は、46~48年度に原子力平和利用委託研究として概要をまとめた、120,000shpのコンテナー船用の一体型舶用炉(330MWt)プラントと同一の設計条件にて分離型舶用炉プラントの概念設計を実施し、これら両型式のプラントについて、その仕様、性能等の技術的問題を比較、評価し、今後のわが国の舶用炉開発計画確立のための資料を求めることを目的とするものである。 (研究内容) 上記の目的を達成するために次の2項目の研究を実施する。 1 分離型舶用炉プラントの概念設計 上述の如く、46~48年度にまとめた一体型舶用炉と同一の設計条件にて分離型舶用炉プラントの概要をまとめる。主要な設計条件要求性能等は次の通りである。 主要要目、要求性能
設計の対象とする系統、設備その他を次に示す。 (2)炉補助系統 (3)格納容器 2 舶用炉型式の比較、評価 1により概念設計を実施した分離型舶用炉プラントと、さきにまとめた一体型舶用炉プラントについて、下記項目を中心として両型式炉を比較、評価する。 (1)主要機器の寸法、仕様、性能
10 核融合を目的とした高圧炭酸ガスレーザに関する試験研究
(研究目的) (研究内容) 高圧炭酸ガスレーザの高効率電源システムの主要装置としてマルクス方式電源装置及び出力波形成形回路装置の開発を行なうため次の試作研究を行なう。 1 スパー・クギャップの開発研究 2 マルクス電源の回路方式及び構造の研究 高電圧を得る方法としてマルクス方式は有効であるので、この高電圧・瞬間大電流の特性を満足するためのマルクス電源の回路方式および構造について研究し、その試作開発を行ない、その出力波形、立ち上り時間などについて測定を行なう。
3 パルス成形回路の試作研究 高圧炭酸ガスレーザを効率的に励起させるために必要な短形波パルスを成形し得るパルス成形回路の方式および構造を研究し、その試作開発を行ない、そのモデル実験を行なう。
11 ガス冷却高速増殖炉の技術予測と評価の基礎に関する研究
(研究目的) 最近、高温ガス炉の開発の進展にともな、、その技術的延長としてのガス冷却高速増殖炉が注目されはじめている。 12 中レベル放射性廃棄物の固化処理に関する試験研究
(研究目的) 原子力発電所、再処理施設などから発生する放射性廃棄物の処理処分方針の確立は、わが国原子力発電開発上の重要かつ焦眉の課題である。低レベル放射性廃棄物の固化処理に関しては、すでにセメント固化に関する研究成果もあり、これを基として「試験的海洋処分用低レベル放射性廃棄物のセメント固化体に関する暫定指針」が作成されている。今後は、中レベル放射性廃棄物の処理処分に関する研究開発を早急に推進し、もって技術基準を作成し、処分に際しての安全評価を行ない得るための基礎となる研究成果を得ることがきわめて重要である。 (研究内容) 1 セメント固化に関する実験研究 イオン交換樹脂、粉末樹脂及びフィルタースラッジのセメント固化に関し、適切なセメント及び混和材料を選定し、セメント固化体の性状(練りまぜ性、ブリージング、発熱、強度、体積変化など)を実験的に検討し処分条件に適合した最適配合を導くための基本的な資料を得る。 2 セメント固化体の力学性状に関する実験研究 (1)の実験成果をもとに製造したセメント固化体の一軸圧縮強度、高水圧下の力学的挙動、衝撃荷重に対する応答特性など力学的な基本的性状について実験的に研究を行なう。 3 海洋処分用固化体容器に関する実験研究 高強度コンクリート、ポリエチレンなどの容器材 13 トリチウム廃棄物の安全取扱技術の開発に関する試験研究
(研究方法) 原子力平和利用の進展に伴いその使用量が著しく増加してきたトリチウムについては、その廃棄物処理についての安全取扱技術が確立していないため、その確立が切望されてきた。 (研究内容) 昭和47年度、昭和48年度に引続いて、トリチウム廃棄物の安全取扱技術の開発について以下の試験研究を実施する。 1 トリチウム汚染固体廃棄物の処理法に関する試験研究 トリチウムで汚染したガラス、プラスチック類等の固体廃棄物についてフード内に組込まれて破砕圧縮装置により、破砕・圧縮して容積を縮小する方法を検討し、さらに簡便な固化方法について検討する。 2 トリチウム廃棄物の集荷・貯蔵容器の検討に関する試験研究 各種トリチウム廃棄物の集荷・貯蔵に適する容器及び充填剤に関する基礎的な検討として、罐詰罐、プラスチック容器等によるトリチウム漏洩汚染の防止効果並びに、それら容器に充填するパラフィン、活性炭等の充填剤の効果について検討する。 3 ホルマリン漬けトリチウム汚染動物の処理法に関する試験研究 現在ホルマリン漬けとして保存されている、トリチウム汚染動物屍体を処理する一段階として動物屍体固形物とホルマリン液の分離法並びにホルマリンの有効な中和法について検討する。 14 障害を与える放射線の場の検出に関する試験研究
(研究目的) 放射線障害という身体的変化の検出には、生体内外における放射線線量の場のパターンの検出及びそのパターンの時間的変動を正確に記録し、この検出パターンに応じてしかるべき放射線管理を施す必要がある。 (研究内容) 1 高分解能コリメータの試作 従来の高分解能コリメータは製作技術上の難点がある。また周辺収差のため感度の均等性に欠ける。 2 螢光体素子群の試作 板状のNaI(Tl)クリスタルを用いたアンガー型カメラの分解能は現在6mm程度であり、かつγ線エネルギー依存性が大である。これらの難点を改善しうるような螢光体素子群を試作する。 3 組立総合講験 1)コリメータと螢光体素子群との組み合わせに関し、空間周波数的マッチングに関する設計研究を行なう。 2)既存の80㎜φコリメータとその大きさに合わせた螢光体素子群とを組み合わせ、フイルム及びイメージオルシコンヵメラを用いて性能予備試験 3)上記の結果を応用して実地使用可能な200㎜φコリメータとその大きさに合わせた螢光体素子群との組み合わせで、アンガー・型カメラに組みこみ、総合試験を行なう。 4 評価検討 上記の成果をもとに、低レベルの放射線の場の強度及びその形状について試験例の測定を行ない、本研究により開発したシンチカメラについて評価検討を行なう。 15 ラジオアイソトープ電池を用いた心臓ペースメーカの安全評価に関する試験研究
(研究目的) 心臓疾患の治療手段として人工心臓刺激装置(ペースメーカー)が臨床に広く用いられている。しかしその寿命が短かいため患者に与える肉体的精神的経済的負担がきわめて大きい。このため、長寿命のアイソトープ電池を使用するペースメーカーが着目されており、外国ではすでに数百に及び使用例が報じられている。しかし、その実用化をすすめるためには、ペースメーカーを携帯する患者自身及び周囲に及ぼす影響について充分な安全性評価が必要である。 (研究内容) 1 漏洩放射線測定 プルトニウム電池をファンタム中に入れ、その漏洩γ線線量分布をTLD素子を用いて測定し昭和48年度実施した空中における線量分布測定結果と比較検討する。次にプルトニウム電池の漏洩中性子線束の測定(エネルギー範囲~13MeV)を実施し、その線量分布を得る。 2 機械的試験 プルトニウム電池の熱源カプセルの安全性を検討するために、機械的試験を行なう。カプセル材料として、ハステロイ-C、Ta-W合金、Taを用い、溶接法によりカプセルを作製する。作製したカプセルについて密封テスト(ヘリウムリークテスト)を実施し、密封状態を確認した後、圧縮破壊テスト(カプセル10個)、圧縮変形テスト(カプセル20個:荷重約500㎏、1000㎏)、衝撃テスト(カプセル20個:約13m/s)を行ない、各密封状態を調べ、その安全性を検討する。 3 電子部品の安全性 ペースメーカーの回路を構成する部品(トランジスタ、Mosトランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサ)の放射線損傷を検討する。電池より漏洩するγ線及び中性子線のエネルギースペクトルに基づいて約10年間に相当する線量を照射し、電流一電圧特性の照射前後の変化を調べ電子部品の安全性評価を行なう。 16 ラジオアイソトープ輸送容器の安全性に関する試験研究
(研究目的) ラジオアイソトープは医療用、工業用、研究用などに広く利用されているが、利用の進展に伴い、それらラジオアイソトープの輸送に用いられる容器、包装の安全性についての基準の明確化が要望されている。 (研究内容) IAEAの輸送規則においては、輸送容器を工業用、A型(通常の輸送条件に耐えるように設計されたもの)、及び:B型(事故時の条件にも耐えるように設計されたもので、B(u)型とB(M)型に分けられている)に分けて、それぞれ設計、試験の条件を定め、収納しうるラジオアイソトープの種類、数量及びその取扱いなどについて規定されており、その試験項目は、A型については(1)通常時試験として、イ.水の吹きつけ試験、ロ.自由落下試験、ハ.圧縮試験、二.貫通試験、(2)液体、気体用のものについては前記のほかさらに試験条件を変えたイ.自由落下試験及び、ロ.貫通試験、B型については、(3)事故時試験として、イ.強度試験(落下試験1、Ⅱ)、ロ.耐火試験及びハ.浸漬試験がある。本試験研究においては、これら試験項目のうち、次の試験研究を行なう。 1 小量輸送用の輸送専用容器(A)型の安全性に関する試験研究 段ボール箱外装及びドラム缶外装のA型輸送物について上記(1)の各項目の試験を行ない、安全性の検討を行なう。 2 非破壊検査装置の線源格納部分(A)型の安全性に関する試験研究 市販されている非破壊検査装置の線源格納部分の輸送物(A)型について、上記(1)の各項目の試験を行ない、安全性の検討を行なう。 3 装備機器の線源格納部分(A)型の安全性に関する試験研究 厚さ計、密度計、レベル計、水分計、イオウ分析計、ガスクロマトグラフのラジオアイソトープ線源格納部分の輸送物八型について、上記(1)の各項目の試験を行ない、安全性の検討を行なう。 4 大量線源用照射装置の線源格納部分(B)型の安全性に関する試験研究 医療用60Co遠隔治療装置の線源格納部分の輸送物(B型)について、上記(3)のイ.ロ.項の試験を行ない、安全性の検討を行なう。 17 放射線発がんの誘発機構の解明及び放射線障害の検出技術の確立に関する試験研究
(研究目的) 人体に対する放射線障害の科学的信頼度の高いアセスメントを行うこと、このためとくに、低線量域に関する身体的遺伝的影響に関する科学的情報をうることは、原子力の平和利用の公衆への理解をうる基礎として不可欠のものである。本目的の達成のために大量の実験動物を用いた定量的データをうることが中心課題となる。このため放医研を中心としてマウスを用いた放射線発がん、霊長類の細胞遺伝学的研究、及び内部被曝についての大規模なプロジェクト研究の実施が考慮されている。しかしながら、本目的の達成のためには、これと一体となった体系的、総合的データが必要であり、とくに低線量域の研究のために必要な基礎的研究の確立と技術開発が必要となる。 (研究方法) 1 低線量放射線の乳がん発生への寄与の研究 ラット(約300匹程度)を用いて10Rより200Rにわたる低線量放射線の乳がん誘発への脳下垂体ホルモンの併用効果を明らかにする。 2 低線量放射線の子宮内被曝の影響の研究 (ⅰ)低線量X線(25R程度)の照射をうけた胎生13日の胎仔マウスの大脳のオートラジオグラフ結果を基とし未分化神経細胞の細胞周期の動態を調査し神経細胞の増殖の分化への放射線の影響を明らかにする。 3 人類、猿類の染色体異常の検出技術の開発研究 正常日本人の末梢リンパ球を材料として写真撮影法による観察により染色体異常の検出を10才階級別(全細胞数2~3才)に行う。 4 培養細胞における突然変異の検出に関する研究 チャイニーズハムスターhai細胞より分離した栄養非要求株及び8-アザグアニン感受性株を用いて、放射線によって誘発される前進突然変異率を算定し、指標となる高感度のマーカー遺伝子の探索を行う。 5 内部被曝によるがん発生の疫学的研究 内部被曝の実証例としてトロトラストによる被曝を取り上げ、2病院に保存されているカルテにもとづき、トロトラスト所有者を調査し、その症例について臨床・病理的調査及び線量評価を行い、疫学的研究で内部被曝を取り扱うことの有効性を検討する。 18 核物資不明量の統計分析による国内保障措置システムの設計研究
(研究目的) 国際原子力機関による検証とわが国の保障措置との円滑な運営を図るためには、わが国の国内核物質管理の実状に適応した保障措置システムを確立する必要がある。 (研究内容) 核物質不明損失量(以下MUFという)の統計分析のために以下の研究開発を行なう。 1 設計情報の電算機処理システムの開発 施設者の核物質計量管理の正当性につき、その判定の基準となるべき設計情報の満たすべき内容を検討する。保障措置上必要とする設計情報の量と質とを、施設における核物質の流れ並びに在庫の状況、計量方法並びに精度、と対比して研究する。 2 MUFの多段検証システムの開発 MUFが保障措置上許容される値(危険量の最大値)を検討し、この危険量の最大値と設計上許容される各施設毎のMUFとの間の対応関係を理論的に求める。 19 原子力施設における核物質のフィジカル・プロテクションに関する研究
(研究目的) 原子力平和利用の本格化に伴い、わが国が保有する核物質の量は著しく増大し、その形態も多様化して来ている。これら核物質の平和利用を確保するためには、計量管理とともに、フィジカル・プロテクションの態勢を整えておく必要がある。 (研究内容) 本研究の対象範囲は次の通りとする。 2)核物質のフィジカル・プロテクション上、典型的なプルトニウム及び高濃縮ウランを対象とする。 3)主として前号核物質を使用する主要原子力施設、即ち、加工施設、原子炉施設及び再処理施設を対象とする。 上記対象範囲における核物質のフィジカル・プロテクションの要件について、次の各項目の研究を行なう。 (2)原子力施設におけるフィジカル・プロテクションに関連する管理面の要件の検討核物質のフィジカル・プロテクションの見地から、施設及び装置の機能と相まって、管理面についても、これに必要な要件を摘出し、体系化を図る。 20 核燃料加工施設の計量管理における秤量誤差の取扱いに関する試験研究
(研究目的) 本試験研究においては、核燃料加工施設を対象とし、現実に採用されている秤量操作に基き、各種秤量環境、秤量条件の影響を分析・検討しつつ、秤量器の示す精度の総合的解析・評価を行ない、効果的な保障措置システム設計に資する事を目的とする。 (研究内容) 1 誤差構造モデルの構築 (1)用語・用法の実態把握と明確化 (2)秤量誤差の発生要因の把握と予備的解析 (3)誤差発生要因の解析とウエイトづけ (4)誤差構造モデルの構築 2 誤差構造モデルによる秤量値に関する総合解析 (2)秤量値の信頼性に関する総合解析 21 S/C-MBAにおける計量管理機械化システム及びその物的防護手段としてのフィージビリティに関する研究
(研究目的) 我が国の健全なる原子力産業の発展のためには、保障措置制度における査察業務を合理的かつ簡素化する国内査察制度の整備充実が必要であると同時に各種のテロ行為、その他による産業妨害行為、特殊核物質の盗難などの非平和的行為から原子力関連施設を防護することにより公衆の安全を確保するための対策をはからねばならない。 (研究内容) 1 物理的計量管理技術の実用化検討 監視/封じ込め物資収支区域(S/C-MBA)における出入り、インベントリーの物理的計量管理技術として、γモニター、重量センサー、非破壊試験装置等の計量技術及びシール、移動式固定式テレビカメラ、赤外線計数装置等の計数技術、錠についてその実用性を検討評価する。 2 物理的計量管理機械化システムの検討 上記(1)で検討された技術のうち、比較的実用性の高い技術について、その機械化を検討し、更に核物質を時間的、空間的、量的に管理し、移動量、存在量を確認し、不明量を検出しうる機械化システムを組み立て、その検出精度などを統計的手法によって検証するためにケーススタディを行ない、計量管理機械化システムの実用可能性を検討する。 3 物的防護手段としての実用可能性の検討 物的防護手段の構成要素を調査し、(1)、(2)で検討した物理的計量管理技術及びその機械化システムについこて、これらを物的防護手段に適用した場合の効果をケーススタディによって解析し、評価することにより、物的防護手段の実用可能性を検討する。
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