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第16回中国核実験にともなう放射能調査について



 放射能対策本部は、昭和49年6月17日中国の核実験に関するインド原子力省の「中国がグリニッチ標準時午前6時(日本時間、17日午後3時)新彊、ウイグル自治区ロプノールで、規模1メガトン級の大気中核実験を行なった」との発表、およびアメリカ原子力委員会(AEC)による同内容の発表に基づき、第90回幹事会を開催し、6月19日以降核実験時における放射能調査体制をとることとした。その後6月25日には平常時の調査体制に復帰したが、その期間における放射能調査結果では、6月19日、西部地区、10,500m上空で採取した浮遊じん中に1016ピコキューリー/立方メートルの放射能を検出し、その後、雨水・ちり、地表浮遊じん等に多少影響が表われたが、6月25日には、それぞれ平常値にもどった。
 また、牛乳中の放射性ヨウ素については、有意な数値は検知できなかった。総体的には今回の核実験の影響による放射能水準は、放射能対策本部が定めている暫定指標よりかなり低いものであった。
  なお、調査結果については次のとおりである。

Ⅰ 雨水・ちりの放射能調査結果

(1)気象庁

(2)都道府県衛生(公害)研究所

(3)放射線医学総合研究所(雨水・落下じん)

Ⅱ 地表浮遊じんの放射能調査

(1)気象庁

(2)放射線医学総合研究所

Ⅲ 高空浮遊じんの放射能調査(防衛庁)

Ⅳ モタリングポストによる調査結果

 気象庁2ヶ所、18道府県に設置しているモニタリングポストは、6月20日から23日にかけて、次表のポストで平常値に比べやや高い値を示したが、他の道府県のポストは平常の値と同様であった。
(6月20日~23日)

Ⅴ 牛乳中の放射性ヨウ素の調査結果

 牛乳中の放射性ヨウ素の測定については、北海道農業試験場、畜産試験場、九州農業試験場、放射線医学総合研究所および14道県で核実験時における放射能調査体制の期間中毎日、NaI(Tl)シンチレーション検出器によるγ線分光分析を行なったが、特に有意な数値は検出できなかった。

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