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昭和49年度原子力開発利用基本計画の決定について


昭和49年3月26日
原子力委員会

 昭和49年度原子力開発利用基本計画を別紙のとおり定める。
 なお、本基本計画は、昭和49年度予算の成立を前提として定めるものである。
(別紙)

昭和49年度原子力開発利用基本計画
科 学 技 術 庁
Ⅰ 基本方針

Ⅱ 計画の大綱

1 安全対策の総合的強化
2 動力炉の研究開発
3 核燃料の確保をはじめとする核燃料対策
4 原子力船に関する研究開発
5 その他の研究開発の推進
6 関連諸施策
7 予算および人員

昭和49年度原子力開発利用基本計画

Ⅰ 基本方針

 昭和48年末に経験した石油危機を転機に、石油は慢性の量的な供給不安とともに、空前未曾有の高価格時代に突入した。このため、エネルギー供給の大部分を輸入エネルギー、とくに石油に依存しているわが国のエネルギー需給構造に対し、今後とも経済社会の成長をはかっていくうえで、根本的な対策が求められている。
 その中で、原子力開発とくに原子力発電は、石油代替エネルギーとして最も現実的なものであり、準国産エネルギーとして量的に確保されなければならないと同時に、国民に安価な電力を供給するという質的な有利性をもちあわせているものとして、強力な開発推進が要請されている。
 しかしながら、原子力施設の安全性、原子力発電所から温排水の影響などについて国民の間に不安感が生れるとともに、原子力施設の立地によって地元に利益がもたらされることが少ないという批判が強まっている。このため原子力発電に対する要請の強まりとはうらはらに、48年度に原子力発電所の新規認可申請は一件もなされなかったことにみられるように、原子力施設の立地の社会的受入れは非常な困難に遭遇している。
 こうした事態に対処して、原子力エネルギーの開発に対する強い要請にこたえ豊かな国民生活を保障する原子力時代を切り拓いてゆくため、第一に安全の確保、環境の保全について国民の信頼を得てすすむための諸施策の充実を図る。さらに、原子力施設の立地を円滑化するため、施設周辺地域住民の福祉の向上を図るための措置を講ずることとする。同時に、新型動力炉の開発、核燃料の安定供給の確保、さらには将来を見通した核融合の研究開発など自主技術の計画的な開発を一層強力に推進することとする。
 なお、原子力軍艦放射能監視等に関する日本分析化学研究所の不正事件は遺憾であり、すみやかにこれが
対応策に万遺憾なきよう期するとともに、これに関連し生じた原子力行政に対する批判にこたえ行政の厳正な執行を期することとする。
 以上の基本的な考え方に立ち、昭和49年度は次の諸施策を講ずるが、エネルギー需給構造の根木的変化に対応する新たな原子力政策の検討をいそぎすすめることとする。
 原子力利用にともなう安全確保について国民の信頼が得られるような関連研究の充実、体制の強化整備が緊要であり、このために、原子力施設の安全研究、放射性物質放出低減化の研究開発を飛躍的に強化するほか、放射性廃棄物処理処分の研究開発、低レベル放射線の影響研究など安全関連研究を前年度に引き続き強化推進する。また、急増する放射性廃棄物に対処して処理処分を行う一元的体制確立のための調査、原子炉の安全察査機能の強化、原子力局に安全部を新設するなど安全を確保するための体制整備を行う。
 原子力施設の立地円滑化のため、ひきつづき東海、大洗地区における原子力施設地帯整備事業を推進するが、電源開発促進対策に関する法的措置の実現を期し、これをまって原子力施設の周辺住民の福祉の向上に必要な公共用施設の整備を促進するための抜本的措置を講ずることとする。
 核燃料の有効利用をはかり原子力発電の有利性を高度に発揮するとともに、わが国の産業構造の高度化と技術水準に寄与することを目的としてすすめられている新型動力炉の開発については、「動力炉開発に関する基本方針および「動力炉開発に関する第二次基木計画」に基づいて、これを強力に推進する。すなわち、消費した以上の核燃料を生成し、ウランのエネルギーを最高限度に利用可能とする高速増殖炉については、昭和50年臨界を目標に実験炉の建設をすすめるほか、原型炉建設に必要な研究開発をすすめると共に原型炉建設計画のチェックアンドレビューを行う。また、中性子経済がすぐれ濃縮ウラン所要量を低減できる新型転換炉については、昭和51年臨界を目標に、原型炉の建設をすすめる。
 原子力発電に必要な大量の核燃料の安定な供給を確保するための核燃料対策として、濃縮ウランの長期安定確保を図るため、米国からの供給によるほか、昭和55年頃以降に備えて国際共同濃縮事業への参加を検討するとともに、昭和60年までにわが国において国際競争力のあるウラン濃縮工場を稼動させることを目標に所要の研究開発を「原子力特別研究開発計画」として強力に推進する。また、民間による海外ウラン資源の探鉱開発の助成、動力炉・核燃料開発事業団の海外調査等ウラン資源確保のための施策を引き続き推進する。さらに、使用済燃料再処理施設については、昭和50年操業開始を目標に主要な施設の建設を完了し、試運転を行うとともに、第2再処理工場に関する調査検討をすすめる。
 原子力第1船「むつ」の開発については、「原子力第1船基本計画」に基づき実験航海を行い、その性能を確認するとともに、出入港の経験を得る。
 人類の未来を担う究極のエネルギー源としてその実現に大きな期待がもたれている核融合の研究開発については、将来における制御熱核融合反応の実現を目的として、第1段階の研究開発を達成するとともに、昭和50年度以降の第2段階の研究開発に備えた研究に着手する。
 製鉄への利用を中心とした多目的高温ガス炉については、日本原子力研究所を中心に研究開発を推進する。
 放射線利用については、食品照射の研究開発をひきつづき行うとともに、放射線化学、医学等各分野における研究を行う。
 国際協力については、科学者・技術者の交流、情報・資料の交換等を積極的にすすめることとし、原子力協力協定締約諸国をはじめ、その他の国々との協力を積極的にすすめるとともに、さらに国際原子力機関、OECD原子力機関等国際機関との緊密な連けいを図る。
 保障措置関連施策については、国内査察を含む保障措置体制の強化をすすめるとともに、保障措置の一層の簡素化および合理化をすすめるため、保障措置技術の研究開発を民間に委託して行うなど、国内保障措置制度の充実等、所要の措置を講ずる。
 原子力知識の普及・啓発については、原子力平和利用に対する国民の理解と協力を得るため、その活動を強化するとともに、原子力平和利用推進に関する意見交換等を積極的に行うこととする。
 このほか、海外原子力事情の調査を民間に委託して行う等により内外原子力事情の調査活動を推進するとともに、国立試験研究機関等の研究および民間企業、研究団体等に対する委託による原子力平和利用試験研究の促進、科学技術者の資質向上等に必要な施策を積極的に講ずる。

Ⅱ 計画の大綱

1 安全対策の総合的強化

(1)原子力施設の安全研究
 原子力施設の安全研究については、日本原子力研究所をはじめとする特殊法人研究機関、国立試験研究機関および民間等の協力のもとに、総合的、計画的に実施する。すなわち、日本原子力研究所においては、緊急炉心冷却実験装置を付加した場合の一次冷却材喪失実験を継続して実施するとともに、反応度事故実験装置を完成させ、また実用原子炉燃料を試験、検査するホット・ラボの建設に着手するなど原子炉安全研究の強化拡充をはかる。また、原子力施設の安全基準および安全評価に関する研究については、国立試験研究機関において実施するとともに、民間に委託して行う。さらに、動力炉・核燃料開発事業団においても、新型動力炉の開発に伴う安全性に関する研究を行う。
 また、動力炉、再処理施設等から環境に放出される放射性気体および液体廃棄物の放出量の低減化をはかるため、クリプトン、トリチウム等捕捉困難な核種の回収技術の研究開発および低レベル放射性廃液の蒸発処理技術の開発等を動力炉・核燃料開発事業団において実施するとともに、民間に委託して行う。
 さらに、スウェーデンの大規模実験装置を用いて行う多国間共同研究による安全研究計画(マルビッケン計画)にあらたに参加するなど、国際協力推進をはかる。

(2)放射性固体廃棄物の処理処分 放射性固体廃棄物の処理処分に関する研究開発については、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団、国立試験研究機関において行うとともに民間に委託して総合的、計画的に実施する。さらに、放射性固体廃棄物の試験的海洋処分の見通しを得るため、海洋調査を行うとともに、放射性廃棄物処理処分体制整備について検討を行なう。

(3)放射線障害防止、環境放射能等に関する調査研究
 放射線による人体の障害並びにその予防、診断および治療に関する調査研究については、放射線医学総合研究所において関係機関の協力を得て総合的に推進する。また理化学研究所においても放射線障害防止および環境放射能に関する調査研究を行う。
 低レベル放射線の影響研究については、「環境放射線による被ばく線量の推定」と「低レベル放射線の人体に対する危険度の推定」を主なテーマとして、放射線医学総合研究所を中心に国立試験研究機関等において行うとともに民間に委託して総合的、計画的に実施する。
 放射性物質の海洋中における挙動およびその海産物への影響等に関する調査研究については、放射線医学総合研究所その他の国立試験研究機関、動力炉・核燃料開発事業団等において行う。
 原子力施設排水の影響に関する調査研究については、国立試験研究機関により総合的に実施するとともに、ひきつづき、魚類の生育に関する調査研究を民間に委託する。

(4)放射能調査の実施
 放射線医学総合研究所その他の国立試験研究機関、地方公共団体等により、一般環境、食品および人体の放射能水準を調査する。
 また、原子力軍艦寄港に関する放射能調査については、関係機関の協力のもとにこれを実施する。

(5)安全を確保するための体制強化
 原子力利用の進展に対処して「核原料物質核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」および「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」の施行に万全を期す。
 さらに、原子力施設の保安に万全を期すため、核燃料規制課の新設等規制業務を大幅に強化する。また、安全審査専門官を大幅に増員し、原子炉の安全審査機能の一層の充実を図る。これら安全規制関係部門を統括し、安全関係業務を総合的に推進するため、原子力局に安全部を新設する。

2 動力炉の研究開発

 高速増殖炉および新型転換炉については、「動力炉開発業務に関する基本方針」および「同第2次基本計画」に基づき、動力炉・核燃料開発事業団を中心に以下の研究開発を推進する。
 なお、これら研究開発の効率的な推進を図るため、日本原子力研究所、民間等の協力を得るとともに、海外との技術協力を推進する。

(1)高速増殖炉
 高速増殖炉については、実験炉の建設をすすめ昭和50年に臨界に至らせるとともに、原型炉の建設のための研究等を進める。このため、実験炉および原型炉に関する炉物理、主要機器部品、安全性、燃料、材料等の研究開発を行う。また、原型炉建設計画のチェックアンドレビゴーを行う。

(2)新型転換炉
 新型転換炉については、昭和51年臨界を目標に原型炉の建設をすすめるとともに、炉物理、主要機器部品、安全性、燃料材料等の研究開発を行う。

(3)共通事業
 動力炉開発に共通な施設として、燃料施設および材料検査施設を整備し、燃料の生産等を行う。また、廃棄物処理施設の建設を進める。

3 核燃料の確保をはじめとする核燃料対策

(1)濃縮ウランの確保

(イ)ウラン濃縮の研究開発
 遠心分離法については、動力炉・核燃料開発事業団が中心となり、第1次カスケード試験施設の運転、第2次カスケード試験施設の建設および遠心機寿命予察試験施設の建設を行なうほか、標準機の開発、高性能機の開発、安全工学研究等所要の研究開発をすすめる。
 ガス拡散法については、日本原子力研究所が理化学研究所の協力を得て、所要の基礎的研究をすすめる。

(ロ)国際濃縮共同事業
 米国の供給能力が限界に達すると予想される昭和55年頃以降に備えて、国際濃縮共同事業への参加についての諸問題を解明し、わが国の方針決定に資するため、所要の調査を民間に委託して行う。
(2)核原料物質の探鉱開発
 海外ウラン資源の開発については、動力炉・核燃料開発事業団がカナダ、オーストラリア、アフリカ等有望地区においてひきつづき鉱床調査を行うとともに、ニジェール等において海外機関との協力による共同調査を実施する。また、オーストラリアには長期駐在員を派遣して調査の効率的実施を図る。
 また、金属鉱業事業団が成功払い融資、開発資金に対する債務保証等の助成措置を講ずることにより、民間企業の海外における探鉱開発活動を促進する。
 国内資源の開発については、別途定める「昭和49年度核原料物質探鉱計画」に基づき、動力炉・核燃料開発事業団が行うとともに、人形峠鉱業所において採鉱、製錬を行い、これら技術のかん養につとめる。

(3)使用済燃料の再処理
 動力炉・核燃料開発事業団は、昭和50年操業開始を目標に、使用済燃料再処理施設の建設を完了するとともに、試運転を実施する。
 また、第2再処理工場の問題について調査検討を行う。

(4)燃料等
 の軽水炉利用に関する研究については、日本原子力研究所が炉物理等の基礎研究を実施し、また動力炉・核燃料開発事業団がプルトニウム燃料の照射試験等を実施する。
 また、日本原子力研究所は、材料試験炉等を使用し、燃料、材料の照射試験を主体とした研究を実施するほか、分散型燃料、炭化物燃料、乾式再処理等の研究を行う。さらに動力炉・核燃料開発事業団は、高速増殖炉燃料の再処理技術の研究を行う。

(5)核燃料物質等の輸送
 使用済燃料等の放射性物質の輸送容器および輸送方法に関する技術基準関係法令の整備をすすめる。
4 原子力船に関する研究開発

(1)原子力船「むつ」
 日本原子力船開発事業団は、「原子力第1船開発基本計画」に基づき、原子力船「むつ」の完成後実験航海を開始するとともに「むつ」の建造評価、港湾解析等原子力第1船の開発に関連して必要な調査を行う。
 また、これと並行して、青森県むつ市下北埠頭における定係港施設の運営、「むつ」の運航支援、乗組員の養成訓練等をすすめる。

(2)研究開発
 船舶技術研究所においては、舶用軽水炉の小型化に関する研究等を行う。
 また、舶用炉の評価に関する試験研究を民間に委託して行う。

5 その他の研究開発の推進

(1)基礎研究
 日本原子力研究所および国立試験研究機関においては、わが国独自の創意による技術開発をすすめるにあたって、その基盤となる基礎研究を大学における研究とも密接な連けいのもとに推進する。またこれらの研究のため日本原子力研究所の施設の共同利用等を前年度にひきつづき積極的に行う。

(2)核融合に関する研究開発
 核融合の研究開発については、「核融合研究開発基木計画」に基づき、ひきつづき原子力特定総合研究として、日本原子力研究所、理化学研究所および電子技術総合研究所において有機的に連けいを図りつつ推進するほか、民間に委託してすすめる。
 トーラス磁場装置の研究開発については、中間べ一タ値トーラス装置(JFT-2)の磁場増強および高安定化磁場試験装置(JFT-2a)の製作を完了し、これらを用いた実験研究を開始する。また、ひきつづき高ベータ・プラマスの研究等を実施するとともに、第2段階以降の研究開発に備えて臨界炉心プラズマ試験装置の設計研究および炉工学的技術の準備的研究に着手する。
 核融合研究開発の推進を図るため、IAEA主催の「第5回プラズマ物理および制御核融合研究国際会議」をわが国に招致し、その開催に協力する。

(3)在来型炉、多目的高温ガス炉等の研究開発
 軽水炉等の在来型炉は、すでに実用化の段階に達しており、その国産化のための研究開発は主として民間に期待するが、日本原子力研究所においても軽水炉の特性研究等を行うとともに、材料試験炉のより一層の活用をすすめるため、高温ガス中での燃料・材料照射試験を行うガスルーブ(OGL-1)の製作をすすめる。さらに多目的高温ガス炉についてはひきつづき高温伝熱流動に関する研究、燃料、材料等に関する研究をすすめるとともに多目的高温ガス実験施設の概念設計を行う。
 また、その他の試験研究炉および臨界実験装置等の活用をはかる。

(4)放射線の利用に関する研究開発


(イ)放射線化学
 放射線化学に関する研究開発については、日本原子力研究所において、放射線重合による高分子材料の開発、プラスチックの放射線改質等の開発試験をすすめるとともに、国立試験研究機関において行う。

(ロ)食品照射
 食品照射の研究開発については、「食品照射研究開発基本計画」に基づき、ひきつづき、原子力特定総合研究として、国立試験研究機関を中心に日本原子力研究所および理化学研究所等が健全性試験、照射効果の研究等を推進する。また、関連技術の研究を民間に委託する。

(ハ)その他の放射線利用技術
 日本原子力研究所、理化学研究所、放射線医学総合研究所、その他の国立試験研究機関等は、工業、医学、農業等の各分野におけるラジオ・アイソトープ、加速器等の利用技術の研究を推進する。
 とくに、放射線医学総合研究所においては、ひきつづき、中性子線等の医学的利用に関する研究を行う。
 さらに、理化学研究所においては、重イオンを用いて物理、化学、生物学、材料試験等多分野の研究を推進するため、重イオン科学用加速器の建設に着手する。

6 関連諸施策

(1)原子力地帯整備の推進
 原子力施設の立地円滑化のため、ひきつづき東海、大洗地区における原子力施設地帯整備事業を推進するが、電源開発促進対策に関する法的措置、すなわち「電源開発促進税法」、「電源開発促進対策特別会計法」および「発電用施設周辺地域整備法」の成立を期し、これをまって原子力施設の周辺住民の福祉の向上に必要な公共用施設の整備を促進するための抜本的措置を講ずることとする。

(2)原子力知識の普及啓発および原子力に関する調査活動の強化
 原子力発電等原子力の平和利用に対する国民の理解と協力を得るため、関係諸機関の協力のもとに、テレビ、出版物等による広報活動、講演会および各種セミナーの開催などの普及・啓発活動を強化する。また、原子力開発利用推進について関係各界代表等による意見交換等を積極的に行うこととする。
 また、内外における原子力関係情報の収集、分析を中心に調査活動を行うとともに、海外原子力事情の調査を民間に委託して行う。
 さらに、前年度にひきつづき、原子力に関する研究開発、投資、生産等について動態調査を行う。

(3)国際協力
 海外との技術研究協力については、高速増殖炉、新型転換炉、原子力船、原子炉の安全性、放射性廃棄物処理処分、核燃料、放射線化学、保障措置技術等の各分野に関し、米国、英国、フランス、カナダ、オーストラリア、西独、スウェーデン、イタリア、ソ連等との二国間協力を通じて行う。
 また、濃縮ウラン、天燃ウラン等の供給確保については、既存の原子力協力協定に基づいて、ひきつづきその安定確保に努めるとともに、必要に応じて新たに協定等による協力方策についても検討をすすめる。
 さらに、安全・環境対策、核融合研究の分野をはじめ、原子力平和利用の各分野にわたり、国際原子力機関、OECD原子力機関等各種国際機関の活動に積極的に参加する。
 発展途上国に対する技術援助については、適切な協力につとめる。

(4)保障措置
 国内保障措置体制の整備充実を図るとともに、保障措置技術に関する試験研究を日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団で行うほか、民間に委託してすすめる。これにともない国際原子力機関による保障措置については、その簡素化および合理化につとめる。
 また、核兵器不拡散条約下の保障措置についても国内制度との関連等を考慮し、わが国の原子力平和利用の進展を阻害することのないよう検討をすすめる。

(5)科学技術者の養成訓練
 日本原子力研究所および放射線医学総合研究所においてはその研究施設および研修施設を活用して、原子力関係科学技術者の養成訓練を行う。
 また、各大学および民間においても、原子力関係講座および実験施設をさらに充実し、関係科学技術者の教育、訓練を行うことを期待する。


7 予算および人員

 昭和49年度における原子力開発利用を推進するために必要な原子力予算および人員は次表のとおりである。

昭和49年度原子力予算政府原案総表


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