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日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTRC施設の変更)に係る安全性について


昭和47年9月11日
原子炉安全専門審査会
原子力委員会委員長
中曾根康弘 殿
                              原子炉安全専門審査会
                                              会長 内田 秀雄

日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTRC施設の変更)に係る安全性について

 当審査会は、昭和47年9月7日付け47原委第347号をもって審査を求められた標記の件について、結論を得たので報告します。

1 審査結果

 日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更(JMTRC施設の変更)に係る安全性に関し、同研究所から提出があった「日本原子力研究所大洗研究所の原子炉設置変更の許可申請について(JMTRC施設の変更)」(昭和47年8月25日付け47原研05第22号)に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保しうるものと認める。

2 変更事項

 JMTRCに挿入する模擬照射要素中の全燃料試料の発熱量は全出力の10%以内(ただし、一炉心側面については2.5%以内)とする。

3 審査内容

 従来、燃料試料の量の制限として仮想事故解析に用いた条件から235u800grまでとしていた。

 一方、JMTRCはJMTRの各サイクル運転に先立ちその炉心配置を模擬し検討を行なうことを主要な目的の一つとしている。ところがJMTRの場合、燃料試料は炉心出力の1/10まで装荷できるのに対し、JMTRCはドライバー燃料最大装荷量8kgの1/10である800grときめていた。

 このため、炉心周辺の中性子束の低い個所に挿入されるインパイルループ試料についても800grで制限されるため、模擬実験を行なうのに支障が生じた。

 また、以下の検討にもあるとおり量より出力で制限する方が合理的なため上記のように変更するものである。

 JMTRCの場合低出力で運転されるので熱的に問題はなく、燃料試料を制限する要因としては、事故時における同燃料の出力サージへの影響と同試料中の核分裂生成物の蓄積量を決定する出力が考えられる。

 前者についても動特性解析の主要な因子(遅発中性子割合、連発中性子寿命等)は出力×アジョイントフラックスに比例するので出力比で制限するのは妥当である。

 ただ、出力比で制限した燃料試料を誤って中性子束の高いところに誤装荷される場合を考える必要がある。JMTRCでは照射位置と発熱量の関係は当然核計算により予めチェックするうえ、量を多く必要とするループ試験用燃料は形状のことなる専用ホルダーに入れ装荷する等他の燃料試料と混合しないよう配慮している。

 また、災害評価の仮想事故では反応度事故の際発生する出力サージ20MWSの1/10の出力サージが燃料試料内で発生し同試料中に蓄積される核分裂生成物の全量が一次冷却水中に放出されるとして解析しているので、本変更後もこの仮定は変更する必要はなく災害評価の結果は変更前と変らない。

 以上、本変更後も安全性は確保されると認められる。

4 審査経過

 本審査会は、昭和47年9月11日に開かれた第105回審査会において審査し、本報告書を決定した。
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