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技術導入の自由化について



 外資審議会は、昭和47年6月5日「技術導入の一層の自由化をどのように進めるべきか」との諮問を受け、検討を行なってきたが、6月23日「技術導入については、今回をもって“OECDの経常的貿易外取引の自由化に関する規約(以下OECD規約という)”に沿った自由化を完了する」旨の答申を大蔵大臣に行なった。

 これを受けた政府は6月30日の閣議で答申どおり実施することを決定した。技術導入の自由化に関しては、43年6月に原子力をはじめ航空機、武器、火薬、宇宙開発、電子計算機、石油化学の合計7部門を残して自由化が実施され、今日に至っていた。

 当時、これら7部門の技術が自由化されず、OECD規約上留保を継続した理由は、原子力、宇宙開発等の先端技術については、政府が導入の調整を行なう必要があると認められ、それ以外のものについてもその自由な導入によってわが国の自主的な産業の発展に悪影響を生じたり、過当競争を惹き起すおそれがあると考えられたためである。

 ところで、43年の技術導入自由化以降4年を経過し、わが国の国際的地位や産業の国際競争力もきわめて向上したこと、他方、OECD諸国のなかで技術導入について留保をしているのはわが国のみであることにかんがみ再検討がされることとなったものである。

 したがって、今回の自由化措置で対象になったのはこの7技術であり、外資審議会での答申を受けて原子力技術についても、OECD規約上の留保を撤回することとした。

 なお、OECD規約第3条によれば「公の秩序及び安全保障」のためにわが国が必要と認める措置を執ることを妨げるものではないとしている。

 その場合、「公の秩序及び安全保障」は広義に解されているので、原子力関係技術について、今後必要があれば、技術導入を自動的に認可せず、所要の調整措置を講じうることとなっている。

   (参考1)

外 資 審 議 会 答 申
                                昭和47年6月23日
                                外 資 審 議 会

外 資 審 議 会 委 員

   会  長    小 林     中
 会長代理   土 光 敏 夫
           芦 原 義 重
           有 択 広 己
           伊 原     隆
            今 里 広 記
           兼 重 寛 九 郎
           河 野 通 一
           篠 島 秀 雄
            鈴 木 竹 雄
           高 城   元
           田 代 茂 雄
           佃   正 弘
           東 畑 精 一
            中 山 素 平
                                     昭和47年6月23日

大蔵大臣 水田 三善男 殿

外資審議会会長 小林 中

 当審議会は、昭和47年6月5日「技術導入の一層の自由化をどのように進めるべきか」との諮問を受け、検討を行なってきたが、下記のとおりの結論を得たので、ここに答申する。
 政府においては、本答申を尊重し、所要の措置をすみやかに実施するよう要望する。


 最近における内外経済情勢の推移にかんがみ、技術導入については、今回をもって「OECDの経常的貿易外取引の自由化に関する規約」に沿った自由化を完了するものとする。

 実施時期については、昭和47年7月1日とするが、石油化学関係技術のうち誘導品の製造に関する技術については、昭和48年1月1日、また、電子計算機関係技術(製造に関する技術については、対価が10万ドル相当額を超えるものに限る。)については、昭和49年7月1日とすることが適当である。

   (参考2)

経済協力開発機構の経常的貿易外取引の自由化に関する規約

 第3条 公の秩序及び安全保障
 この規約は、加盟国が、次のいずれかのことのために必要と認める措置を執ることを妨げるものではない。

      (ⅰ)公の秩序を維持し、又は公衆の健康、道徳及び安全を保護すること。
      (ⅱ)当該加盟国の安全保障のために本質的な利益を保護すること。
      (ⅲ)国際的な平和及び安全保障に関する当該加盟国の義務を遂行すること。
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