1 「原子炉耐圧部の不安定破壊に対する安全基準に関する試験研究」 |
(社)日本溶接協会 |
(研究目的) |
現在原子力耐圧部の不安定破壊に対する安全性に関しては、Pellimiの提唱するFracture
Analysis Disgramに基づき、最低使用温度をきめており、AECの旧一般設計基準(70項目)、わが国の原子力委員会の安全審査基準によれば1次系圧カバウンダリ弾性範囲ではNDT+33deg(ETE)以上、かなりの塑性領域のある場合NDT+67deg(FTP)以上、格納容器バウウダリNDT+17deg以上と定められている。この考え方はかなり以前からあるものであるが、最近の構造設計の進展にともない再検討を要する点が目立つようになってきた。本試験研究は当面の問題点を解明しつつ、不安定破壊に対する安全性判定のための新たな基準をうるための基礎資料をえようとするものである。 |
(研究内容) |
(1)材料基礎試験 |
(1)-a 丸棒引張試験 |
(1)-b シヤルピー試験 |
(1)-c 落重試験 |
以上の基礎試験は以下の各試験を行うのに当ってその使用材料の基礎的特性を確認するために実施される。 |
(2)三点曲げ試験 |
三点曲げ試験の方法については、ASTM規格(平面歪破壊靭性を調べることを目的としている)および英国海軍のCODA
Panalによる推奨試験方法(限界COD(Crack Opening Displacement)を求める)などがあって、破壊靭性あるいは限界CODを求める目的で世界的に最も広く採用されていると言ってよい。またこの試験方法は衝撃荷重のもとでの破壊靭性または限界CODを求める実験にも比較的容易に採用することができる。
ここではまず、疲労切欠付試験片と機械加工切欠試験片により切欠先端半径が試験結果におよぼす影響を検討する。次いで衝撃荷重による実験を行ない、破壊に関係した材料定数におよぼす歪速度の影響を調べる。 |
(3)ディープノッチ試験 |
供試鋼材の破壊発生時性に関する基礎時性を知る目的でディープノッチ試験を実施する。 |
(4)二重引張試験 |
従来この試験方法は弾性範囲の荷重において実施されてきているが、今回は原子炉格納容器の事故時における使用条件を考え、塑性変形をおこす荷重範囲でのき裂阻止試験も併せて実施する。 |
(5)DT試験 |
DT試験(Dynamic Tear Test)は原子力関係の破壊靭性諸要求において指導的な立場にあるPelliniにより採用され推奨されている試験方法であって、Pelliniの言うFTE温度あるいはさらに高温における材料の破壊挙動を調べるのに適した試験方法である。Pelliniによる判定方法と他の諸試験結果との相対関係を知る目的で実施する。 |
(6)DWTT試験 |
DT試験においてはその切欠は真空中において電子ビームを用いテタンを溶融させた特殊のものであるため、そのような設備を持たぬ通常の研究機関では実施できない。このため同種の実験をプレス切欠を採用することにより容易に実施できるよう考案されたものが、DWTT試験(Drop Weight Tear Test)と言うことができ、ASTMによる規格化も行なわれている。DT試験との関連を調べまたDT試験の補足の目的で実施する。 |
(7)WOL試験 |
WOL試験はウェスティングハウス社で開発された原子炉圧力容器の監視用、小形試験片によって破壊靭性を求める試験であってASTMにより規格され、一般にも用いられるようになった。ここではこの試験方法によるアプローチと他の試験方法との関連を調べる目的でWOL試験を実施する。 |
2 「原子炉配管系の構造設計基準に関する試験研究」 |
(社)日本溶接協会 |
(研究目的) |
原子炉配管構造設計の合理化は原子炉の安全性と経済向上に不可欠な重要な問題である。米国では1969年2月原子炉配管構造設計規格USASB317“Nuclear Power Piping〝案が発表され、同年11月正式制定をみるに致った。その後この規格はASME
Boiler and pressure Vessel Code SectionⅢ-1971に編入され、原子炉機器の構造設計規格として統一されたものとなった。 |
本研究の目的は、前記規格において用いられている各種配管要素の応力あるいは強度の評価式に用いられている1次応力指数Bi、1次+2次応力指数Ci、ピーク応力指数Ki(例えばUSASB31、7、D-201参照)を理論的実験的に再評価して、各種配管要素に関するより合理的な強度評価式を確立する為の基礎資料を得ることにあり、時に問題点指摘が多いにも拘らず、従来研究例の少ない配管要素、あるいは荷重種類を対象に試験研究を実施するものである。 |
本研究の目的とする試験研究の一部は昭和45年度46年度に実施され、既に幾多の成果を挙げているが、これら研究で実施し得なかったにも拘らず問題点の指摘されたものとして、スリップ、オンフランジ、レデューサがある。 |
この二要素は、いずれも内圧荷重に対しピーク応力指数CiKi=6.0と異常に高い。またマイター・ベンドについては正確な資料が少なく、応力指数が算定されるに到っていない。さらに、熱負荷に対しては、研究上の困難さもあって、ほとんど未着手とも言える実情にある。本研究は、最新の技術を駆使してこれらの難問を解決し、原子炉配管の構造設計の合理化に資するものである。 |
(研究内容) |
1.試験用原材科の製作に関する試験 |
2項以下で実施するフランジ継手、レデューサ、マイター・ベンド等各種要素の実物模形試験体の製作ならびに供試素材の確性試験(低サイクル、疲労試験を含む)を行なって、本研究の基礎づけを行なう。 |
2.フランジ継手のピーク応力指数に関する試験 |
本試験では、内圧荷重に対するフランジ継手の疲労強度を明らかにすると同時に余盛形状の影響について知見を得る。また、これらの知見を支持する資料を得る目的で、80A Sch40、40A Sch80の全長約2mの2枚のフランジ継手試験体を用いてモーメント荷重に対する疲労強度を求め、併せてモーメント荷重に対する疲労応力指数C2K2を明らかにして、前記規格値の基礎を確認する。 |
3.レデーサのピーク応力指数に関する試験 |
レデーサの内圧荷重に対する疲労応力指数はC1K1=6.0、モーメント荷重に対するそれは、1.3でその格差が著しい。これら数値の妥当性を検討する為、レデーサ試験体を用いて、内圧荷重およびモーメント荷重に対する疲労強度を求め、また各種の力労的図系について考察して、レデーサの応力指数を高くとる必要の是否について検討する。 |
4.マイター・ベンドの応力指数に関する試験 |
本試験では、先に、300A、350Aの素管から、甲穀数を加えた試験体を製作し、内圧荷重ならびにモーメント荷重を付与して弾性応力解析を実験的に行ない、1次応力指数、2次応力指数に対する、口径肉厚比、口径彎曲半径比、甲穀数等の影響を明らかにすると同時に200A、の試験体を用いてモーメント荷重を付与して疲労試験を行ない、ピーク応力指数を求める。 |
5.熱負荷に対する配管要素の応力指数に関する試験
本試験では特に分岐管ならびに異種材継手の定常熱負荷に対する応力指数を明らかにする。分岐管についてはプラスティック模形を、製作し、母管と技管の流体温度が変る場合について定常熱応力を測定し熱負荷に対する応力指数C3K3とそれに及ぼす形状因子の影響を明らかにする。またステンレス鋼管と低合金鋼管の突合せ継手に各種の温度分布を負荷し、熱膨脹係数の相異による熱応力を実験的に明らかにして、異種材継手の応力評価式を検討する。 |
6.ラチェット変形に関する試験 |
ステンレス鋼、Cr-Mo鋼、高合金の中空円筒試験片を用い、定常内圧および管壁に繰返し熱応力を負荷せしめ、内圧を受ける管のラチェット変形を実験的に把握する。また、従来の研究に基く、変形発生限界、変形成長速度の理論解との対応を明らかにする。 |
7.総合検討および評価 |
以上1~6項の試験結果を総合して検討し、試験結果の妥当性を確認し、併せて得られた成果の実際への応用法について、合理的な規格制定への検討も含め、設計法を評価する。 |
3 「地震時における原子力施設の限界設計に関する試験研究」 |
(社)日本電気協会 |
(研究目的) |
現在原子力施設の耐震設計に於ては、その一環として重要機器配管につき動的解折を行ない、地震応力を算定し、その他の荷重による応力と加算して許容応力と対比し、耐震安全性を確保する設計を行っている。しかしながら、最近の原子力施設の大型化に伴い耐震設計基準もより限界設計に近いものを要求する方向に進んでおりその為に我々の耐震設計基準に於ても実験等による設計余裕の検討を行ない限界設計への目安を得、安全かつ、より合理的な耐震設計基準の作成が望まれている。
現在の設計法には ①理論的な応答解析の信頼性 ②地震時許容応力の妥当性の2つの問題がある。後者については、電気協会の機器配管系許容応力小委員会の報告があるが、この報告では、材料の延性と歪硬化性を期待すれば地震時にも十分の安全性を確保しているとの判断に基づいて地震時応力の許容限界値を定めているが、実際に発生するような複雑な組合せ応力状態に対し、どの程度の安全余裕を持っているかの裏付資料がない。なお、昭和46年度に於ては、本研究目的に従って基礎資料を得たので本試験研究では、模型でそのような複雑な組合せ応力状態を発生させ、最終的には崩壊を目標とした試験を行ない、設計に対する原子力施設の安全余裕を調べ、地震時に対する妥当な許容応力値の設定に役立つ資料を得ることを目的とする。
また、地震地体構造論によって将来起るであろう最大地震のマグニチュードとその位置を推定する方法を確立することを目的とする。 |
(研究内容) |
1 配管要素の静的試験
46年度に於いては炭素鋼の直営、わん曲及び直角分岐管について、設計内圧、曲げ及び捩り荷重を与えて、崩壊荷重限界を求めた。弾性範囲では、ほゞ同様の性状を示す炭素鋼と不銹鋼は、限界設計で問題となる塑性領域に施ては、それ等の性状が異なるため両者について実験することが必要であり、46年度の不銹鋼の直営に引き続き、不銹鋼のわん曲及び直角分岐管について内圧をかけ、曲げモーメント荷重による破壊試験を行ない、耐震設計許容応力の妥当性を検証する。 |
2 配管系の振動試験 |
(1)配管系の静的試験
配管系の応力測定部に設計限界に近い動的応力を局部的にかけるようモデルを設定し、試験を行なう。このため振動台上に炭素鋼及び不銹鋼製の配管モデルを供試体として乗せ、強制振動実験を行なう。供試体は、振動台上で設計内圧をかけ、その状態で共振させ、振動による曲げ応力、ねじり応力およびそれらの組合せ応力を加えることにより、動的な応力状態での配管の損傷の状況を調べる。
炭素鋼のわん曲及び直角分岐管については、各々振動により、エルボ・ティ部に最大応力が発生するよう考慮し、損傷に到らしめる余裕度を確認する。
不鋳鋼のわん曲管について、炭素鋼と同様の試験を行ない材質の差による相異を調べる。振動台を用いての起振は、試験体の共振々動数の正弦波とする。 |
(2)配管支持部の影響
実際の配管系支持部は、耐震計算上固定と考えていてもわずかの隙間のある場合もある。それで47年度は、この隙間の影響を調べる第一歩として、支持部に隙間があった場合とない場合の実験値を比較し、慣用計算法の耐震安全裕度を確かめる。
実験は、炭素鋼の直管2種(一端固定、一端支持両端固定、中央支持)のモデルで支持部の隙間を変化出来るものに振動荷重を与える。 |
(a)実験Ⅰ(自由振動) |
起振器を用い、モデル支持部の隙間を変化させ、固有値ダンピングの測定を行なう。 |
(b)実験Ⅱ(強制振動) |
支持部に種々の隙間を持つ配管系を振動台に乗せ振動荷重を加えることにより加速度及び歪を測定する。 |
3 設計用地震動の策定
国内に代表的地域を選定し、それぞれについて下記事項の調査研究を実施する。
(1)選定地域に関連する過去の地震記録、強震計記録を集収し、地震地体構造に基づいて考慮すべき地震のマグニチュード、震源位置等について調査研究を行なう。
(2)上記調査結果に地盤の性質等を加味して選定地域の基盤における地震動の性状を想定する。
(3)原子力発電所に用いる設計地震の性状の妥当性について検討し、その標準化について検討する。 |
4 「使用済核燃料輸送容器の緩衝機構の性能評価に関する研究」 |
日 立 造 船(株) |
(研究目的) |
使用済核燃料輸送容器(キャスク)は高放射性の使用済核燃料を輸送するので輸送中または取扱い中に落下しても破損してはならない。キャスク本体の落下衝撃および貫通強度に関する安全評価の確立は昨年度までの研究でかなりの成果があげられている。しかし実際のキャスクではさらに安全度を高めるために衝撃を緩和する装置が要求される。ところが現在100トン程度の重量物の緩衡機構について定量的に解析することはできない。
そこで本試験研究はキャスクのショックアブソーバとして複合座屈を考慮した実際的なモデルについて緩衝機構と減速度の関係と、その性能評価を解析的に行なえる実験式を導出することを目的とする。 |
(研究内容) |
緩衝機構(ショックアブソーバ)の単体要素について衝撃座屈時の挙動について実験を行ないそれをもとに供試体を製作し実用規模の模型円筒状キャスク(80ton)の約1/4縮尺(約1.25ton)モデルと約1/8縮尺(約125Kg)モデルに取り付け落付実験を行なう。
得られた結果から実験式の導入と性能評価を行なう。 |
1 解析法の検討
ショックアブソーバの構成要素として、ハニカム構造とチューブ構造の2種類について衝撃を吸収する単体要素の座屈挙動から、単体要素を組合せた緩衝構造体のショックアブソーバとしての挙動を実験的に推察する方法について検討する。 |
2 衝撃座屈実験
ショックアブソーバを構成する要素の形状をハニカム形状とチューブ形状の二種類とし、試験片の材質は軟鋼、アルミ、ステンレス鋼とし、衝撃試験機を用いストレンゲージで、荷重と歪、歪と時間の関係を計測する、その結果をもとに最適形状を検討する。 |
3 供試体の設計、製作
この実験結果をもとに考察したものと、すでに考案開発されている形状の縮尺モデルのうちから数例を150kgキャスク用と1.25tonキャスク用に設計製作する。 |
4 落下衝撃実験
3の供試体を落下させ、キャスクに加わる加速度と吸収エネルギーを計測し、実験式を得る。又寸法効果についても検討する。 |
5 評 価
各供試体の実験式と寸法効果、キャスクにかかる減速度の大きさ等から性能評価を行なう。 |
5 「軽水冷却型原子炉の異常検出による安全評価手法に関する試験研究」 |
(株)日 立 製 作 所 |
(研究目的) |
軽水動力用原子炉の異常を早期に検出、診断し、原子炉停止に至るような事故を未然に防ぎ、動力用原子炉の稼動率向上を目指すと同時に原子炉の安全性向上をはかる。また軽水動力用原子炉の炉心および、主蒸気配管系蒸気タービン復水器等のプラントの異常診断を常時行なうことによって得られる運転中の軽水動力用原子炉プラント全体の資料を整理し安全性の評価に有用な情報を提供することを目的とする。 |
(研究内容) |
1 軽水動力用原子炉の異常検出モデル作成プラント系を含んだ軽水動力用原子炉システムに逆システム手法を適用し、原子炉システムの異常を検出するモデルを作成する。また相関法を利用して、プラントコンポーネントの異常を監視する。モデルも作成する。 |
2 異常原因判定モデルの作成
炉心およびプラント系に異常が検出されたときに、異常発生の個所、種類等を、原子炉信号の時系列パターンから識別するモデルを作成する。 |
3 軽水動力用原子炉異常診断装置の開発
原子炉の異常検出、原因判定、異常時のデータの記録を表示する異常診断装置、原子炉信号の取込処理装置、演算処理装置、および記録装置等を作成する。 |
4 異常検出手法の実証実験
軽水動力用原子炉異常診断装置によって、プラント系を含んだ原子炉の異常検出法と異常原因法の実証実験を日本原子力研究所の動力炉実証炉(JPDR)において実施し、モデルの有効性を検討するとともに異常時のデータの記録を分析、整理する。 |
5 原子炉異常現象の解析
考えられる異常現因に対し、原子炉の状態の推移を解析し、安全性の点から異常診断装置が持つべき性能を検討する。さらに実験結果との比較で、異常検出モデル、異常原因判定モデル作成へフィードバックし、モデルの改良をはかる。 |
6 「軽水・冷却型原子炉の緊急炉心冷却系の有効性確認に関する試験研究」 |
(株) 日 立 製 作 所 |
(研究目的) |
軽水型原子炉冷却材喪失事故(LOCA)後の炉心冷却系のうち低圧注入系と、炉心スプレー系の複合効果を実験によって確認する。
LOCA時には燃料の冷却が不十分になるので、種々の炉心冷却系が考えられている。これらのうち低圧注入系は最終的に冷却を分担するもので、炉心が裸になった後で大量の冷却水を炉心下部に注入する。これらの効果について単独には機能が確認されているが、実際の原子炉では炉心上部に狭い空間があり、蒸発した蒸気がそこに溜って炉心上部圧力を上昇させる。この蒸気はBWRでは気水分離器を介して蒸気プレナムに流出するが、炉心発熱量が大きいと炉心上部圧力が炉心の底から注入される水の上昇を阻止し、炉心冷却が不如意となることが考えられる。このため炉心上部に注入するスプレー水による減圧効果が期待される訳である。本実験では炉心上部圧力が上昇する現象とそれに対するスプレー水の減圧効果を実験的に明らかにし現設計が安全なことを立証する。 |
(研究内容) |
1 実 験 装 置
実規模の燃料集合体一本を実際の原子炉から換算した容積を持つシュラウドで包み、シュラウドと外部との間に気水分離器に相当する可変の流動抵抗を設けた実験装置を製作する。さらに実際のものを模擬した給水系と炉心スプレイ系を設ける。
この実験装置を、熱ループに組み込んで実験を行なう。 |
2 実 験 |
① 定常実験によって一定炉心出力時に有効な冷却を行ない得る限界の液頭を実験によって確かめる。このとき注水温度、注水速度をパラメータとし、炉心上部圧力についてもデータを取る。 |
② 非定常実験として初期温度をパラメータとし、
燃料体温度の応答と注水量、注水温度の関係を調べる。この時炉心上部圧力の応答についても注目する。以上の各実験について、スプレー水量と水温を特にパラメータとして考慮することにする。 |
7 「荷電粒子による原子炉材料の中性子照射損傷の評価技術に関する試験研究」 |
東京芝浦電気(株) |
(研究目的) |
近年、原子炉の燃料被覆管材料および構造材料の高線量中性子照射による材料労化が炉の安全上、重大な問題となっている。この中性子照射に対する材料試験を短時間、低コスト、低誘導放射能で行なうため、荷電粒子照射による材料評価技術を確立する。 |
(研究内容) |
原子炉材料の炉内中性子照射効果を調べるため、荷電粒子照射によるシュミレーション法を開発し、また本法による各種材料評価試験を行なう。特に本試験研究では、スウェリングに関連して重要視される原子麦位損傷に注目し、荷電粒子と中性子の照射の対応づけを行なう。 |
(1)200Kvイオン加速器による荷電粒子照射
荷電粒子種:ヘリウム、炭素、ニッケル、鉄の各イオン
照射量:相当中性子線量最高1020~1023n/cm2但し、モリブデン材料については
1024n/cm2
照射温度:400℃~700℃ |
(2)照射材料試験透過電子顕微鏡(200Kv)による金属組織変化観察、ボイドの大きさの測定を行なう。 |
(3)試験材料
モリブデン、SUS27、SUS32ASTM321 |
8 「原子力施設からの放射性希ガスの回収方法に関する試験研究」(新規) |
三菱原子力工業(株) |
(研究目的) |
近年、世界的に環境保全に関する世論が高まり、従来気中に放出されていた放射性希ガス(クリプトン-85、キセノン-133等)についても、経済的に可能な限り、回収、永久貯留する方向に向いつつある。しかし、一般に放射性ガスは、外量の空気と混合された状態で生成されるため、大きな体積を有するので、空気と放射性希ガスとを効果的に分離して放射性希ガスのみを回収することが必要となる。このため、外孔質隔膜を用いたクリプトン回収試験装置を設計、試作し、その性能試験を行ない、隔膜法の原子炉施設への適用性を検討する。 |
(研究内容) |
多孔性隔膜を使用したクリプトン回収試験装置を試作し非放射性クリプトンを用いて、窒素との混合ガスからのクリプトンの回収試験を行ない、クリプトン回収に最適なカスケードシステムの選定と、運転制御方法の検討を行なう。
実施項目および内容は次のとおりである。 |
1 カスケードシステム設計 |
実用設備を対象とした最適システムの設計検討を行ない、最適試験装置を設計する。 |
2 1の結果に基づき、試験装置の機械設計を行ない、試作する。 |
3 試 験
非放射性クリプトンと窒素の混合ガスを用い、下記条件でクリプトンの回収試験を行なう。 |
試験温度:常温
操作圧力:大気圧附近
カスケード段数:4段 |
4 解 析
試験結果を解析し、下記事項の検討を行なう。
(1)実測による設計値の確認
(2)最適操作条件の選定
(3)制御運転方法の選定並びに簡素化
(4)実用機としての適用性
以上の結果に基づき、隔膜法によるクリプトン回収試験装置を設計、試作し、その評価試験を行ない、実用性を把握する。 |
9 ジルカロイ被覆管の炉内照射挙動およびペレットとの
機械的相互作用に関する試験研究 |
(財)原子力安全研究協会 |
(研究目的) |
ジルカロイ燃料被覆管の周方向延性に対する水素化と照射の複合効果を明らかにし、燃料の破損限界に対する水素化物と照射の効果を検討する。一方、燃料ペレットとジルカロイ被覆管の機械的相互作用による影響を明らかにすることにより、燃料の安全性の向上に資するための資料を得ることを目的とする。 |
(研究内容) |
実験1
ジルカロイ燃料被覆管の水素化物影響に関する照射および照射後試験
46年度に約3×1030nvt照射までの試験を実施したが、今年度はこれと同一の材料を材料試験炉(JMTR)で約1021nvtまで照射し、(照射はJMTRの炉水温度で行なう)、照射後試験として割管型引張試験、リング引張試験扁平試験、フレアー試験、硬度試験、金相試験を実施する。
この結果により、ジルカロイ燃料被覆管の水素化物影管に関する照射の効果を調べる。 |
実験2
ペレット・クラッド相互作用に関係するジルカロイ燃料被覆管の炉外特性試験
各種の荷重条件下での強度、変形および破断状況の測定のため、製造時の肉厚対外径減少比(4種)と焼なまし条件(3種)を変えた12種のジルカロイ燃料被覆管について炉外で下記の試験を行なう。 |
(1)ペレット・クラッド相互作用模擬試験 |
(1-1)天然UO2ペレットおよびステンレス鋼ペレットを封入したジルカロイ燃料被覆管を、340℃のオートクレーブ中で約1,000時間までの外圧クリープ試験を行ない、ジルカロイ燃料被覆管の長さおよび直径の変化を測定する。
天然UO2ペレットの形状は、チャンファー付きのもの、ケヤンファーなしの通常のタイプのものおよびそれぞれ人為的なカケを作ったものとする。ステンレス鋼ペレットは被覆管の内径に密着するリッジ部を有する形状とする。
なお変形の比較のためにペレットを挿入しないでヘリウムのみを封入した空中燃料棒についても同一条件で試験する。 |
(1-2)UO2ペレットを模擬した中子により、常温でジルカロイ燃料被覆管を内側より押拡げ、ジルカロイ燃料被覆管の変形と破断状況を測定し、併せて中子拡管試験も実施する。 |
(2)ジルカロイ燃料被覆管の多軸応力下での強度延性試験
ペレット・クラッド相互作用の解折には多軸応力下でのジルカロイ燃料被覆管の強度、変形および延性の挙動を把握することが必要であるが、これを単一の試験で求めることができない。そこで下記の一連の試験を行ない。各試験値相互の関係およびこれら一連の試験からジルカロイ燃料被覆管の特性を総合的に把握する。
また各試験値相互の関係およびこれらの一連の試験からジルカロイ燃料被覆管の特性を総合的に把握する方法についても検討する。 |
(ⅰ)割管型引張試験、(ⅱ)内圧破裂試験(両端とじ)、(ⅲ)内圧被裂試験(開放端)、(ⅳ)内圧破裂試験(固定端)、(ⅴ)扁平試験、(ⅵ)リング引張試験、 (ⅶ)2軸試験 |
実験 3
薄肉ジルカロイ被覆管に封入したUO2ペレットの変形に関する照射試験
(1)燃料棒と照射用キャプセルの設計および製作照射試験のために下記の燃料棒と照射用キャプセルの設計及び製作をする。
8%濃縮UO2ペレットをジルカロイ燃料被覆管に封入した燃料棒1本をステンレス鋼製外筒のNakキャプセルに封入したものを1本製作する。
キャプセルはNak温度および中性子束測定のため熱電対(3本)と中性子検出器(3本)を計装したものとする。
UO2ペレット形状は直径約13.7mmとし、長さ2種とクラックを模擬した4つ割型のものと、クラックのないものの組合せで合計4種類とする。スタッフ長は約450mmである。
なお照射用キャプセルと同一形状であるが計装を省いたニュークリア・モックアップテスト用キャプセルを別に1体製作する。 |
(2)照 射 試 験
上記実験3(1)で製作した照射用キャプセルに封入した1本の燃料棒を、材料試験炉(JMTR)で照射期間1原子炉サイクルの間、最大線出力密度約600w/cm、キャプセル内NaK温度約280℃で照射する。
なお照射版試験については、Ⅹ線透過試験、外観検査、被覆管直径測定、断面全相写真撮影、被覆管内面外観検査等を行なう予定である。 |
10 「電気抵抗法による原子炉圧力容器の表面検査に関する試験研究」 |
(株)三 菱 重 工 |
(研究目的) |
原子炉圧力容器は、厚板の溶接構造物で、内面にはステンレスの肉盛溶接が施行されている。これらの溶接部には核燃料による照射脆化現象が発生しやすく、また構造的に応力集中、振動、熱応力から疲労破壊現象による「クラック」が発生し、原子炉保全上極めて重大な事態にたちいたることも予想される。特に圧力容器内面の「クラック」は大事故につながることが予想されるので、「欠陥」を早期に発見し、事故を未然に防止することが必要である。
ところで圧力容器周辺は強い放射能も予想され、検査時の接近が許されずしかも広範囲の検査対象箇所があるため、遠隔操作により自動的に探傷を行なう必要がある。
本研究では、連続的に欠陥を検出する接触子機構、遠隔より操作して水中にて自動的に探傷可能な駆動機構につき部分機能確認試験を実施し、引続き欠陥検出信号、位置信号を処理する装置について開発しモックアップテストを施行して本検査の実用化の為の資料を得ることを目的とする。 |
(研究内容) |
電気抵抗法を用いた探傷装置の自動化のために、以下の項目につき研究を実施する。 |
(1)接触式連続欠陥検出機構の研究
従来の検出方法は測定者が接触子を直接手に持ち、被測定部に接近して間欠的な検出しか出来なかった。これを連続して検出可能にするために、被測定部に対する新形接触子を開発する。 |
(2)遠隔自動操作機構の研究
原子炉圧力容器は大形構造物であり、検査対象箇所は広範囲および、しかも放射能をさけるため容器は水浸されている。
したがって、このような環境条件においても前記接触式検出器の遠隔自動操作が可能な機構について、調査検討および概念設計を行ない、主要機能について実験的に確認試験を実施する。 |
11 「船舶用一体型加圧水炉の概念設計に関する試験研究」 |
(社)日本造船研究協会 |
(研究目的) |
現在、舶用としての実用化がもっとも進んでいる一体型加圧水炉について46年度に引きつづき概念設計の一部を実施し、その構造、配置、性能等の概要をまとめ、技術的経済的な問題点を明かにすると共に、その舶用としての適応性および経済性の評価のための資料を求め、併せて今後の舶用炉開発計画の確立に資することを目的とする。 |
(研究内容) |
2,000個積、30ノット、120,000軸馬力のコンテナー船に搭載する熱出力330MW、軽水冷却、低濃縮ウランおよび可燃性ポイズン使用、螺旋式貫流型蒸気発生器を内装する一体型舶用炉を対象として下記各項目の設計、計算その他を実施して、その概念設計の一部をまとめる。 |
1 炉補助系統概念設計
各炉補助系に要求される機能を検討して、概念系統図、各系統の設計基準、運転仕様および主要機器の概要をまとめる。 |
2 計装制御系統概念設計
各項目の計算および設備の設計を行なって、その概要をまとめる。
(1)制御特性計算
(2)核計装設備
(3)安全保護設備 |
3 格納容器概念設計
圧力抑制式格納容器について、蒸気噴出管と圧力抑制室、圧力容器、付属機器および1次遮蔽体の重量、貫通部、内部機器の配置および温度、湿度等を検討して概要をまとめる。 |
4 遮蔽構造概念設計
1次、2次遮蔽に関する遮蔽計算を行ない、その構造の概要をまとめる。 |
5 廃棄物処理設備概念設計
最適処理方式を検討し、処理設備の概要をまとめる。 |
6 電源電路概念設計
発電機の要目、電路系統その他を検討して概要をまとめる。 |
7 事故解析
各種事故について解析し、その対策検討のための資料を求める。
(1)制御棒引抜事故
(2)1次系破断事故
(3)冷却材流量喪失事故
(4)起動事故
(5)主循環ポンプ起動事故 |
8 炉・べサーベイ計算
Zr1B2-ZrC2(またはB4C)可燃性吸収棒を使用する炉心について核計算および熱水計算を行ない、現時点にて達成できる最適炉心を選定し、その特性を求める。 |
12 「食品照射における照射効果に関する試験研究」 |
(社)「日本アイソトープ協会」 |
(研究目的) |
当協会では昭和42年度からひきつづき、原子力委員の定めた、食品照射研究開発基本計画にもとづいて進められている各省庁の食品照射研究を補充し、照射効果に関する研究をすすめてきたが、本試験研究では、ひきつづきかまぼこおよびみかんへの照射効果について検討し、食品照射の実用化に必要な基礎資料をうることを目的としている。 |
(研究内容) |
1 かまぼこに対する照射効果に関する試験研究
かまぼこの原料であるすり身に300Kradのガンマ線照射処理を行ない、非照射試料とともに揮発成分の測定窒素形態とアミノ酸の分析蛋白質の溶解性沈降性および電気泳動性の測定、好気性菌、嫌気性菌および総生菌数の測定を行なって照射による変化をしらべる。
次に板付かまぼこに300Kradのガンマー線を照射して室温および10℃で貯蔵し、菌そうの変化、調味料の変化を分析し、さらにかまぼこ板の照射と加熱との併用効果をしらべる。 |
2 みかんのかび防止
みかんを0.5MeVの電子線で100~150krad照射した後、5℃に貯蔵し、かびの発生の変化、表面褐変度と酵素変化との関係を検討し、さらに均一照射方法について検討する。 |
13 「核融合炉の構造材料評価に関する試験研究」 |
三菱原子力工業(株) |
(研究目的) |
核融合炉の工学的課題としては構造機能、構造材料に関する課題およびそれらを総合したシステム全体の課題に大別できる。これらの課題はプラズマ物理の研究と並行して積極的かつ組織的に進めて行くことが必要であり、各分野における高度の技術水準の総合的集約によって、逐次解明されていなければならない。
本試験研究では、工学的諸課題の内炉壁構造材料の開発をとり上げ、核融合炉本体のシステム解析を進めると同時にその具体的モデル化を行ない苛酷な核的(従来の核分裂炉に比べ約10倍の中性子エネルギーをもつ)熱的および化学的諸条件のもとにおいて、十分な適合性が期待される構造材料を選択し、核融合炉構造材料開発に指針を与えることを目的とする。 |
(研究内容) |
1 核融合炉炉心部の核および熱特性の把握と炉心壁構造のモデル計画 |
① 調査
炉概念設計に関する既存の技術資料を調査検討し最適設計仕様設定に資する。
② 炉心壁構造のモデル化
プラズマ温度、プラズマ密度、熱出力等と炉壁構造材料の物性、型状、規模などの相関を検討し、核融合炉の構造モデルを設定する。 |
2 モデル化した構造のシステム解析
設定した標準モデルについて熱および中性子の輸送量に関して有限要素法等の手法を導入してシステム解析を行ない炉壁構造材料が受ける核熱条件を明確にする。 |
3 構造材料の選択とその適合性の評価
① 構造材料の選択
1及び2項で検討した炉の作動条件に対して実用可能と考えられるいくつかの構造材料を選択する。
② 適合性の評価
3-①で選択した材料について熱的性質(熱伝導率比熱、蒸気圧、熱膨張率等)機械的性質(引張り強さ、クリープ強度、弾性率、ポアソン比率)化学的性質(反応性、拡散性、共存性)耐放射線性(中性子吸収、散乱、γ線吸収係数)その他物性値(電気伝導度、高温塑性、密度、他)を検討し、今後開発すべき核融合炉構造材料としての適性を評価する。 |
4 開発課題の選定と開発計画
3-②の評価結果にもとずき核融合炉構造材料として不可欠な耐熱特性、耐放射線などの基礎的性質に関する研究課題を明らかにし、これらについて有効且つ適切なる開発計画を立案する。 |
14 「核融合を目的としたプラズマ加熱用高出力レーザーの開発に関する試験研究」 |
日 本 電 子(株) |
(研究目的) |
核融合プラズマの加熱には、キロジュール級以上のエネルギーが必要であり各国で大出力レーザの開発が進められている。我国でも昭和46年度に80ジュールの大出力レーザによる融合反応によって中性子の検出に成功している。
この成果をより確実にし融合反応の基礎技術を確立するためには約100ジュール級のレーザが必要である。このような出力増強の技術を確立するため「ブースター・レーザ」(最終段出力レーザー)の試作開発を行なうことを目的とする。 |
(研究内容) |
ブースター・レーザの試作
デスク状のガラス素子(直径140mmφ厚さ25mm)をブリュースタ角に10本程度配置し入力約100ジュール、出力200ジュール以上の出力パルスを得る。
パルス幅は約2hSである。このような大出力レーザーを実現するための、保持機構、冷却機構を検討し、ブースター・レーザー、として組み立て調整し、結果の検討を行なう。 |
15 「原子力発電所の新立地方式に関する技術予測と評価に関する研究」 |
(株)野村総合研究所 |
(研究目的) |
今後のわが国のエネルギー増加を担うものとして原子力発電が大きな役割を果さなければならないが、原子力発電の規模が大きくなるにつれ、原子力発電に固有の放射能排出や熱排出などの環境に与える影響が無視し得ないものとなっており、現在の地上立地方式では国土が狭隈なわが国においては、地域住民の反対などにより、立地点を確保することが困難になっている。このような時にあたり、環境に対する影響を最小限にとどめ、さらには、逆に環境条件を向上させるような新しい立地方式(例えば、地下立地、海上、あるいは海底立地など)への期待が高まっているが、新しい立地方式を採用するに際しては、技術的問題、経済性、及び環境に与える影響についての総合的な検討が必要である。
このため本研究では、地立立地方式に替る新しい立地方式としての地下式、沖合浮揚式、沖合着底式、海底式の4つの立地方式について、それぞれの技術的可能性についての予測を行ない、同時に各立地方式の環境に与える影響、経済性などを考慮に入れて総合的な予測評価を行ない、新立地方式の可能性を検討することを目的とする。 |
(研究内容) |
軽水炉、高速増殖炉等の原子力発電所の新しい立地方式すなわち、地下式、沖合浮揚式、沖合着底式および海底式それぞれについての概念プランを設定し、それらを実現させるために必要な技術開発項目および環境との関連において、考慮しなければならない。あるいは環境に与える影響を軽減するための対策としての技術項目のそれぞれについて、技術的可能性、概略のコスト、実現時期、実現時期を早めるために必要な開発努力等を2,000年までの期間で予測検討する。
同時に、設定された概念プランに従って各立地方式について、それらの環境に与える影響を検討評価する。
個々の技術の予測から得られた結果をもとに、各立地方式の発電所システムの実現の可能性を、環境に与える影響を考慮に入れて、時系列的にべネフィット対コスト分析によって行なう。 |
16 原子力発電に係る技術の予測および評価に関する研究 |
(株)三菱総合研究所 |
(研究目的) |
従来型の立地方式の原子力発電所について、その立地にあたって考慮をはらうべき、社会的、経済的、技術的問題の性格と、その影響を明らかにし、これらの問題解決に要する技術の摘出と、それら技術の他分野への波及効果を分析して、原子力発電所建設の促進に資することを目的とする。 |
(研究内容) |
原子力発電技術と環境との相互関連性を以下の手順によって調査・分析する。 |
1)在来原子力発電に関する技術・環境要因の階層的分類
原子力発電に係る技術と環境要因の構造を明らかにするため、核燃料、原子炉建設等の発電に直結した技術と、廃棄物処理、安全性等の環境保全、立地確保につながる技術との二つの観点から、階層的な分類手法を用いた分析によって、およそ4階層の構造を持つ関連樹木表を作成する。 |
2)原子力発電に係る技術の予測と環境・技術インパクト・マトリクスの作成
1)で摘出された主要な技術の重要度、実現時期および社会的経済的な環境要因が技術に与える影響を修正デルファイ法によって予測する。環境要因に関しては、それが社会に与える影響や技術の開発が環境に及ぼす影響の重要性、関連性を専門家とのインタビューによって評価する。
これらデータを整理することによって、およそ(50×50)の大きさを持つ技術・環境インパクト・マトリクスを作成する。 |
3)摘出された環境要因の新カテゴリー分類と環境チェック・リストの作成
1)、2)、の手順で摘出された環境要因を、周辺社会に与えるインパクトの類似性という観点から、より客観性をもつおよそ10個の新しいカテゴリーに分類する。
次にインタビューによって新カテゴリーに属する環境要因のウエイト付けをおこない約150の環境項目からなる環境チェックリストを作成する。 |
4)費用-効果分析手法を用いた環境評価のケース・スタディ
環境チェック・リストに基づき費用一効果分析手法によって、大型原子力発電所の一地点集中配置(1基150万KW程度で、4~6基の発電所規模)と広域分散配置(一地点200万KW程度のものが約10Km平方の区域に分散)の二つのケースが環境にあたえる影響の評価を行なう。ついで、それぞれのケースにおける重要環境問題を摘出し、その解決に必要な技術を指摘する。 |
17 「原子力発電所の地下立地方式に関する試験研究所」 |
(社)土 木 学 会 |
(研究目的) |
急増するわが国の原子力発電計画の具体化に当って、立地問題はかなり深刻な問題となっており、何らかの新しい解決の方向が望まれている。この種の問題には社会的側面から検討さるべき点が多いが、本研究では新しい立地方式、とくに原子力発電所の地下設置に着目して、これを技術的側面から検討し、将来の立地問題を考える際の、有用な資料を提供することを目的とする。 |
(研究内容) |
基礎的な問題についての個別的研究と、地下立地を中心とした総合的問題に関する検討を行なう。 |
(1)原子炉事故時の地下空洞のコンティメントとしての性能について計算による検討、すなわち、地下空洞間の温度、圧力の経時変化、核分裂生成物(F.P)のもれに関する計算コードの開発及び事故の態様、空洞の形状寸法、空洞壁の状態、緊急冷却装置等の工学的安全設備の性能等をパラメーターとした計算。 |
(2)地層、地盤、ライニング材等の透気性、熱的性質、F・Pの吸着等に関する実験、すなわち上記の計算に必要な基礎データをえるための各種の試料についての室内実験で、放射性物質を用いたカメラム実験を主体とする。 |
(3)地下立地問題全般に関する総合的検討、すなわち、各種炉型武原子炉の地下配置方式、とくに熱効率からみた蒸気系、冷却系の配置、あるいは放射線管理、日常の施設管理等にともなう問題、遠隔制御計方式、地下構造物の施工式等多くの問題についての総合的な考察。 |
18 「放射性同位元素を用いた環境汚染物質の迅速多元素分析に関する試験研究」 |
大 阪 府 |
(研究目的) |
環境汚染調査の目的で元素分析を行なう場合、従来は特定有害元素の濃度測定にもっぱら労力が払われてきた。しかし、これと共に、多数の元素の共存状態を把握することも環境汚染状態の把握にきわめて重要である。特定元素に関する異常性も、多種の元素の共存比を知ってはじめて浮彫りにされるからである。本試験研究は環境試科の迅速多元素分析が行なえる螢光Ⅹ線分析法の開発を目的としている。 |
(研究内容) |
適当な放射性同位元素を励起線源として用い、半導体検出器とマルチャネル波高分析器により螢光Ⅹ線スペクトルを測定し、このスペクトルを電子計算機で自動解析することにより、環境試料の迅速多元素分析を行なう螢光Ⅹ線分析法を開発するために、次の項目について研究を行なう。 |
(1) 分析可能元素増加に関する研究
次の励起用線源と検出器の組合せの場合について、分析特性を調べ、この結果に基づいて、迅速多元素分析法の方式化を検討する。
(a)55Fe線源、Si(Li)検出器を用い、できるだけ多数の低原子番号元素の分析を行なうことを検討する。
(b)57Co線源、planar型Ge(Li)検出器を用い、できるだけ多数の高原子番号元素の迅速分析を行なうことを検討する。
(c)109Cd線源、Si(Li)検出器を用い、できるだけ多数の中原子番号元素の迅速分析を行なうことを検討する。 |
(2)スペクトル解析用電子計算機プログラムの改良現在使用中のプログラムを次の点に関して改良を行なう。
(a)放射性同位元素線源の種類の変更、検出器の種類の変更、真空箱の使用などに対応してプログラムを改良すること。
(b)プログラムの簡質化を検討すること。 |
19 「放射化分析による環境試料中の微量元素の簡易迅速分析法
の基準化に関する試験研究 |
(財)日本分析化学研究所 |
(研究目的) |
最近、環境汚染調査の有力な手段として放射化分析法が注目され、微量分析や小量試料の分析にさかんに活用されるようになってきた。中でも分析可能元素数の面で大きな利点を有する非破壊分析法が注目され、その簡便かつ迅速な方式の基準化が強く望まれている。
本試験研究では、非破壊放射化分析法を複雑な組成を持つ環境試料に適用した場合の再現性、分析精度防害成分の影響などについての検討を行ない、本分析法の基準化を図るための基礎資料を得ることを目的とする。 |
(研究内容) |
(1)照射条件の検討
東芝教育訓練用原子炉(TTR-1,100KW)を用いて試料を照射し、その放射能をGe(Li)半導体検出器を用いて測定する。この際問題となる照射位置による中性子束密度の変動、熱中性子照射における速中性子の妨害、中性子吸収断面積の大きい元素が多量に含まれる場合の他の元素への妨害等を検討する。 |
(2)非破壊放射化分析法基準化のための検討
土壌、海底堆積物および生体試料等を試料とし、試料に含まれる多数元素を非破壊放射化分析法で定量し、化学分析の可能な元素について原子吸光法、吸光光度法等と比較検討することにより、非破壊放射化分析法の基準化を図るための基礎資料を得る。 |
20 「低エネルギーガンマ線放出元素の放射化分析技術の開発に関する試験研究」 |
東 京 都 |
(研究目的) |
従来から環境試料中の微量元素の分析に放射化分析法が極めて有効であることは知られていたが、現在の放射化分析法では同軸型半導体検出器を使用するかぎりは、低エネルギーガンマ線放出核種を測定する場合、放射化に際して生成される高エネルギーガンマ線からの、コンプトン散乱などの影響により、かなりの困難がある。特に目的の低エネルギーガンマ線放出核種が微量であり、妨害核種の存在量が多い場合は誤差が大きくなり、時によっては定量不可能となる。
現在、環境汚染問題の焦点の一つとなっている用水中の有害元素には低エネルギーガンマ線を放出する核種がいくつか存在しており、これらの定量法の確立が強く要望されている。そこで本試験研究では水試料中に含まれる低エネルギーガンマ線を放出する極微量有害核種の放射化分析技術を確立し、実用化を検討することを目的とする。 |
(研究内容) |
(1)定量限界の検討
高エネルギー線源として24Na、82Br、56Mnなど低エネルギー線源として191Hg、203Hg、75Se、51Crなどを対象として同軸型半導体検出器および薄型平行平板型半導体検出器による定量を行ない、測定結果について比較検討を行なう。
また前記核種の存在比を変化させることにより低エネルギーガンマ線放出核種の定量限界などについて検討し、応用に際しての基礎資料とする。 |
(2)実用性の検討
各地域の飲料水を採取し、所要の前処理を行なったのち原子炉の熱中性子により放射化を行ない、これに含まれるHg、Se、Cr、As、Sb、Mn、Znなどについて同軸型半導体検出器、平行、平板型半導体検出器による非破壊ガンマ線スペクトロメトリーをおこない本誌の実用性について検討する。 |
21 「トリチウム廃棄物の安全取扱技術の開発に関する試験研究」 |
(社)日本アイソトープ協会 |
(研究目的) |
原子力平和利用の進展に伴いその使用量が著しく増加してきたトリチウムについては、その廃棄物処理についての安全取扱技術が確立していないため、その確立が切望されてきた。
本試験研究は、各種のトリチウム廃棄物の処理方法について検討し、安全かつ容易なトリチウム廃棄物の取扱い技術を確立するための基礎材料を得ることを目的としている。 |
(研究内容) |
高濃度トリチウム廃棄ガスを安全かつ容易に安定な形に固定化する方法について、以下の試験研究を実施する。 |
1 水化法に関する試験研究
酸化銅、パラジウム触媒等を用いて常温又は高温で酸化し水とする。
2 有機化法に関する試験研究
有機不飽和化合物に添加して安定な飽和化合物とする。
3 金属吸着法に関する試験研究
チタンに吸収させ安定なトリチウムチタンとする。
上記の各種処理法について具体的な各種の条件を検討する。 |
22 「放射性廃棄物の地中処分に伴う放射性核種の挙動に関する試験研究」 |
(財)原子力安全協会 |
(研究目的) |
放射性廃棄物を地中処分する場合には、通気層が放射性核種の地中への移行に影響を及ぼすことが確認されているがその定量化がなされていないため、その効果が全く無親されている。
放射性核種がどのように通気層中を移動するかを把握することにより放射性廃棄物の地中処分をより合理的に安全なものとする資料を得ることを目的とする。
また放射性廃棄物の固化方法の改善を計ることにより放射性廃棄物固化体からの放射性核種の溶出率を低減させる資料を得ることを目的とする。 |
(研究内容) |
1 通気層における放射性核種の挙動に関する検討
通気層模型実験装置を作製し、これにより廃液の浸透速度、核種の移動速度を測定し、また、模型地層の飽和度の変化、浸透面でのカルシウム濃度の変化等について測定する。 |
2 溶出率低減に関する試験
原子力発電所から出される廃棄物としてスラッジ樹脂を対象とし、セメント、アスファルト混合固化材と60Co、137Cs、89Snの単独核種を混合して放射性固化体を作製し、この放射性固化体を用いて放射性核種の溶出率を測定する。 |
23 「個人被ばく管理用熱螢光線量計に関する試験研究」 |
(株)松下電器産業 |
(研究目的) |
近年原子力施設ならびに放射線発生装置を有する施設が各地に設置され、その従事者に対する正確、迅速な個人被爆管理が要望されている。
熱螢光線量計を個人被爆管理に使用するには各種放射線の混在場での放射線の識別とその線質の評価ならびに多人数の管理を行なうための迅速なデータ処理技術の開発が望まれてきた。
本試験研究は、放射線の種類、線質、線量の評価により正確にしかも迅速に行ないうる個人被爆管理用熱螢光線量計の開発を目的としている。 |
(研究内容) |
1 複合熱螢光素の試作
放射線作業者の実態から三種類の複合素子を試作する。 |
(1)Ⅹ線、γ線用複合素子
CaSO4とBeOを用い、15KeV以上80KeV以下のⅩ線と80KeV以上6MeV以下のγ線を分離して測定しうる3要素からなる複合素子の試作 |
(2)β線、Ⅹ線、γ線用複合素子
CaSO4とBeOを用い、上記Ⅹ線、γ線に加えて0.5MeV以上のβ線の表面線量もあわせて分離測定しうる6要素からなる複合素子の試作(3要素からなる複合素子を2個) |
(3)Ⅹ線、γ線、β線、熱中性子線用複合素子
同じく、CaSO4とBeOを用い、上記(2)に加えて熱中性子線もあわせて分離測定しうる6要素からなる複合素子の試作(3要素からなる複合素子を2個) |
2 複合熱螢光素子の測定装置の試作
上記の複合素子を対象とし500名分/日の処理能力を有する連続自動測定、素子に附与された20ビットの個人番号の読取などの機能を有する自動測定装置を試作する。 |
3 特 性 試 験
上記の複合熱螢光素子とその測定装置を組合せて各種の放射線に対する特性試験及び、データ処理、記録に関する試験を行なう。
それぞれの複合素子にⅩ線、γ線、β線および熱中性子線を照射し、線量特性放射線の分離能を測定しこれらから放射線に対する感度、測定誤差等を評価する。 |
24 「密封された放射性同位元素の検査基準に関する試験研究」 |
(社) 日本アイソトープ協会 |
(研究目的) |
近年RI利用の発展に伴い、密封線源の使用数量が著しく増加するとともに、多種類の線源が開発、利用され、その使用形態、使用環境もまたきわめて多様化してきた。このような状況に対処し、密封線源の安全性に関する技術的基準の確立が要望されている。
本試験研究は |
1 各種密封線源について、安全性確保の面から、それぞれに要求される耐用性試験ならびに最適な漏洩、汚染検査法に関する技術的基準の確立 |
2 各線源について、それぞれの密封性が障害防止法の規定に適合する使用条件、使用環境に関する技術的基準の確立に資する基礎資料を得ることを目的としている。 |
(研究内容) |
昭和46年度に引き続いて、現在汎用あるいは近く汎用が見込まれている密封線源28種(13核種)について以下の試験研究を実施する。 |
1.耐用性に関する試験研究:各密封線源について、 圧力試験、振動試験、衝撃試験、パンク試験、温度試験、せん断試験、耐雰囲気等の試験を実施し、これら外的条件によるカプセルの変化と放射性物質の漏洩、汚染の程度を調べる。 |
2.3H線源の耐用性に関する試験研究:3H線源について温度および減圧条件下における3Hの漏洩の程度を調べる。 |
3.汚染検査法に関する試験研究:各密封線源について、ふきとり検査、浸漬検査、煮沸を伴う浸漬検査の各検査を実施し、各線源について最適な検査法とその検査法を適用する際の具体的な要件を検索する。 |
4.漏洩検査法に関する試験研究:各密封線源について、真空漏洩検査、与圧検査、気泡検査、ヘリウム検査の各検査を実施し、各線源について最適な検査法とその検査法を適用する際の具体的な要件を検索する。 |
25 「保障措置システムに関する研究」 |
(財)工業開発研究所 |
(研究目的) |
国際原子力機関が行なうわが国の原子力事業所に対する査察(所謂、国際査察)に対処するために、さらに、国内に於いては、核燃料物質の漏洩、盗難等の事故を回避するためにも、合理的な国内核燃料管理機構の確立が望まれる。本研究の目的は、このために必要な国内査察システムを中心とする国内核燃料管理システムの設計研究評価を行なうことにある。 |
(研究内容) |
1.査察方式決定のサブシテムの設計 |
(a)国内査察については、加工施設、動力炉および再処理施設(以下「各施設」という。)について核燃料サイクル特性値、核兵器換算質量、クリティカルタイムを算出し、これから相対的査察頻度を決定する機能と、費用対効果解析を行なって査察仕事量、査察箇所、査察方法を決定する機能とをもつプログラムを作成し、さらに試験計算を行なう。 |
(b) 国際原子力機関による各施設への査察については、同機関が提示した5つのクライテリア、すなわち核燃料の形態、国内査察制度の有効性、核燃料サイクルの特性、国際的依存性、技術開発の程度の定量化を検討し、通常査察の実際の業務量(いわゆるAcual Routine Inspection Effont)の決定を試みる。 |
(c)(a)、(b)にもとずいて国内査察および国際原子力機関による査察が共存する場合の複合査察システムの業務量の算出を試み、この妥当性を評価する。 |
2.情報検定サブシステムの設計
これは査察をした結果にもとずくチェックを主としたいわゆるチェッキング・システムであり、設計データおよび運転データを入力し、統計的検定を行なって結果を出力し、一方許容レベルを決定するという機能をもつブロクフムの作成、および試験計算を行ない、結果を評価する。 |
26 「核燃料サイクルにおける燃料加工施設に対する効果的な
査察業務量を算定するシステムの開発に関する試験研究 |
三 菱 金 属 工 業(株) |
(研究目的) |
燃料サイクル上における加工施設の位置づけを検討し、査察業務量の算定に影響を及ぼす加工施設の内的および外的因子を評価して加工施設に対する実際の査察業務量を合理的に決定するシステムを開発する。 |
(研究内容) |
1 査察業務量の決定のために使用される基準を構成する因子の検討国際原子力機関の保障措置ドキュメント(IAEADocumentINFCIRC/153)81項に示されている、実際の査察業務量を決定する際に考慮される下記の基準について、加工施設の内的および外的因子を明確にし、査察業務量決定への影響度という観点から解析する。
(a)核燃料物質の形状
(b)締約国の計量管理制度の有効性
(c)締約国の燃料サイクルの特徴
(d)国際的相互依存性
(e)保障措置の分野における技術的開発 |
2 加工施設の査察業務量の算定方法を与えるシステムの開発
1で解析した各因子について、多変量解析の手法を用いてこれらを数量化するとともに、加工施設の合理的な査察業務量算定のための数学的モデルを作成し、コーティングを行なう。 |
3 加工施設の査察業務量の例題計算
特性の異なるいくつかの加工施設を想定して、2で求めたシステムの例題計算を行なう。 |
27 「核燃料加工施設における核燃料物質のウラン
含有量定決定方法と関する試験研究」 |
住 友 電 気 工 業(株) |
(研究目的) |
核熱料加工施設に適用される適切な保障措置手法としては、受入、加工、払出される核燃料物質に対し物質収支の概念を使用せねばならない。この物質収支の基礎は、施設内の核物質を如何に正確に計量できるかである。
核物質含有物質、特に加工工程から産出されるスクラップは、その物質の形態、ウラン含有率が種々であり、各種の測定方法が用いられている。
個々の測定方法に対する実際の施設での使用に対する統計的システマティックな資料を得ることを目的とする。 |
(研究内容) |
加工施設における各種形態の核物質に関し、つぎの測定方法について、検討を行なう。 |
1)ウラン含有量の測定方式の比較検討
加工施設において核物質の加工の際、工程より生ずる各種形態のウラン含有物質について、その含有量の測定を容量分析法、分光分析法、放射能分析法、固体螢光分析法および質量分析法等の各種の方法で実施し、迅速性、精度等種々の点より各種測定法について比較検討する。
その結果を用いて計量方法の簡素化に関する基礎資料を得ると共にその適用を検討する。 |
2)スクラップの計量
1)の結果に基づき、加工工程より生じる各種形態スクラップに関する簡易迅速測定法の検討を行ない、スクラップ計量法の基準化に関する基礎資料を得る。 |
28 「各種原子力施設および原子力施設間における
核物質管理システムに関する研究」 |
(財)核物質管理センター |
(研究目的) |
原子力平和利用の本格化に伴ない核物質の量は増大し、また核物質の使用形態も多様化してきておりその加工、使用、貯蔵、輸送等における管理方式はますます複雑化する傾向にある。本研究はこれらの情勢に対処するため国内核物質管理システムを確立し、あわせてIAEA査察の効果的実施のために寄与することを目的とする。 |
(研究内容) |
各種原子力施設および原子力施設間における核物質の管理システムについて、(1)物質収支区域(以下「MBA」という。)および主要測定点(以下「KMP」という。)の設定とその評価検討。(2)核物質不明量(以下「MUE」という。)と在庫量調査の頻度の評価検討。(3)原子力施設間における核物質管理システムの評価検討について次のような方法で行なう。 |
(1)MBAおよびKMPの設定とその評価検討
核燃料加工工場、原子炉施設などの原子力施設の代表例について封じ込め(コンテインメント)、監視(サーベイランス)および測定方式等を考慮して最も望ましいMBAおよびKMPを設定し、その評価検討を行なう。また核物質の流れを評価するため統計的技術の開発と特に重要なKMPにおけるタンパー指示機器の評価検討を行なう。 |
(2)在庫量調査の最適頻度の検討
(1)で設定したMBAのうち主要なものについて一定期間のMUFの統計的処理を行ない、MUFの発生原因の評価検討を行なう。
また、工程中の在庫量を調査するための各種技術を評価検討する。
これらの結果に基づき、核物質の在庫量調査の最適頻度について検討する。 |
(3)原子力施設間における核物質管理システムの評価検討
現行の輸送システムを保障措置の観点から評価検討し今後の保障措置適用にあたり望ましい輸送技術、管理技術等に必要な事項およびプルトニウムと高濃度ウラン輸送中の異常事態発生に対処するに必要な事項について基礎資料を得る。 |
29 「国内核物質の保障措置管理情報処理システムに関する研究」 |
(財)核物質管理センター |
(研究目的) |
国内核物質の適正な管理機構の確立は、核物質漏洩、盗難又は不明用途への転用といった原子力平和利用上障害となる事故を回避するため、また国際原子力機関による記録報告システムとの関連を我国の立場から円滑ならしめるためにも、必要と思われる。
本研究の目的はこのために必要な国内核物質の保障措置管理情報処理システムを設計し評価することにある。 |
(研究内容) |
上記の目的を達成するため、いわゆる核物質のナショナルブッキングシステムを作成する。 |
(1)核物質管理データを処理、編集、出力するという
機能をもつシステムの解析、プログラムの作成を行なう。これには入力データの内容検査、MUFならびにシッパー、レシーバー、ディファレンスの情報チェック機能を含むものとする。 |
(2)このプログラムに核燃料加工工場、原子炉などのデータをインプットして試験計算を行ないその結果を評価する。 |
30 「ひずみ計の応用による保障措置のための計量方法に関する試験研究」 |
(株)共 和 電 業 |
(研究目的) |
再処理工場に於ける核燃料物質保障措置のため計量方法として(1)高精度の計量が可能である。又較正や遠隔操作が容易である。(2)校正も含めて、自動計測が出来る。同時にダンパープルーフ化しやすい、などの利点が考えられるひずみ計の応用によって再処理工場における核燃料物質の重量測定用機器として実用性の高い自動計量システムを開発する。 |
(研究内容) |
1 耐中性子線ひずみゲージの開発
本試験研究では、中性子線の照射試験を行ない、ひずみゲージを構成する抵抗材料、接着剤、絶縁フイルム等耐中性子線ひずみゲージを開発する。 |
1)素材の調査
耐中性子線特性を有する抵抗材料、接着剤、絶縁フイルムを調査し、ひずみゲージ用として最良と思われるものを数種類選び出す。 |
2)ひずみゲージ製作
上記素材を組合せて、数種類のひずみゲージを製作する。 |
3)普通環境中での特性試験
試験片にひずみケージを貼付し、ひずみゲージとしての特性試験を行う。
目標仕様 |
絶縁抵抗
クリープ
ヒステリシス
非直線性 |
1,000MΩ/50V以上
2,000×10-6ひずみに於いて
0.05%/3分間以内
0.05%FS以内
0.05%FS以内 |
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4)中性子線照射試験
上記試験で合格したひずみゲージに中性子線を照射し、照射中と終了後に、影響を調べる。
中性子線照射量 1.22×1013n/cm2
目標仕様 |
絶縁抵抗
クリープ
ヒステリシス
非直線性
零ドリフト |
100MΩ/50V以上
2,000×10-6ひずみに於いて
0.1%/3分間以内
0.1%FS以内
0.1%FS以内
0.1%FS/24時間以内 |
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2 各種部材の開発
ひずみゲージ以外に荷重変換器を構成する材料のうち、中性子線照射の影響を受けると思われるものは、起歪材料、配線材料、補償用抵抗材料、気密端子、電気的接続部材及び変換器内部に封入する不活性ガスである。
これら部材で中性子線による影響の少ないものを調査し、中性子線の照射中及び終了後に特性の試験を行なう。
中性子線照射量 1.22×1013n/cm2
目標仕様
起歪材料 イ)ヤング率の変化0.05%以内
ロ)表面の化学変化のない事
配線材料、補償用抵抗材料及び電気的接続部
イ)絶縁抵抗 100MΩ/50V以上
ロ)零ドリフトフリッシに接続した状態で0.1%FS/24時間以内
ハ)表面の化学変化、強度変化のない事
気密端子 イ)絶縁抵抗100MΩ/50V以上
ロ)気密性10-6ccatm/sec以下
不活性ガス 中性子線照射により活性化しないもの |
3 荷重変換器の開発
上記ひずみゲージ及び各種部材を用い、荷重変換器を製作し、中性子線照射中及び照射後に総合特性試験を行なう。
中性子線照射量 1.22×1013n/seccm2
目標仕様 |
容量
出力
絶縁抵抗
クリープ
ヒステリシス
非直線性
零ドリフト
繰り返し性 |
2トン
2MV/V 以上
100MΩ/50V以上
0.1%FS/3分間以内
0.1%FS以内
0.1%FS以内
0.1%FS/24時間以内
0.05%FS以内 |
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31 「核分裂中性子測定法による核分裂性物質の非破壊分析法に関する試験研究」 |
(株)日 立 製 作 所 |
(研究目的) |
中性子照射により発生する核分裂中性子の測定により核燃料中に含まれる核分裂性物質を非破壊的に定量する方法を高いγ線放射を伴う使用済燃料に対して適用するための基礎技術を開発し、小型可搬型装置とするための概念設計の資料をえる。 |
(研究内容) |
1 水中実験装置の試作
水中においてRI中性子発生源から発生する中性子を核燃料に照射することにより生ずる核分裂中性子を測定するための実験装置及び中性子線源容器等を製作する。 |
2 核分裂中性子計測による全核分裂性物質定量分析法に関する基礎研究
1で製作した装置に約107n/secの中性子を発生する252Cfを中性子線源とし、これより放射される中性子を減速されてUO2に照射し、発生する核分裂高速中性子をプラスチックシンチレータを用いた中性子検出装置で測定する。この測定結果について次の項目の検討を行ない、核分裂性物質の定量分析法の確立をはかる。 |
(a)棒状の場合及び集合体形状の場合等、試料形状による分析精度への影響を検討する。
(b)235U量の変動による分析感度の変化について検討する。
(c)ZnSを用いたプラスチックシンチレータの中性子とγ線の弁別性能を検討する。 |
3 235Uと239Puの混在模擬実験
上記装置の被検査体設定位置に235Uおよび239Pu核分裂計数管をセットし、235Uと239Puの混在を模擬し、235Uおよび239Puの核分裂数を計数する。
この結果に基づき本法を使用済燃料に適用した場合の精度及び感度などを検討する。 |
32 「核燃料物質の管理技術開発に関する試験研究」 |
(学)近 畿 大 学 |
(研究目的) |
核燃料物質の管理技術、特に保障措置制度に関連するいわゆる査察技術の簡素化及び体系化は、わが国原子力界の当面する重要かつ緊急を要する課題の一つである。しかしながら核燃料物質の管理技術は、査察を対象とするものを含めて、国際的に承認された方式が未だ確立されるに至っておらず、原子力先進国の間でも、さまざまな方式の管理技術が、試行的に併行して実施されている現状にある。
本試験研究は、高エネルギーγ線による核燃料物質の光核分裂反応の特異性に着目して、これまでに発表された他の手段によるものにくらべて、適用上の制約が少ない。核燃料物質の新しい非破壊的計量管理技術の開発に必要な各種の定量的資料を求め、その実用化を図ることを目的とする。 |
(研究内容) |
1 核燃料実現模試料による非破壊計量技術の精度の検討に関する試験研究。
同一形状で核燃料物質の含有量の異なる多数の実規模試料、及び既知量の高濃縮ウランまたは低濃縮ウランを任意の割合で配合、分散させた実規模の模擬試料を照射測定して、本方式の非破壊的計量管理技術を実際的に適用した場合の精度の検討を行なう。照射は電子ライナックのAuコンバーターによる制動放射線により、ビーム・エネルギー6~16MeV、平均ビーム電流、20~30μAで15分間行なう。測定はNaI(Tl)シンチレーション・カウンターにより、エネルギー・ウインドウの下限を200KeV~1MeVの間で変え、ダブルチャンネル計数方式により総γ線強度を、またGe(Li)半導体検出器と4096チャンネル波高分析器により、γ線スペクトルをそれぞれ測定し、データは紙テープにせん孔し、パンチカードに変換した後、電子計算機によって処理し、えられた結果について検討を行なう。 |
2 核燃料物質試料の光核分裂反応生成物γ線スペクトルに及ぼすU及びPu同位体比の影響に関する 試験研究。
質量分析計によって同位体比が決定されているU(0、7、1、5、3、10、20、90%U-235)及びPu(50、70、80、90%Pu-239+Pu241)試料について、 電子ライナックのAuコンバーターによる制動放射線で照射を行ない、光核分裂反応生成物のγ線スペクトルを測定して、核燃料物質以外のU及びPu同位体の光核分裂反応への寄与を検討する。照射・測定ならびにデータの解析は、項目1に同じである。 |
3 核燃料物質の非破壊計量に関する計算コードの開発本方式によるUおよびPuを含む核燃料物質の測定データから、試料中に含まれる各核燃料物質の量を算出するための計算コードを開発する。 コード言語はフォートラン(JIS7000相当)とする。 |