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第13回中国核実験にともなう放射能調査結果について



 第13回中国核実験にともない、1月8日正午に核実験時における調査体制に入って以来、1月14日午後3時平常時の調査体制に復帰するまでの間における放射能調査結果では、10日に中部地区で採集した高空浮遊じんと、11日〜13日にかけて関東および東北地方に降った雨水・落下じん中に核実験の影響と見られるやや高い放射能を検出したが、その後その値も低下し、ほぼ平常値に近くなった。
 調査結果の詳細は次のとおりである。


(1)高空浮遊じんの放射能調査(防衛庁)




(2)モニタリングポスト(気象庁・道府県衛生研究所)

 気象庁2ケ所(旭川、輪島)、13道府県衛生研究所(北海道、青森、秋田、福島、茨城、新潟、福井、鳥取、島根、大阪、高知、福岡、鹿児島)に設置してあるモニタリングポストは大部分平常の値と同様であったが、宮城県衛生研究所(仙台)のモニタリングポストは、11日13日にかけて平常値(10〜11CPS)の2倍(20〜21CPS)を記録したが、その後その値も低下し、ほぼ平常値に近くなった。


(3)地表浮遊じんの放射能調査

イ 気象庁



(注)(1)調査結果は毎日9.00〜14.00(約5時間)集じんし20時間後に測定した値である。
   (2)平常値は0〜1.0ピコキュリー/立方メートルである。

ロ 放射線医学総合研究所

 放射線医学総合研究所においては、地表浮遊じんの連続測定を、1月8日13時以降1月13日まで実施した。




(4)雨水・落下じんの放射能調査

イ 気象庁




ロ 放射線医学総合研究所

 雨水、落下じんについて1月8日より1月14日まで毎日24時間毎に採取、測定した結果は、表のとおりである。



 1月10日以降の雨水・落下じん試料の機器分析を行ない。γ線のスペクトルから97mNb,99Mo-99mTc,140Ba-140La,143Ce,239Npの核種が検出された。
 また、強放射性粒子の検索を行なったが検出しえなかった。


ハ 地方衛生研究所(28都道府県)



(注)(1)上表の-印は降雨がなかったか、平常値程度のもの。
   (2)平常値は0〜10ミリキュリー/平方キロメートル程度である。
   (3)上記以外の府県についてはすべて平常値程度又は降雨がなかった。
   (4)毎日の降下量は当日の0900〜翌日の0900までの24時間の値を示す。


(5)核種分析

イ 牛乳中の放射性ヨウ素の測定

 放射線医学総合研究所(千葉)及び農林省各試験場〔九州農業試験場(熊本)、畜産試験場(千葉)、北海道農業試験場(札幌)〕において核実験時における放射能調査体制の期間測定を続けたが、いずれも放射性ヨウ素は検出されなかった。

ロ その他

 放射能が検出された高空浮遊じんについては防衛庁、雨水・落下じんについては、放射線医学総合研究所および地方衛生研究所(宮城、福島、茨城等)において核種分析を行なった。
 その結果、今回の核実験によると推定される、97mNb,99Mo-99mTc,131I,140Ba-140La,143Ce,239Np等の核種が検出された。


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