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中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の
設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)



46原委第383号
昭和46年9月30日

内閣総理大臣 殿

原子力委員会委員長


中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の
設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)


 昭和46年9月23日付け46原第7010号で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。


 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準に、適合しているものと認める。
 なお、本設置変更に係る安全性に関する原子炉安全専門審査会の報告は別添のとおりである。


中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の
設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について

昭和46年9月27日
原子炉安全専門審査会



原子力委員会
 委員長 平泉 渉 殿

原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄


中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の
設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について


 当審査会は昭和46年9月23日付け、46原委第375号をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告します。

Ⅰ 審査結果

 中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「浜岡原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(原子炉施設の変更)」(昭和46年9月13日付け申請)に基づいて審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保しうるものと認める。

Ⅱ 変更事項

 本変更は、浜岡原子力発電所の原子炉施設を変更しようとするもので、主な変更事項は次のとおりである。

(1)ポイズンカーテンを廃止し、かわりに燃料集合体中に可燃性ポイズンであるガドリニア(Gd2O3)を含む燃料棒(以下「ガドリニア入り燃料棒」という)を数本使用する。

(2)第1炉心用燃料として平均濃縮度約2.4w/oの1種類の燃料集合体を使用する計画をあらため、タイプⅠ燃料(平均濃縮度約1.1w/o)およびタイプⅡ燃料(平均濃縮度約2.5w/o、ガドリニア入り燃料棒を含む)の2種類の燃料集合体(炉心全体の平均濃縮度約2.2w/o)を使用する。

Ⅲ 審査内容

 本変更に係る原子炉施設は、次のような安全設計及び安全対策が講じられており、十分な安全性を有するものであると認める。

(1)ガドリニア入り燃料棒

 ガドリニア入り燃料棒は、UO2中に少量のガドリニアが固溶体の形で均一に分布したペレットを使用するもので、燃料集合体の周辺部を除く領域に数本入れられる。うち1本は、軸方向出力分布調整用としてガドリニアを燃料棒軸方向の一部にのみ含んだものが用いられる。
 本変更に係る燃料棒及び燃料集合体の機械的構造は従来と変わらなく、さらにガドリニアの混入による熱伝導度及び融点の低下を考慮しても、燃料中心溶融に対する余裕が、普通のUO2燃料の場合に比べて下まわることはないように設計される。
 また、ガドリニア入り燃料棒は、燃焼度が低くなること、カドリニウム自身は他元素に変換せず、かつ気体元素を生じないことから考えて、内圧やスウェリングに対する問題はないものと認められる。

(2)核熱設計

 燃料集合体は2種類あり、局部ピーキング係数を小さな値にするため、タイプⅠは2種類の、タイプⅡは4種類の濃縮度の燃料棒を使い、タイプⅡにはガドリニア入り燃料棒が組み込まれる。タイプⅠとタイプⅡの炉心配置は、制御棒まわりの反応度の平均化と局所出力分布の観点から12本のタイプⅡ燃料が4本のタイプⅠ燃料をとりかこむ形に配列する。
 本原子炉の熱的制限値は、定格出力運転時において最大線出力密度0.61KW/cm以下、MCHFR1.9以上と、従来と同じであり、上記のような燃料配置について検討した結果、それらの値は制限値を越えないので安全上なんら支障ない。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和46年9月27日に開かれた第95回審査会において、審査の結果、本報告書を決定した。


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