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高温ガス炉懇談会報告について



 原子炉の多目的利用においては、エネルギー政策上最も意義の大きい原子力製鉄を実現し広く多目的利用を推進する必要があるが、このためには投術的中心課題である製鉄に直接利用可能な高温ガス炉の開発が是非とも必要である。このような観点から、原子力委員会は、昭和45年8月高温ガス炉懇談会を設置し、製鉄用高温ガス炉の開発上の技術的問題とその解決の見通し、製鉄用高温ガス炉の多目的利用上の技術的問題と解決の見通し、高温ガス炉の製鉄等への利用の技術的経済的効果等について検討することとなった。

 第1回懇談会は昭和45年8月28日に開催され、その後も順調に審議が進んだ結果、第3回懇談会において、高温ガス炉を直接製鉄に利用するためには、冷却材出口温度1000℃以上が必要であるとの結論を得た。そこで、昭和45年10月ワーキング・グループを設置し、上記条件に合致する高温ガス炉を対象として、その開発上の技術的問題と解決の見通し、ならびにその直接製鉄利用上の技術的問題と解決の見通しなどについて詳細な検討を行なうこととなった。ワーキング・グループは9回にわたり検討会を開催し、鋭意問題の解明に努め、昭和46年3月その報告書をまとめた。これをもとに高温ガス炉懇談会において審議した結果、5月14日報告書をまとめ、5月20日原子力委員会において了承された。

 本報告書は、内外の高温ガス炉開発現状、高温ガス炉、熱交換システム、製鉄プロセスの技術的問題、原子力製鉄の技術的経済的効果等について論及しており、製鉄に直接利用可能な高温ガス炉については技術的に実現の可能性があると結論している。しかし、原子力製鉄の実用化に対する見通しについては、明らかにされず実験炉により、高温ガス炉の信頼性を確認するとともに、製鉄プロセスの研究開発が必要であるとして、今後は、実験炉計画の具体化と、製鉄を中心とする高温ガス炉の多目的利用全般の研究開発計画を確立することが望ましいと結んでいる。

 なお、報告書は資料として掲載される。


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