昭和45年10月29日
原子力委員会
1 原子力発電の急速な展開に伴い、わが国の濃縮ウランの需要は著しく増大する見通しである。
わが国の原子力発電に必要な濃縮ウランは、日米原子力協定に基づき供給されることとなっているが、米国政府は将来ウラン濃縮事業を民間に移行する方針であり、すでに濃縮料金について明年2月からこれを値上げすることとしており、また、将来における米国の濃縮ウランの供給能力についても不安が持たれている。
最近に至って米国原子力委員会は、ウラン濃縮技術を自由諸国へ提供する必要があることをニクソン大統領に進言した。
一方、欧州諸国においては、英国、オランダ、西独が遠心分離法による3国共同計画を具体化しつつあるほか、EECにおいても、欧州共同濃縮工場の計画が検討されている。
原子力委員会は、昨年8月ウラン濃縮の研究開発の第1段階を原子力特定総合研究に指定し、計画的にこれを推進することとしており、これを積極的に推進することはもとよりであるが、さらに、以上の諸般の情勢を考慮し、濃縮ウランに対する海外の動向、わが国の濃縮ウランの長期的な安定確保策等について検討するため、濃縮ウラン対策懇談会を設置する。
2 審議事項、審議期間、構成員等については別途早急に決定する。
濃縮ウラン対策懇談会の審議事項等について
昭和45年11月12日
原子力委員会
当委員会は、昭和45年10月29日、標記懇談会の設置を決定したが、審議事項等は下記のとおりとする。
1 審議事項
(1)濃縮ウランに関する海外の動向の分析
(2)ウラン濃縮の技術開発のあり方及びその推進方策
(3)濃縮ウランの長期的な安定確保策
(4)その他関連事項
2 審議期間
本懇談会は、本年12月から開催し、明年7月までに一応の審議を終えることを目標とする。
3 構成員
構成員は別紙のとおりとする。
別紙
濃縮ウラン対策懇談会構成員
有沢 広巳 |
原子力委員 |
与謝野 秀 |
〃 |
北川 一栄 |
〃 |
武藤俊之助 |
〃 |
武田 栄一 |
〃 |
山田太三郎 |
〃 |
石原 周夫 |
日本開発銀行総裁 |
一本松珠 |
日本原子力発電(株)会長 |
大島 恵一 |
東京大学教授 |
大山 義年 |
東京工業大学名誉教授 |
加藤 博見 |
関西電力(株)副社長 |
菊池 正士 |
理化学研究所招聘研究員 |
向坂 正男 |
日本エネルギー経済研究所長 |
高島 洋一 |
東京工業大学教授 |
武山 泰雄 |
日本経済新聞社取締役 |
田島 敏弘 |
日本興業銀行取締役 |
田中直次郎 |
東京電力(株)常務取締役 |
土屋 清 |
総合政策研究会理事長 |
永野 治 |
東京芝浦電気(株)専任副社長 |
法貴 四郎 |
住友電気工業(株)常務取締役 |
松根 宗一 |
日本原子力産業会議副会長 |
村田 義夫 |
三菱原子力工業(株)専務取締役 |
吉山 博吉 |
(株)日立製作所副社長 |
宗像 英二 |
日本原子力研究所理事長 |
井上 五郎 |
動力炉・核燃料開発事業団理事長 | |