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新日米特殊核物質賃貸借協定について



1 日米特殊核物質賃借協定は、わが国が、濃縮ウラン等の特殊核物質を米国から賃借する際の条件を定めている行政協定であり、現行協定は1964年10月30日に締結され、協定に記された一応の期限である1967年6月30日の後も相互の合意により暫定延長を重ねてきたものであるが、今回新協定の締結につき米側と意見の一致をみたので、9月25日閣議決定された後、米国において署名され、即日発効した。


2 日米特殊核物質賃貸借協定は、米国政府が特殊核物質の民有化政策を進めるとともに、相対的にその重要性は低下してきているが、現在でも、わが国は本協定に基づき約10億円相当の濃縮ウランを貸借中である。

米国から貸借中のウラン総量



3 新協定は、米側から、新日米原子力協定発効の機会に、日米賃貸借協定の内容を米国と各国との間で締結されている賃貸借協定の内容と同様のものにしたいとして米側から1968年末に送付があった新賃貸借協定案文につき米側と交渉を重ねてきたところ、今般、同協定案につき意見の一致をみたものである。


4 旧協定と新協定とは実質的に大きな差異はないが、「混合」、「貸借物件の監査および在庫量検査」、「消耗報告」、「免責」等について若干の差異がある。
 これらの点については、今後、新規の貸借はほとんど行なわれない見通しであり、実質的影響もあまりないので、他の国が、米国と締結している賃貸借協定との均衡も考慮して妥協したものである。


5 新協定の有効期限は「1970年12月31日又は両当事者が相互に合意するそれよりおそい日」と定められている。この「1970年12月31日」は、米国側から各国との協定と同一の区切りを一応つけたいとの強い要請を受けたものである。
 なお、かりに、本年末までに協定の期限の延長がなされないこととなっても、賃貸借物質の返還または購入の措置を講ずるために猶予期間が置かれることになっている。



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