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国際原子力機関(IAEA)7月特別理事会報告について



 1970年7月28日にウィーンのIAEA本部で開催されわが国からは原子力局政策課佐竹技官が出席した。
 本理事会では、保障措置委員会第1回報告書を審議し、IAEA事務局がこの報告書をNPT加盟国との間の保障措置協定締結交渉のベースとして使うことを承認した。


(付)保障措置委員会について

1.概要

 IAEAは、本年3月5日発効した「核兵器不拡散条約(NPT)」に基づく保障措置協定を審議するため、本年4月の理事会において保障措置委員会を設置することを決定した。
 本保障措置委員会はウィーンのIAEA本部において、6月12日より開始され7月22日に今回の審議を終了し、第1回報告書を理事会に提出した。


2.参加国等

 参加国は、わが国を含め49ヶ国であった。会議の議長はオーストリアのワルトハイム氏、副議長はガーナのカルティ氏及びハンガリーのストラウプ氏が選任された。
 わが国からは原子力局川島国際協力課長および同局政策課佐竹技官が出席した。


3.審議の内容

 本委員会に先立ち、保障措置協定に関し、各国から提出されたコメント及びIAEA事務総長が提出した報告(第一部協定の原則的事項、第二部保障措置適用の手続)が配布された。
 審議は当初、わが国も含め、34ヶ国からの各国代表の一般演説が行なわれた。一般演説においてわが国は、さきにわが国がNPTに調印をを行なった際の日本国政府声明に基づき、NPT下の保障措置は各国の管理制度はいかなる国に対しても平等でなければならないという点を強調した。
 ついで、事務総長報告を基礎として、検討を開始した。この間わが国は「国の核物質管理制度」に関しては、カナダと共同して、わが国主張の方針に沿った修正提案を行ないこれが採択される等、わが国の従来の主張を積極的に反映させることに努力した。
 第一部の、財政問題と第二部に関しては予備的討議がなされただけで、これらは10月に再開される予定の委員会の審議に持ち込された。


4.審議結果

 審議の結果とりまとめられた第1回報告書の要点は次のとおりである。

① 協定は、保障措置が、

(a)締約国の経済的及び技術的発展又は、平和的原子力活動の分野における国際協力を妨げず、

(b)締約国の平和的な原子力活動及び特に施設の運転に不当な干渉を避け、また、

(c)原子力活動の経済的かつ安全な運用のために必要な慎重な経営上の慣行と合致するように実施されることを規定しなければならない。

② 協定は、機関が協定の実施にあたって、商業機密等を保護するためすべての予防手段をとることを規定しなければならない。

③ 協定は、機関が協定に基づく保障措置の実施に当り、保障措置の分野における技術的発展に十分な考慮を払うことを規定するとともに、最適の費用効果の確保並びに、現在又は将来の技術が可能とする限度において核物質の流れに対し枢要な箇所における機器その他の技術の使用によって保障措置を効果的に実施するとの原則適用の確保にあらゆる努力をすることを規定しなければならない。

④ 協定は、締約国が協定に基づく保障措置の対象となるすべての核物質について計量管理制度を設定し、かつ、維持することを規定し、また、核物質が転用されていないことを確かめるために、機関が締約国の制度による認定を確認する方法で保障措置が適用されることを規定しなければならない。機関の確認はなかんずく、機関が実施する独自の測定及び観察を含む。機関は、その確認に当って、締約国の制度の技術的な実効性を考慮するものとする。




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