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放射線医学総合研究所昭和45年度業務計画



昭和45年3月10日

Ⅰ 基本方針

1 計画の概要と重点

 本研究所は、設立以来十数年を経過し、この間、放射線による人体の障害とその予防、診断、治療および放射線の医学的利用に関する調査研究ならびにそれらに関する技術者の養成訓練に関し、積極的にその推進をはかり、諸般の整備を行ない、多くの成果をあげてきた。
 昭和45年度において、本研究所は、これらの成果を基礎とし、「中性子線等の医学的利用に関する調査研究」に着手する等新たな発展段階を迎えようとしている。また、原子力開発の進展に伴い、放射線の人体に与える影響に関する諸問題の解明について、本研究所に対する期待は一段と高まっている。
 このような観点から長期的展望のもとに関係方面との連けいの強化をはかりつつ研究を計画的かつ効率的に推進して、放射線医学の分野における研究の発展に一層寄与するとともに、社会福祉への還元に努め、もって国民の期待にこたえるよう鋭意努力することとする。すなわち、研究部門においては、総合研究所としての成果の向上に資するよう設置目的にそって、研究を総合的に推進する。また、診療部門および養成訓練部門においては、特に各方面と緊密な協力をはかり効率的な運営による充実に努め、技術支援部門においては、業務の高度化に対処する施設の充実および専門的技術体制の強化をはかる。
 以上のような基本方針のもとに、本年度における計画の重点は次のとおりとする。

1 特別研究については、前年度に開始した「放射線医学領域における造血器移植に関する調査研究」を当初計画にしたがい、引き続き推進するほか、新たに所内外の情勢を勘案し、放射線の医学的利用に新しい道を開拓するものである「中性子線等の医学的利用に関する調査研究」に着手する。
 なお、前年度に終了した「プルトニウムによる内部被曝に関する調査研究」については、所内外の関係者を集めたシンポジウムを開催し、関連分野における活動の進展に資する。

2 指定研究については、本研究所の研究課題には各専門研究分野からみてそれぞれの境界領域にあり、多方面の協力を必要とするものが多いので、いくつかの研究部の緊密な協力のもとに行なうことにより実効が期待され、所期の目的に対して適切、有意義であると認められる研究を指定研究とし、本研究所の総合性を発揮しつつ、その積極的推進をはかる。本年度における課題は次のとおりである。

(1)放射線による細胞のエネルギー代謝阻害と細胞死に関する研究
(2)生体に対する放射線の影響に関する数理生物学的研究およびそのモデル実験
(3)吸入プルトニウム239のエアロゾルの生体内代謝に関する研究 

3 経常研究については、これが本研究所の活動力の源であり、新たな展開の礎ともなるものであるので、各研究部が主体性をもって長期的な見通しのもとに研究者の独創性を生かしつつ、これを発展させる。

4 施設、設備の整備に関しては、本年度新たに設定した特別研究「中性子線等の医学的利用に関する調査研究」の推進をはかるうえに不可欠なサイクロトン施設の整備に4カ年計画で着手する。また動物実験の多様化に備え、前年度からすすめてきたSPF動物関連施設を整備し、その円滑な運営をはかる。


2 機構予算

 本年度は技術部にサイクロトロン建設準備室を新設し、サイクロトロン施設の建設準備に対処するとともに、臨床研究部臨床第2研究室を充実し、中性子線等による治療研究の進展をはかる。また東海支所臨海実験場に研究室を新設し、海洋調査研究の強化をはかる。さらに技術部動植物管理課に特殊動物の専門官制度を設け、SPF動物に関する専門的技術の充実を期する。
 昭和45年度予算は、総額1,097,160千円で前年度の801,669千円に比し、295,491千円の増額となっており、このうち特別経費は619,049千円で、前年度の394,177千円に比し、224,872千円の増額となっている。
 ほかに放射能調査研究費は23,551千円で前年度の23,405千円に比し、146千円の増額となっている。



Ⅱ 研究

1 特別研究

 本年度は特別研究に必要な経費として、試験研究用備品費、消耗器材費など28,658千円を計上する。
 各課題の概要は以下のとおりである。

1-1 放射線医学領域における造血器移植に開する調査研究
 本調査研究は、万一、原子力従業員等に不測の放射線障害が発生するような場合に、それに対する的確な処置をとり得るよう対策を確保して原子力開発の健全な発展をはかるため、種々の基礎的、臨床的諸問題を解決するとともに、悪性腫瘍の治療の進展にも資することを目標として昭和44年度から実施されてきた。
 昭和44年度は基礎的調査とあわせて動物実験を行なった。本年度も次の4研究グループの編成のもとに研究を進める。

(1)組織適合性識別機構に関する研究グループ
 造血器移植も一種の臓器移植であり、拒絶反応が問題となる。これを防ぐ手段の解明のために、自己と非自己の識別機構ならびにその認識能を修飾する因子について実験的研究を行なう。
(2)造血器移植に伴う続発症の発現機構に関する研究グループ
 続発症の病理の形態的観察を特に電子顕微鏡により行ない、一方、照射後の免疫能回復に関する胸腺の役割を検討するとともに、免疫抑制剤の役割等を広く研究する。
(3)移植造血細胞の動態に関する研究グループ
 引き続き血球幹細胞の形態、機能を追求していくが、幹細胞の選択的採取法の検討、諸種薬剤や免疫抑制処置の幹細胞への影響を検討する。
(4)造血組織移植の臨床的適用と改善に関する研究グループ
 本年度は特に、冷凍保存細胞の諸機能の追求に重点を置いて研究する。
 なお、本研究は本年度使用可能となるSPF実験動物の使用によって、さらに成果の向上を期する。

2-1 中性子線等の医学的利用に関する調査研究
 最近、中性子線は、エックス線、ガンマ線および電子線と異なり、腫瘍組織内の酸素分圧と比較的関係なく腫瘍に対して効果を発揮することが明らかとなり、中性子線を悪性腫瘍の治療に利用することが有望視されるにいたった。本調査研究は、わが国における放射線の医学利用における研究開発の促進の一環として、サイクロトロンを利用し 総合的な研究体制のもとに中性子線による悪性腫瘍の治療に関連する諸問題を解明するとともに、サイクロトロンにより生産されるラジオアイソトープの医学的利用についても研究を推進することを目的として、本年度から特別研究として実施するものである。本調査研究の遂行にあたっては、次の5研究課題に対し、それぞれ研究グループを編成し、研究に着手する。

(1)中性子線等の測定に関する研究グループ
 吸収線量評価に関する基礎的研究およびその実用的測定方法について研究する。
(2)生物学的効果に関する研究グループ
 治療に対して生物学的、病理学的基礎を与えることを目的とし、分子レベル、細胞および組織レベルならびに個体組織レベルにおいて中性子線の効果を追求する。
(3)悪性腫瘍の治療に関する研究グループ
 速中性子線治療の基本様式の追求を目的とし、照射技術および治療効果に関連する諸問題について研究する。
(4)短寿命アイソトープの医学的利用に関する研究グループ
 サイクロトロンによって、医学的に有用なラジオアイソトープが生産されるので、その生産および利用について調本研究を行なう。
(5)医用サイクロトロンの安全管理に関する研究グループ
 患者、作業従事者等に対する障害の防止および管理区域内外における安全管理等について研究する。

 なおサイクロトロン施設は昭和48年度に完成が予定されているので、それまでの期間は主としてバンデグラフを利用し、また必要に応じては他機関のサイクロトロンの利用等により上記の諸研究課題につき基礎的研究を行なう。

2 指定研究

 本年度の指定研究についてはいくつかの研究部が相互に緊密な協力のもとに行なうことにより一そう大きな成果が期待されるものとして次の3課題を積極的に推進することとする。

(1)放射線による細胞のエネルギー代謝阻害と細胞死に関する研究
(2)生体に対する放射線の影響に関する数理生物学的研究およびそのモデル実験
(3)吸入プルトニウム-239のエアロゾルの生体内代謝に関する研究

3 経常研究

 本年度は経常研究に必要な経費として研究員当積算庁費132,835千円および試験研究用備品費44,818千円をそれぞれ計上する。
 経常研究に関する各研究部の本年度における方針および計画の大要は以下のとおりである。

3-1 物理研究部
 本研究部は、放射線障害の予防および医学利用に必要な、放射線の適切な計量と防護方法について研究を進めるとともに、放射線障害の解明に必要な、人体組織に対する巨視的、微視的な吸収線量を評価するための物理的基礎質料を得ることを目的としている。
 前年度まで特別研究で行なわれてきた、プルトニウム肺負荷測定、およびヒューマンカウンタの利用研究を継続して行なうほか、前年度導入された電子計算機を活用してヒューマンカウンタおよびシンチスキヤナのナンライン収集と処理に関する研究を行なう。特にRIイメージのデータ処理に限随する諸問題の理論的、実験的究明に重点をおく。また前年度までに行なった新型カメラの開発研究については、更に性能向上(分解時間の短縮)をはかり、新技術開発事業団の協力により実用化を進めるほか、新たに比例計数管型カメラの研究に着手する。
 高エネルギー・エックス線、電子線の吸収線量評価については、前年度までに諸種の方法を検討したが、本年度は高線量率照射場における空洞電離箱の適応性、再結合損失の補正について研究する。
 他方高エネルギ電子線のエネルギ損失については前年度までの研究にひきつづいて測定範囲を拡張し吸収線量の評価に必要な平均阻止能を求める。
 原爆被曝者を含む全身被曝時の決定臓器の線量を前年度はガンマ線について求めたが、本年度は中性子について求める。また医学利用による国民線量の推定のための調査を引きつづき行なうと同時に、調査結果を集計処理し、決定臓器の吸収線量の推定を行なう。内部被曝については前年度に引きつづき、トリチウムなどを吸入した場合の体内被曝線量の計算法について検討する。一方中性子照射室設計基準について前年度までに実験した資料から基準案作成の作業にかかる。従来行なってきた医用原子炉、医用サイクロント調査研究は後者を主体として、その性能および建家の検討を進める。

3-2 化学研究部
 本研究部は、放射線の生体に対する作用機構を主として物理化学的、生化学的観点から基礎的に追求すること、および放射線の影響を推定し評価するうえで重要な元素や放射性核種に関して、無機化学的、分析化学的見地から研究することを目的としている。
 第1の、放射線の作用機構に関連するものとして、本年度は次の研究を行なう。すなわち核酸・蛋白質複合系および酵素系を用いて、系に吸収されたエネルギーが如何なる経路を経てその系に損傷を与えるかについて研究する。また、放射線耐性に寄与する要因に関して、細菌を用い、実験的にまた理論的に解析する。温度に依存する感受性をもつ大腸菌の一変種について温度依存性の原因を検討し、菌のDNA修複機構との関係をしらべる。さらに、抗体産生における食細胞の役割につき、放射線の影響という観点および臓器移植の観点から研究をつづける。
 第2の、無機化学的、分析化学的研究については、特定の元素と親和性があり、かつ、塩濃度の高い溶液にも用いうるなどの種々の利点をもっている無機イオン交換体について、その吸着機構の研究を行なう。また、数年来研究をつづけて来た新しいタイプの吸着剤、“金属塩・イオン交換樹脂”については、新しい種類の“樹脂”の作成とその応用の開発につとめる。さらに、分析上用途のひろいキレート試薬と金属イオン、ことに遷移金属イオンとの相互反応に関する研究を行なう。

3-3 生物研究部
 本研究部は、生体における放射線障害発現機構の生物学的初期効果から最終効果に至る過程について、それらがどのように関連し、またそれらの多くの階程のどの部位が障害の拡大に最も大きく関与しているかを究明する。このため、細胞内微細構造から個体に至る種々のレベルでの一連の研究をひきつづき推進する。
 放射線感受性の異なるいくつかの哺乳類細胞を用い、照射による細胞核DNAの障害、照射によって生ずるSH反応性活性物質と膜構造との相互作用、およびそれのもたらす代謝との関連を検討し、さらに、被照射細胞のエネルギー代謝阻害と細胞死の関係の実態をつかもうとするものである。一方、細胞のエネルギー生成系の局在するミトコンドリアの電子伝達系およびエネルギー伝達系の各種の段階は、その放射線感受性が異なるので、その1次障害の作用機序を追求し、あわせて感受性を形態的構造との関連において追求する。
 以上の研究により障害が細胞レベルで進行する筋道を追求し、これらの結果をふまえて、さらに個体レベルで障害が発現する機構を知るための研究を行なう。すなわち従来行なってきた魚類を用いての細胞集団動力学的解析は一応の知見を得たので、本年は線質の差異による作用を魚類とアルテミアをもちいて推進する予定である。
 なお個体レベルの研究をより精密に進めるため、無菌魚飼育の実際的技術の習得に着手する。低線量の放射線による晩発生効果についてのメダカを用いた研究は、本明年度中にデータを集積する予定である。

3-4 遺伝研究部
 本研究部は、放射線の鋭敏かつ終局的な影響となる遺伝的障害について、“遺伝子突然変異の機構に始まり人類集団の遺伝構成の変化に至る”一連の過程の実相を統一的に解明し、評価することを目的とし研究を進めている。 まず突然変異の基本過程の解明については、人類細胞と等価の意義を持つ酵母を用い、本年度は前年度発現した低線量における突然変異の分子的誘発特性を核内、核外両遺伝子を対比させその性質を明らかにするとともに、その回復特性の究明を計かる。これとともに現在まだ不明である高次レベルの染色体障害の分子的回復機構について、モノソーム(一染色体)、ダイソーム(二染色体)など特殊の材料を準備し次年度の研究に備える。次に人類集団中での被爆遺伝子の拡散を支配するパラメータの数値を実測するため、戸籍調査により親子、夫婦などの地理的分布からその移動度を知り、また集団の有効な大きさを推定する。これにより本年度以降において行なう電子計算機を用いた集団の遺伝子動態のシュミレーションの基礎的数値を与える。これとともに人類被爆遺伝子の拡散の実態を把握するための大規模な調査の準備をする。一方実験的に集団の大きさ、放射線量、長期照射などの集団の遺伝構成に及ぼす効果を明らかにするため、ショウジョウバエの人工集団を用いて解析を行なう。特に集団中での遺伝障害の残存効果を確かめる。この研究とともに次年度以降に実施を予定する環境と生物集団の相互関係についての実験的な遺伝生態学的研究の準備を進める。

3-5 生理病理研究部
 本研究部は人体に対する放射線障害の機構を生理学、病理学の見地から研究することを任務としている。したがって生体を構成する諸単位、すなわち、器管、組織、細胞のレベルで放射線効果が研究され、二次的には腫瘍に対する放射線治療の生物学的、病理学的基礎にも貢献することを目的とする。
 生理部門では、放射線障害論における免疫生物学の役割の研究として本年度は免疫記憶細胞の誘導、抗体産生細胞のメッセンジャーRNAの研究をとりあげる。また、放射線症の生化学的研究として細胞内膜系および副腎皮質の機能に対する放射線の影響、放射線の細胞致死効果の細胞生物学的研究として亜致死損傷の回復とDNA損傷の問題を追求する。
 病理部門は、慢性障害の主要な問題である発癌機転を被照射マウスに発生する胸腺腫を用いて研究する。他方、当研究部で試験管内に分離した放射線抵抗性黒色腫を主として電顕的に観察し、放射線抵抗性の機構を研究する。急性障害論の中心課題である造血器、腸管の病理像の解明も当研究部の主要課題の一つである。リンパ球移植法を用いた免疫機能への影響の解明、内分泌、電解質の変化など、体液性変動を考慮した実験的研究を続行する。

3-6 障害基礎研究部
 本研究部は、放射線の人体に対する障害、許容量、障害予防等に関する調査研究を行ない、特に身体的障害の軽減および評価など障害予防対策上重要な問題に関し学問的基礎資料を得ることを目的として以下の諸研究を行なう。放射線障害の医学的指標に関する研究に関しては末梢血中栓球数、5-HT量、尿中5-HIC量、潜血反応、赤血球膜透過性その他放射線障害に関連する指標についての検討、およびこれらに関連して障害の軽減における5-HTPの作用機序などにつき研究を行なってきたが、本年度はとくに栓球造血系、RES、それらに関連する他の液性因子等の相互作用の程度およびそれらの放射線障害の発現、生理的機能の維持への関連様式等について検討し、また5-HTPについてはその作用機序の解明に資するためIn vivo と培養細胞を用いたIn vitro の実験結果の対比を試みる。
 個体の放射線感受性と生理学的性質との関連に関する研究については、マウスの放射線感受性の系統差と骨髄細胞数との関係および免疫学的方法による造血系への放射線の影響などに関して検討を行なってきたが、本年度は晩発効果を考慮に入れた長期観察による造血系の変化の研究、免疫電気泳動において放射線に敏感なアークについて、顆粒球の放射線照射後の動態の指標としての有効性の検討などを行なう。また、中枢神経系に及ぼす放射線の影響の研究については本年度は分割照射と1回照射後における影響の回復の比較を試みる。またさらに中枢神経系への影響と脳血管への影響との関連についての研究に着手する。
 内部被曝の観点から特定臓器の被曝が全身機能に及ぼす影響を種々の生物学的指標を用いて研究してきたが、本年度は前年度までに行なった臓器の粒子選択性の機序に関する検討を加えて、さらにイオンまたは分子状の放射性物質の臓器への沈着の機序をIn vitro 全身オートラジオグラフの技術を用いて検討する。また体内放射性核種の分布、移動などを動的にとらえるための小動物用スキヤナーの試作を行なう。
 各種照射様式による障害の評価に関する研究については、各臓器の障害と全身障害との関係に対する定量化の試みを基礎として全身障害の発現機構に関する検討を試み、前年度においては部分照射による体重、末梢血等の変化、死亡数分布の解析など一連の研究を行なってきたが、本年度は部分照射と分割照射の組み合わせにより急性死に関連した主要臓器の障害の加法性について検討し、また部分照射による晩発障害についてもその予備的実験に着手する。

3-7 薬学研究部
 本研究部は、これまで放射線障害防護物質の合成、抽出、分離およびこれらの防護物質の薬理学的研究、Sを含む化合物の防護効果の検討、ならびに生殖腺の放射線障害に関する生化学的な解明などに重点をおき研究を行なってきた。
 本年度は、前年度において合成に成功したO、N、S、含有有機化合物の有機化学的諸性質を検討するとともに、テトラヒドロチオピランなどの含N化合物の合成を実施する。また、これら新合成化合物の放射線防護効果を、動物および細胞レベルの試験法で検討する。
 アミノチオール類の放射線防護作用に関する物理化学的研究については、いままでにAETの化学構造と反応性、MEAの分子状酸素による酸化につき成果を得ているので、本年度にはAETおよび関連化合物の構造と安定性に重点をおき物理化学的手法で詳細な検討を行なう。
 薬理学的研究としては、前年度までに得られた成果にもとづき、プリン誘導体による放射線障害の予防ならびに治療効果の検討、さらに経口投与による防護効果をしらべ、また既知の防護物質を用いて細胞レベルで、放射線防護作用機序の解明に努める。
 生殖腺の放射線障害に関する生化学的研究に関しては、前年度までに多くの成果、知見が得られたが、これらの結果を考慮し、精巣組織の細胞構成成分に関するアンドロジエン生合成の酵素化学的研究、脳下垂体の性腺刺激ホルモンにつき、ラジオイムノアッセイ(放射免疫学的検定法)の技術を導入し、研究の進展をはかる。

3-8 環境衛生研究部
 本研究部は、一般環境、職業環境における放射線による被曝に関する調査研究を行なうことを任務としている。一般環境における放射線による被曝に関しては、自然放射線からの国民線量への寄与を求めるため、日本各地の空間線量の測定を行なってきたが、今年度は北日本を対象として調査研究を進める。また大気中の自然放射能の吸入による肺線量測定を長寿命核種の大気中における性状、体内への沈着、排出の機構等ラジオエコロジカルな面から研究を継続する。人工放射線からの被曝については、原子力産業の発展に伴って一般環境に増加が予測される核種について、特に内部被曝への影響を中心に調査研究を行なう。ストロンチウム-90、セシウム-137等の長寿命核種の生物体内での代謝機構の研究のほか、ルテニウム-106、亜鉛-65等の核種の食物連鎖における挙動等についても研究を強化する。またトリチウム、炭素-14の影響も重視されている現状から、測定法の改良、食物連鎖におけるこれら核種の化学的、生物学的形状および影響についても研究を強化する。職業環境における放射線による被曝に関しては、昨年度にひきつづき内部被曝の研究を継続し、被曝機構の解明を行なう。また放射線の安全管理に関しては、放射性物質の吸入による被曝の防止に重点を置き、大気浮遊放射性物質の測定法等の研究を継続する。

3-9 環境汚染研究部
 本研究部は、放射性物質による自然環境汚染に伴なって公衆の構成員が受ける放射線被曝を的確に把握し、また推定するための諸因子を究明し、環境の安全管理に寄与することを目的として、ラジオエコロジー(放射能生態学)の研究を実施してきた。また環境汚染水準検出法の精度向上と、実用的簡易モニタリング法についての技術的開発も進めてきた。
 本年度もひきつづき、淡水圏における放射性核種の動向、放射性核種の海洋での移動、大気中の放射性核種濃度と表土汚染ならびに農畜産物汚染の相関、食品汚染と体内被曝の相関の各課題について、量的相関の究明に重点をおいて研究を進める。なお、海洋生物の汚染機構の解明については臨海実験場の主体性のもとに、全般的協力を行ない研究の強力な促進をはかる。これらの一連の研究においては、いくつかの原子力施設について放出を予想される放射性廃棄物の影響を究明するため、研究対象の放射性核種の選定等に特に留意して行なう。大型原子力施設の仮想事故評価ならびに対策に資するための研究としては、無機および有機型の気体ヨウ素の環境における動向の解明をはかり、特に大気と植物の汚染の相関式の確立につとめる。一方、環境、食品、人体の放射性核種定量および安定同位元素定量のための試料採集法、試料前処理法および簡易分析測定法については、定量法に関してベータ線スペクトロメトリ、ラジオガスクロマトグラフイ、原子吸光分析法の有効な応用法を積極的に開発する。

3-10 臨床研究部
 本研究部は放射線の医学利用とくにラジオアイソトープによる疾病の診断、治療、代謝系の研究高エネルギー放射線による悪性腫瘍の治療に関する研究等を行なうことを目途としている。
 前年度はストロンチウム-85、カルシウム-47を用い、各種骨疾患の診断、とくに動的診断の確立をめざし、千葉大学、慈恵医大から外来研究員を得て所期の目的を得た。その他甲状腺内の微量金属と甲状腺疾患の関連についての研究を京大原子炉を使用し、放射化分析法によって検討した。
 本年度はラジオアイソトープによる悪性腫瘍の診断を従来のシンチグラム法で行なうとともに新たに設置されたコンピュータを用いて、患者からの情報を直接コンピュータに伝達し、その情報を処理した後精度の高いシンチグラムを得る方法についての検討を行なう。その他ラジオアイソトープの試験管内利用について各種ホルモンのラジオイムノアツセイについての検討を鋭意進める予定である。
 高エネルギー線による悪性腫瘍の治療に関する研究は本年度の特別研究である速中性子線による治療研究のほか各種の臨床研究を行なう。またコンピュータが設置されたので、これを用い各種照射条件のもとでの体内線量分布を正確かつ迅速に求める方法についての研究を進める。

3-11 障害臨床研究部
 本研究部は人体の放射線障害に対する診断および治療に関する調査研究を行なう。このため臨床医学的研究や実験的研究を進める。
 まず、ビキニ被災者を中心とする各種線源からの被曝者について、逐年的に行なっている医学的観察を新しい検査法の導入をはかりつつ続行する。ビキニ被災者等の骨髄に見られる異常染色体型を示すクローンの成立、および細胞集団での占有過程と染色体型との関連を明らかにするため、人体での観察とあわせて動物実験を進める。
 放射線障害の治療、特に造血障害治療の基礎的知見を得るため血球幹細胞を中心として研究を行なってきたが、本年度は造血障害回復と網内系との関連に関する研究を続行するとともに、造血障害回復と低酸素および高酸素環境との関係も検索する。また、放射線による晩発効果について血球幹細胞動態面からの検討を加える。
 放射線障害の発現や回復に重要な関係を持つと考えられる胸腺細胞について、実験的に放射線照射による細胞の生残率へのアデニンの影響を研究する。
 なお、所内外の研究結果、外国の事故例などから詳細なデータを収集し、放射線被曝者の診断、治療についての指標を作成する。

3-12 東海支所
 東海支所は、原子力諸施設との関係を密にして行なう研究を推進するために、外部関係機関の利用をも含め支所利用の万全を期する。また、支所研究室においては「生物中の安定微量元素の化学形態と定量法に関する研究」を実施する。
 各研究部で行なう原子炉および支所施設利用の研究は、以下のとおりである。

(1)放射性ヨウ素の環境から食品への移行に関する研究
(2)放射性物質の動向とバイオアツセイによる人体負荷量推定に関する研究
(3)深海投棄された放射性物質の海水中無機物による希釈に関する研究
(4)ラジオアイソトープ・トレーサ法による魚貝藻類への放射性核種の濃縮に関する研究

4 海洋調査研究

 原子力施設から沿岸海域に放出される放射性廃液の海産生物などを通じて、沿岸住民および国民全般に与える被曝線量について調査研究を行なうとともに、放射能モニタリング方法の開発についても調査研究を実施している。特に食用海産魚貝類のストロンチウム-90、セシウム-137、ルテニウム-106等の濃縮と排出の機構については、活魚を用いた実験によって多くの新知見が得られた。
 本年度は、更に多種類の海産生物を用いてラジオアイソトープ・トレーサ法でルテニウム-106、セリウム-144、ストロンチウム-90、セシウム-137等の人体への影響評価上重要と目される放射性核種の濃縮係数ならびに生物学的半減期を求めるが、特に放射性核種の物理的、化学的形態の差による生物濃縮機構の差に留意しつつ実験を進める。一方、東海支所研究室ならびに環境汚染研究部の協力のもとに海水と海産生物の安定同位元素定量法の確立をはかり、各種の海産生物の濃縮係数を求め、その結果をトレーサ法で得た結果と比較し、実地に適用する際の実用的見地を重視して考察を進める。海産生物の放射能モニタリング法の開発については放射化学的検討のほかに、沿岸海域汚染水準を簡易に知るための指標生物の把握につとめる。更に放射性核種の海産生物への濃縮に関して得られた知識に加えて、海産食品の流通消費機構に関する統計資料および調査の結果等を活用して最も被曝の大きいと予想される公衆の構成員の全身被曝と器官別被曝の線量推算に着手する。
 本年度は、本調査研究の一そうの強化をはかるため、臨海実験場に研究室を新設し、積極的に研究を推進する。また研究の本格的な進展に対処して、十分な施設管理を行なうため、海水取水ポンプ等の更新を含めて、これらに必要な経費、総額16,610千円を計上する。


5 放射能調査研究

 放射能調査研究には、従来から本研究所は積極的に参加し、関係諸機関と協力してその一部を分担してきたが、本年度は、放射能調査研究費として23,551千円を計上し、放射能レベル調査、被曝線量調査およびデータセンター業務の3項目について、環境汚染研究部、環境衛生研究部および管理部企画課においてそれぞれ次のとおり実施する。

(1)日本における放射能水準把握の一環として、北海道、秋田、新潟、福島、茨城、東京、福井、大阪、広島、福岡、鹿児島などの都道府県から採集した大気中浮遊塵、表土、飲料水とその水源の河川水、日常食、標準食、人体臓器、人骨、海洋関係諸試料などのストロンチウム-90、セシウム-137その他の放射性核種の定量を行なう。上記の各試料の採集にあたっては、調査結果を総合して放射能汚染における人体と環境との相関関係の把握に役だたせる。とくに、放射性核種の表土→河川→海の移動については、放射能流亡率を求めることを重視してサンプリングを実施する。
 原子力施設からの排水放出および放射性廃棄物の海洋投棄などに関連して、海洋食品に対する食生活上の依存度の高いわが国では、海洋、とくに沿岸の海水汚染の実態を把握することはきわめて重要と考えられる。したがって、海水および各種海洋生物の放射能バックグラウンド調査につとめる。
 このため海水は日本海沿岸、太平洋沿岸、瀬戸内海の表面水の調査に加えて、東京大学海洋調査船淡青丸、白鳳丸および傭船(漁船等)によって深度別に海水試料を採集して分析測定を行なう。また、沿岸の数地点において、海水、魚類、海藻類、底棲生物などを総合的に採集し、その分析測定を前年度にひきつづいて実施する。
 なお、炭素-14、トリチウムの生物環境中における調査を継続実施する。

(2)自然および人工の放射線源から国民が被曝している線量を明らかにすることは、それらの放射線が国民生活の現在と将来におよぼす影響を評価するうえにきわめて重要である。
 このため、線量測定方法に関する研究的調査として、大気中の放射性浮遊塵による内部被曝量の調査および自然放射線または核爆発実験による放射性降下物の蓄積による外部被曝線量の測定調査などを継続実施するとともに、核爆発実験などによる放射能汚染に関し、航空機によってわが国の高空における放射能気塊の測定調査をひきつづき行なう。

(3)放射能データセンター業務としては下記の業務を前年度に引き続き行なう。

 1)内外の放射能調査資料の収集、整理、保存
 2)海外との放射能関係情報の交換
 3)放射能調査資料の解析

 また、これらの資料の一部をとりまとめて放射能調査資料として刊行する。


6 実態調査

 本研究所においては、研究に関連する問題のうち必要な事項について実態調査を行ない、その結果を活用して研究の促進をはかっている。本年度における実態調査の概要は以下のとおりであり、これに必要な経費として608千円を計上する。

(1)ビキニ被災者調査(障害臨床研究部)
 昭和29年3月、南太平洋ビキニ海域において核爆発実験による放射性降下物に被曝した元第5福龍丸乗組員について、従来から体内残留放射能の測定および臨床的諸検査を実施してきたが、本年度においてもひきつづき、被災者を入院させ血液学的検査、皮膚科学的検査、肝機能検査、体内放射能の測定および排泄物の放射性物質の測定な どを行なう。

(2)核燃料関係作業環境の実態調査(環境衛生研究部)
 原子力開発の進展に伴い、ウラン燃料の加工、成形作業環境におけるウランを含む粉塵の挙動と作業者の粉塵摂取の態様とは放射性粉塵による危害評価にあたりきわめて重要な問題である。本調査は昭和43年度から実施しているが、本年度はウラン類似の無害の粉塵を利用する放射性粉塵の挙動および個人摂取量の実験的調査のほか、作業環境におけるウラン粉塵の濃度変化、粉塵の挙動に影響を与える諸要素、作業者のウラン摂取量の調査等従来の結果を総合検討し、調査結果の最終的とりまとめを行なう。

(3)医療用放射線による国民線量に関する実態調査
(物理的研究部)
 本調査は、医療用放射線による国民線量(遺伝有意線量および白血病有意線量)の推定を目的として、昭和44年度から実施しているものであり、国内の医療関係施設における診断用放射線および治療用放射線の照射条件と身体各部位の被曝線量との実態を調査し、その結果を統計的に解析する。一方、同一照射条件、照射部位でファントムによる実験を行ない、調査結果と相互に比較する。本年度は特に診断用放射線のうち透視関係に重点をおき、調査結果の解析と実測調査を行なう。


7 外来研究員

 外来研究員制度は、本研究所における調査研究に関し、広く所外における関連分野の専門研究者を招き、その協力を得て相互知見の交流と研究成果の一層の向上をはかることを目的としている。本年度はこれに必要な経費として2,210千円を計上し下記の研究課題について、それぞれ該当する研究部に外来研究員を配属し、研究を実施する。

(1)速中性子照射による動物腫瘍に対する線量および時間的因子の解明に関する研究

(2)骨髄および胸腺細胞の移入によるテックス線照射動物の免疫回復に関する研究

(3)放射性セリウム-144を用いて海水懸濁物への希土類元素の吸着機構と海水中での希土類元素の存在状態に関する研究

(4)ラット胸腺細胞のアデニンヌクレオチド代謝に及ぼす放射線の影響に関する研究

(5)人類集団中の発育に関する遺伝子への放射線の影響に関する基礎的研究

(6)プリン誘導体による放射線障害の予防および治療効果に関する研究



Ⅲ 技術支援

 技術部は、本年度の運営費として42,739千円、ほかに廃棄物処理費8,568千円および特定装置費53,388千円を計上し、共同実験施設の運用管理、実験用動植物の増殖、管理および供給、所内の安全管理ならびに放射性廃棄物の処理など、各研究部の調査研究の遂行に関し、必須の技術支援を行なう。とくに本年度はサイクロトロンの導入に伴い、技術部にサイクロトロン建設準備室を設け、必要な業務を行なう。ほか前年度稼動を開始したデータ処理室の電子計算機の有効な活用をはかり、さらにSPF動物照射実験棟の完成に伴う体制の整備とともに、SPF動物生産のため施設の改造を行なう。かつ特殊動物専門官制度を設け、SPF動物に関する専門的技術のより一層の充実を期する。なお共同実験施設、機器のより一層の効率的な運用、実験動物の飼育環境の改善、ラジオアイソトープ使用実験施設における安全管理ならびにその利用の効率化に努め、現場における日常訓練の充実により、専門的支援体制の強化をはかる。

(1)技術業務関係では、サイクロトロンの建設にそなえて、サイクロトロン建設準備委員会において必要な検討をすすめるとともに、専門要員の養成に努める。またデータ処理室の電子計算機の稼働に伴い、関連機器の整備、要員の訓練、ソフトウエア関係の開発に努めるとともに計算機の効率的な活用をはかる。更に変電、空調機械などの基本施設、各種共同機器、放射線照射装置については、一層の効率的運用を期し、修理、更新などを長期的な計画のもとに推進する。

(2)放射線安全管理業務関係では、危険度に応じた重点的管理方式の一層の活用とともに、日常業務のマニアルを確立し、業務の合理化をはかる。またアルファ線棟のルーチン化に対処して、安全管理、廃棄物処理についての特別研究の成果の活用をはかる。なおサイクロトロン導入に伴う施設内外の放射線安全管理技術の開発につとめる。

(3)研究用動物の管理供給については、SPF動物照射実験棟の整備、近交系SPFマウスの作出のための現増殖設備の改造、専門技術者の育成等体制の強化をはかり、SPF動物実験の開始を促進する。なお通常実験動植物の生産環境および飼育環境についても、より一層の改善をはかるが、本年はとくに衛生面に重点をおく。



Ⅳ 養成訓練

 養成訓練部は、昭和34年度から前年度までに、下表のとおり、放射線防護短期課程、放射線利用医学短期課程、放射性薬剤短期課程およびRI生物学基礎医学短期課程を実施し各課程修了者の累計は1,099名に達した。
 本年度は運営経費として10,534千円を計上して養成訓練内容の整備を進め、関係方面との緊密な関連のもとに効率的な運営による研修効果の向上をはかる。
 本年度は、つぎのとおり、6回の短期課程を開設し、約130名の技術者を養成する予定である。

昭和44年度末

放射線防護短期課程 2回
(第22回) 昭和45年6月上旬~7月中旬
(第23回) 昭和45年10月下旬~12月中旬
放射線利用医学短期課程 2回
(第18回) (RI診断および放射線治療)
昭和45年8月下旬~10月上旬
(第19回) (RI診断)(2年以上経験者)
昭和46年1月下旬~2月下旬
放射性薬剤短期課程 1回
(第7回) 昭和45年4月中旬~5月下旬
RI生物学基礎医学短期課程 1回
(第6回) 昭和46年1月下旬~2月下旬

 なお、内外の養成訓練制度についての調査を進めるとともに研修成果の向上をはかるための必要な研究を行なう。



Ⅴ 診療

 病院部は、本年度運営費として42,465千円を計上し、本研究所の研究目目的にそい、次の診療を実施する。

(1)放射線障害者の診断および治療

(2)ラジオアイソトープの利用による各種疾病の診断(臓器の機能検査を含む。)ならびに治療

(3)高エネルギー放射線による悪性新生物の治療

 これらの業務を遂行するにあたっては、所内の各研究部、とくに臨床研究部および障害臨床研究部と協力して、診療に直結した調査研究を活発に実施するとともに経常研究はもちろん、特別研究、指定研究等にも積極的に参加して研究活動の推進をはかる。
 一方、所外の大学病院、国公立病院その他の医療機関との連けいを一そう緊密化して適切な患者の受入れの促進をはかる。
 また、本年度は入院患者の予算定床70、外来患者の1日予定数25でともに前年度どおりであるが、病床の効率的使用については十分留意し、さらに診療機器等の計画的な整備更新を行なうことによって診療、看護、検査、給食等業務全般の充実をはかる。
 なお、本年度中に診療の対象となるおもな患者は次のとおりである。

(1)ビキニ被災者、トロトラスト被投与者等の放射線被曝者、血液疾患患者

(2)ラジオアイソトープを利用して診療する運動器、循環器、呼吸器、消化器、神経系疾患患者および甲状腺疾患などの内分泌系疾患患者

(3)ヒューマンカウンタを使用して診断する代謝異常を示すと考えられる各種疾患患者

(4)高エネルギーエックス線(6MeVリニアック、31MeVベータトロン)その他の放射線の照射を適応とする悪性新生物などの患者


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