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動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の
設置に係る安全性について



昭和44年3月25日

原子力委員会
委員長  木内 四郎殿

再処理施設安全審査専門部会
部会長 高島 洋一  

動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の設置に係る安全性について

 昭和43年8月29日付け43原委第196号(昭和44年3月20日付け44原委第107号をもって一部訂正)をもって、審査の結果を求められた標記の件について、次のとおり結論をえたので報告します。




動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の設置に係る安全性について

昭和44年3月25日     
再処理施設安全審査専門部会



 Ⅰ 審査結果


 動力炉・核燃料開発事業団が天然ウランおよび低濃縮ウランの使用済燃料の再処理を目的として茨城県東海村に設置しようとする再処理施設に関し、同事業団が提出した「再処理施設の安全性に関する書類」(昭和43年8月13日付け提出および昭和44年3月20日付け一部訂正)に基づいて審査した結果、本再処理施設の設置に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。



 Ⅱ 審査内容


1 計画の概要

 本施設に係る再処理事業計画の概要は次のとおりである。

(1) 目的
 本施設は、主として、軽水冷却型およびガス冷却型動力炉からの使用済燃料の再処理を行なうものである。

(2) 位置
 本施設は、茨城県那珂郡東海村の動力炉・核燃料開発事業団東海事業所敷地内に置かれる。

(3) 使用済燃料の特性
 本施設において処理される燃料は、燃焼度約35,000MWD/t以下の天然ウラン燃料および濃縮度約4W/O以下の低濃縮ウラン燃料である。
 これらの使用済燃料は、天然ウラン燃料では1日当り平均燃焼度約3,900MWD/t以下、内蔵放射能約3×105ci以下、低濃縮ウラン燃料では1日当り平均燃焼度約28,000MWD/t以下、内蔵放射能約3×106ci以下で処理される。

(4) 処理能力
 本施設の処理能力は、1日当り最大約0.7トン(金属ウラン換算)であり、年間最大処理量は、210トン(金属ウラン換算)である。


2 敷地およびその環境

(1) 敷地
 本再処理施設の敷地は、茨城県那珂郡東海村の動力炉・核燃料開発事業団東海事業所敷地(約660,000m2)内の南東海岸寄りに位置し、同事業所の約1/3の面積を占める。
 本施設の敷地の北側の境界線に平行して、約10m隔てて新川が毎秒約0.6トンの流量で東方向へ流れ、海岸でやや南下して海に注いでいる。また、同敷地の東側の境界線は、海岸線と平行し、敷地境界から海岸線までの最短距離は約160mであり、その間は、なだらかに傾斜した砂浜である。本敷地は、海抜6mの平坦地で、海岸側の敷地の境界にはよう壁が設けられる。

(2) 地質
 本再処理施設の敷地一帯の地質状況は、ほゞ水平に近い基盤(第3紀層)の上に細砂等(洪積層および沖積層)の層が約5mの深さまで分布している。また、地耐力は、地表部(深さ約1mのところ)で10t/m2以上、基盤で80t/m2以上である。基盤は、主として細粒砂岩およびシルト岩であり、塊状で層理に乏しく、不透水層と認められている。
 敷地付近の地下水の水位は、現在の地表から1~5mで、東に向かって海に流れ、その流速は0.5~1.5m/dayである。
 東海村付近での地震については、過去59年間の水戸における観測では、震度6以上のものは記録されていない。

(3) 気象
 東海事業所および東海村周辺で観測された最近の資料によれば、本再処理施設敷地周辺の気象状態を示す主なものは、次のとおりである。
 年間の風向分布は、北東および北西の風が卓越しており、年別平均風速は3~5m/secであり、静穏時の出現割合は非常に少ない。
 大気安定度については、年間の出現頻度は、中立型(D型)が大部分を占め、E型およびF型は合わせて8%程度である。

(4) 海象
 東海村沖には、鹿島灘沖を北東に向かって流れる黒潮本流と釧路沖から金華山沖を南下する親潮との混合水域があり、季節によって多少の流路の変動が認められる。
 東海村海岸から約1km沖合(水深は10数m)の潮流の流向は、1年を通じて南北方向、特に北方向が多いが、東西流は非常に少ない。
 流速については、北流は大きく、南流は小さい。海面から中層5m程度までの平均流速は、10~15cm/secである。
 満潮時の潮位の上昇については、これまでの最高として、東京湾中等潮位から約1.41m(大洗港にて観測)であることが記録されており、また、地震による潮位の上昇については、最高として約1.06mであることが記録されている。

(5) 水利
 再処理施設の操業に必要な用水は、東海事業所の他の用水と同様に、阿漕が浦(貯水能力17万トン、年平均流量38t/secの久慈川から0.5t/secで取水)から供給される。即ち、阿漕が浦の取水場(取水能力毎時100トン)から、パイプ(延長2km直径150mm)で東海事業所構内の浄水場(最大浄水能力2,400t/day)に送水され、さらに、専用の工業用水池(2000m3)および給水処理施設を経て再処理施設に給水される。

(6) 社会的環境
 本施設の北方には、新川をはさんで、日本原子力研究所および日本原子力発電(株)の原子力施設があり、北西方には、約800mの距離に国立療養所がある。また、東海事業所の南側は米軍射爆場に面している。なお、同事業所の上空は、上記の原子力施設と同様原子力施設上空飛行禁止区域となっている。
 本施設の周辺の主な都市としては、南西8km付近に勝田市、西南西14km付近に水戸市、南方11km付近に那珂湊市、北方18km付近に日立市がある。
 本施設を中心とした人口分布は、1km以内に約800人、2km以内に約3,500人、3km以内に約5,100人、5km以内に約15,000人、10km以内に約120,000人、15km以内に約370,000人であり、南西方面から北北西の内陸側に集中している。
 東海村周辺市町村の主要農産物は、水稲、陸稲、麦、いも類であり、畜産も行なわれている。
 また、地先の海域では、シラス曳網、イナダ刺網等の漁業が行なわれている。



3 施設の概要

(1) 施設、建屋等の配置
 本再処理施設の建屋は、再処理の主工程である分離精製を行なう主建屋のほか、廃棄物処理工場、分析所、除染場、高放射性固体廃棄物貯蔵庫、スラッジ貯蔵庫等の付属建屋と、低放射性固体廃棄物貯蔵場、薬品貯槽等の施設から構成されている。
 これらの各建屋は、事業所敷地の北東部の海岸側に、主建屋を各付属建屋がとりまく形で配置される。主建屋の北側に、分析所および除染場がそれぞれ主建屋に隣接して配置され、これらのさらに北側に、道路を隔てて廃棄物処理工場およびスラッジ貯蔵庫が配置される。また、主建屋の南東側に、高放射性固体廃棄物貯蔵庫および低放射性固体廃棄物貯蔵場が配置される。
 さらに、上記の一群の建屋の外周には、道路をへだてて北側に、海岸側から順に、補修工場、資材庫、食堂および管理事務所が配置され、また、同じく道路をへだてて西側に、北側から薬品貯槽、ボンベ置場、油脂庫、車庫および汽缶室が配置される。
 なお、主排気筒は、主建屋の西側に設けられる。


(2) 建屋等の構造

(ⅰ) 主建屋(分離精製工場)
 主建屋においては、使用済燃料の受入れ、貯蔵、機械処理、分離および精製、ウラン脱硝、ウラン製品の貯蔵、プルトニウム製品の貯蔵、気体廃棄物の処理、高放射性の廃液の処理および貯蔵、中放射性の廃液の処理等が行なわれる。
 本建屋は、一部地下3階、地上6階、面積約5,030m2,L字形の鉄筋コンクリート構造とされる。
 また、建屋は、原則として、内側のコンクリートセルおよび外側の建屋壁の二重コンティメント構造とされる。
 上記の工程のための機器等は、大部分が地下1階から地上2階に設けられるコンクリートセルもしくはコンクリートプールの中に収められ、特に、燃料貯蔵プール、濃縮ウラン溶解セル、リワークセル、ウラン製品貯蔵セル、プルトニウム製品貯蔵セル、高放射性廃液貯蔵セル、溶解オフガス処理セル等は、ほとんど地下1階に収められる。
 使用済燃料貯蔵プールのコンクリート壁内面は、ステンレス鋼内張りとされる。各セルについては、底部などの必要部分には、ステンレス鋼内張りまたはドリップトレイが設けられ、その他の壁面には、耐放射性、耐化学薬品の塗装がほどこされ、また、操作に必要な部分には、のぞき窓が設けられる。セル壁の配管等の貫通部分およびセル出入口部分については、気密性が保持されるように設計される。
 本建屋の3階には、酸回収室、脱硝室、濃縮ウラン機械処理セル、除染保守セル、廃ガス貯蔵室、配電盤室、更衣室等が、4階には、ユティリティ室、電気計装保守室、排気フィルタ室等が、5階には、試薬調整室、中央制御室、排気ダクト室等が、6階には、試薬調整室、送風機室、排風機室、真空分配室等が設けられる。さらに、屋上には、ペントハウスがあり、そこには試薬調整室およびモータ室が置かれる。

(ⅱ) 付属建屋

(イ) 廃棄物処理場
 本処理場においては、分離精製工場から送られてくる低放射性の廃液の一時貯蔵、蒸発濃縮処理および化学処理、濃縮廃液の貯蔵、低放射性の固体廃棄物の処理ならびに低放射性の廃液の放出が行なわれる。
 本建屋は、一部地下1階、地上3階、面積約1,720m2の鉄筋コンクリート構造とされる。本建屋の地下1階には、低放射性廃液受取セル、低放射性廃液貯槽、放出廃液貯槽、廃液放出セル、濃縮廃液貯蔵セル、ポンプ室等が、また、地上1階には、低放射性の固体廃棄物の焼却室および圧縮処理室ならびに化学処理セル、蒸発処理セル、制御室、排気フィルタ室、安全管理分室等が設けられる。また、2階には、試薬調整室、排風機室、分電盤室、固体廃棄物固化処理室等が、さらに、3階には、人気室、フィルタ室、送風機室等が設けられる。

(ロ) 分析所
 分析所においては、本再処理工場の工程管理のための試料の分析、放射線、臨界、火災等に対する安全管理ならびに分離精製工場、除染場および廃棄物処理場への人の出入管理等が行なわれる。
 本建屋は、地下1階、地上3階、面積約2,000m2の鉄筋コンクリート構造とされ、本建屋地下には、廃液貯蔵セルのほか、ユティリティ室、人気室、排風機およびフィルタ室等が、1階には、分析セル室、各種分析室、除染室等が設けられる。さらに、2階には、安全管理室、事務室、更衣室、保健物理関係の部屋が、また、3階には、事務室、洗濯室、モニタリング室等が設けられる。

(ハ) 除染場
 本建屋には、汚染機器等を除染するための除染室が置かれ、地上2階、面積約780m2の鉄筋コンクリート構造とされる。

(ニ) 高放射性固体廃棄物貯蔵庫
 本建屋は、マグノックス被覆、ハルおよび汚染した機器類のためにそれぞれ設けられる3つの貯蔵庫からなり、面積約300m2の半地下セル構造とされる。

(ホ) 低放射性固体廃棄物貯蔵場
 本貯蔵場は、コンクリート床(約1,300m2)とし、周囲をさくで囲まれる。

(ヘ) スラッジ貯蔵場
 本建屋は、面積約400m2、鉄筋コンクリートの半地下構造とされる。

(ト) 主排気筒
 地上高さ約90m、最大外径8mで、鉄筋コンクリート構造とされる。

(チ) 海底放出管
 本放出管(1本)は、直径200mm、厚さ8mmの鋼管製であり、廃棄物処理場の地下1階から1km沖合まで設けられる。本放出管は、敷地内ではコンクリートトレンチに収められ、敷地境界から海岸線までは海底下2mの深さに、それから沖側の部分は海底下1m以上の深さに埋設される。

(3) 施設の耐震設計
 本施設の建屋、機器等の耐震設計は、次の方針に基づいて行なわれる。

(ⅰ) 建屋は、原則として剛構造とし、分離精製工場等の主要な建屋は、地耐力80t/m2以上の基盤で直接支持する。

(ⅱ) 施設の建屋、機器等をその重要度に応じてA(その機能喪失によって周辺公衆に災害を及ぼすおそれがあるもの)、B(高放射性物質に関するものでA類以外のもの)およびC(AおよびB類以外のもの)の3種類に分類し、このうち建屋については、それぞれ、建築基準法に定められた震度の3倍、1.5倍および1倍の地震力に対して安全であるように設計される。
 特に、A類の建屋については、建屋基礎底面における想定最大加速度180galの地震力に対し、また、機器類等については、A、BおよびCの各類について、それぞれ建屋基礎底面における想定最大加速度180gal,90galおよび60galの地震力に対し安全なものとする。

(ⅲ) 主排気筒については、基礎底面における最大加速度270galの地震力に対して安全なものとする。

(ⅳ) A類の建屋、すべての機器類および主排気筒については、動的解析をして、その安全性が確かめられる。


(4) 施設の耐火、耐爆性
 本施設の建屋は、原則的に鉄筋コンクリート構造とし、さらに、放射性物質を取り扱う場所は、必要に応じてコンクリートセルまたはこれに準ずる構築物によって包まれる構造とすることによって、耐火、耐爆性を持たせる。



4 工程および安全対策

 本施設の工程および安全対策は、以下に示すとおりであって、安全性は十分確保されるものと認められる。


(1) 受入、貯蔵

(ⅰ) 工程
 原子炉施設からの使用済燃料は、輸送キャスクに収められたまま、受入場の90トンクレーン設備によって運搬車からキャスク除染室に運ばれ、汚染を検査した後、必要に応じて除染して燃料取出しセルに運ばれる。同セルにおいて、20トンホイストによりキャスクのふたをはずし、使用済燃料が4トンクレーンでキャスクから取り出される。
 取り出された使用済燃料は、燃料移送設備によって、天然ウラン燃料は天然ウラン貯蔵プール(能力約84トン)に、低濃縮ウラン燃料は濃縮ウラン貯蔵プール(能力約64トン)に運ばれ、燃料バスケットに納められたまま貯蔵される。
 なお、天然ウランおよび低濃縮ウラン燃料の破損燃料は、密閉容器に封入された後、それぞれ天然ウラン貯蔵プールおよび濃縮ウラン貯蔵プール内で貯蔵される。
 また、空のキャスクは、汚染室で洗浄され、再び使用される。
 貯蔵プール内の天然ウラン燃料は、天然ウラン移動プールを経て、天然ウラン機械処理プールへ1本ずつ水中を通して送られる。また、低濃縮ウラン燃料は、濃縮ウラン移動プールを経て、濃縮ウラン機械処理セルへ1集合体ずつ送られる。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、放射線の直接被ばく、放射性物質の放出および低濃縮ウランの臨界が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 放射線の直接被ばく
(a) 燃料取出セルは、十分な放射線遮蔽能力を持ち、燃料の取出しは、セル外から遠隔操作で行なわれる。

(b) 貯蔵プールおよび移動プールは、その上面において、人が常時立ち入る場所の放射線量率が十分低くなるような水深を保てるように作られる。
 さらに、これらのプールには、水面の下降を知らせる警報装置が設けられる。

(c) 貯蔵プールおよび移動プールの水位の急激な下降を防ぐため、プール内には水の排出口は設けず、排水はポンプによって行なわれる。
(ロ) 放射性物質の放出
(a) 本施設に搬入される使用済燃料のうち、原子炉施設において検知された破損燃料は、原子炉施設において密閉容器に封入される。

(b) 本施設において検知された破損燃料は、密閉容器に封入した後、貯蔵プールに貯蔵される。

(c) 貯蔵プール、移動プールおよび機械処理プールの水質は、水処理設備により常時浄化される。
(ハ) 臨界
(a) 燃料がキャスクから取り出されるときおよび貯蔵プールから機械処理セルへ移動されるときは、1集合体ずつ取り扱われる。

(b) 貯蔵プール内での燃料集合体の貯蔵および取扱いにおける燃料集合体相互の間隔は、臨界に達しない一定の間隔以上になるように保たれる。

(2) 脱被覆、切断

(ⅰ) 工程
 天然ウラン燃料は、天然ウラン機械処理プールに設置される被覆先端切断装置、脱被覆処理装置等によって、水中で被覆等が除去される。
 除去された被覆等は、水中で廃棄物容器に納められ、高放射性固体廃棄物貯蔵庫へ送られる。
 マグノックス被覆天然ウラン燃料は、被覆を除去された後、天然ウラン溶解槽装荷プールに送られ、同プール内に一時貯蔵された後、1時間に2本ないし3本の割合で、溶解槽装荷設備によって1本ずつ溶解セル内の溶解槽に連続的に送られる。なお、アルミニウム被覆天然ウラン燃料は、被覆を除去された後、濃縮ウラン溶解槽装荷セルを経て、濃縮ウラン溶解セル内の濃縮ウラン溶解槽へ送られる。
 低濃縮ウラン燃料は、濃縮ウラン機械処理セルに設けられるのこびき装置により、集合体端末部分を切断除去され、次いで、集合体要素は、せん断機により、小片にせん断される。
 せん断された燃料は、濃縮ウラン溶解槽装荷セル内の装荷設備によって、濃縮ウラン溶解槽(回分式)へ送られる。
 機械処理セル内で生じる集合体端末部分等の固体廃棄物は、同セル内で廃棄物容器に納められ、高放射性固体廃棄物貯蔵庫へ送られる。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、放射線の直接被ばく、放射性物質の放出、低濃縮ウランの臨界および火災、爆発が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 放射線の直接被ばく
(a) 天然ウラン機械処理プールは、その上面において、人が常時立ち入る場所の放射線量率が十分低くなるような水深を保てるように作られる。
 さらに、同プールには、水面の下降を知らせる警報装置が設けられる。

(b) 天然ウラン機械処理プールの水位の急激な下降を防ぐため、同プール内には水の排出口は設けず、排水はポンプによって行なわれる。

(c) 低濃縮ウラン燃料の取扱いは、十分な放射線遮蔽能力を持つセル内で、遠隔操作によって行なわれる。
(ロ) 放射性物質の放出
(a) 本工程に持ち込まれる以前に、天然ウランおよび低濃縮ウラン燃料は、ともに十分な冷却期間が置かれる。

(b) 天然ウラン燃料の機械処理は、機械処理プールの水中で行なわれ、同プールの水質は、水処理設備によって一定に保持される。

(c) 濃縮ウラン機械処理セル内の燃料せん断操作中に発生する気体廃棄物は、専用の換気系によって捕集され、掛気処理系へ送られる。

(d) 天然ウラン機械処理プールおよび濃縮ウラン機械処理セル内で生じた固体廃棄物は、容器に納められ、高放射性固体廃棄物貯蔵庫へ送られる。
(ハ) 臨界
(a) 機械処理は、1集合体ずつ行なわれる。

(b) せん断された燃料小片は、貯蔵されることなく、分配器によって溶解槽へ送られる。
(ニ) 火災、爆発
(a) 天然ウランの場合は、機械処理装置等がその操作中に水面から露出しないように水深が保持される。

(b) 低濃縮ウラン燃料の端末部分ののこびき操作は、操作員によって監視されながら行なわれる。のこびき操作によって生成するのこくずは、強制的に燃焼させられる。酸化されたのこくずは、集合体端末部分とともに廃棄物容器に水とともに納められ、高放射性固体廃棄物貯蔵庫に送って水中に貯蔵される。

(c) 濃縮ウラン機械処理セルに、火災感知器、消火設備、警報装置および観察設備が設けられる。

(3) 溶解

(ⅰ) 工程
 マグノックス被覆を除去された天然ウラン燃料は、天然ウラン溶解セル内の溶解槽(約2,000l×1基)において、硝酸で連続的に溶解される。
 低濃縮ウラン燃料は、燃料装荷バスケットに入れて濃縮ウラン溶解セル内の溶解槽(回分式、約850l×3基/3セル)に装荷され、そこで硝酸により燃料部分のみ浸出溶解される。
 いずれの場合も、溶解中には酸素を吹き込んで、酸化窒素類の酸化を行なう。溶解槽溶液は、給液調整セル内の溶解槽溶液受槽(約2,400l×1基)へ送られる。
 なお、天然ウラン燃料と低濃縮ウラン燃料の溶解処理が同時に行なわれることはない。
 低濃縮ウラン燃料を溶解した後残った被覆片は、洗浄された後取り出され、検査された後、廃棄物容器に納められて、天然ウラン機械処理プールを経て高放射性固体廃棄物貯蔵庫へ送られる。
 なお、アルミニウム被覆を除去された天然ウラン燃料の溶解には、濃縮ウラン溶解槽が使用される。また、天然ウラン溶解槽が故障した場合およびマグノックス被覆変形燃料の化学的脱被覆処理を行なう場合には、濃縮ウラン溶解槽の使用が可能である。
(ⅱ) 安全対策

 本工程においては、低濃縮ウランの臨界および溶解槽の内圧の異常が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 臨界
 溶解槽、燃料装荷バスケット、溶解槽溶液受槽および洗浄液受槽は、全濃度安全形状設計とされる。

(ロ) 溶解槽の異常
(a) 溶解槽圧力、冷却水温度、排気中の放射性物質の濃度等は、常時臨視される。

(b) 溶解槽内圧力の異常が発生した場合には、蒸気の供給の自動停止、冷却水による冷却および硝酸の供給停止が行なわれる。
 また、さらに圧力の上昇が認められる場合には、安全ベッセルの水が構内に注入され、反応は冷却停止される。

(c) 濃縮ウラン溶解槽の場合には、さらに溶解槽内部の定期的な洗浄が行なわれ、ジルコニウムくずの槽内蓄積が防止される。

(4) 給液調整、計量

(ⅰ) 工程
 給液調整セルに送られた溶解槽からの溶液は、まず溶解槽溶液受槽に入って希釈され、液体サイクロンで清澄された後、調整槽(約3,000l×1基)に送られ、酸濃度等の調整および計量が行なわれた後、供給槽(約3,500l×1基)に送られる。次いで、供給槽の溶液は、分離第1セル内の分離系へ連続的に供給される。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、臨界が問題となるが、これについては次の対策が講じられる。

(a) 溶解液は、全濃度安全形状設計の溶解槽溶液受槽において、安全濃度に希釈された後、調整槽および給液槽へ送られる。

(b) 濃度が設定値を越した場合は、溶解槽溶液受槽に設けられた蒸気エゼクタが自動的に停止し、調整槽への給液の供給を停止する。

(c) プルトニウムの沈澱物の生成を防ぐために、酸の濃度が監視される。

(5) 抽出分離

(ⅰ) 工程

(イ) 分離第1サイクル
 供給槽から分離第1セル内の分離第1抽出器(ミキサセトラ)に連続的に供給される燃料溶液の中のウランおよびプルトニウムは、有機溶媒(TBP30%、ドデカン70%)によって、有機相中に抽出分離される。大部分の核分裂生成物は、水相に残され、給液調整セル中の高放射性廃液中間受槽(約5,000l×2基)を経て、高放射性廃液処理系へ送られる。
 ウランおよびプルトニウムを含む有機相は、分離第2セル内の分離第2抽出器へ連続的に供給され、ここで、ウランおよびプルトニウムは、硝酸溶液によって水相中に逆抽出される。

(ロ) 分離第2サイクル
 このウランおよびプルトニウムを含む水相は、調整槽(約75l×1基)において酸度が調整された後、中間貯槽(約4,000l×1基において希釈され、同セル内の分離第3抽出器へ連続的に供給され、ここで、その中のウランおよびプルトニウムは、有機溶媒によって有機相中に抽出分離される。少量の核分裂生成物を含む水相は、酸回収中間受槽(約15,000l×2基)を経て、中放射性廃液処理系へ送られる。
 ウランおよびプルトニウムを含む有機槽は、続いて分離第4抽出器に送られ、プルトニウムは、ここで硝酸ウラナス-ヒドラジン混合溶液によって還元されて水相中に移り、プルトニウム精製セル内のプルトニウム精製工程へ送られる。
 一方、ウランを含む有機相は、分離第4抽出器から分離第5抽出器へ送られ、硝酸溶液によってウランは水相中に逆抽出される。このウランを含む水相は、ウラン精製セルへ送られる。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、有機溶媒による火災および臨界が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 有機溶媒による火災
(a) 有機溶媒としては、比較的引火点が高く、かつ、放射線分解の少ないTBP(引火点146℃)およびドデカン(引火点74℃が使用される。

(b) 工程温度は、室温ないし40℃程度(溶媒洗浄系のみ約60℃)に維持される。

(c) 防爆型装置の使用および装置の接地のほか、セル内の換気設備、火災感知器、消火設備および警報装置等が設けられる。

(d) 有機溶媒は、専用倉庫から、工程に必要な量だけ供給される。
 また、工程での放射線分解による生成物は、溶媒洗浄系において酸およびアルカリで洗浄され、除去される。
(ロ) 臨界
(a) 抽出器(第1~第5)は、制限濃度安全形状寸法で設計される。

(b) 調整槽および中間貯槽では、溶液の濃度が制限される。

(c) 抽出器の溶液の濃度の変動は、ウランについては密度の連続測定および化学分析によって、プルトニウムについては中性子およびγ線の連続測定および化学分析によって、それぞれ監視される。

(6) 精製、濃縮および脱硝

(ⅰ) 工程

(イ) プルトニウムの精製
 分離第4抽出器から供給されるプルトニウムを含む水相は、連続的に酸度が調整され、プルトニウム精製セル内の中間貯槽(1,000l×1基)に送られる。次いで、この水相は、酸化塔(1基)および空気吹込塔(2基)を経ることにより抽出条件を調整された後、プルトニウム精製第1抽出器に連続的に供給され、そこで、有機溶媒によって、プルトニウムが有機相中に抽出される。水相は、酸回収中間貯槽を経て中放射性廃液処理系へ送られる。
 次いで、プルトニウムを含む有機相は、プルトニウム精製第2抽出器へ達続的に供給され、そこで、プルトニウムは、硝酸ウラナス-ヒドラジン混合溶液によって水相に逆抽出されて蒸発缶供給槽に連続的に供給される。
 このプルトニウム溶液は、プルトニウム濃縮セル内のプルトニウム蒸発缶に回分的に送られて蒸発濃縮された後、プルトニウム濃縮液受槽(50l×2基)へ送られ、さらに、プルトニウム製品貯蔵セルへ送られる。
 なお、蒸発缶系から生じる凝縮液は中放射性廃液処理系へ送られる。

(ロ) ウランの精製、脱硝
 分離第5抽出器から供給されるウランを含む水相は、ウラン精製セル内の中間貯槽(4,000l×1基)を経てウラン精製第1抽出器に連続的に供給され、ウランが有機相中に抽出される。水相は、中放射性廃液処理系へ送られる。
 ウランを含む有機相は、ウラン精製第2抽出器へ送られ、ウランは、硝酸溶液によって水相中に逆抽出され,ウラン濃縮脱硝室内の蒸発缶供給槽(約3,000l×1基)を経て、蒸発缶(第1段)へ連続的に供給される。
 この濃縮液は、濃縮液受槽(750l×1基)、希釈槽(750l×1基)および供給槽(750l×1基)を経て、蒸発缶(第2段)に供給される。ここで蒸発濃縮された硝酸ウラニル溶液は、脱硝塔供給槽(150l×1基)を経て、脱硝塔(流動床式1基)に連続的に供給され、ここで脱硝されて三酸化ウラン粉末になる。
 脱硝された三酸化ウラン粉末は、容器に詰められ、ウラン製品貯蔵セルへ送られる。
 脱硝塔からの排気は、洗浄塔を経て槽類換気系へ送られる。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、臨界および火災、爆発が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 臨界
(a) プルトニウム精製系については、精製抽出器(第1、第2)およびその前後の中間貯槽は、制限濃度安全形状寸法で設計され、酸化塔、空気吹込塔、蒸発缶、コンデンサ、蒸発濃縮液の中間受槽ならびにプルトニウム再精製用の循環槽および希釈槽は、全濃度安全形状寸法で設計される。

(b) ウラン精製脱硝系については、精製抽出器(第1、第2)は制限濃度安全形状寸法で設計され、蒸発缶(第1段、第2段)コンデンサ(第1、第2)、蒸発濃縮液の中間受槽(第1、第2)希釈槽、給液槽および脱硝塔は、全濃度安全形状寸法で設計される。

(c) 抽出器の溶液の濃度変動は、抽出分離工程の場合と同様に、常時監視される。

(d) 第1段ウラン蒸発缶には、液面の異常上昇を自動的に防止する装置が二重に設けられる。
(ロ) 火災、爆発
(a) 蒸発缶に混入したTBPと硝酸または硝酸塩等のために、TBPがニトロ化反応を起して爆発するのを防止するため、蒸発缶給液は、トデカンによって洗浄される。また、蒸発缶供給槽において比重差を利用して分離することにより、TBPが十分に除去される。さらに、蒸発缶加熱用蒸気の飽和温度は、上記の反応を起す温度に達しないよう自動的に維持される。

(b) 有機溶媒の使用に伴う火災防止については、抽出分離工程の場合と同様の対策が考慮されている。

(7) 硝酸回収

(ⅰ) 工程
 抽出分離(分離第3抽出器)、ウラン精製(ウラン第1抽出器)、プルトニウム精製(プルトニウム第1抽出器)の各工程からの抽出残液(水槽)は、それぞれ廃液洗浄器(ミキサセトラ)においてドデカンによりTBPが除去された後、連続的に酸回収セル内の中間貯槽(15,000l×2基)に送られる。
 また、ウラン脱硝系、高放射性廃液処理系、濃縮ウラン溶解オフガス処理系およびプルトニウム蒸発系からの廃液は、上記の洗浄済み廃液とともに、上記の中間貯槽に送られる。
 これらの廃液は、酸回収蒸発缶(1基)供給されて蒸気濃縮される。蒸発缶の気相は、酸回収室の蒸溜塔(1基)に送られ、回収された硝酸は、試薬調整系に送られた後再使用される。また、蒸発缶の缶残濃縮液は、高放射性廃液処理系へ送られる。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、蒸発缶におけるTBPと硝酸による爆発および臨界が問題となるが、前者については、精製、濃縮工程の場合と同様の対策が講じられ、後者については、分析によって蒸発缶給液のウランおよびプルトニウムの濃度が確認される。


(8) 溶媒回収

(ⅰ) 工程
 分離第1サイクル(第2抽出器)、同第2サイクル(第5抽出器)およびウラン精製サイクル(ウラン第2抽出器)で、使用された有機溶媒は、それぞれ分離第2セル分離第3セルおよびウラン精製セル内の溶媒洗浄器(ミキサセトラ)(各1基)によって洗浄され、それぞれのサイクルによって再使用される。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、臨界および有機溶媒の火災が問題となるが、前者については、溶媒洗浄器が制限濃度安全形状寸法で設計され、後者については、抽出分離工程の場合と同様の有機溶媒の使用に伴う火災の防止対策が講じられる。


(9) 製品貯蔵

(ⅰ) 工程
 精製工程で得られた硝酸プルトニウム溶液は、配管によって、プルトニウム製品貯蔵セル内の製品貯槽(700l×3基、貯蔵能力計約0.5トン(金属プルトニウム換算))に送られて貯蔵される。
 また、ウラン脱硝工程で得られた三酸化ウラン粉末は、容器に納められて、ウラン製品貯蔵セル(貯蔵能力天然ウラン約25トンおよび濃縮ウラン約8トン。いずれも金属ウラン換算)内に貯蔵される。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、製品の取扱いに伴う放射線の直接被ばく、放射性物質の放出および臨界が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 放射線の直接被ばくおよび放射性物質の放出。
(a) プルトニウムは、貯蔵セルまで配管で送られ、同セル内の製品貯槽からの取出し操作は、グローブボックスにおいて行なわれる。

(b) ウラン製品は、密閉容器に納めて取り扱われる。
(ロ) 臨界
(a)プルトニウム製品貯槽は、制限濃度安全形状寸法で設計され、その内側はカドミウム張りとされ、沈澱が生じても臨界に達しないよう設計される。なお、洗浄器は、全濃度安全形状寸法で設計される。

(b) ウラン製品は、濃縮度に応じた安全形状寸法の容器に納められ、臨界に達しない一定の間隔を保持してウラン製品貯蔵セルに貯蔵される。

(10) 放射性気体廃棄物の処理

(ⅰ) 工程
 放射性物質を含む排気は、5-(2)で述べる槽類換気系およびセル換気系の除染設備によって、次のとおり処理される。
 燃料せん断工程からの排気は、フィルタを経て、溶解ケフガス処理セル内の洗浄塔(1基)に送られ、ここで洗浄される。また、燃料溶解工程からの排気は、酸吸収塔(1基)および洗浄塔(1基)で除染される。なお、この排気系には、廃ガス貯槽(7m3×2基、4m3×1基。いずれも10kg/cm2)が設置される。
 これらの排気は、それぞれさらにフィルタを経て他の槽類換気系(洗浄済み)からの排気と合流する。
 高放射性廃液貯槽からの排気は、高放射性廃液オフガス処理セル内にある洗浄塔およびフィルタを経て、他の槽類換気系からの排気洗浄済み)と合流する。
 槽類換気系からの排気については、プルトニウム製品貯槽からのものは洗浄塔1基を経てプルトニウム精製濃縮工程からの排気と合流した後さらに洗浄塔1基を経て、ウラン脱硝工程からのものはフィルタおよび吸収塔を経て、高放射性廃液濃縮工程からのものは吸収塔を経て、それぞれ他の工程(分離、ウラン精製、濃縮、酸回収等)からの排気と合流する。
 この合流した排気は、洗浄塔およびフィルタを経て、さらに上記の燃料せん断溶解工程オフガン系および高放射性廃液貯蔵オフガス系からの排気と合流し、セル換気系のフィルタを経て主排気筒から放出される。

(ⅱ) 安全対策
 本工程において、放射性物質の異常放出が問題となるが、これについては次の対策が講じられる。

(a) 換気系は負圧を維持し、汚染の可能性の低い方から高い方へ換気が流れるように設計される。

(b) 燃料せん断工程および溶解工程からのオフガス処理系には、廃ガス貯槽が設けられる。

(c) フィルタの破損、目詰り等が発生した場合には、直ちに検出される。

(d) 換気系には、各々予備の排風機およびフィルタが設けられ、停電時には非常用電源が使用される。

(11) 放射性液体廃棄物の処理

(ⅰ) 工程
 高放射性の廃液である分離第1サイクル(分離第1抽出器および第1溶媒回収系)からの廃液および酸回収系の缶残濃縮液は、高放射性廃液濃縮セルの蒸発缶(3,000l×2基/2セル)に送られ、そこでホルマリン溶液が加えられて硝酸が分解されるとともに蒸発濃縮された後、高放射性廃液貯蔵セル(2セル)内の貯槽(90m3×4基(うち1基は予備))に貯蔵される。
 中放射性の廃液は、抽出分離(分離第2サイクル)、ウラン精製およびプルトニウム精製の各工程からの抽出残液と、高放射性廃液処理系、ウラン脱硝系、濃縮ウラン溶解オフガス処理系およびプルトニウム蒸発系からの廃液とからなる。これらの廃液のうち、抽出残液は希釈剤による洗浄処理を受けて中間貯槽に送られた後、また、その他のものはそのまま中間貯槽に送られた後,いずれも酸回収蒸発缶に送られて蒸発濃縮される。蒸発缶の缶残濃縮液は、上記の高放射性廃液処理系へ戻される。
 低放射性の廃液(上記の放射性廃液および一般雑用水を除く。)は、各建屋の中間貯槽に貯められた後、廃棄物処理場の低放射性受取セル内の廃液貯槽(200m3×5基、40m3×3基、25m3×2基)に送られる。
 このうち、オフガス洗浄廃液、溶媒洗浄廃液等は蒸発缶で処理され、缶残濃縮液は低放射性廃液セルの貯槽(250m3×3基)に貯蔵される。
 また、蒸発缶蒸溜分は、中和された後、放出廃液貯槽(200m3×3基)へ送られ、モニタリングされた後、放出管を経て放出される。
 その他のものは、化学沈澱処理され、その処理済み廃液は放出廃液貯槽に送られて、上記と同様の過程で海へ放出される。一方、ここで発生する低放射性スラッジは、スラッジ貯蔵所のスラッジ貯槽(1,000m3×2基)に貯蔵される。
 そのほか、使用済溶媒は、貯槽(20m3×2基)に貯蔵される。
 以上の工程および低放射性の廃液の貯蔵設備が3日分の容量を有していることからみて、低放射性の廃液の放出限度を一日最大1Ci以下、3カ月最大65Ci以下とすることは可能であると認められる。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、放射性物質の放出および爆発が問題となるが、これらについては次の対策が講じられる。

(イ) 放射性物質の放出
(a) 高放射性の廃液は、腐蝕しろを十分とった極低炭素のステンレス鋼の高放射性廃液貯槽に半永久的に貯蔵される。また、この貯槽は、水密構造で、ドリップトレイが設けられたセル内に収められる。

(b) 放射性物質を放出する可能性がある槽類および機械類を収容するセルには、ステンレス鋼のライニングまたはドリップトレイが設けられる。

(c) 槽類からの漏洩は常時監視される。

(d) 放射性廃液用の配管には、極低または低炭素のステンレス鋼が使用され、腐蝕しろは十分とって設計される。

(e) 高放射性の廃液用の配管トレンチには、ステンレス製といが設けられ、漏洩液は、トレンチ内のますに集められて監視される。
(ロ) 爆発
(a) 高放射性廃液蒸発缶については、硝酸-ホルムアルデヒド反応に伴う爆発の防止対策として、反応中の温度、圧力、酸度、ホルムアルデヒド流量等の制御が十分に行なわれる。万一、温度、圧力等の異常を検知した場合には、直ちにホルマリンの注入が停止される。
 また、試薬調整系と蒸発缶の間の注入系は気密構造とし、注入端は液面下に設けられる。

(b) 高放射性の廃液の貯蔵中に廃液が放射線分解によって水素を発生させることによる爆発の防止対策として、装置の接地および貯槽室間の換気が行なわれる。

(12) 放射性固体廃棄物の処理

(ⅰ) 工程
 脱被覆、溶解等の工程で取り除かれた被覆材およびその他の汚染度の高い機器材等は、高放射性の固体廃棄物として、高放射性固体廃棄物貯蔵庫(マグノックス被覆貯蔵庫400m3×2基、ハル貯蔵庫400m3×1基および汚染機器貯蔵庫)に貯蔵される。この場合、天然ウラン燃料の被覆材等はそのまま貯蔵されるが、濃縮ウラン燃料のハルやジルコニウム片等は水中に貯蔵される。
 低放射性の固体廃棄物は、廃棄物処理場に運ばれ、そこで、可燃性のもの、圧縮容易なものおよびその他のものに分けられ、焼却炉(1基)、圧縮機(1基)、切断機(1基)およびコンクリート固化装置(1式)によって、それぞれ焼却処理、圧縮処理、切断およびコンクリート固化処理が行なわれる。処理された廃棄物は、ドラム缶に詰められ、低放射性固体廃棄物貯蔵場に送られて貯蔵される。

(ⅱ) 安全対策
 本工程においては、機械処理工程から排出されるジルコニウムくずやハル等の固体廃棄物の火災が問題となるが、これらの可燃性固体廃棄物は、水中で廃棄物容器に納められ、高放射性固体廃棄物貯蔵庫において水中貯蔵される。



5 主な付属設備の概要

 本施設には、付属設備として次のような設備が設けられ、施設の安全な運転が維持される。


(1) 工程管理設備
 臨界や火災爆発等の工程における事故を防止し、工程を円滑に進めるに必要な管理を行なうため、分析設備および計装設備が設けられる。

(ⅰ) 分析設備
 工程の要所に分析試料採取設備が設けられ、空気圧送方式により試料を分析所に送り、試料中のウラン、プルトニウム、核分裂生成物の量酸度等を分析する。その結果は各制御室に送られ、工程の管理に利用される。分析所には上記の分析を行なうため、分析用セルおよび各種分析機器が設けられる。

(ⅱ) 計装設備
 空気圧縮の計装設備または電気式の計装設備が工程の要所に設けられ、液面、密度、圧力、温度、流量、電導度、放射線量等が測定される。分離精製工場には、燃料受入れ・貯蔵操作制御室および中央制御室が設けられ、また、廃棄物処理場および分析所にもそれぞれ制御室が設けられる。これらの制御室には、工程を集中管理する計装設備が置かれる。


(2) 換気設備
 建屋内の換気のため、主建屋に、建屋換気系、セル換気系および槽類換気系が設けられる。建屋内は、ホワイト(汚染のない区域)、グリーン(平常運転時には汚染のない区域)、アンバー(若干の汚染のおそれがある区域)およびレッド(汚染のおそれのあるいわゆるホット区域)の4つに区分され、換気は汚染の可能性の低い方から高い方へ流れるように設計される。

(ⅰ) 建屋換気系
 本系は、グリーンおよびアンバー各区域の換気を行なうものであり、全換気系への空気供給系も含まれる。
 空気供給系には給気ファン・フィルタ、ヒータ等が、また、アンバー区域の排気系には高性能フィルタが設けられる。さらに、ダンパが設けられて、逆流を防止するように設計される。

(ⅱ) セル換気系
 本系は、レッド区域の換気を行なうもので、給気系には、汚染の程度に応じて、必要な箇所にダンパおよび特殊逆止弁が設けられ、万一セル内に事故が発生した場合、汚染の逆流を防止することができるような構造とされる。排気系には直列2重の高性能フィルタが設けられる。

(ⅲ) 槽類換気系
 本系は、溶解槽、高放射性廃液貯槽等の槽類からの排気を処理するもので、排気系には、洗浄塔および高性能フィルタが設けられ、さらに、セル換気系の高性能フィルタを通して排気されるよう設計される。
 これらの換気系からの排気は、いずれも海抜約95メートルの主排気筒から大気中に放出される。
 主建屋以外の建屋については、主建屋に準じた換気設備が設けられ、排気は、主排気筒および各建屋に必要に応じて設けられる独立の排気施設を通じて放出される。


(3) 放射線管理設備
 施設内および敷地周辺の放射線管理のために次の設備が設けられる。

(ⅰ) 屋内管理用設備
 屋内には、ダストモニタ、γ線および中性子モニタ、臨界警報装置等の放射線監視設備が設けられるほか、各種サーベイメータ、宋モニタ等が準備される。
 これらの機器は、東海事業所内に備えられる校正用設備によって、その性能を常時正常に保つよう校正が行なわれる。

(ⅱ) 個人管理用設備
 フィルムバッヂ、ポケット線量計、臨界事故線量計等の個人被ばく管理用機器およびこれらの機器の校正用設備が準備される。
 また、東海事業所内に設けられる検査室、バイオアッセイ器具等により、内部被ばくの管理が行なわれる。

(ⅲ) 屋外管理用設備
 施設から放出される排気、排水中の放射能の測定のため、排気モニタリング設備および排水モニタリング設備が設けられる。
 屋外の積算空間放射線量の測定のために、施設内外に10箇所のモニタリングポイントが置かれ、ガラス線量計または熱発光線量計が設置されるほか、空気中の放射性ダストの濃度を測定するため、施設周辺に3箇所のサンプリングポストが設けられる。
 このほか、各所における空間線量率、表土、陸水、農産物等の汚染を監視するため、モニタリングカーが備えられる。海域については、海水、海産物、漁具、海岸砂等の汚染の状態を定期的に調査するため、モニタリングボートが準備される。


(4) 安全管理設備
 工程における臨界、火災、爆発の検知および施設内における放射線量の測定、火災の検知等のための警報装置を安全管理室において集中的に監視するため、また、警報を関連場所に通報するため、同室にパネルが設けられる。


(5) 除染設備
 施設内に生じる各種の汚染機器を除染するため除染場が設けられる。このほか、使用済燃料受入場にはキャスク除染設備が、また、濃縮ウラン機械処理工程において生じる汚染機器等の除染のためには除染保守セルが設けられる。
 セルには、必要に応じて装置および内壁を除染できるようにそれぞれスプレー系が設けられるほか、主要装置内部の除染のための配管が設けられる。


(6) 給水設備
 本施設の用水は、阿漕が浦からの取水約2,400m3/dayおよび施設内の井戸水800m3/dayによりまかなわれる。
 本施設における1日当りの水の使用量は、約1,200m3/dayであり、その供給には十分余裕がある。
 これらの水を施設に供給するために、工業用水池(約2,000m3)、給水処理装置等が設けられる。


(7) 電源設備
 本施設の電源は、通常は商用電源によりまかなわれるが、非常用として、ディーゼル発電機(1,000KVA×2基)および蓄電池が設けられる。
 停電時には、臨界モニタ等の安全計器等は蓄電池に接続され、また、高放射性廃液関係設備や主工程関係設備の換気系等は、ディーゼル発電機に接続される。


(8) その他の付属設備
 以上のほか、本施設には、工程の加熱源および暖房用蒸気源としてボイラ(10t/h、13kg/cm2×4基)、計装用圧縮空気源として圧縮機(600Nm3/h、10kg/cm2×2台)ならびに工程用圧縮空気源として圧縮機(1,500Nm3/h、7kg/cm2×2台)が設けられる。



6 放射性廃棄物の処分とその周辺に対する影響

(1) 気体廃棄物
 本施設から生ずる気体廃棄物の主なものは、溶解槽からの排気、機械処理工場からの排気、高放射性廃液貯槽からの排気、高放射性廃液蒸発缶からの排気およびセル排気である。これらの排気は、4(10)の項で述べた処理が行なわれた後、放射性物質の濃度を監視されながら、主排気筒から大気中へ放出される。放出に際し静穏時等の気象条件が適当でない場合には、溶解槽からの排気約1日分および機械処理工程からの排気約半日分は廃ガス貯槽に貯蔵され、適当な気象条件をみはからって放出される。
 本施設から放出される排気中の放射性物質の量は、濃縮度4W/o、燃焼度28,000MWD/t、比出力35MW/t、冷却日数180日の燃料のみを、1日当り0.7トンで年間300日処理すると仮定した場合、1日当り約8,000Ciである。本施設では、天然ウラン燃料や燃焼度の低い低濃縮ウラン燃料もあわせて処理されるので、実際の放出量は、仮定をさらに下回ると考えられる。
 平常運転時において、先に仮定した放出量で放出されるこれら気体廃棄物による周辺公衆への影響について評価を行なったが、その結果は次のとおりである。
 放出される放射性物質の量の内訳は、1日当りKr-85 8.0×103Ci、H-3 4.9×10Ci、Ⅰ-129 1.5×10-4Ci、Ⅰ一131 1.44×10-3Ci、Xe-133 1.76×10-4Ciであり、現地の気象データーをもとに「原子炉安全解析のための気象手引」を参考にして計算した結果、最大の濃度があらわれる地点は主排気筒から約2kmの地点であり、その地点における被ばく線量は、全身に対し32ミリレム/年、甲状腺(成人)に対し0.03ミリレム/年となり、法令に定める周辺監視区域外における許容被ばく線量500ミリレム/年に比して十分低い。


(2) 液体廃棄物
 本施設において発生する液体廃棄物は、放射線のレベルに応じて4(11)に述べたようにそれぞれ処理される。
 施設外へ放出される低放射性の廃液は、放出廃液貯槽において放射性物質の濃度を測定した後、放出管を通して沖合約1kmの海底(水深約10m)から海中に放出される。
 本施設から放出される液体廃棄物中の放射性物質の量については、濃縮度4W/O燃焼度28,000MWD/t比出力35MW/t、冷却日数180日の燃料のみを、1日当り0.7トンで年間300日処理した場合、年間に放出される放射性物質の量は260Ci以下である。放出に当たっては、3カ月で65Ci以下、1日当り最大1Ci以下に抑えられ、1日平均約0.7Ciである。平常運転時において放出される液体廃棄物中の放射性物質の量を0.7Ciとして、これらの液体廃棄物が海産物を通して周辺公衆に与える内部被ばくおよび海水、海浜の秒、船体、漁網等を通して周辺公衆に与える外部被ばくについて試価した。その結果は次のとおりである。
 この場合、内部被ばくの評価に用いた海産物としては、東海村付近の海産物のうち、内部被ばくが最大になると考えられるシラスをとりあげ、さらに、これに藻類が加えられており、また、外部被ばくについては、東海村付近における海水浴および漁業の動向に基づき、全体として十分に安全側になるように拡散条件、濃縮係数、摂取量、流通の効果等の諸因子が想定されている。
 以上の想定から計算した結果、内部被ばくについては、胃腸管に対し53ミリレム/年、骨に対し21.4ミリレム/年、全身に対し2.1ミリレム/年となり、また、外部被ばくについては、全身に対し9.6ミリレム/年、手に対し130ミリレム/年となる。
 これらの値は、国際放射線防護委員会(ICRP)の示す公衆の構成員に対する線量限度を十分下まわっており、また、昭和44年2月6日付けの放射線審議会の答申にも適合している。
 なお、低放射性の廃液の海域への放出については、昭和41年7月7日付け原子力委員会決定に従って、引き続き調査研究が進められることとなっているが、さらに、本施設の操業に際しては、上記放射線審議会答申にも示されているとおり、周辺環境に関する監視の結果を公正に評価するための権威ある中央機関があらかじめ整備されなければならないと考える。


(3) 固体廃棄物
 本施設において生じる固体廃棄物は、放射線のレベルに応じて、それぞれ4(12)に述べたように処理され、高放射性の固体廃棄物は高放射性固体廃棄物貯蔵庫に、低放射性の固体廃棄物は低放射性固体廃棄物貯蔵場に貯蔵される。したがって、固体廃棄物は、施設外に搬出されることはなく、周辺公衆への影響は問題とならない。



7 放射線管理

 本施設においては、次のように放射線の管理が行なわれる。


(1) 施設内
 施設内は、平常運転時における空気中の放射線量率、放射性物質の水中濃度および物品等の表面汚染の程度に応じて管理区域が設けられ、さらに、管理区域は、区域内の汚染および外部放射線量率の程度により、グリーン(1.25ミリレム/時以下)、アンバー(50ミリレム/時以下)およびレッド(50ミリレム/時以上)の各区域に分けられる。
 管理区域の周囲には、周辺監視区域が設定され、東海事業所敷地内のほぼ全域がこれに含まれる。
 施設内は、全域にわたって固定式または半固定式のエリヤモニタ等の放射線監視装置が設置され、空間線量率等の連続的な測定が行なわれて、安全管理室において集中的に監視されるほか、可搬式の各種サーベイメータによって随時各所における測定が行なわれる。管理区域の出入または物品の搬出については、厳重な出入管理、作業時間の制限、放射線の監視等が行なわれ、作業者の被ばく線量が法令に定める許容線量を十分下回るよう管理される。


(2) 敷地およびその周辺

(ⅰ) 陸上
 主排気筒から排出される気体廃棄物は、モニタにより連続監視され、法令に定める周辺監視区域外の許容被ばく線量をこえないように放出される。また、敷出内外におかれる10箇所のモニタリングポイントおよび3箇所のサンプリングポストで空間の放射線量および空気中の放射性ダストの監視が行なわれる。
 このほか、表土、陸水、農産物等の定期的な採取により、汚染の状態が監視される。

(ⅱ) 周辺海域
 放出口から海域に放出される廃液は、排出前にモリタリングされ、6-(2)に述べた放出量をこえないようにして放出される。また、付近の海水、海産物、海底土、海岸砂等の定期的採取により、汚染の状態が監視されるほか、漁具等についても汚染の調査が行なわれる。



8 事故評価

 本施設には、これまで述べたように十分な安全設計および安全対策が講じられることになっており、施設内の従業者および敷地周辺の公衆に影響を与える事故は発生しないと認められるが、万一事故が発生した場合を想定し、周辺公衆に及ぼす影響を評価した。
 即ち、溶解槽における臨界事故、高放射性廃液蒸発缶の爆発、プルトニウム蒸発缶の爆発、高放射性廃液貯槽における水素爆発、ジルコニウムの火災、有機溶媒の火災、廃ガス貯槽系の故障、施設への飛行機墜落事故および施設への模擬爆弾の誤投下について評価したが、これらの事故のうちその影響が大きいと認められるのは、溶解槽における臨界事故および有機溶媒の火災である。したがって、最大想定事故として、この2つをとりあげて災害評価を行なった。
 なお、本施設においては、万一事故が発生しても、事故による放射性廃液は、そのまま施設の外へ排出されることがないよう十分な対策が講じられているので、事故時に排出される放射性の廃液の一般公衆に及ぼす影響については、特に考慮する必要はない。


(1) 溶解槽における臨界事故
 本施設において万一臨界事故が発生したと仮定した場合、その規模の最も大きいと考えられる濃縮ウラン溶解槽について、次の仮定により評価を行なった。

(イ) スパイク部核分裂数は1019、全核分裂数は1020とする。

(ロ) 保持放射性物質の量は、溶解槽保持量の2倍とする。

(ハ) 除染係数は、希ガス1、ヨウ素10とする。この場合、槽類換気系による除染係数は考慮しない。

(ニ) 大気中への拡散に用いる気象条件は、英国気象局法を用い、大気安定度A型、風速2m/sec、主排気筒有効高さ97.8mとする。

 以上の仮定から、放出される放射性物質の量は、ヨウ素6.30×103Ci、希ガス1.68×105Ciとなる。
 計算の結果、敷地外の最大濃度地点は、本施設の南西側敵地境界の地点であって、その地点の被ばく線量は、全身に対して0.1レム、甲状腺(成人)に対して0.47レム、甲状腺(小児)に対して2.1レムとなる。
 また、敷地から最も人口密度の高い方向における全身被ばく線量の積算値は、大気安定度をF型として、約4.8万人レムとなる。


(2) 有機溶媒の火災

(イ) 分離第1抽出器に火災がおこり、抽出器全体が燃焼する。

(ロ) 放射性物質のうちの20%がセル換気系を通って主排気筒から大気中に放出される。

(ハ) セル換気系の除染係数は102とし、大気中への拡散および被ばく線量の計算は、(1)の場合と同様の条件を用いて行なう。

 以上の仮定から計算した結果、放出される放射性物質の量は、核分裂生成物7×102Ci、ウラン7.6×10-5Ci、プルトニウム9.8×10-2Ciとなり敷地境界外の最大濃度地点(南西側敷地境界)における線量は、全身に対して0.08レムとなる。
 また、敷地から最も人口密度の高い方向における全身被ばく線量の積算値は、大気安定度をF型として、約3.2万人レムとなる。
 以上2つの想定事故における被ばく線量は、いずれも「原子炉立地審査指針」に示されるめやす線量およびICRPの示す線量限度より十分低いと認められる。



9 技術的能力

 申請者は、過去10数年にわたって、核燃料物質の開発および生産に関する経験を有しており、また、その間約10年にわたって、再処理に関する研究調査を行なっている。
 さらに、昭和35年以来、再処理に関する研究を日本原子力研究所と共同して実施しており、同研究所におけるコールド試験およびホット試験に要員を派遣するなど、種々の運転訓練を行なうほか、フランスの再処理施設に要員を派遣し、訓練および技術者の養成に努めている。また、現在、放射線取扱主任者の資格を有するもの40名、核燃料取扱主任者の資格を有するもの10名を擁している。
 本施設の設計を担当するフランスのサンゴバン・テクニーク・ヌーベル社は、フランスにおける最大の再処理施設エンジニアリング会社であり、フランス国内の再処理施設およびユーロケミック再処理工場の設計建設等の多くの実績を有している。本施設の試運転は、同社の派遣する技術者の指導により行なわれることになっている。
 以上の点から、申請者には、本再処理施設の設置および運転に関する十分な技術的能力があると認める。




 Ⅲ 審査経過

 本専門部会は、昭和43年9月5日第18回部会において審査方針を検討するとともに、昭和42年9月29日の第14回部会において設置した施設関係グループおよび環境関係グループにおいて、それぞれ審査を開始することとした。
 以後、部会および各グループは、次表のように審査を行なってきたが、昭和44年3月25日部会報告書を決定した。
 なお、各グループの構成委員は次のとおりである。

施設関係グループ
内藤 奎爾(座長) 名古屋大学
青地 哲男 日本原子力研究所
(昭和44年1月24日から審査参加)
内田 秀雄 東京大学
清瀬 量平    〃
高島 洋一 東京工業大学
藤井 正一 建築研究所
益子 洋一郎 東京工業試験所
   
環境関係グループ
左合 正雄(座長) 東京都立大学
伊沢 正実 放射線医学総合研究所
佐伯 誠道
坂上 治郎  お茶の水女子大学
坂岸 昇吉 日本原子力研究所
(昭和43年12月27日から審査参加)
藤井 正一 建築研究所

 なお、当初の向坊隆部会長(東京大学)は、途中で辞任し、後任部会長に高島洋一専門委員が選任された。




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