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日本原子力研究所東海研究所の原子炉
(JRR-3)の設置変更について



44原委第75号
昭和44年3月4日

内閣総理大臣  殿

原子力委員会委員長

日本原子力研究所東海研究所の原子炉(JRR-3)の設置変更について(答申)

 昭和44年3月3日付け44原第1038号をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

 日本原子力研究所東海研究所の原子炉(JRR-3)の設置変更(使用目的の変更)に関し、同研究所が提出した変更の許可申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可の基準に適合しているものと認める。
 なお、各号の基準の適合に関する意見は、次のとおりである。

 (別紙)
 核・原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可基準の適合に関する意見
1 本変更は、第1号から第3号に規定する許可基準に適合しているものと認める。

2 第4号に規定する許可基準については、昭和44年3月3日付け44原第1038号の貴諮問に添付された専門家の報告にも述べられているとおり、これに適合しているものと認める。




日本原子力研究所東海研究所の原子炉(JRR-3)の設置変更について(諮問)

44原第1038号
昭和44年3月3日

原子力委員会委員長  殿

内閣総理大臣

日本原子力研究所東海研究所の原子炉(JRR-3)の設置変更について(諮問)

 標記について、日本原子力研究所理事長宗像英二から、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第1項の規定に基づき、昭和44年2月26日付け44原研05第4号をもって、原子炉の設置変更の許可申請があったので、同法第24条第1項各号に規定する許可基準の適合について、同法第26条第4項において準用する同法第24条第2項の規定に基づき、貴委員会の意見を求める。
 なお、本件に関し、科学技術庁において専門家の意見を求めたところ、報告が科学技術庁長官あてに行なわれているので、ご参考までに申し添える。




日本原子力研究所東海研究所の原子炉
(JRR-3)の医療用使用に関する検討結果

科学技術庁長官 木内 四郎殿

JRR-3の医療用使用に関する専門家検討会

座長 内田 秀雄

日本原子力研究所東海研究所の原子炉
(JRR-3)の医療用使用に関する検討結果

 日本原子力研究所が東京大学医学部の依頼を受けて、悩しゅよう治療のため、同研究所東海研究所の原子炉JRR-3を使用する件に関し、貴庁からの依頼に応じ、別紙記載の専門家により行なった検討の結果を、下記のとおり報告する。

1 今回の医療用使用に際しては、原子炉施設自体については、なんらの変更を加えるものではなく、今回の使用が原子炉施設の安全に対して影響を及ぼすおそれはない。

2 今回の中性子照射治療は、サーマルコラムから取り出した中性子線を患部に集束して照射し、他方、ガンマ線をしゃへいするための附属物を設けることとしており、患者の患部以外の身体部位に対する放射線被ばくを極力少なくするような措置が講じられている。

3 病状の急変等の緊急時または原子炉の異常時に関する対策が配慮されており、患者に対して危険を及ぼすことは考えられない。

4 当該原子炉においては、燃料棒の破損、これに起因する破損燃料検出装置の一部の機能の低下等の問題が生じているが、以下に示すように、これらの問題が今回の医療用照射の実施に対して格別の支障を及ぼすこととなるとは考えられない。

① 破損燃料と炉内滞留期間が同程度の同種の燃料棒は、既に新燃料ととりかえてあるので、今回の数時間の照射治療実施前後に、燃料破損が発生する可能性は極めて小さい。

② 破損燃料検出装置のうちGMモニターの機能が低下しているが、DNモニターを活用することによって、燃料破損の検出が行なわれているので、万一治療実施中に燃料破損が生じた場合にも、これに適切に対処することは可能である。

5 今回の治療に伴う医師その他の医療関係者、原子炉従事者等の放射線被ばくについては、当事者による適切な配慮が払われるので、許容量をこえることはない。

6 本原子炉は、元来医療用使用を目的として建設されたものではないので、今回の使用に際しては若干の不便は免れまいが、以上の検討結果のとおり、これを今回の治療に使用することは、可能であると考えられる。

7 本検討会の結論は、以上のとおりであるが、今回の医療用使用を実際に行なうかどうかは、あくまでも主治医の総合的な判断によるべきものであることはいうまでもない。なお、当然のことではあるが、これを医療用に使用する際には、関係者において細心の注意が払われることを希望する。

JRR-3の医療用使用に関する専門家検討会メンバー

内田 秀雄

東京大学工学部教授

江藤 秀雄

放射線医学総合研究所科学研究官

大山 彰

東京大学工学部教授

筧 弘毅

千葉大学医学部教授

喜多尾 憲助

放射線医学総合研究所物理研究部医用原子炉研究所

竹越 尹

電気試験所電力部系統技術研究室長

塚本 憲甫

国立がんセンター病院長

都甲 泰正

東京大学工学部教授

浜田 達二

理化学研究所主任研究員

三島 良績

東京大学工学部教授

宮川 正

東京大学医学部教授



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