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核燃料物質輸送容器の安全性審査基準


昭和43年4月30日
加工施設等安全基準専門部会

 原子力委員会
  委員長 鍋島 直紹 殿

加工施設等安全基準専門部会
部会長 三島 良績

核燃料物質輸送容器の安全性審査基準について


 加工施設等安全基準専門部会は、昭和41年9月14日以来、核燃料物質輸送容器の安全性を審査するための基準の作成について、輸送容器小委員会を設け、40回にわたって同小委員会において慎重に検討し、部会において引き続き審議を重ね、今回核燃料物質輸送容器の安全性を審査するため基準を別添のとおり作成したので報告する。

 なお、核燃料物質の輸送の安全性の確保の重要性にかんがみ、すみやかに本基準について具体化をはかられたい。

 また、原子力関係技術の発展に伴い科学的知見の集積に応じて将来適当な時期に再検討することが必要であると考える。

まえがき

 加工施設等安全基準専門部会は、輸送容器の安全性審査基準を次のような考え方に基づいて作成した。

1 本基準は、国際原子力機関(IAEA)の放射性物質の安全輸送に関する規則(1967年版)を参考とし、その核燃料物質に関する事項のみをとりあげ、審議対象である輸送容器に対する条件、核的安全のための条件、輸送容器等の試験およびH型輸送容器に対する国際輸送上の条件を本文とし、審議対象となっていない輸送自体に関する事項を今後の参考とするため附録として掲げた。

2 国際原子力機関の規則においては、A型輸送容器およびB型輸送容器に対する特例として取り扱われている低比放射性物質用容器および大量放射性線源容器を、本基準では、それぞれL型輸送容器およびH型輸送容器とし、比較的取り扱いの容易な核原料物質および未照射核燃料物質の輸送に必要な容器ならびに大量の放射能をもつ使用済燃料の輸送容器に対する考え方を明確にすることとした。

3 輸送容器の核的安全性の確認の方法については、国際原子力機関の規則による方法を掲げたが、今後とも新しい情報、経験を蓄積し、確認の方法の整備をはかっていく必要がある。

4 核燃料物質の輸送の安全性の確保の重要性にかんがみ、今後わが国においても輸送容器の設計、試作および試験の実施を通じて資料の整備をはかっていく必要がある。

Ⅰ 総論

1 目的
 この基準は、核原料物質および核燃料物質(使用済燃料を含む。以下「核燃料物質」という。)並びにこれらの物質によって汚染されたもの(以下「核燃料物質等」という。)を輸送する容器の構造、試験方法、取扱い等に関して規定し、核燃料物質等を輸送する
際の安全性を確保することを目的とする。

2 定義
 この基準で用いられる次の用語は、次の定義に従うものとする。

(1)密封容器
 密封容器とは、輸送中(輸送中の保管を含む。)核燃料物質等を外部に放出することを防止する目的を有した容器をいう。

(2)輸送容器
 輸送容器とは、輸送のために核燃料物質等を収納する容器で、この基準の種々の条件を満足するために必要な部材をとりつけたものをいう。注:輸送容器は、主として一個以上の容器および吸収材、仕切構造、放射線しゃへい材、冷却装置、衝撃吸収装置、熱しゃへい材等から構成される。

 大量放射性線源用輸送容器(H型輸送容器)の場合には、締つけ装置をつけた車輌が輸送容器と一体となっているとみなされるときは、車輌も輸送容器の構成部分に含ませてよい。

(3)輸送物
 輸送物とは、輸送に供される状態にある核燃料物質等を収納した輸送容器をいう。

(4)核分裂性物質
 核分裂性物質とは、プルトニウム239、プルトニウム241、ウラン233およびウラン235ならびにこれらの物質の一または二以上を含む物質をいう。

(5)放射性物質
 放射性物質とは、比放射能が0.002μCi/g以上のすべてのものをいう。

(6)低比放射性核燃料物質等
 低比放射性核燃料物質等とは、次に掲げるものをいう。
(i)ウランまたはトリウムの鉱石およびこれらを物理的もしくは化学的に処理することによって得られる精鉱

(ii)(i)以外の照射されていない次のもの天然ウラン、劣化ウランおよび天然トリウム
(iii)放射能が均一に分布され、1gあたりの濃度が次の値をこえない物質
(イ)第Ⅰ群の放射性核種 0.0001mCi

(ロ)第Ⅱ群の放射性核種 0.005mCi

(ハ)第Ⅲ群の放射性核種 0.3mCi
(注)数種の放射性核種が入っている場合は附録Ⅰ-1-(4)を参照のこと。
(iv)外表面が核燃料物質で汚染されている非放射性物質で、次の条件を満すもの
(イ)容易に離散しない核燃料物質で汚染されているものであって、その外表面汚染が1m2あたりの平均値が、次の値をこえないこと。
  (a)第1群のα線を放出する放射性核種    0.0001mCi/m2
  (b)その他の放射性核種0.001mCi/cm2

(ロ)汚染された物体が適当に包まれるかまたは封入されていること。
(7)特別形核燃料物質
 特別形核燃料物質とは、次の(i)または(ii)の条件を満す核燃料物質をいう。
(i)次のすべての条件を満足する塊状固体の核燃料物質
(イ)すべての寸法が0.5mm以上もしくは少くとも一辺が5mm以上あること。

(ロ)538℃までの温度で溶融、昇華または発火しないこと。

(ハ)Ⅴ-2-(2)-(ii)に示す試験条件下で破損もしくは破壊しないこと。

(ニ)温度20℃、pH6~8、最大電気伝導度10μmho/cmの水に1週間浸した場合1g当り50μg以上溶解せず、離散しやすい反応生成物にもならないこと。

(ホ)温度30℃の空気中に1週間さらした場合、1g当り50μg以上離散しやすい反応生成物にならないこと。
(ii)上記(i)の(ロ)~(ホ)の条件を満足する材料でできていて、すべての寸法が0.5mm以上または少くとも一辺の寸法が5mm以上であるカプセルに収納された核燃料物質。

 ただし(ロ)に規定している温度はこの場合には800℃とする。また、カプセルの設計は、Ⅴ-2に規定する試験条件を満足することが実証されたものでなければならない。
(8)大量放射性線源
 大量放射性線源とは、一輸送物あたり次の数値をこえる放射能をもった核燃料物質等をいう。
(i)特別形核燃料物質については、5,000Ci。ただし、(7)-(ii)に掲げられているカプセルが、密封容器として使用されていないものに限る。

(ii)(i)に示す以外の場合には、放射性核種の群について次表に示す値
(9)一次熱伝達材
 一次熱伝達材とは、密封容器内にある核燃料物質等以外の気体、液体および固体のすべての物質をいう。

(10)群
 群とは、放射性核種のもつ性質によって分類されたものをいう。
(11)時間当りのミリレントゲン(mR/h)またはその相当値
 時間当りのミリレントゲンまたはその相当値とは、放射線量率を表わす単位であり、その数値は次の総量をいう。
(i)γ線、X線についてはmR/hの数値

(ii)β線については、空気中でのmrad/hの数値

(iii)中性子線については別表3から出されるmR/h、その相当値またはmrem/hの数値

(注)放射線量率を求めるには適当な計器を使用すること、ただし、中性子束が計算または測定によって求められる場合は除く。
(12)輸送指数
 輸送指数とは、輸送物の放射線量率を表わす次に掲げる数値をいう。
(i)一般の場合(ただし、下記(ii)を除く。)
(イ)下記(ロ)および(ハ)以外の場合には、輸送物の中心から1mの距離における最大の放射線量率を表わす数値

(ロ)輸送物のいずれかの外寸法が2mをこえる場合には、次のいずれか大きい方の数値

(a)輸送物の長軸の端の外表面における最大の放射線量率
(b)輸送物の長軸に垂直で長軸から1mの点における最大の放射線量率

(ハ)核分裂性物質第2種輸送物の場合とは、次のいずれか大きい方の数値

(a)上記(イ)または(ロ)の最大放射線量率を表わす数値
(b)核分裂性物質第2種輸送物として許容される積載個数で50を除した数値
(ii)低比放射性核燃料物質等の専用積載の場合積載物から1mの距離における最大の放射線量を表わす数に別表6に掲げる積載物の断面積に対応する値を乗じた数値。

 ウランまたはトリウム鉱石およびこれらを物理的または化学的に処理することによって得られた精鉱については、実際に測定または計算が行なわれない場合には、積載物から1mの距離における最大の放射線量率として次の数値をとることができる。
(a)ウラン鉱石およびそれを物理的に処理することによって得られた精鉱については、40mR/h、またはその相当値
(b)トリウム鉱石およびそれを物理的に処理することによって得られた精鉱については、10mR/hまたはその相当値

(c)ウランまたはトリウムの鉱石を化学的に処理することによって得られた精鉱については、2mR/hまたはその相当値

(iii)輸送指数を表わす数は、少数点第1位までだすこと。
(13)専用積載
 専用積載とは、次に掲げる二つの場合に従った積載をいう。
(i)車両または航空機、内陸用船舶(平水区域を航行する船舶をいう。)の一つの船倉または一区画および外洋航路用船舶(沿海、近海および遠洋区域を航行する船舶をいう。)の一区画または、指定された甲板区域が単一の荷送人によって専用される場合

(ii)出発点、終着点および中継地点での積込み、積下しが荷送人または荷受人の指示によって行なわれる場合

(注)専用積載の場合において、この基準で特に規定しない限り、輸送容器に入った別種類の核燃料物質およびそれとの混載を禁止されていない非放射性物質を一緒に積載することができる。
(14)最高使用圧力
 最高使用圧力とは、年間を通じて密封容器内で輸送中の環境に対応した気温および太陽熱放射の条件によって生ずる圧力と平均海面上大気圧との差の最大をいう。

(15)車両
 車両とは、道路用車両(連接車両、すなわち、けん引車とセミトレーラの組合せも含む。)軌条用車両または鉄道車両をいう。

 トレラーのけん引車と附ずい車とは、別々の車両と考えてよい。

3 分類

(1)輸送容器の分類
 輸送容器は収納する核燃料物質等の種類および量により、L型、A型、B型、H型の4種類に分類される。
(i)L型輸送容器
 次に掲げる低比放射能核燃料物質等を収納する輸送容器
(イ)Ⅰ-2-(6)で規定する低比放射性核燃料物質等(液状または気体状のものは除く。)のうち(i)および(ii)のものであって、下記の量をこえないもの。
(a)特別形核燃料物質     20Ci
 ただし、Ⅰ一2-(7)-(ii)に掲げられているカプセルが密封容器として使用されていないものに限る。

(b)(a)以外のもの
  第Ⅰ群の放射性核種    1mCi
  第Ⅱ群  〃       50mCi
  第Ⅲ群  〃       3Ci
(ロ)低比放射性核燃料物質等を専用積載する場合は、Ⅰ-2-(6)で規定する低比放射性核燃料物質等
(ii)A型輸送容器
 L型輸送容器に収納される核燃料物質等以外の核燃料物質等であって、放射能が次に掲げる数値をこえないものを収納する輸送容器
(イ)特別形核燃料物質      20Ci
ただし、Ⅰ-2-(7)-(ii)に掲げられているカプセルが密封容器として使用されていないものに限る。
(ロ)(イ)以外のもの
  第Ⅰ群の放射性核種     1mCi
  第Ⅱ群  〃        50mCi
  第Ⅲ群  〃        3mCi
(iii)B型輸送容器
 L型およびA型輸送容器に収納される核燃料物質等以外の核燃物質等で、その放射能が次に掲げる数値をこえないものを収納する輸送容器
(イ)特別形核燃料物質     5,000Ci
ただし、Ⅰ-2-(7)-(ii)に掲げられているカプセルが密封容器として使用されていないものに限る。
(ロ)(イ)以外のもの
  第Ⅰ群の放射性核種      20Ci
  第Ⅰ群  〃         20Ci
  第Ⅲ群  〃         200Ci
(iv)H型輸送容器
 放射能が次に掲げる数値をこえる核燃料物質(大量放射性線源)を収納する輸送容器
(イ)特別形核燃料物質     5,000Ci
ただし、Ⅰ-2-(7)-(ii)に掲げられているカプセルが密封容器として使用されていないものに限る。
(ロ)(イ)以外のもの
  第Ⅰ群の放射性核種      20Ci
  第Ⅰ群  〃         20Ci
  第Ⅲ群  〃         200Ci
(2)核分裂性物質の分類
 ウラン233、ウラン235、プルトニウム239、プルトニウム241およびこれらを含む物質を収納した輸送物は、下記(iv)に規定した輸送物を除き、核的安全性を考慮して、次の3種類の核分裂性物質輸送物として分類される。
(i)核分裂性物質第1種輸送物
 輸送中に予想されるいかなる状態においても、その個数および配置方法に制限なく核的に安全である輸送物

(ii)核分裂性物質第2種輸送物
 輸送中に予想されるいかなる状態においても限られた個数であれば、いかなる配置方法であっても核的に安全である輸送物。

(iii)核分裂性物質第3種輸送物
 特別な配置方法および配慮のもとで核的に安全である輸送物

(iv)次の物質を収納した輸送物は核分裂性物質輸送物としての規制の対象とならない輸送物である。
(イ)15g以下のウラン233、ウラン235、プルトニウム239、プルトニウム241およびこれらの混合物

(ロ)数量に関係なく、照射されたまたは照射されない天然ウランおよび劣化ウラン
(ハ)輸送物が均一な水溶液または混合物であって核分裂性物質が1種類だけで、それが次のものである場合
(a)ウラン233またはウラン235の場合で水素とウラン233の原子比または水素とウラン235との原子比が5,200よりも大きいもの(これはウラン233またはウラン235の濃度が5g/lより低い水溶液に相当する。)
(b)プルトニウムの場合で水素とプルトニウムの原子比が7,600よりも大きいもの(これはプルトニウムの濃度が3.5g/lより低い水溶液に相当する。)
(c)ただし、上記(a)、(b)の場合、輸送物あたりの核分裂性物質の最大量は、次の値をこえないこと。
 ウラン233      500g
 ウラン235      800g
 プルトニウム     500g
(ニ)輪送物中に2種類以上の核分裂性物質が存在する場合で水素と核分裂性物質との原子比が7,600以上であり、さらに一輸送物あたりの核分裂性物質は500gをこえないもの。

(ホ)輸送物中に核分裂性物質として濃縮ウランが1種類だけ存在し、ウラン235が全ウラン量の1%をこえない場合であって、ウラン235が輸送物内に格子状に配列することがなく、輸送物内容物の中に均一に分布しているもの。
(3)放射性核種の分類
 核燃料物質の放射性核種は、その放射毒性の程度を考慮して次の3群に分類される。
(i)第Ⅰ群
   トリウム(228,230,231)
   ウラン(232)
   プルトニウム(238,239,240,241,242)
(ii)第Ⅱ群
   トリウム(227,234)
   ウラン(230,233,234,236)
   混合核分裂生成物
   照射済ウラン
(iii)第Ⅲ群
   トリウム(232,天然)
   ウラン(235,238,天然,濃縮,劣化)

(注)(i)放射性核種は、輸送のための放射性核種の群別表(別表2)に示す7種の群に分類される。
(ii)輸送のための放射性核種の群別表に掲げられていない放射性核種はその原子番号および半減期によって次の表に掲げる群に分類される。
(iii)核種不明のものは第Ⅰ群に分類される。

Ⅱ 第Ⅲ章の規定から免除される核燃料物質、機器および物品

 次の1、2、3、4で規定する核燃料物質、機器、物品および空容器は、下記の(イ)~(ハ)の条件を満足する場合には、第Ⅲ章(ただし、爆発性または自然発火性核燃料物質を除く。)の全規定から免除される。
(注)上記第Ⅲ章の規定から免除されるものについて、IAEA規則によれば、附録Ⅱ-3の規定からも免除される。

(イ)輸送物の外表面のいかなる点の線量率も、0.5mR/hもしくはその相当値をこえないこと。

(ロ)輸送物の外表面上のいかなる点においても回着していない放射能汚染が別表4に規定されたレベルをこえないこと。

(ハ)3に規定される物品を除き、輸送物にはウラン233、ウラン235、プルトニウム239、プルトニウム241のそれぞれ15gおよびこれら核種の浪合物も15g以上を収納しないこと。

1 核燃料物質
 下記の量をこえない核燃料物質
(イ)第Ⅰ群の放射性核種については、1輸送物あたり0.01mCi
(ロ)第Ⅱ群の放射性核種については、1輸送物あたり0.1mCi
(ハ)第Ⅲ群または特別形核燃料物質については、1輸送物あたり1mCi
(ニ)ただし、これらの物質は通常の輸送の状態下で核燃料物質が漏洩しないような方法で収納されており、かつ、密封容器には、それが開封される前に見えるような方法で〔核燃料物質〕の標識をつけなければならない。

2 機器および製品
 構成部分として容易に離散しない形で核燃料物質を含む時計、電子管もしくは電子装置またはその他の製品もしくは装置、ただし、これらの機器、機械および装置は堅固なこん包に安全に収納され、かつ下記(1)、(2)および(3)の条件が満たされること。
(1)機器または装置の一部の各1個当りの放射能が次の量をこえてはならない。
 (イ)第Ⅰ群の放射性核種     0.1mCi
 (ロ)第Ⅱ群   〃        1mCi
 (ハ)第Ⅲ群   〃       10mCi
(2)収納されていない機器、または装置から10cmの距離において放射線量率が10mR/hまたはその相当値をこえてはならない。

(3)1輸送物あたりの全放射能は、次の量をこえてはならない。
 (イ)第Ⅰ群の放射性核種     1mCi
 (ロ)第Ⅱ群   〃       50mCi
 (ハ)第Ⅲ群の放射性核種     3Ci
 (ニ)時別形核燃料物質      20Ci
3 燃料要素以外の天然ウランもしくは劣化ウランのみを含む製品。
 ただし、ウランの外表面は非放射性の金属ケースに封入され、かつ、1製品あたりの全放射能が3Ciをこえないもの。(例えば、このような製品が放射性物質の輸送のための輸送容器に用いられる場合。)

4 空容器
 核燃料物質を入れたことのある容器。ただし、内部は除染され、確実にふたがとじられ、安全な状態にあり、かつ、荷送人の責任で輸送物の外側に「核燃料物質用空容器」の表示をし、核燃料物質の輸送の際使用したすべての標識は見えないようにしなければならない。

Ⅲ 輸送容器に対する条件

(注)IAEA規則によれば、輸送容器に対する条件として本章に掲げる条件のほか、爆発性放射性物質の輸送および自然発火性放射性物質輸送物の設計については、関係当局の認可を受けることが必要であるとしている。

1 輸送容器に対する一般条件
(1)設計上の一般条件
(i)輸送容器は、輸送物の取扱が容易にでき、かつ輸送中その安全性が十分に保たれるような設計であること。

(ii)輸送容器は、輸送用の総重量が10kg以上50kgまでの場合には手で取扱える設計であること。また総重量が50kgをこえる場合には、機械的手段によって安全に取扱える設計であること。

(iii)輸送容器は、輸送物が機械的に吊上げられる場合には、そのような吊上げに用いた附属物によって輸送容器の如何なる部分にも、その最小降伏応力の1/3以上の応力を生じないような設計であること。

(iv)上記以外の吊具および輸送容器の外部にあって吊上げに用いられるおそれのあるいかなる部分も輸送中取外すことができるか、完全におおわれるか、または不用意にそれらを用いて吊上げても輸送物の全重量に耐えるような安全係数をとった設計であること。

(v)輸送容器の外面は、実施可能なかぎり雨水のたまりを防ぐ設計であること。
(iv)輸送容器の表面には、実施可能なかぎり突起物がないような設計であること。放出弁や試料採取弁のような部分は容器のくぼみを作って取付けるか、または破損しないよう鋼鉄製の保護具で保護しなければならない。

(vii)輸送容器の表面は、実施可能なかぎり容易に除染できるように設計し、仕上げること。

(2)構造上の一般条件
(i)輸送容器の材料の選択にあたっては、輸送中に輸送容器がうける可能性のある温度変化の範囲を十分考慮すること。特に上記の範囲の最低温度における脆性破壊について考慮を払わなければならない。

(ii)輸送容器は輸送物の輸送中に生ずる加速、振動または共振の影響に対して、各容器の締具の機能もしくは輸送物全体としての完全性を損なうことのないように設計すること。特にボルト・ナットおよびその他の締め具は、ゆるんだり、偶然に外れることを防止できるような設計でなければならない。
(3)密封性および放射線しゃへいの設計に関する一般条件
(i)密封容器は、偶然に開かれたりまたは密封容 器内で発生した圧力により開かれることのないような確実な締具により完全に密封される設計であること。

(ii)密封容器およびその密封装置に使用される材料は、収納される物質によって腐食されにくいものであること。

(iii)密封容器の設計にあたっては、液体またはその他放射線の影響をうけ易い物質の放射線分解を考慮すること。

(iv)密封容器は、0.5気圧(絶対圧)までの外圧の減少に対しても密封性を十分に維持できる強度であること。

(v)密封容器で輸送容器から取外せるものは、輸送容器と独立した締具によって確実に密封できるものであること。

(vi)液体およびガス状の核燃料物質を収納する密封容器は、金属製であること。

(vii)輸送容器は、密封容器を破損するような内部圧力の上昇がないような設計であること。

(viii)密封容器は、必要な場合には、その内側または外側のいずれかに放射線しゃへい体を備えつけること。ただし、密封容器自体がしゃへい体となるような設計にしてもよい。

(ix)密封容器をつつむ放射線しゃへい体は、容器 が偶発的に露出しないような設計であること。 また、放射線しゃへい体とその中の密封容器とが取外せる構造である場合、放射線しゃへい体は、輸送容器その他の構造物とは別に確実な締具によって完全に閉じることができるような設計であること。

(x)放射線しゃへい効果の全部または一部が密封容器と輸送容器の外表面までの距離に依存している輸送容器については、その距離が確保されるような設計であること。
2 L型輸送容器に対する条件
(1)L型輸送容器はⅢ-1-(1)およびⅢ-1-(2)を満足するほか、輸送物として次の条件を満足しなければならない。

(注)この場合IAEA規則によれば、し型輸送容器の輸送については、附録Ⅱ-1の一般条件(ただしⅡ-1-(2)の条件を除く。)を満足することとなっている。
(i)通常の輸送条件下で収納された物質が減損しないように強固な容器に収納すること。

(ii)Ⅰ-2-(6)-(ii)に規定される物のうち塊状のものは摩耗を生じるような動きを防止するように収納すること。塊状以外の固体状のものについては、表面が露出しないように不活性な金属カバーまたは丈夫な覆いに収納すること。
(2)ただし、L型輸送容器が専用積載される場合輸送物として次の条件が満足されるときはⅢ-1-(1)およびⅢ-1-(2)を満足する必要はない。

(注)この場合IAEA規則によれば、L型輸送容器の輸送については、附録Ⅱ-1の一般条件(附録Ⅱ-1-(4)の条件を除く。)を満足する必要はないこととなっている。
(i)次の(イ)または(ロ)
(イ)通常の輸送条件を収納された物質を減損しないよう強固な容器に収納すること。

(ロ)通常の輸送条件で、車両、内陸用船舶または外洋航路用船舶に積載される場合には、内容物が、その積載された車両または内陸用船舶の船倉もしくは外洋航路用船舶の一区画から外部に漏洩しないよう積載すること。

(ii)上記(1)-(ii)
(iii)Ⅰ-2-(6)-(iii)に規定される物質が核分裂性物質を含有し、上記(i)-(ロ)の条件に従う場合、単一輸送物または、単一積載あたりの収納された物質の量は、Ⅰ-3-(2)-(iv)の(イ)、(ロ)および何に規定する量以下であること。
3 A型輸送容器に対する条件
(1)A型輸送容器は、Ⅲ-1の条件を満足するほか、輸送物がⅤ-1-(2)の試験条件下でも放射性物質の減損または、逸散を防止でき、かつ、放射線しゃへい効果が扱われない構造であること。

(注) この場合IAEA規則によればA型輸送容器の輸送については、附録Ⅱ-1の条件を満足することになっている。

(2)
(i)液状の核燃料物質を収納するA型輸送容器は、さらに、Ⅴ-1-(3)に示す試験条件下でも内容物の減損または逸散を防止するために十分な構造であること。ただし、液状内容物の容量の2倍を十分吸収することができる吸収材が密封容器内にあり、かつ、次のいずれかの条件が満足されている場合には、前記Ⅴ-1-(3)の試験条件を考慮する必要はない。

(イ)吸収材が放射線しゃへい体の内側にある場合。

(ロ)吸収材が放射線しゃへい体の外側にあっても液状内容物が吸収材によって吸収された場合であって輸送物の外表面での線量率が1000mR/hまたはその相当値をこえないことが証明できるとき。

(ii)ガンマ線を放出する3Ciをこえる核燃料物質等を収納するA型輸送容器であって800℃以下の溶融点をもつ放射線しゃへい体を備えたものにおいては、外部寸法が5cm以上の密閉できる金属製の容器(これ自体が密封容器となっていてもよい。)に核燃料物質を入れること。この金属は800℃で30分間酸化性雰囲気内で、火炎にさらされた場合にも容器の完全性が損われないものを用いること。
4 B型輸送容器に対する条件
 B型輸送容器は、Ⅲ-3の条件を満足するほか、次の条件を満足しなければならない。

(1)B型輸送容器は、Ⅴ-1-(4)に示す試験条件下において収納した核燃料物質等の減損または逸散を防止するのに充分な構造でなければならない。

(2)B型輸送容器のしゃへいは、その外表面から1mの距離で10mR/hの線量率を与えるのに充分な量のイリジウム192を収納した場合Ⅴ-1-(4)に示す試験条件下でも外表面から1mの距離で、1000mR/hをこえないことを保証するに充分な放射線しゃへい能力を維持しうるものでなければならない。

 ただし、B型輸送容器が特定の放射性核種に専用される場合は、その核種をイリジウム192の代りに用いることができる。

(3)B型輸送容器は、水中15mの深度においても、密封容器の密封性を維持できることを保証しうるものであること。

(4)熱絶縁つきのB型輸送容器は、輸送物の外側にある熱絶縁材または熱絶縁の機能をもつ輸送容器の構造がⅤ-1-(2)およびⅤ-1-(4)-(i)に示す試験条件下でも熱絶縁の機能を保持できるような設計であること。

(5)Ⅴ-Ⅰ-(4)の試験条件下において、一次熱伝達材からまたは一次熱伝達材が以前に入っていた間隙から汚染されたガス、蒸気または液体の漏洩とともに1週間に放出される放射能(注)が次表の値をこさない場合はⅢ-4-(1)の条件は満足されるものとみなす。
(注)二種以上の放射性核種が存在する場合別記Ⅰを参照のこと。希ガス類は圧縮しない状態としてもよい。

5 H型輸送容器に対する条件
(1)H型輸送容器は、Ⅲ-4の条件を満足するほか次の条件を満足しなければならない。
(i)輸送容器および内部構造の材質は、それぞれの材料間および、それらと収納した核燃料物質等との間で物理的にも化学的にも作用し合わない材料を用いなければならない。

 また、特に使用済燃料用の密封容器は、一次液状熱伝達材と使用済燃料との化学反応および放射線分解によるガスの発生を考慮して設計すること。

(ii)輸送容器には、Ⅴ-1-(2)およびⅤ-1-(4)に示す試験条件下で到達すると予想される温度において、密封容器の内圧が容器の最小降伏応力をこえるおそれのある場合に備えて、圧力逃し装置を設けること。

(iii)放射性内容物または一次熱伝達材が放出され外部の放射能汚染を生じる可能性のあるすべてのバルブは、規定外の操作ができないようにし、かつ、そのバルブからのもれを貯溜できるような保護装置をとりつけること。
 ただし、圧力逃し装置を除く。

(iv)輸送物に備えられているすべての吊上げ装置は、それが所定の方法で使用される場合、輸送容器のどの部材にも、最小降伏応力の1/3をこえる応力が生じないように設計すること。

(v)すべての締具は、輸送中輸送容器に要求されている性能を損なうような力が加わらないように設計すること。
(2)H型輸送容器に核燃料物質等を収納した場合には次の条件を満足すること。
(i)内容物による発熱は、輸送中の状況下で、輸送物の性能に悪影響を及ぼさないこと、特に次に述べる熱的影響について考慮しなければならない。
(イ)内容物の配列、幾何学的形状もしくは物理的状態の変化、または内容物が被覆管もしくは容器に密封されている場合、(例えば被覆された燃料体)における被覆管、容器またはその中に収納した物質の溶融

(ロ)熱応力のために生ずる亀裂または放射線しゃへい物質の溶融による輸送容器の性能の低下

(ハ)水分の共存による腐食の促進
(ii)人の触れるおそれのある輸送物の表面温度は、50℃をこえないこと。ただし、輸送物が専用積載として輸送される場合には、温度の上限は82℃にとってよい。

(iii)輸送物が下記(iv)で規定される温度の静止した空気中にあり、かつ、太陽熱放射線の1日の変化をも考慮に入れた直射日光にさらされるものと考えた場合にも、上記(1)、(2)-(i)および(ii)の条件を満すこと。

 ただし、(2)-(ii)については輸送容器が日蔭にあるものとする。

 また、輸送物は、例えば、太陽熱放射線をさえぎる装置を含め、輸送中に使用されるすべてのものの組合せとして考えなければならない。

 この場合、組合せとして考えるものは、Ⅴ-1-(2)に示す試験条件下でも上述の装置の性能が保持されることが実証済みであるか、または、別に定められる別記出荷の認可に明記されるはずの追加操作要件で保証され得るものまでとする。

(iv)(2)-(i)から(iii)までの条件に対しては、次のような環境を仮定すること。
   周囲温度:38℃
   太陽熱放射による伝熱量:
(イ)輸送時に水平方向になっている平面1日12時間として800cal/cm2ただし、底は考えなくてもよい。

(ロ)輸送時に水平でない平面1日12時間として200cal/cm2

(ハ)曲面 1日12時間として400cal/cm2なお、上記以外の条件を仮定する場合には特別に承認を受ける必要がある。
(v)輸送物が輸送中に排気をすることができるように設計されている場合、Ⅴ-1-(2)の試験条件下において輸送中予期し得る周囲の状況(温度および太陽熱放射)を考慮に入れて、液状または気体状の一次熱伝達材からの汚染された気体または蒸気の漏洩にともなう放射能(注1)の放出率(注2)は次表の値をこえてはならない。
(注)2種以上の放射性核種が存在する場合別記Ⅰを参照。

 希ガスの類は、圧縮しない状態としてもよい。

(注2)これらの放出率は、放射能の連続的な放出に直接適用される。断続的な放出の場合は、その量は然るべき条件(例えば、放出率、持続期間および頻度)について権限のある機関によって指示される。このため上記割合は、指針として役立ち得る。

Ⅳ 核的安全のための条件

 核分裂性物質を収納した輸送容器は、核的な安全性を維持するため、次の1の条件を満足し、かつ、2、3および4の条件のうちいずれか1つの条件を満足すること。

1 核的安全のための一般条件
(1)核分裂性物質を収納した輸送容器は、輸送中予想できるいかなる状態でも臨界に達することのないように輸送されなければならない。特に次の各項に示すような状態が起りうることを考慮に入れること。
(i)輸送物の中に水が侵入すること。

(ii)組込んだ中性子吸収材または減速材の有効性が失なわれる。

(iii)内容物が輸送容器内において、または輸送容器の外に出ることにより反応度が増加するような配列になること。

(iv)輸送物間または内容物間の空間が減少すること。

(v)輸送物が水没しまたは雪に埋没すること。

(vi)輸送物が混り合うこと。
(2)使用済燃料または状態の不明な核分裂性物質に対しては、さらに次の仮定をおくこと。
(i)使用済燃料の場合
 照射の程度が不明な使用済燃料の臨界管理のためには反応度が燃焼度とともに減少する核燃料物質は、未照射とみなすこと。反応度が燃焼度とともに増加する核燃料物質は、最大反応度まで照射されたものとみなすこと。ただし、照射の程度がわかっている核燃料物質の反応度はそれに従って算定することができる。

(ii)状態の不明な核分裂性物質の場合
 濃縮度、質量、濃度、減速の度合もしくは密度が不明のもの、またはこれらが確かめられない残滓もしくはスクラップのような核分裂性物質について、不明のパラメータについては、考えられる状況下で最大の反応度を与えるような数値とすること。
2 核分裂性物質第1種輸送物に対する条件
(1)第1種輸送物は、Ⅴ-1-(2)-(i)-(イ)の免除規定にかかわらず、Ⅴ-1-(2)に示す試験条件下においても次の条件を満足するように設計されていること。
(i)水が密封容器に入らないこと。

(ii)内容物の配列、ならびに密封容器の寸法および形状が核的安全に影響を及ばす程大きく変らないこと。
(2)第1種輸送物が核的に安全であるため、次の条件を満足すること。
(i)隔離されていると考えられる個々の輸送物の場合
(イ)次のような状態を仮定しても核的に安全であること。

(a)輸送物はⅤ-1-(2)-(i)-(イ)の免除規定にかかわらず、Ⅴ-1-(2)およびⅤ-1-(4)に示す試験条件下においておこるのと同程度の破損があること。

(b)すべての空隙に水が入る可能性があること。ただし、特定の空隙へ水が入ることを防止できるような特別設計の輸送物である場合にはたとえ人的過失があったとしても特定の空隙に水が入らないことが認められている場合はこの限りでない。

(ロ)密封容器の内容物は、物理的、化学的な特性および上記(イ)の条件下でおこりうる特性の変化を考慮に入れて、上記抑に示す状態および以下に示す減速および反射の条件下において、同じ分裂性および非分裂性物質を含む同種の系が同じ形状および配列で臨界に達する質量(注)の80%をこえないこと。

(注)燃料棒の場合、質量は燃料棒の数で表わしてもよい。

(a)密封容器内の物質については、①上記(イ)の状態下で予想される最も反応度の高い配列および減速条件、②密封容器のまわりがすきまなく十分な水にかこまれた際の反射条件あるいは輸送容器のまわりの物質によって反射条件が附加される場合にはその反射条件。

(b)さらに上記(イ)の状態下で密封容器内の物質の一部あるいは全部が放出される場合においては、①最も反応度の高い配列および減速条件、②その物質がすきまなく十分な水でかこまれたさいの反射条件。
(ii)輸送物が集合した場合
(イ)破損していない輸送物をいかなる配列で、いかなる数を並べても未臨界であること。ここでいう「破損していない」とは輸送物が設計どおりの条件で輸送できるような状態にあることをいう。
(ロ)破損した輸送物250個がどのような配列で積み重ねられ、かつ、その積み重ねられた輸送物の全面で水と同等のものによって中性子の反射が行なわれたとしても未臨界であること。ここで言う「破損した」とは、Ⅴ-1-(2)-(i)-(イ)の免除規定にかかわらず、Ⅴ-1-(2)およびⅤ-1-(4)に示す試験条件下における各輸送物の状態を意味する。この場合、輸送物間は均一に水素を含む減速材を用いる条件で、かつ試験の結果推定される程度に輸送物内に水が入ったとして最大の反応度をもたらすものと仮定すること。
3 核分裂性物質第2種輸送物に対する条件

(1)第2種輸送物はⅤ-1-2-(i)-(イ)の免除規定にかかわらずⅤ-1-(2)に示す試験条件下においても次の条件を満足するように設計されていること。
(i)Ⅳ-3-(2)-(ii)-(イ)の核的安全性と評価するための基礎となっている容積、または間隙が5%以上減少しないこと。

(ii)水が密封容器内に入らないこと。

(iii)内容物の配列、密封容器の寸法および形状が核的安全に影響を及ぼす程大きく変らないこと。
(2)第2種輸送物は核的に安全であるため、次の条件を満足すること。
(i)隔離されていると考えられる個々の輸送物の場合は、Ⅳ-2-(2)-(ii)の状態を仮定しても核的に安全であること。

(ii)輸送物が集合した場合
(注)この条件は1ヶの輸送物からなる委託輸送の場合にも適用される。

 第2種輸送物の設計にあたって次の仮定をおいて輸送制限個数を定めること。
(イ)輸送制限個数の5倍の個数の破損していない輸送物が、輸送物間に他に何もなく、いかなる配列に積み重ねられても積み重ねられた輸送物の全面をすきまなくとりかこんだ水と等価物の反射体があるとした場合に未臨界であること。ここでいう「破損していない」とは、輸送物が設計どおりの条件で輸送できるような状態にあることをいう。

(ロ)輸送制限個数の2倍の個数の破損した輸送物がいかなる配列に積み重ねられても輸送物の全面をすきまなくとりかこんだ水と等価物の反射体があるとした場合に未臨界であること。ここでいう「破損した」とは、Ⅴ-1-(2)-(i)-(1)の免除規定にかかわらずⅤ-1-(2)およびⅤ-1-(4)に示す試験の条件下における各輸送物の状態を意味する。この場合、輸送物間は均一に水素を含む減速材を用いる条件で、かつ試験の結果推定される程度に輪送物内に水が入ったとして最大の反応度をもたらすものと仮定すること。
4 核分裂性物質第3種輸送物に対する条件
 核分裂性物質第3種輸送物の核的安全性は、個々の場合について、その配置を考慮して核的な安全性をそのつど確認すること。

5 核分裂性物質輸送物の核的安全性の確認
 核的安全性を満足していることを計算、モデル、輸送物の設計例のいずれか(注)によって確認することが必要である。

(注)IAEA規則では、これらの方法として別記Ⅱに示す方法を提案している。

Ⅴ 輸送容器等の試験

1 輸送容器に対する試験
(1)総則
(i)この試験は、各型式ごとの供試容器(実用のために製造された輸送容器)または原型容器(試作された輸送容器)に対して適用できるものである。

 従ってこの試験で満足な結果が得られ、引続いて同一型式の実用容器を製作した場合には、試験で実証された供試容器または原型容器の規定された特ちょうが維持されていることを確かめるため十分な検査を行なえばよい。

 ただし、供試容器または原型容器の性能が計算により証明ができる場合には、計算によって試験にかえてもよい。

 実際に試験に供する試験用の容器(供試容器または原型容器)の数は、輸送容器の製作数、使用の頻度および価格に左右されるので、経済性および安全性の観点から定められるべきである。

 したがって、供試容器または原型容器を試験する場合には、各型式ごとに試験の種類、その順序および必要個数を示した試験計画を準備しなければならない。

 なお、試験結果によっては、最大破損をおこす試験要件を満足するまで供試容器または原型容器の数を増加して試験を行なわなければならない。

 試験に供する供試容器または原型容器は、試験の前に少くとも次の事項を確認し、記録しなければならない。
(イ)仕様または図面との相違
(ロ)構造上の欠陥または損傷
(ハ)腐食またはその他の劣化現象
(ニ)変形
 さらに泥、湿気およびその他のよごれを除去しなければならない。

 供試輸送物(もぎ内容物を収納した供試容器または原型容器)は、その外部の付属物、包装、木わくおよびその他の器具を含め、それが輸送中に使用される状態に正確に組立てられなければならない。

 内容物は実際に輸送される場合と同じように収納され、実施可能なかぎり核燃料物質に似たものでなければならない。

 放射壌変熱による効果は別に計算してもよいが、落下試験および熱的試験を評価する際には考慮に入れなければならない。

 また、適当な放射性物質を内容物中に含ませておいてもよい。

 供試輸送物の重量は、実際に輸送する場合の輸送物と等価のものでなければならず、また、密封容器も明らかに同じ型式のものでなければならない。

 試験を行なう供試容器または原型容器の外側の特徴は、その輸送容器のいかなる点についても簡単に、かつ明確に対比できるよう輸送容器と同じものでなければならない。

(ii)密封およびしゃへいの完全性に関する検査
 Ⅴ-1-(2)、Ⅴ-1-(3)およびⅤ-1-(4)に示す試験が供試輸送物について行なわれた後、密封およびしゃへいの完全性がⅢに示す輸送容器の条件に定められている程度に保持されていることが証明されなければならない。

 密封またはしゃへいの完全性に関する検査は、Ⅴ-1-(5)に示す方法で行なうことが望ましい。
(2)Ⅲ-3-(1)、Ⅲ-4-(4)、Ⅳ-2-(1)、Ⅳ-2-(2)-(i)-(イ)、Ⅳ-2-(2)-(ii)-(ロ)、Ⅳ-3-(1)、Ⅳ-3-(2)-(i)およびⅣ-3-(2)-(ii)-(ロ)の輸送物に適用される試験の手順

 輸送物は、以下の各項で免除されている場合を除き、以下の各項の試験を受けなければならない。

 また、特に免除されない限り一つの供試輸送物について、少なくとも二つの試験を連続して行なわなければならない。
(i)水の吹きつけ試験
(イ)次の輸送容器は、本試験から免除される。
 輸送容器の外側全体が、金属、木材、陶磁器もしくはプラスチックまたはこれらの組合せからなる輸送容器

(ロ)方法
(a)① 水平面に正立させた供試輸送物に対し、下記(d)に示すように、4方向から各方向ごとに、30分間水を吹きつけること。

 その方向変換はできるだけすみやかに行なうこと。

 または、
② 水平面に正立させた供試輸送物に対し、下記(d)に示すように、4方向から一せいに、少なくとも30分間水を吹きつけること。

(b)ぬれたままの供試輸送物に対して(a)-①にしたがった場合は、ただちに、また(a)-②に従った場合は試験後1.5時間から2.5時間の間にⅤ-1-(2)-(ii)に従い、1.2mの自由落下試験を行うこと。

(c)① この試験は、下記の仕様のノズルを用いて2±0.3kg/cm2の噴射水圧で行なうこと。ノズルの出口における水の噴出円錐体の尖端角度は35℃になるものであること。

② 噴射水量は230+231/hであること。

③ 水滴の50%以上は、その直径が3mmから5mmの間にあること。

(d)スプレーは、水平面に対して45°下に向けた角度で、ノズルから供試輸送物のかどまたはふちまでは2.4mの距離を保持し、その軸は下記に示す垂直面内になければならない。

① 直方体の供試輸送物に対しては、水を吹きつけるかどとそれに相対する例のかどとを結ぶ対角線を含む垂直面

② 円筒型の供試輸送物に対しては90°ずれた間隔をもつ、中心軸を含む4つの垂直面。

 なお、吹きつけられた水は、ただちに排水されなければならない。

 すなわち、供試輸送物は水たまりの中に置かぬようにしなければならない。
(ii)自由落下試験
(イ)次の輸送容器は、本試験から免除される。

 7kg/cm2(g)をこえる圧縮気体用の密封容器として設計されたガスシリンダー
(ロ)方法
(a)供試輸送物は、安全性の観点から最大の破損を受けるように落下試験台上に落下させなければならない。

(b)供試輸送物の最下部から落下試験台の上面までの落下高さは1.2mであること。これに加えて、さらに

①重量が50kg以下の繊維板製または木材製の直方体の供試輸送物に対しては、前述の試験とは別の供試輸送物により0.3mの高さから各かどについて自由落下試験を行なうこと。

②重量100kg以下の繊維板製または木材製の円筒形の供試物に対しては、前述の試験とは別の供試輸送物により両端面の各ふちにそって90°ごとに4箇所について0.3mの高さから自由落下を行なうこと。

③第2種輸送物については上記Hの試験の前に、直方体の場合には各かどについて、また円筒形の場合には両端面の各ふちにそって90°ごとに4箇所について0.3mの高さから自由落下を行なうこと。

(ハ)落下試験台
 落下試験台の上面は、硬く、なめらかで、かつ、平らな水平面でなければならない。

 例えば、その上面にどのような供試輸送物を落しても、感知できるような動きがなく、すべての衝撃を吸収できる十分な質量を持つブロックの上面をいう。

 この上面は、表面を保護するため鋼鉄板でおおうことができる。
(iii)圧縮試験
  方法
(a)供試輸送物は、その重さの5倍の荷重または0.13kg/cm2に正置した供試輸送物の垂直投影面積を乗じた値のいずれか大きい備に等しい圧縮荷重を24時間にわたってかけなければならない。

(b)この荷重は、供試輸送物を正置させた場合の底面と、それに対応する面に対して、一様にかけること。

(iv)貫通試験
  方法
(a)供試輸送物は、この試験中動きにくく、固くなめらかな水平面上に置くこと。

(b)重さ6kg、直径3.2cmの棒をその半球形にしあげられた先端を下にして、長軸を垂直にして、もし棒が十分深く貫通した場合には、密封容器にあたるように供試輸送物の最も弱い部分に落下させること。

(c)供試輸送物の上面から棒の最下端までの落下高さは1mであること。

(d)この棒には、試験中に著しく変形するような材料を用いてはならない。
(3)液状核燃料物質用A型輸送容器に適用される試験の手順
(i)次の輸送容器は、本試験から免除される。
液状核燃料物質用に設計され、かつ、Ⅲ-3-(2)-(i)の(イ)または(ロ)の条件を満足するA型輸送容器
(ii)方法
(イ)液体用に設計されるA型輸送容器については、その供試輸送物が、密封性に関して最大の破損を受けるように落下試験台へ落下させること。

(ロ)落下試験台の上面から上記(イ)の供試輸送物の最下部までの落下高さは9mであること。
(iii)落下試験台
 落下試験台は、輸送物または密封容器の落下衝撃に伴う試験台の変形または変位を少なくしようとした結果そのために輸送物または密封容器の受ける破損が著しく増加することがないような特性を持ったなめらかな水平面であること。

 例えば、このような落下試験台としては、供試輸送物の少なくとも10倍の重量を持つコンクリートブロックであって、その上面には厚さ1.25cm以上の鋼鉄板がコンクリートと密着するように置かれているものが考えられる。
(4)B型およびH型輸送容器に適用される試験の手順供試輸送物は、次のⅤ-1-(4)-(i)に示す強度試験、Ⅴ-1-(4)-(ii)に示す耐火試験および特に免除されない限り、Ⅴ-1-(4)-(iii)に示す浸漬試験の順序で試験を行なわなければならない。
(i)強度試験  方法
(a)本試験は、2種類の落下試験からなる。

 この2種類の落下試験の順序は、本試験につづいて行なわれる耐火試験で、供述輸送物が最大の影響をうけるような順序で行なわなければならない。
(b)落下試験-Ⅰ
① 供試輸送物を、それが最大の破損を受けるように落下試験台上に落下させること。

② 落下試験台の上面から供試輸送物の最下部までの落下高さは、9mであること。

③ 落下試験台は、上記Ⅴ-1-(3)-(iii)に定義されたものであること。
(c)落下試験-Ⅱ
① 供試輸送物をそれが、最大の破損を受けるように突起物上に落下させること。

② 突起物の上面から供試輸送物の最下部までの高さは、1mであること。

③ 突起物は、直径が15±0.5cmの軟鋼棒であること。その上面は、なめらかな水平面であり、そのふちのまるみは半径6mm以下であること。この俸は、Ⅴ-1-(3)-(iii)で述べられた台の上に垂直に固定されており、棒の長さは20cm以上で供試輸送物に最大の破損をひきおこすに十分な長さの棒を使用すること。
(ii)耐火試験  方法
(a)耐火試験は、供試輸送物が0.9の熱放射係数をもつ800℃の熱放射環境に30分間さらされたときに受ける熱量と同等以上の熱量を受けるような条件下で行なうこと。

 ただし、供試輸送物の表面の熱吸収係数を0.8とする。
(b)上記(a)に定めた条件を満足すると考えられる試験の一例は、次のとおりである。

① 供試輸送物は、次の②の条件にあるような火災にさらされること。火災を生じるための燃料皿の底面から、供試輸送物の最下部までの高さを1mとして、供試輸送物を固定すること。そのさい、供試輸送物を固定するための構造物は、供試輸送物のいかなる表面に対しても、直射熱をさえぎってはならない。また、供試輸送物は最大の破損を受けるように置かれなければならない。熱絶縁体が使用されていて、事故の状況下でそれが部分的に、はがれやすい場合には輸送容器の全表面積の50%に熱絶縁体をつけてこの試験を行なうこと。

② 火災は、屋外での石油系燃料の燃焼によるものを使用すること。その燃料は、蒸溜の終点が最高330℃、引火点が最低46℃であり、発熱量が11,100keal/kgから11,700kcal/kgの間であること。この火炎は、供試輸送物のすべての面を0.7mから3mの厚さでつつむ輝炎であること。燃料皿は、規定された試験を満足に行ないうる程度の燃料を十分収納するだけの深さを有すること。

③ 供試輸送物は、上記の条件で30分間火炎にさらさなければならない。試験後は内部の温度降下が、熱電対または他の方法で測定されないかぎり、少なくとも3時間は人意的に冷却してはならない。
(iii)浸漬試験
(イ)次の輸送物は、本試験から免除される。
 第1種輸送物および第2種輸送物以外の輸送物

(ロ)方法
(a)供試輸送物は、その結合部が水頭0.9m以上の水圧を8時間以上受けるように浸漬試験を受けなければならない。

(b)供試輸送物の温度は、試験開始時において水温よりも5℃から15℃高いこと。
(5)輸送容器の密封およびしゃへいの完全性に関する検査
(i)密封の完全性に関する検査(内容物のもれの検査)
 Ⅴ-1-(1)-(ii)に示す条件に合致していることを確認するために、通常行なわれているもれ検査を行なうこと。

(ii)しゃへいの完全性に関する検査(放射線のもれの検査)
(イ)A型、B型およびH型供試輸送物については、Ⅴ-1-(2)の試験を行なったのち、下記の検査を行なうこと。

(a)しゃへい効果が著しく減少していないことを確認するため、供試輸送物中に適当な線源を装荷して、供試輸送物の表面を入線フイルムまたは適当な機器により検査すること。

(b)必要な試験を終えたのち、イリジウム192の線源を装荷し、供試輸送物の表面のいかなる点においても、線量率が著しく増加していなければ、しゃへい効果に減少がないと考えてよい。もしも、輸送容器が、特定の放射性核種に対してのみ使用されるものであるならば、その核種をイリジウム192のかわりに線源として使用することができる。

(ロ)B型およびH型供試輸送物についてはⅤ-1-(4)の試験を行なったのち、下記の検査を行なうこと。

(a)しゃへい効果の減少の有無を確認するため供試輸送物中に適当な線源を装荷して供試輸送物の全面をX線フイルムまたは適当な機器により検査すること。

(b)供試輸送物の表面において、しゃへい効果の減少があったことが認められた場合、必要であるならば、供試輸送物からの放射線のもれがⅢ-4-(2)の条件をみたすことを実際の測定および計算によって確認すること。
2 特別形核燃料物質に使用するカプセルの試験

(1)総則
(i)供試カプセルは、輸送用に製造されたものであり、また、供試カプセルの内容物は、特に放射能および比放射能が実際に収納する核燃料物質とできる限り似たものにしなければならない。

(ii)下記Ⅴ-2-(2)に示す各試験のために別々の供試カプセルを使用すること。

(iii)各試験後の漏洩に関する評価は、下記Ⅴ-2-(3)の方法と同等以上の精度をもつ方法で行なわなければならない。
(2)試験方法
(i)衝撃試験
 供試カプセルは9mの高さから落下試験台に落下させること、その落下試験台は、供試カプセルの落下衝撃に伴う試験台の変形または変位を少なくしようとした結果そのために供試カプセルの受ける破損が著しく増加することがないような特性をもったなめらかな水平面であること。

(ii)打撃試験
(イ)供試カプセルをなめらかで、かつ、固い表面上の鉛のシートの上に置き、1mの高さから1.4kgの物質を自由落下させた場合と同等の衝撃を棒状の銅片の平満面で加えること。

 棒状鋼片の平端面の直径は2.5emで、そのかどは半径約3mm以内で、その面積はカプセルの投影面積よりも大きな面積をもっていなければならない。

(ロ)打撃試験には、毎回新らしい鉛シートの面を使用しなければならない。
(iii)加熱試験
 供試カプセルを空気中で800℃に10分間加熱し、その後、放冷すること。

(iv)供試力プセルを室温の水中に24時間浸漬すること。この水はpH6~8 最大電気伝導度10μmho/cmであること。
(3)漏洩に関する評価の方法
(i)供試カプセル材を侵食せず、かつ、カプセル内に納められている放射性物質が万一外にでてきた場合にこれを有効に取除くことができる溶液中に供試カプセルを浸し50±5℃で8時間加熱すること。

(ii)次に供試カプセルを溶液より取り出し、少なくとも7日間保管したのち、上記(i)の試験を再び行なうこと。その溶液中の全放射能が二度とも0.05μCi以下であれば、供試カプセルは耐漏洩性のものであると考えてよい。

Ⅵ H型輸送容器に対する国際輸送上の条件

1 H型輸送容器を国際的に輸送する場合、IAEA規則によれば、輸送容器の設計が関係各国において自動的に承認されるためには、次の条件を満足しなければならない。

(1)Ⅴ-Ⅰ-(2)およびⅤ-Ⅰ-(4)に示す試験の条件下においてⅢ-4-(1)の条件を満足すること。

(2)上記(1)は、フィルターに依存してはならない。

(3)一次熱伝達材を有する輸送物は、圧力を調整するため輸送中に排気を行なうような構造であってはならない。

(4)上記(2)を満足させるために外部に設けた補助的な冷却設備に頼ってはならない。

(5)輸送物は定められたⅤ-1-(2)およびⅤ-1-(4)の試験条件下において、密封容器から周囲に放射性物質を放散するような圧力逃し装置を有するものであってはならない。

(6)密封容器の最高使用圧力に、密封容器が輸送される条件下における気圧と海面上の平均大気圧との差圧を加えたものが、0.35kg/cm(g)をこえる場合、密封容器はこれらの和の1.5倍以上の圧力に耐えなければならない。

 また、この1.5倍の圧力における応力は、予想される最高使用温度で、密封容器の最小降伏応力の75%以上および引頭り強さの40%以上であってはならない。

(7)輸送物が最高使用圧力の条件下において、定められたⅤ-1-(4)-(ii)の熱試験を受けた場合に予想される最高の温度で、密封容器の内圧が、容器の最小降伏応力に相当する圧力をこえないことを実証しなければならない。

(8)一次熱伝達材の使用を必要とする輸送物、あるいはガス状または液状の線源を含む輸送物の最高使用圧力は7kg/cm2(g)をこえてはならない。

(9)輸送物は、定められたⅤ-1-(4)の試験条件下において一次熱伝達材の損失は、一週間に次の値をこえてはならない。
(i)一次熱伝達材が加圧ガスまたは蒸気状の場合、その容積の0.1%または5l(温度0℃気圧760mmHgにおいて)のいずれか少ない方をこえてはならない。

(ii)一次熱伝達材が液状の場合、その容積の0,1%または0.5lのいずれか少ない方をこえてはならない。
(10)通常の状態においては線源からの放射性物質の放出がないということを機械的な冷却系統に頼って達成されたものであってはならない。

(11)液状の一次熱伝達材または液状の放射性内容物のいずれかを含む輸送物は、輸送物が-40℃の温度条件下に置かれたとしても、その完全性が損なわれない密封容器を有するものでなければならない。特定国間を輸送する輸送物の場合は、これらの国の関係当局の間で合意されれば、-40℃以外の温度を仮定してもよい。

2 上記1の圧力に関連した要請事項に対する環境条件は、Ⅲ-5-(2)-(iv)に従うこと。

Ⅶ 別記

別記Ⅰ 単一の輸送物中に数種の放射性核種が一緒に入っている場合の個々の放射性核種の許容放射能を決定する式

1 各放射性核種の物質名に各々の放射能が明らかな場合は、各核種の許容放射能は、次のF1+F2+………+F7の合計が1以下であること。
別記Ⅱ 核分裂性物質の核的安全性の確認の方法(省略)
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