前頁 |目次 |次頁

原子力第一船開発基本計画の改定にについて


昭和42年3月23日
原子力委員会

 原子力第一船の建造については、昭和38年7月に決定した原子力第一船開発基本計画に基づき、日本原子力船関発事業団を中心に官民協力して、その開発準備を進めてきたが、船価が大幅に上昇したこと、原子力船の実用化の見通しがより明らかになったことなどの事情により、海洋観測船として利用しうるものとして建造するという点を改め、特殊貨物の輸送船として利用しうるものとして昭和42年度に建造に着手することとした。

 このため原子力第一船開発基本計画の事業の大綱を別紙のとおり改定する。

 なお、これにともない、同事業団の事業の進展に応じて、日本原子力船開発事業団法に所要の改正を行なう必要がある。

原子力第一船開発基本計画

昭和38年7月31日決定
昭和42年3月23日改定
原子力委員会

 昭和36年2月本委員会が策定した原子力開発利用長期計画に従い、原子力船の開発を総合的かつ効果的にすすめるため、昭和38年度より原子力第一船の開発を行なうものとする。

 開発の実施にあたっては、日本原子力船関発事業団を中心として一貫して責任体制のもとに、資金、人材のみならず、研究開発の面においても広く官民の協力を求め、事業の円滑かつ効率的な推進をはかるものとする。

 開発をすすめるにあたっての基本方針および事業の大綱は次のとおりとする。

Ⅰ 基本方針
(1)原子力基本法の精神が充分生かされるようつとめるものとする。

(2)資金、人材の面において関係試験研究機関および産業界の協力を求め、計画の円滑な推進をはかるとともに広くわが国の原子力船に関する技術の向上を図るものとする。

(3)原子力第一船の設計と建造は、搭載する原子炉も含めて可能なかぎり国内技術によって行なうものとする。

(4)原子力第一船の安全性の確保については慎重に検討し万全を期するものとする。

(5)関係試験研究機関と密接な連携を保ち、研究開発を効率的にすすめるものとする。
Ⅱ 事業の大綱
(1)船種および船型
 原子力第一船は、総屯数約8,000トン、主機出力約10,000馬力、航海速力約16ノットとし、特殊貨物の輸送および乗組員の養成に利用できるものとする。

(2)搭載する原子炉の型式
 搭載する原子炉は加圧軽水冷却型とする。

(3)原子力第一船の建造
 原子力第一船は、昭和42年度に建造に着手し、昭和46年度末までに完成するものとする。

(4)乗組員の養成訓練
 原子力第一船の乗組員の養成訓練については、日本原子力研究所、放射線医学総合研究所等における基礎課程の講習、建造過程における工場実習およびでき得れば外国原子力船による乗船実習等の訓練を行なうものとする。

 養成訓練は、昭和42年度からはじめ試運転前に完了するものとする。

(5)陸上付帯施設の建設
 原子力第一船の原子炉艤装、燃料交換等を行なうとともに、定係港として利用するため陸上付帯施設を昭和42年度に建設に着手するものとする。

(6)実験航海および実験航海終了後の措置
 原子力第一船の完成後、約2年間慣熟運転および実験航海を行なう必要がある。

 実験航海終了後における原子力第一船の運航主体、陸上付帯施設等の利用については、慎重に検討の上、別途具体的に措置するものとする。
前頁 |目次 |次頁