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東京電力(株)福島原子力発電所原子炉の設置について



 原子力委員会は、東京電力(株)から申請のあった福島原子力発電所原子炉に関する原子炉等規制法に定める設置許可基準の適合について、内閣総理大臣から7月14日付で諮問を受けた。

 以来、安全性については、原子炉安全専門審査会に審査を指示し、11月2日に、審査会長から安全性は確保しうる旨原子力委員長に報告がなされた。

 さらに、委員会としては、審査会から報告があった安全性のほか、平和利用、計画的開発利用、経理的能力等についても、審査を行ない、設置の許可基準に適合する旨11月17日の定例会議で結論を得、同日付けで内閣総理大臣あてに答申した。

(東電福島発電炉の計画概要)

1 敷地、原子炉の型式・出力
 本原子炉は福島県双葉郡(敷地面積300万平米)に設置され、型式は、直接サイクルの低濃縮ウラン軽水減速、軽水冷却の沸騰水型(BWR)で、熱出力1220MW、電気出力400MWである。

2 工事計画
 建設工事の予定は昭和41年12月に着工して、昭和45年6月燃料装荷、昭和45年10月運転開始である。

 工事の主建設者は、米国GE社で、総工事費中約32%は外貨払いである。

3 使用済燃料の処分の方法
 使用済燃料は原子燃料公社で再処理を行なう。

4 経理
 発電所建設に要する資金は約418億円(初期装荷燃料を含む)であり、そのうち外貨借入れは125億円である。発電単価は、KWH当り初年度2円98銭、20年平均2円55銭の見込みである。

<原子力委員会答申書>

41原 委 第273号
昭和41年11月17日

 内閣総理大臣殿

原子力委員会委員長

東京電力株式会社の福島原子力発電所の原子炉の設置について(答申)

 昭和41年7月14日付41原第2581号(昭和41年10月27日付41原第4114号および昭和41年11月14日付41原第4394号をもって一部訂正)をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

 東京電力株式会社が商業発電用の目的をもって、福島県双葉郡に設置する濃縮ウラン、軽水減速、軽水冷却の沸騰水型熱出力1220MWの原子炉1基の設置許可申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可の基準に適合しているものと認める。

 なお、各号の基準の適用に関する意見は別紙のとおりである。
別 紙

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する
法律第24条第1項各号に規定する許可基準の適用に関する意見

 (平和利用)
1 この原子炉は、東京電力株式会社が一般電気事業を営むために用いられるものであって、平和の目的以外に利用されるおそれがないものと認める。

 (計画的遂行)
2 東京電力株式会社が原子力発電のため、この原子炉を設置することは「原子力開発利用長期計画」に定める方針に則っており、将来のエネルギー供給の安定を図る上で十分の意義を有するものと考えられるので、この原子炉の設置がわが国の原子力開発および利用の計画的な遂行に支障をおよぼすおそれがないものと認める。

 (経理的基礎)
3 この原子炉の設置に要する資金は、自己資金、外貨借り入れ、日本開発銀行を含む国内金融機関からの借り入れ等により調達する計画になっているが、その計画内容からみて資金調達は十分可能である。

 申請者の総合的経理能力および原子炉設置のための資金計画からみて経理的基礎は十分であると認める。

 (技術的能力)
4 別添の原子炉安全専門審査会の審査結果のとおり、この原子炉を設置し、その運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるものと認める。

(災壷防止)
5 別添の原子炉安全専門審査会の審査結果のとおり、この原子炉の位置、構造および設備は、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物または原子炉による災害防止上支障がないものと認める。
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