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関西電力(株)美浜発電所原子炉の設置について



 原子力委員会は、関西電力(株)から申請のあった美浜発電所原子炉に関する原子炉等規制法に定める設置許可基準の適合について、内閣総理大臣から6月27日付で諮問を受けた。

 以来、安全性については、原子炉安全専門審査会に審査を指示し、11月16日に、審査会長から安全性は確保しうる旨原子力委員長に報告がなされた。

 さらに、委員会としては、.審査会から報告があった安全性のほか、平和利用、計画的開発利用、経理的能力等についても審査を行ない、設置の許可基準に適合する旨11月17日の定例会議で結論を得、同日付で内閣総理大臣あてに答申した。

(関電美浜発電炉の計画概要)

1 敷地、原子炉の型式、出力
 本原子炉は、福井県三方郡美浜町(敷地面積50万平方米)に設置され、型式は、低濃縮ウラン軽水減速、軽水冷却の加圧水型(PWR)で、熱出力1030MW、電気出力340MWである。

2 工事計画
 建設工事の予定は、昭和41年12月に着工し、昭和44年3月燃料装荷、昭和45年10月運転開始である。

 工事の主建設者は、米国WH社で、総工事費中32%は、外貨払いである。

3 使用済燃料の処分の方法
 使用済燃料は、原子燃料公社で再処理を行なう。

4 経理
 発電所建設に要する資金は、約320億円(初期装荷燃料成形加工費を含む)であり、そのうち外貨借入れは、116億円である。発電単価は、1kWH当り、初年度3円、20年平均2円50銭である。

<原子力委員会答申書>

41原委第282号
昭和41年11月17日

 内閣総理大臣殿

原子力委員会委員長

関西電力株式会社の美浜発電所の原子炉の設置について(答申)

 昭和41年6月27日付41原第2285号(昭和41年10月27日付41原第4117号および昭和41年11月14日付41原第4393号をもって一部訂正)をもって諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

 関西電力株式会社が商業発電用の目的をもって、福井県美浜町に設置する濃縮ウラン、軽水減速、軽水冷却の加圧水型熱出力1031MWの原子炉1基の設置許可申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に規定する許可の基準に適合しているものと認める。

 なお、各号の基準の適用に関する意見は別紙のとおりである。

別 紙

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する
法律第24条第1項各号に規定する許可基準の適用に関する意見

 (平和利用)
1 この原子炉は、関西電力株式会社が一般電気事業を営むために用いられるものであって、平和の目的以外に利用されるおそれがないものと認める。

 (計画的遂行)
2 関西電力株式会社が原子力発電のため、この原子炉を設置することは「原子力開発利用長期計画」に定める方針に則っており、将来のエネルギー供給の安定を図る上で十分の意義を有するものと考えられるので、この原子炉の設置がわが国の原子力開発および利用の計画的な遂行に支障をおよぼすおそれがないものと認める。

(経理的基礎)
3 この原子炉の設置に要する資金は、自己資金、外貨借り入れ、日本開発銀行を含む国内金融機関からの借り入れ等により調達する計画になっているが、その計画内容からみて資金調達は十分可能である。

 申請者の総合的経理能力および原子炉設置のための資金計画からみて経理的基礎は十分であると認める。

(技術的能力)
4 別添の原子炉安全専門審査会の審査結果のとおり、この原子炉を設置し、その運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるものと認める。

(災害防止)
5 別添の原子炉安全専門審査会の審査結果のとおり、この原子炉の位置、構造および設備は、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物または原子炉による災害防止上支障がないものと認める。
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