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原研東海研究所原子炉施設の変更に係る安全性について



 原子力委員会では、内閣総理大臣から日本原子力研究所原子炉施設の変更(動力試験炉に照射設備の設置、動力試験炉におけるJPDR-Ⅱ用燃料の照射)について諮問を受けたが、審査を行なった結果、次のように安全上支障がない旨答申した。

日本原子力研究所原子炉施設の変更に係る安全性について
(動力試験炉に照射設備の設置)(答申)

(昭和41年9月17日付)

 昭和41年8月17日付41原第2,405号(9月6日付41原第3,579号をもって一部訂正)をもって諮問のあった標記の件については下記のとおり答申する。

Ⅰ 審査結果
 日本原子力研究所東海研究所原子炉施設の変更(動力試験炉に照射設備の設置)に係る安全性に関し同研究所が提出した安全性に関する審査のための書類(昭和41年6月24日付及び9月5日付書類)に基づいて審査した結果、本変更は安全上支障ないものと認める。

Ⅱ 変更事項
 原子炉圧力容器側壁内及びチムニフランジ上面に燃材料(Puを除く)を照射するための設備、ならびに炉心シュラウド内側に材料を照射するための設備、さらに主蒸気管内の高温高圧蒸気雰囲気に材料を置く設備を設ける。

Ⅲ 審査内容
a 核的安全性について
 全照射設備への最大装荷量及び個々の照射カプセルへの最大装荷量は、U-235当量でそれぞれ10kg、800gに制限されている。試料の照射位置は、相互間に適当な間隔をもって置かれて、また炉心からも充分離れているので、核的安全性は確保される。
b 熱機械的安全性について
 照射試料、照射設備からのガンマ熱及び照射試料の核分裂による発熱は、共に小さく、原子炉の冷却材により充分除熱される。
 さらに照射設備の構造は、変形、落下を防止するよう配慮されているので、熱機械的安全性は、確保される。
c 事故想定について
 かりに照射カプセルが破損するような事故を想定しても、カプセル内に蓄積している核分裂生成物は少量であり、原子炉施設から外部へ放散されることはほとんどない。

日本原子力研究所東海研究所原子炉施設の変更に係る安全性について
(動力試験炉におけるJPDR-Ⅱ用燃料の照射)(答申)

(昭和41年9月17日付)

 昭和41年9月8日付け41原第3,345号をもって諮問のあった標記の件については下記のとおり答申する。

Ⅰ 審査結果
 日本原子力研究所東海研究所原子炉施設の変更(動力試験炉におけるJPDR-Ⅱ用燃料の照射)に係る安全性に関し同研究所が提出した安全性に関する審査のための書類(昭和41年8月23日付書類)に基づいて審査した結果、本変更は安全上支障ないものと認める。

Ⅱ 変更事項
 動力試験炉の燃料集合体72本のうち2本を次のように変更して、JPDR-Ⅱ用燃料開発のための照射を行なう。
 従来のもの  変更に係るもの
 燃料集合体当りの
 燃料要素本数
 6×6=36  7×7=49
 燃料要素外径  14.14mm  12.23mm
 燃料集合体の寸法  122mmx122mm  122mmx122mm
 濃縮度  2.6%  1本 2.6%
 1本 2.6% と 5.9% の燃料要素を使用

Ⅲ 審査内容
 変更に係る燃料集合体を装荷しても、その本数は2本であり、反応度の増分は小さく、停止余裕、制御棒1本挿入不能時の原子炉停止能力もほとんど変更されない。

 さらに最大熱流束も許容値以下であり、ボイドの増加もほとんどないので、従来の熱水力学的安定性に対する影響はないと認める。

 また振動、熱応力、内外圧、腐食等に対する配慮もなされている。
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