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核燃料物質の加工の事業に関する規則改正について



1 改正理由
 試験研究用原子炉の燃料に関する研究開発もすすみ、加工の事業として需要に応じられる体制もできつつあり、また、動力用原子炉の燃料に関する研究開発についても製造工程の技術習得も行なわれ、近く建設されようとする動力炉の燃料加工が国内で事業として行なわれる計画がすすめられている。

 加工事業の規制に関する法律および規則は制定当時(昭和32年)のままであり、加工事業の実態がある程度明らかになった現在では、整備を要する点も多いので、前記情勢にもかんがみ、現行の規制法にもとづく規則の整備を行なおうとするものである。

 今回の規則の改正は、加工の事業の許可(規制法(以下同じ)第13条)、変更の許可(第16条)、合併(第18条)、事業開始(第17条)および相続(第19条)の届出に関する手続き規定について現行規則を整備するとともに許可の取消(第20条)、記録(第21条)、保安規定(第22条)、国際規制物資の使用の届出(第61条)、報告徴収(第67条)等に関する規定について新たにその手続き等を定めようとするものである。

2 改正要綱
第1 定義
 被ばく放射線量、集積線量、管理区域、周辺監視区域、従事者および放射性廃棄物について定義を新設する。

第2 加工事業の許可申請
(1)許可申請に記載する事項のうち、加工施設の位置、構造および設備ならびに加工の方法について、次のように改める。
(i)加工施設の位置、構造および設備の区分の仕方は規則制定当時(昭和32年)のままであり、現状で考えられる施設の区分には必らずしも適当でないため、その区分を加工施設の位置、建物の構造、化学処理施設、成型施設、被覆施設、組立施設、核燃料物質の貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設、放射線管理施設およびその他の施設に改める。
(ii)(i)の区分は、施設の大分類であり、許可要件(安全性、能力過大、経理的、技術的能力)に対する適、不適を判断すべき内容が不明確であるため、主要設備の種類および仕様、核的制限値等、を内容とする中分類を新たに定める。
(iii)加工の方法については、現行規則は工程図によって記載することを定めているのみで、許可要件に対する適、不適を判断すべき内容が不明確なため、中分類をもうけ事業において加工する核燃料物質の製品別に加工の方法の概要、加工工程図および加工工程の核燃料物質収集図の区分を設ける。
(2)規制法施行令に規定する許可申請に添付すべき事業計画、その他総理府令で定める書類については、許可要件たる技術的能力および経理的基礎の審査に必要な書類のほか、許可申請書に記載された内容の裏づけとなる書類を添付すべきこととし、次の点を骨子とした改正をする。
(i)事業計画書は事業開始後5年間のもの(現行3年間)をとることとし、実状に適合させる。
(ii)技術的能力に関する説明書は、生産方式、主要な技術者等記載すべき内容を明確化する。
(iii)安全性審査に必要な加工施設の設置場所における自然環境、社会環境に関する説明書を追加する。
(iv)施設の安全性に関する設計上の根拠についての説明書を追加し、設備の配置図を追加する。
第3 変更の許可の申請
 加工の事業の許可の申請の改正に伴い、許可の申請に準じて整備を行なう。

第4 合伴の認可の申請
 現行規則と同じ。

第5 許可の取消
 製錬規則に準じ許可の取消期間を2年間とする。

第6 記録
 製錬の事業に関する規則等に準じ記録すべき事項を次のように定める。
(i)保安規定に定める保安上特に管理を必要とする設備の検査記録
(ii)核燃料物質の記録
(iii)放射線管理記録
(iv)操作記録
(v)保守記録
(vi)加工施設の事故記録
(vii)気象記録
 核燃料物質の記録には、国際査察の現状にかんがみ供給当事国をあわせて記載すること。
第7 保安規定
 製錬の事業に関する規則等に準じて、保安規定に記載すべき事項を次のように定める。
(i)加工施設の操作等を行なう者の組織等
(ii)加工施設の従事者に対する保安教育
(iii)保安上特に管理を必要とする設備の操作管理区域及び周辺監視区域の設定等
(iv)放射線測定器の管理等
(v)加工施設の巡視等
(vi)核燃料物質の取扱い
(vii)放射性廃棄物の廃棄
(viii)非常の場合とるべき処置
(ix)保安に関する記録
(x)その他保安に関し必要な事項
第8 国際規制物資の使用の届出
 製錬の事業に関する規則と同様のものを定める。

第9 報告の徴収
 製錬の事業に関する規則と同様のものを定める。

第10 危険時の措置
 製錬の事業に関する規則と同様のものを定める。

第11 事業の廃止の届出
 製錬の事業に関する規則と同様のものを定める。

第12 解散時の届出
 製錬の事業に関する規則と同様のものを定める。

第13 許可の取消に伴う措置
 製錬の事業に関する規則と同様のものを定める。
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