I 最近における環境および食品等の放射能汚染について
雨水の全放射能は、本年5月の中共核実験後一時的に増加し、5月における月間降下量は最高456mc/km2（福岡）に達したが、翌月にはほぼ平常の値に戻った。これらの値は放射能対策本部でとりきめた緊急事態第一段階の月間降下量（2,500mc/km2以上）と比較してはるかに低い値である。
ストロンチウム−90の東京における月間降下量は冬季には減少を示したが3、4月には再びやや増加した。なお本年1月から4月までの積算値は1.9mc/km2で昨年の同期間の値3.6mc/km2と比較すると約半分程度である。 牛乳および飲料水中のストロンチウム−90の全国平均値は昨年後半以降ほぼ横這いの状態にある。
日常食からのストロンチウム−90の摂取量の全国平均値は、昨年末には夏期と比較して、やや増加を示している。
対策本部としては、今後も食品の放射能汚染機構の究明に努めるとともに、食品および環境の放射能水準の調査を継続することとする。
II 放射能対策日誌
○10月29日
第43回放射能対策本部幹事会
環境および食品等の放射能汚染について（本部発表第24号）を検討、同日発表。なお、本誌第10巻第5号P10に第42回幹事会の期日が5月15日となっているが、5月17日であるので訂正する。
A 環境
1 雨水の放射能
全国13ヵ所の気象観測所で測定している雨水の全放射能について40年1月から7月までの月間降下量を示すと次の通りである。
第1表 観測所別全放射能月間降下量
2 地表付近の浮遊塵の放射能
全国5ヵ所の気象庁観測所で測定している地表付近の浮遊塵の全放射能の40年1月から7月までの月間平均値は、次の通りである。
第2表 地表付近の浮遊塵の全放射能
3 高空浮遊塵の全放射能
防衛庁技術研究本部で行なっている10,000〜12,000mの高空における浮遊塵の全放射能の40年1月から8月までの測定結果を月間平均値で示すと次の通りである。
第3表 高空浮遊塵の全放射能
4 ストロンチウム−90の月間降下量
気象研究所が、東京で1ヵ月間に蓄積した雨水および落下塵中に含まれているストロンチウム−90について、40年1月から4月までの分析した結果は次の通りである。
第4表 東京におけるストロンチウム−90月間降下量
また39年1月から40年4月までの月間降下量の推移を示すと第1図の通りである。
第1図 Sr−90月間降下量の推移（東京）
5 空間線量
放射性降下物による1ヵ月間の積算空間線量について、理化学研究所が東京で行なった測定結果を40年1月から8月までについて示すと次の通りである。
第5表 放射性降下物による各月の空間線量
39年8月から40年8月までの状況は第2図に示す通りである。
第2図 空間線量の推移（東京）
B 食品
1 日常食中ストロンチウム−90
全国各地の地方衛生研究所で、39年7〜8月および11〜12月に集めた日常食中のストロンチウム−90について、分析化学研究所および放射線医学総合研究所で分析を行なった結果によると、日常食からのストロンチウム−90の摂取量（平均値）は次の通りである。
第6表 日常食からのストロンチウム−90摂取量
2 飲料水中のストロンチウム−90
（１）水道水（原水）中のストロンチウム−90
全国各地の地方衛生研究所で39年9月から40年6月までに採取した上水中のストロンチウム−90について分析化学研究所で分析した結果は次の通りである。
（２）燈台飲用天水中のストロンチウム−90
全国各地の7ヵ所の燈台で39年5月から40年3月までに採取した飲料用天水（濾過水）中のストロンチウム−90について、分析化学研究所で分析した結果は第8表の通りである。
3 牛乳中のストロンチウム−90
（１）国内7ヵ所の畜産試験場において搾乳した牛乳について、畜産試験場（千葉）が行なったストロンチウム−90の分析結果を40年1月から7月までについて示すと第9表の通りである。
第7表 上水中のストロンチウム−90
第8表 飲料用天水中のストロンチウム−90
第9表 牛乳（畜産試験場で搾乳）中のストロンチウム−90
（２）全国各地の地方衛生研究所で、40年1月から3月までに購入した市販の牛乳中のストロンチウム−90について分析化学研究所で分析した結果は次の通りである。
4 野菜中のストロンチウム−90
全国各地の地方衛生研究所で、39年4月から40年3月までに採取した野菜中のストロンチウム−90について分析化学研究所が分析した結果は次の通りである。なお分析に用いた野菜は大根、白菜、キャベツ、ホーレン草等である。
第10表 牛乳中(各地で購入)のストロンチウム−90
第11表 野菜中のストロンチウム−90
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