輸出貿易管理令の一部改正について


 今般、輸出貿易管理令の一部改正が行なわれ原子力関係については下記の品目が改正されることとなった。
 今回の改正は現行ココムリストの枠内で行なわれたものであるが、(1)従来、原子力関係品目は総べて甲地域(注)向けの場合のみ規定の対象とされており、東南アジアの一部、中南米、アフリカ、太平洋諸国は規制の対象とされていなかった。しかしながら、原子力関係品目は、原子力基本法第2条の平和利用の精神にかんがみ、規定地域を甲地域に限らず全地域を対象とすべきであると考えられ、これを機会に軍事目的、特に核兵器製造上重要な役割をはたす可能性のある品目は規定地域を全地域とすることとした。(2)従来第51項、核燃料物質の他に、一般化学、金属物質の項(第2、5、7、14、48、66項)に規定されていた核燃料物質、核原料物質を整理統合し、全地域規定とした。(3)その他、ココム原リストの修正および追加等のため所要の改正を行なうこととした。
 なお、この政令は昭和40年11月15日から施行される。


I 全地域規定

1 リチウムの地金半製品および一次製品ならびにリチウム化合物

2 人造黒鉛(原子炉級)

3 重水素ならびにトリチウムの化合物および混合物

4 核燃料物質および核原料物質

5 原子炉および附属装置ならびに原子炉用に設計した発電または推進のための装置

6 燃料再処理用主要施設(向流溶媒抽出装置、モニターおよび制御装置)

7 重水製造設備および重水の濃縮設備

8 同位元素分離設備


II 甲地域規定(上記規定の改正に伴うもので実質的な改正ではない。)

1 B、Be、Zr、Mg、Ti、Ta、Mo、Nb、Hf、W等およびその合金ならびに化合物(一部鉱石も含む。)

2 原子電池、拡散真空ポンプ(規格あり)等

(注)

1 「甲地域」とは、アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、ビルマ、カンボディア、カナダ、セイロン、サイプラス、チェッコスロヴァキア、コンゴ民主共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ガンビア、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、ハンガリー、インド、インドネシア、アイルランド、イタリア、ジャマイカ、ケニア、朝鮮(大韓民国政府の支配する地域を除く。)、ラオス、ルクセンブルグ、中国本土、マラウイ、マレイシア、マルタ、モロッコ、ネパール、オランダ、ナイジェリア、ノルウェー、外蒙古、ポーランド、ポルトガル(アンゴラ、ガボヴエルデ諸島、マカオ,モザンビック、ポルトガル領ギニア、ポルトガル領チモール、プリンシペおよびサントメを含む。)、中華民国、ルーマニア、シェラレオーネ、シンガポール、南アフリカ共和国、スペイン、スウェーデン、スイス、タンザニア、トリニダッドトバコ、チュニジア、トルコ、ウガンダ、ソヴィェト連邦、アラブ連合、連合王国(アデン、アンチグア、バハマ、バルバドス、ベルムダ、英領ギアナ、英領ホンジュラス、英領ソロモン諸島保護領、ヴァージン諸島、ブルネイ、フォークランド諸島、フィージー、ジブラルタル、ギルバートおよびエリス諸島植民地(英米共同管理下にあるカントン島およびエンダーベリー島を含む。)、香港、モリシャス、モンセラト、セーシェル、ソマリーランド保護領、南ローデシア、セントヘレナ、セントキッツ、セントルーシアならびにセントヴィンセントを含む。)、アメリカ合衆国、ヴィエトナム、ユーゴースラヴィアおよびザンビアをいう。