動力炉開発の進め方について


-中間段階における-

 原子力委員会は、昭和39年10月、第1回動力炉開発懇談会の開催以来、現在まで同懇談会を12回開催し、わが国動力炉開発の基本方針について各界の意見を聴取し、審議を重ねてきたが、去る7月6日の第12回懇談会において、「動力炉開発の進め方について-中間段階における-」を発表した。その内容は概略次のとおりである。〔なお、本文については資料参照〕

1.基本となる考え方として、原子力発電の実用化は経済原則にのっとり進められるべきものであること。また、その開発利用を進めるにあたっては、わが国がおかれた環境に即し、エネルギー源としての有利性を最高限にいかすよう努めることが望ましく、そのため、核燃料の安定供給と効率的利用をはかるために国内における核燃料サイクルの確立および動力炉の自主的開発に努めるべきであること。

2.在来型導入炉については、その早期国産化が望ましく、その開発は主として、産業界に期待すること。政府としては、主として燃料および安全性に関する研究開発について必要な措置を講ずべきであること。

3.新型転換炉については、①その経済性が在来型導入炉は比し、有利となる可能性があること、②核燃料の効率的利用を図り得ること、および③核燃料利用の多様化を図り得ること、さらにこれらの特質を備えた炉型の中から将来熱中性子増殖炉への発展の可能性が大きく、かつ先進諸国においてもなお研究開発の途上にある1炉型をとりあげてその研究開発を行なうものとすること。その研究開発にあたっては国が中心となって推進するものとすること。

4.高速増殖炉については、その実用化の時期および炉コンセプトは今後次第に明確化されるものと考えられるが、現時点においてそれを確定することはできないので、今後10年程度は臨界実験装置、実験炉等により高速増殖炉の基本的事項に重点をおいて研究開発を進めるものとすること。研究開発にあたっては国が中心となって推進すること。

5.なお、新型転換炉および高速増殖炉の具体的な進め方については、ワーキング・グループにおいて検討を行なうものとすること。また、新型転換炉および高速増殖炉の開発体制については今後の検討にまつものとすること。