放射線審議会の動き


I. 放射線審議会部会等の議事概要

基本部会

第1回

〔日時〕昭和40年7月1日(木)14.15〜17.10

〔議事〕
(1)部会長互選
(2)個人の被曝線量の許容される値または限度の値を確保するための防護施設の基準を審議するに当っての基本的な考え方について
(3)その他

〔議事概要〕
(1)部会長に田島(英)委員が互選された。
(2)事務局から「防護のための施設基準の考え方についてのメモ」が提示され、防護施設の基本的な考え方をまとめる上での問題点の説明があった。
(3)審議上の進め方として、事務局から提示されたメモについて主に検討を進めることになった。
(4)防護のための施設基準を考えるに当っては、まず職業人の概念をはっきりさせる必要があるとの議論があり、ICRP、ILO等の職業人についての考え方の検討が行なわれた。
(5)一般人に対する施設基準の考え方についての検討が行なわれ、一般人に対する被曝線量の限度は、集団の単なる平均でカバーしようとするものでもないし、個々の個人一人までもカバーしようとするものでもな いという意見が出された。

第2回

〔日時〕昭和40年7月15日(木)13.45〜17.10

〔議題〕
(1)個人の被曝線量の許容される値または限度の値を確保するための防護施設の基準を審議するに当っての基本的な考え方について
(2)その他

〔議事概要〕
(1)一般人に対する被曝線量の限度0.5レム/年の意味について検討が行なわれ、一般人に対しては特に放射線管理が行なわれていないとの理由に基づいて、職業人に対する被曝線量の限度5レム/年の1/10を取っているものとされた。
(2)放射線施設に対する被曝線量の限度0.5レム/年の確保について検討が行なわれ、一般人に対する施設基準は10ミリレム/週が原則であるという意見と、0.5レム/年で規制するのが原則であるとの意見があり、さらに、10ミリレム/週が原則であるが条件を付加して0.5レム/年とする規制も考慮されて良いという意見も述べられた。

第3回

〔日時〕昭和40年7月29日(木)13.40〜17.05

〔議題〕

(1)個人の被曝線量の許容される値または限度の値を確保するための防護施設の基準を審議するに当っての 基本的な考え方について
(2)その他

〔議事概要〕
(1)ICRP勧告を適用するに当っての基本的な考え方についての検討が行なわれ、

1.放射線の被曝はできるだけ少なくすること

2.放射線の被曝は、身体的障害または遺伝的障害を発生するリスクを伴うこと

3.放射線防護は、放射線を使用することによって得られる社会的利益と放射線の被曝により受ける個人および集団の属する社会に対するリスクとのバランスの上に立って考慮されるべきことが確認された。

(2)一般人に対する施設基準について検討が行なわれ、「一般人に対する放射線防護施設の基準は、施設の稼働時間、負荷、周辺環境の状況の要素を考慮し、その場所の一般人の被曝が年0.5レムを越えないようにする能力を有すること。」が施設の基準とされた。

放射性物質航空輸送特別部会

第1回

〔日時〕昭和40年7月28日(水)13.30〜16.30

〔議題〕
(1)部会長互選、部会長挨拶
(2)委員自己紹介
(3)「放射性物質の航空輸送基準等の諮問」について
(4)その他

〔議事概要〕
(1)部会長に西脇委員が互選された。
(2)事務局からこの特別部会設定までのいきさつおよび審議事項等について説明があった。
(3)審議方針について、今回、運輸大臣から諮問のあった「航空機による爆発物等輸送基準等を定める告示」の放射性物質関係の審議にあたっては、航空輸送の国際性にかんがみ、国際機関、とくにIATAによる勧告を尊重することとした。なお、IATAは昭和41年に新たに第11回目の勧告を発表する予定のため、その草案の第10回勧告との相異点およびIAEA勧告(1964年)との関係を検討して審議の具体的な進め方を決めることとした。

放射性廃棄物処分打合せ会

第1回

〔日時〕昭和40年6月25日(金)13.30〜16.30

〔議題〕
(1)座長互選
(2)放射性廃棄物の処分について
(3)その他

〔議事概要〕
(1)座長に檜山委員が選任された。
(2)本打合せ会開催の経緯について
 この打合せ会は、放射線審議会原子力船特殊規則特別部会の部会報告書に放射性廃棄物の数量および廃棄の場所について考慮してほしいという要望があったので、これに基づいて審議会総会において打合せ会を設けて検討することが決定され、開催されたものであるという説明があった。
(3)本打合せ会の審議の進め方について
 放射性廃棄物の処分の中でも、とくに問題点の多いと思われる廃棄物の海洋への放出に審議の重点をしぼることとなった。これについての審議の進め方としては、まず、人間に対する線量を考え、それから水産物や海水の許容濃度について考え、廃棄物の放出量について検討をすることと、もう一つ、放出を行なうに当ってどのような調査、実験が必要となるかを検討することとされた。なお、これまでに原子力委員会廃棄物処理専門部会で報告書を出しているので、その報告書に盛り込まれている事項を、さらに実際に則して、具体的に検討することが、この打合せ会の目的とされた。

第2回

〔日時〕昭和40年7月14日(水)13.40〜17.00

〔議題〕
(1)放射性廃棄物の処分について
(2)その他

〔議事概要〕
(1)「処分の心構え」について
 処分を行なうにさいしては、環境の汚染をできるだけ少なくするために、放射性廃棄物についても廃物利用を図るとともに無用の廃棄をさけるのが大事であるということを心に留め、そのうえで処分を行なう心構えが必要であるという結論になった。
(2)「国民を保護するには」について国民を保護するためには国民遺伝線量について考慮する必要があるが、さしあたって国民遺伝線量の割当てに余裕があるので、これを考慮する必要はない。しかし、遺伝に関係のある核種のうち長半減期の核種については、将来影響を及ぼすことがあると思われるので、この点に十分注意をして、無用な廃棄を行なわないように心掛けることが必要であろう。
 従って、この場合基準とする線量は、ICRPの一般の個人に対する被曝線量をとることとなろうというような結論であった。