1.「原子力プラント用蒸気発生器の漏れ止め溶接に関する試験研究」 三菱重工業(株) (研究目的) 蒸気発生器の製作において工作上もっとも重要な問題の一つである管と管板の漏れ止め溶接法として、高能率のMIG方式を開発し、それを用いての溶接施工条件の確立をはかる。 (研究内容) 1.溶接棒として細径線(0.8mm)を使用し得る小型MIG溶接装置を設計製作する。 2.肉盛溶接試験 MIG方式によって管板面にインコネルの肉盛溶接を施工するための適正溶接条件を選定する。 3.漏れ止め溶接試験 1.で設計試作した小型MIG溶接装置を用いて漏れ止め溶接を施工し、装置の作業性能、溶接条件、溶接用先形状、拡管条件等につき検討し、TIG溶接法と比較する。 4.溶接部材質試験 肉盛溶接部の溶接金属の成分分析、硬度、顕微鏡組織、曲げ等の試験を熱処理条件試験と併行して行なう。 5.漏洩試験 溶接を終わったものについて、ハロゲンディテクターまたはヘリウムディテクターによるリークテストを実施し、溶接の完全性を検討する。 2.「原子炉圧力容器用超厚板ASTM A302B鋼の溶接加工に関する試験研究」 (社)日本溶接協会 (研究目的) 軽水炉圧力容器用の国産ASTM A302B鋼超厚板について溶接施工に関する研究を実施し、最適溶接方法およびその施工法の確立をはかることを目的とする。 (研究内容) 国産ASTM A302B鋼の板厚250mm鋼板を用いて圧力容器を作成する際必要な溶接設計および施工に関する参考資料を得るため次の試験研究を行なう。 1.母材試験 最適な熱処理材を選定し、以降の試験の基礎となる母材の性能を明らかにする。 2.溶接材料の試作 国産ASTM A302B鋼超厚板の溶接に最適な溶接材料を試作する。 3.Y開先拘束割れ試験を実施して、溶接施工時の最適予熱温度を求める。 4.溶接施工試験 サブマージド・アーク法およびエレクトロ・スラグ法により溶接施工試験を行ない、溶接速度、溶接電流電圧等について検討し、最適施工法を確立する。 5.継手性能試験 溶接部、ボンド部、熱影響部および母材から試験片を採取し、板厚方向位置による切欠靭性および高温性能の差異を検討する。 3.「超厚肉原子炉圧力容器の加工技術に関する試験研究」 三菱重工業(株) (研究目的) (研究内容) 1.基礎試験 2.実用化試験 4. 「沸騰水型動力炉の水圧式制御棒駆動装置の高温高圧下における動作性能に関する試験研究」 東京芝浦電気(株) (研究目的) 沸騰水型動力炉の水圧式制御棒駆動装置について38年度は、水圧式駆動機構の材料および加工法について検討を行なったが、引続き、本年度は実際の動力炉と同じ高温度の熱影響を受けた場合の制御棒駆動装置の動作性能の試験を行ない、その実用化に際して必要な設計製作上の資料を得る。 (研究内容) 38年度の制御棒駆動装置の材料および加工法ならびに静的な動作試験の結果に引き続き、制御棒を試作し、38年度製作した制御棒駆動装置本体に組み合せ、実際の動力炉と同じ高温高圧下で下記動作性能試験を行なう。 1.シム動作性能 操作回路の絞弁の効果、制御圧力の特性、圧力制御方式等の影響 2.スクラム動作性能 (1)スクラム時間遅れにおける弁の動作時間の影響 (2)初期加速度について駆動部分の重量、摩擦力、配管内の水の量および配管の長さ、アキュムレータ圧力等の影響 (3)最大速度についてバッファの効果、シールリングの耐久性および摩耗、アキュムレータ圧力配管流体抵抗等の影響 (4)スクラム完了時間について(1)、(2)、(3)の諸因子の総合効果 3.材料加工性能 (1)スクラム回数 (2)寸法公差等の影響 5.「軽水冷却型動力炉用高速遮断弁の試作および機能に関する試験研究」 岡野バルブ製造(株) (研究目的) 原子炉事故時に原子炉格納容器を貫通する主蒸気配管を急速に遮断するための弁に要求される閉鎖時間、フェイルセイフ作動、漏洩などの諸機能、さらに、それに必要な材料および機構上の問題点を究明し、実用に供しうる大口径高速遮断弁を製作するに必要な技術的資料を得る。 (研究内容) 1.供試弁の試作 軽水型動力炉に使用可能な口径150mm、閉鎖時間5~10秒、フェイルセイフ機構をもち、運転中の機能点検が可能な弁を試作する。 2.常温作動試験 所定の閉鎖時間に対する弁棒荷重、作動筒内の作動流体の必要流出面積、流出係数および漏洩を空気および水によって解明する。さらに弁駆動機構の動作特性および信頼性を確認する。 3.蒸気作動試験 高圧蒸気をもちいて弁棒荷重、弁座の蒸気圧力および漏洩を解明するとともに材料および機構上の信頼性を確認する。 4.水力および荷重試験 縮少モデルをもちいて弁の圧力損失を試験し、さらに弁体の外力による歪およびその状態における弁座の漏洩を調査し、試作弁および実用弁に対する基礎的事項を調べる。 6.「軽水冷却型動力炉用燃料集合体の組立加工に関する試験研究」 住友電気工業(株) (研究目的) 燃料棒の国産化については、これまでもJPDR用について研究を行なってきたが、燃料集合体の組立加工技術に関しては、なお研究開発を必要とするので、燃料集合体の設計、組立加工ならびに炉外性能試験等を実施して、一貫した動力炉用燃料国産化技術の確立を図る。 (研究内容) 1.ステンレス被覆燃料棒の製造に関してはペレットの装入法およびHe封入溶接に関して検討を行なうほか、主として溶接部分についての各種破壊および非被壊検査を実施して燃料棒の実用性能を製造条件と関連させて検討する。 2.燃料集合体の組立加工ならびに検査に関しては燃料集合体上、下部の支持グリッド、スペーサー、その他の部品ならびに組立冶具の設計製作を行なうとともに、ストラップ法による組立上の技術的問題点を究明する。さらに燃料棒の固定に関して、フェルール法とストラップ法との比較を行なう。組み立てた燃料集合体については燃料棒の直立度、間隔、長さ等寸法検査、溶接部検査、外観および表面汚染検査等を行なう。 3.組立てた燃料集合体について、流水試験装置を設置して流速約10m/sec、温度約80℃にて、燃料集合体の流水抵抗、振動、強度、歪等について検討する。このほか組立した溶接部の腐蝕、熱応力等について検討する。 7.「ガス冷却型動力炉用燃料要素の組立加工ならびに評価に関する試験研究」 古河電気工業(株) (研究目的) マグノックス被覆中空ウラン燃料要素を試作し、炭酸ガス加圧下における熱サイクル試験を実施し、製造諸要因との関係を検討することにより、この型の燃料要素の製造技術確立に資することを目的とする。 (研究内容) 1.原電1号炉燃料要素の規格に適合する燃料要素をとくにその主要品質項目(ウランの成分、結晶粒度、ウランジルコニウム端栓の溶接部、マグノックス被覆材の材質、マグノックス溶接部)に着目しつつ試作する。試作したものについては、各種検査を実施して熱サイクル試験のための基礎資料を求める。 2.試作燃料要素について高温高圧における熱サイクル試験を行ない、中空ウラン棒の寸法変化の測定、端栓溶接部および各材料の組織検査、ヘリウムリーク試験、X線検査、外観検査等により、試作燃料要素の実用性を検討する。印加する熱サイクルは、周期が数時間にわたり、温度差350℃に達するものと、周期が数分で温度差10~20℃のもとに分けて実験を行なうものとする。使用する試料は長さのみ実寸の半分のものについて行なう。 8.「沸騰水型動力炉用燃料集合体の組立技術に関する試験研究」 東京芝浦電気(株) (研究目的) 軽水型発電炉用燃料集合体の設計、加工、組立および検査等の分野にわたり、問題点を究明し、将来この型の燃料集合体を国産化するに際して必要な技術上の資料をうる。 (研究内容) 沸騰水型動力炉用燃料集合体1個を試作し、これを組みあげる工程上での種々な技術的諸問題を研究する。すなわち設計に関しては各部の寸法公差の集積と全体の寸法公差との調整を問題とする。また、溶接の際の収縮、曲り等についての知見を得ることのほかスプリング用インコネルXの加工、タイベース、ハンドル用の鋳物についての製品化研究を行なう。試作にあたって、自社製作するものについては、その試作途中における検査作業、社外から入手するものについてはその受入れ検査自体が、研究的色彩の強いものであるため、この点の知見を得ることとする。一方、端栓部の溶接については経済性を考慮した能率的な溶接方法につき、管端のデザインとともに検討する。このほか2mに近い角管の製作について検討する。 9.「加圧水型動力炉用燃料集合体の試作に関する試験研究」 三菱原子力工業(株) (研究目的) 燃料製造の工業的技術を発展させるには、各工程が工業的規模で行なえることを確認する必要がある。燃料集合体組立技術および検査技術に関してはごく基礎的な開発のみしか行なわれていないので、実用燃料およびそのモデルを製作することによってその技術を確立し、早期燃料国産化に資することを目的とする。 (研究内容) ステンレス被覆管を用いて燃料集合体モデル2個 (天然ウラン使用)、うち1個は全部品国産のもの、実用燃料集合体1個(5.7%濃縮ウラン使用)の計3個のサクストン炉型燃料集合体を試作する。すなわち、濃縮ウランについてはUF6からスタートして約50kgのペレットを製造し、天然ウランについては約100kgのペレットを作り、密度、寸法を検査し、不純物分析を行なう。被覆管については、寸法試験、渦流探傷試験、超音波探傷試験のほか、各種機械強度試験等を行なう。 燃料棒端栓はTig溶接により溶接し、溶接部についてはX線透過試験、ヘリウムリーク試験を行なって検査する。燃料集合体部品として、グリッドストラップ、ノズル等の試作を行なうと同時に、同様のパーツを輸入し、国産品との比較検討を行なう。グリッドストラップはブレージングで組立を行ない、これにキャンを溶接してキャンアセンブリーとする。これらの部品類について寸法検査を行なう。以上から作成された燃料棒と部品を用いて、上記3個の燃料アセンブリーを試作し、寸法検査を中心とした各種検査を行なうほか国産材料のものについてはオートクレーブ試験を行なう。 10.「プレストレストコンクリート圧力容器の設計施工法に関する基礎的試験研究」 極東鋼弦コンクリート振興(株) (研究目的) コンクリート製圧力容器の設計上のパラメーターを実験的に求めるとともに、施工法の評価と施工技術の習得を目的とする。 (研究内容) 1.フラット・ジャッキによるプレストレス導入法の研究 直径約10mの円筒部の部分模型を作成し、フラットジャッキを用いてプレストレストコンクリート鋼材に緊張力を与え、プレストレスを導入する方法を検討する。 2.光弾性によるプレストレストコンクリート圧力容器の局部応力に関する研究 エポキシ樹脂製の光弾性模型にオイルポンプで内圧をかけ、ダクトが貫通する周辺開口部、サドルおよび定着部付近の応力分布を測定する。 3.コンクリートおよびプレストレストコンクリート鋼材についての研究 高温度下における弾塑性的性質を究明する。 4.上記研究データを基礎にして、プレストレストコンクリート圧力容器の設計法を研究し、試設計図を作成する。 11.「電子計算機による動力炉の核制御の自動化に関する基礎的試験研究」 東京芝浦電気(株) (研究目的) 原子炉の運転手順、すなわち起動前点検、起動点検、起動、定出力運転、停止等を電子計算機により自動化する装置を試作し、動力炉の核制御の自動化に関する基礎資料を得る。 (研究内容) 1.原子炉の計算機制御方式の研究 動力炉の核制御を電子計算機を用いて自動化するため、起動前点検、起動および出力運転の制御機を検討し、プログラムを作成する。 2.制御装置の試作 原子炉の運転手順を自動制御するための制御装置として、警報走査記憶装置および自動運転用計測制御装置の試作ならびに既設の制御計算機の改造を行なう。 3.原子炉の自動運転の実験 2.により試作した制御装置を実際に原子炉に使用して、その機能を検討するため、研究炉を用いて自動運転の実験を行なう。 12.「二酸化ウラン燃料の照射に関する試験研究」 東京芝浦電気(株) (研究目的) 軽水冷却型動力炉用振動充填UO2燃料およびUO2ペレット燃料について、とくに高熱定格の照射を中心とした照射試験を行ないその照射下挙動を検討し、照射前試験と照射後試験とを総合して、燃料製造方法および原子炉での使用条件等の資料を得る。 (研究内容) 1.照射試験用試料の設計製作と照射前試験 中空形振動充填燃料(304Lステンレス被覆)、円柱形振動充填燃料(ジルカロイ-2または304Lステンレス被覆)、ペレット型燃料(ジルカロイ-2または304Lステンレス被覆)を設計製作する。原料粉末としては、振動充填燃料は天然または濃縮度2~20%のUO2を、ペレット型燃料は濃縮度2~10%のUO2を使用する。各試料は照射前試験を行なう。 2.照射試験 外国の炉(GETR、BR-2、MTR、Pegase Rのいずれか1ヵ所)で約2ヵ月照射し、1ヵ月冷却後日本へ返送する。照射条件はおよそ熱中性子束1014(nv)燃焼度は最高のもので約6,000MWD/Tまで、熱発生率は、振動充填15~80w/cm、ペレット50~60w/cm程度を予定している。 3.照射後試験の大部分は原研にて行なう。試験内容の主なものは、外観検査、重量測定、中性子束モニタの分析、分裂生成ガス放出量の測定、断面組織の観察、同位元素の分析等である。 なお、この試験研究は、原研、原子燃料公社の協力を得て民間5社(東芝、古河電工、住友電工、日立、三菱原子力)が共同研究の形で行なうものである。 13.「原子炉用ASTM A302B鋼溶接部の中性子照射に関する試験研究」 (社)日本鉄鋼協会 (研究目的) 昨年度のASTM A302B鋼母材照射に引きつづき、本年度はその溶接部分について照射試験を行なう。また一部では母材の熱処理効果などに関係する部分の照射試験も上記と併行して行なうほか、若干の改良鋼種と、照射ぜい化の基礎研究資料の照射を行ない、ASTM A302B鋼の照射確性試験を完成する。 (研究内容) 本試験研究の主体は日本鉄鋼協会が中心となるが、研究の運営にあたっては日本溶接協会および日本学術振興会の参加による合同委員会を結成し、共同でこれにあたる。また、この研究成果をより完全なものとするため、日本原子力研究所と共同研究契約を締結している。研究の内容としては昨年の母材の照射試験にひきつづき、その溶接部分の照射試験が中心となる。すなわち、①100~250mm厚の鋼板にサブマージドアーク溶接を施した試料を作成し、この試料の溶接金属、ボンドおよび熱影響部から試験片を採取し、照射試験を行なう。②また、昨年実施しなかった熱処理および熱サイクル処理などの項目は、溶接部の試験に直接必要なデータであるため、熱処理後の母材についての照射試験を併行して行なう。なお、試験片サイズの影響を確認するため、前年と同様、サブサイズ試験片の照験片の照射を行なう。③このほか、ASTM A302B鋼のニッケルの作用を明らかにするため、鉄、ニッケル系合金の照射試験と、照射ぜい化の機構解明のため、合金成分に欠損を与えたASTM A302B鋼と純鉄についての照射試験研究を行なう。 14.「臨界未満実験による多領域炉心の炉物理に関する試験研究」 三菱原子力工業(株) (研究目的) 低濃縮ウランを装荷した軽水減速型の中性子増倍系の未臨界装置で、パルス実験、指数実験等により中性子増倍の度合等炉物理特性を測定し、低濃縮二酸化ウラン燃料の軽水減速型動力炉の炉心設計に必要な諸特性を確認し、従来行なわれてきた臨界実験に代行できる技術を開発する。 (研究内容) 1.装荷量を変えながら中性子増倍度の測定解析 2.液体ポイズンおよび制御棒の制御効果の測定解析 3.多領域炉心の中性子増倍度の実験解析 15.「炉物理実験用多元バラメータ解析装置の試作に関する基礎的試験研究」 松下電器産業(株) (研究目的) 原子炉物理実験に必要な中性子捕獲ガンマ線のエネルギ・スペクトル、核分裂生成物の質量分布、各種の粒子とガンマ線の相関関係、炉内中性子エネルギ・スペクトル等の測定方法に関して、単位時間あたりの多現象の測定値を解析し、その結果を立体的に観察し、自由にパラメータを変えて実験を行なうことを可能にする装置を開発する。 (研究内容) 1.多元パラメータ解析装置のシステムの研究 パラメータが多元的になり、実験中の入力頻度が高いのでその測定方式、解析方法を検討し、主要実験に共通の測定ユニット、装置のシステム構成および基本となる電子回路について研究を行なうとともに、測定データの全体を観察できるような特殊表示方式の開発を行ない、装置の試作のための基礎的資料を得る。 2.試作 1.の研究結果に基づき、測定ユニット、記憶ユニット、表示ユニットのそれぞれの試作を行なう。 3.性能試験 試作した装置の動作上の問題点を解明するため、擬似信号の動作試験を行ない、測定上の問題点を解明しこの装置の特性を試験するとともに完全な解析装置としての基礎資料を得る。
住友金属鉱山(株) (研究目的) 振動充填用二酸化ウラン粗大粒子を、経済的に製造するためにAPU、U3O8、UO2等を出発原料として顆粒、圧縮、焼結の簡易な工程によって任意の粒度および粒度分布を有する直径数mm以下の高密度球形焼結体UO2を製造する技術を開発することを目的とする。 (研究内容) 1.顆粒に最適なAPU、U3O8、UO2を得るためにAPU生成条件と顆粒条件との相関を調べ、また顆粒剤および顆粒方式についても検討を行ない、最適条件を決定する。 2.上記によって得られた粗粒をアムスラー圧縮装置に取付けた全面均等圧縮容器中に入れ3~5ton/cm2の圧力で圧縮を行ない、圧力と粗粒の高密度化の相関、さらに圧縮比と焼結によって得られる粗粒UO2の物理的特性の相関を試験し、あわせて全面均等圧縮技術を確立する。 3.圧縮行程で高密度化した粗粒を焼結して高密度球形粗粒UO2を製造する際に相互の結合を防止する自由 焼結条件と製造された高密度球形UO2の物理および化学的特性との相関を試験し、あわせて自由焼結炉の方式および運転条件を検討する。 高密度球形焼結UO2の物理的特性の測定としては平均粒径、粒度分布、比表面積、表面状態、密度について行ない、化学的特性としてはo/u
比および不純物につき測定を行なう。 17.「照射試験による軽水冷却型動力炉用燃料の開発に関する試験研究」 (株)日立製作所 (研究目的) ペレット型UO2燃料、振動充填燃料をHTRおよびJRR-2で照射し、寸法、重量、表面積等の変化の測定、核分裂生成ガスの測定、顕微鏡写真の撮影等各種の照射後試験を実施して、その特性を知るとともに、燃料技術向上に資することを目的とする。 (研究内容) 1.試料は、濃縮二酸化ウランペレットおよび天然二酸化ウラン振動充填燃料を使用する。試料の直径は12.5mmφとしJPDR燃料相当とする。この他にHTRで使用中の濃縮ウランペレット燃料も使用する。 2.照射は、HTRで行なうほか、原研の協力を得てJRR-2も使用する。 3.カプセル、燃料棒、ペレットおよび振動充填燃料、被覆材のそれぞれにつき各種の照射後試験を実施する。 4.核分裂生成ガスの測定は照射後試料を電気炉中で加熱し、放出せしめて測定を行なう。また、炉内に簡単なリグを設け、ヘリウムガスをキャリアガスとして核分裂生成ガスを炉外に運び出して、照射しながらの測定も行なう。 5.ペレット燃料体から水中への核分裂生成物の放出を測定する。 18.「真空ホットプレス法によるベリリウム大型成形体の製作法に関する試験研究」 日本碍子(株) (研究目的) 金属ベリリウムは鋳造凝固時における組織の粗大化傾向があるため、その成形体の製造は粉末冶金法と塑性加工法を併用する方法が研究されている。ここでは品質均一でかつ押出加工性良好な大型ベリリウム素材の製作条件を確立し、加工困難な金属ベリリウムの実用化に資することを目的とする。 (研究内容) 1.ホットプレス等の設備に関する研究 体積約6,000cm3の均一な特性を有するベリリウム成形体をホットプレスするために装置に関して検討し試作を行なう。 2.ホットプレス条件 上記ベリリウム成形体を得るためのホットプレス条件の検討を行なう。 3.ホットプレス材の押出加工性の研究 得られたホットプレス材の押出加工性の検討を行なうために、ロッド、パイプ等の押出試験を行ない、押出したパイプ等の特性試験を行なう。 19.「燐-32標識有機燐化合物の製造に関する試験研究」 住友原子力工業(株) (研究目的) 医学、農学等の諸分野での燐-32標識化合物の需要は急速に増大しているが、障害防止上きわめて危険であるため、製造方法等問題点が多く、高価な輸入品を使用せざるを得ない現状であり、比放射能の高いものの入手が困難である。そこでこの問題点を解決し、燐-32標識有機化合物の製造方法を樹立するところにある。 (研究内容) 医学および農学分野でとくに利用度の高いDFP、パラチオン誘導体(パラオキソーン、スミオキソン、パラチオン、スミチオン、ラスファミン、ジメソコイト)にH332PO4を用いて同位体交換反応により中間体である三塩化燐ならびにトリフォスフォールクロリンを標識化し、その後DFPおよびパラチオン誘導体を化学合成するものであって、在来の方法(化学合成)より同位体交換反応により中間体を生成する方法がより高収率の標識化合物を得ると考えられるので、この場合の高収率の反応経路および条件を決定するものである。 20.「低エネルギー放射性同位元素(3H、14C)による二重標識化合物の製造に関する試験研究」 (財)結核予防会 (研究目的) 抗生物質セロサイジン誘導体の結核菌や、しゅようの薬理的治療の有効性を明らかにするため、この作用機序を明らかにすることが医学上重要な問題とされているが、この作用機序を究明するための不可欠な二重標識をもったセロサイジン誘導体を製造するための基礎的資料を得る。 (研究内容) 上記の目的を達成するため、抗しゅよう作用のあると考えられるセロサイジン、誘導体であるプロパアルギイル・オキシベンゾール・アルデヒト・チオ・セミカルバゾン、N-プロパルギル・オキシフェニールーN-アリイル尿素、アイオダイン・プロパルギルーO-クレシルのフェニール環より、左側のプロパルギル・アルコールを14Cでまず標識し、フェニール環より右側の部分を3Hガスにより同位体交換を行ない、これらの二つを結合するように化学的に合成を行なう。また標識位置を確認する。 21.「放射性同位元素の利用によるセメント製造工程における原料の迅速分析法に関する試験研究」 宇部興産(株) (研究目的) アイソトープ(α線、軟X線源)を用いて、セメント原料中のCaO、SiO2、Al2O3、Fe3O4の4主成分を測定し、セメント原料の自動調整を計って生産合理化に資するため、RI迅速分析法の確立をはかることを目的とする。 (研究内容) 昭和37年度補助金「アイソトープ利用によるセメント製造工程における迅速分析法に関する試験研究」の結果CaO、SiO2、Al2O3、Fe3O4の各々の成分比を求めて成分と測定値との比例性を研究し、かなりの比例性があることが明らかとなった。そこで本研究の最終目的であるこれらの4成分を同時迅速測定を行なうために、同時測定法上生ずる次の諸問題を究明し、迅速測定法のための基礎資料を得るものである。 1.各成分からでる螢光X線を波高分析する場合、エネルギーレベル変動があり、これが測定結果に大きな誤差をもたらす。 2.各成分が他の成分量に独立な関係でなく従属しているので、この量がどの程度影響するか、実験的理論的に究明する必要がある。 22.「放射化分析法を用いた河川の水質汚濁調査に関する試験研究」 東京都 (研究目的) 河川の水質汚濁防止の対策をたてるための調査手段として各種トレーサ法を比較検討して各々の方法の得失を明確にするとともに、各々の方法についての問題点を解明し、さらに自己浄化作用の検討等を行ない、衛生工学上の問題点をも解明する。 (研究内容) 河川の流水追跡、稀釈率の測定のためのトレーサ法の技術を確立するために次の研究を行なう。 1.非放射性トレーサの放射化分析による流速および稀釈率の測定法の確立 (1)非放射性トレーサとしてNa、Br、Mnを用いた場合の検出限界、自己浄化作用の比較 (2)放射性トレーサ法との比較 2.各種放射性トレーサの比較 (1)24Na、56Mn、82Br、3H等を用いた場合の検出感度の比較 (2)自己浄化作用によるトレーサの損失の比較 23.「原子炉利用(n、γ混合放射線)によるエチレンの水素添加反応に関する試験研究」 (株)東京原子力産業研究所 (研究目的) 固体触媒による気体の接触反応を炉心近傍で行なわせ、固体に対して有効な中性子線と気体に対して有効なγ線の総合効果によって原子炉放射線の有効利用を図ることを目的とする。 (研究内容) 38年度においては、常温常圧下における原子炉放射線によるエチレンの水素添加反応に関して研究を実施した。39年度においても常温常圧下における実験をつづけて行なうが、当該施設を多少改造し、触媒(Zn系、Cu系、Ni系、Fe系等)、流量(最大1,250e/hr)試料ガスの組成、照射時間等の条件を変化させて反応収率および反応生成物を高感度ガスクロマトグラフ装置を用いて測定する。 24.「γ線グラフト重合によるABS樹脂の製造に関する試験研究」 大阪府 (研究目的) 市販品のSBR(スチレン・ブタジエン共重合物)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエン共重合物)ラテックスを原料としてγ線によりこれらにアクリロニトリルまたはスチレンをグラフト重合させることにより、耐衝撃性樹脂としての用途をもつABS樹脂(アクロニトリル、ブタジエン、スチレンの3成分からなる樹脂)を製造するための基礎的な問題を解決する。 (研究内容) 1.SBRを幹としたγ線グラフト重合:SB比が(25:75)、(50:50)、(75:25)付近の市販のSBRラテックスを選び、これにアクリロニトリルまたはアクリロニトリルとスチレンをγ線グラフト重合させアクリロニトリル:ブタジエン:スチレン化(NBS比)が2:1:1~1:1:2の範囲の種々のポリマーを作る。 2.NBRを幹としたγ線グラフト重合:NB比が(20:80)、(50:50)付近の市販のNBRラテックスを選び、これにスチレンまたはスチレンとアクリロニトリルをγ線グラフト重合させ、NBS比が2:1:1~1:1:2の範囲の種々のポリマーを作る。 3.グラフトポリマーの物性試験:1、2の方法により幹組成と枝組成の異なる種々のグラフトポリマーを作り各種機械的性質(高温での流れ、常温および低温での耐衝撃性、軟化温度等)を調べる。 25.「連続式電子線クラフト重合によるポリエチレンフイルムの改質に関する試験研究」 積水化学工業(株) (研究目的) これまでの基礎研究から、電子線照射によりポリエチレンフィルムにモノマーをグラフト重合させることによりポリエチレンフィルムを改質し得ることが判明した。効率的にグラフト重合させる方法も見い出した。 本研究は、これを工業化するために全ての工程を連続化し、かつ、ある程度スケールアップしたテストプラントにより必要な事項を検討することを目的とする。 (研究内容) フィルム幅400mm、処理速度10m/min、処理量10kg/月(フィルム厚10/100mm、グラフト率50%、2時間/日、15日/月)の処理能力をもったテストプラントを用いて、 1.連続化に伴う反応装置につき化学工学的問題 2.放射線の線質、線量率、照射方法等線源工学的問題 3.大出力電子線加速器を用いる場合の照射効率、反応効率等経済性の問題 4.放電、引火あるいは放射線防御の安全性に関する問題 5.グラフトフィルムの経済性ならびに物性評価などについて実用的見地から検討する 26.「大出力、電子線加速器の発生する電子線の測定法に関する試験研究」 大阪府 (研究目的) 大電流出力を有する電子線加速器の運転状況を把握し、照射を正確に行なうために必要な電子線の電流エネルギーその他諸特性を監視測定するための簡便かつ精度のよい装置の開発ならびに実用化をはかる。 (研究内容) リニアアクセラレータを用いて、3~15MeVのエネルギーをもった一次電子線の散乱、2次電子の放出被照射物質に与える影響等を精度よく測定することにより次の各項目について研究を行なう。 1.電子線電流の測定法 新しく開発した2次電子モニターのエネルギー依存性の研究を行ない、さらに改良すべき点を検討し、精度の高い実用的なモニターとして完成する。 2.電子線の空間分布の測定 出力窓外の空気中での電子線散乱、エネルギー散逸等の振舞いを把握するための測定法に関する研究を行ない新しい方法を開発する。 3.被照射物で吸収される電子線量の測定法 照射試料と同一形状の容器に適当な液体を入れその膨張の測定により、被照射線量を測定する方法を研究する。 27.「連続式エネルギー選択性水モニターの開発に関する試験研究」 (株)日本無線医理学研究所 (研究目的) 原子力平和利用が急速に進展し、低レベル放射性廃液が多量に発生する現状では、従来のごとき蒸発乾固法によるモニターは、はん雑な操作を必要とするのみならず、揮発性の廃液には適用できないのみか、測定するまで長時間を費すために、廃液は一時的にタンクの中に貯蔵しておかねばならず、大量の放射性廃液を放出する施設にとっては、タンクの施設費を必要とするために能率的なRI利用を阻害する。また、液浸型GMカウンタは、エネルギー依存性が甚しく、かつ85S、14Cのごとき弱エネルギー核種のものは、検出不可能であるので、35S等についてはモニターしていないという結果となるので、障害防止上問題がある。これらの欠点をなくし、障害防止上確実な放射線監視機器を試作するための基礎的資料を得るところに本研究の目的がある。 (研究内容) エネルギー依存性をなくすために検数効率の異なる三重層GM検出器を製作し、また弱エネルギー核種に対しても検出可能のために強度的に強い(10気圧に耐え得る)薄まく(1.5mg/cm2)で、かつ放射性核種に対しても汚染不可能な窓材料等(特許申請中)を用いかつ許容濃度とエネルギーの大きさが、三群に分離した場合依存するように分割し、三重層の層別に(許容濃度のオーダーに相当)モニターすることを可能にせしめ、全体の計数効率を高めると同時に宇宙線および器材ならびに周囲からくるバックグランドを減少せしめて、フイギュアオブメリットを大にするような監視機器を試作し、この動作特性等を研究する。 28.「即発γ線分析に関する試験研究」 神戸工業(株) (研究目的) 放射化分析を非破壊分析に用いる場合、長い半減期のもの、または非常に短い半減期のものを分析する方法として、即発γ線を用いて分析する方法がきわめて有効と考えられるので、即発γ線を利用した分析の可能性について実験的に実証し、放射化分析法の精度向上のための基礎資料を得る。 (研究内容) 1.即発γ線実験装置の設計試作 (1)中性子発生装置(速中性子源電源部、照射部より構成される。)ならびに即発γ線測定装置の設計試作を行なう。この際とくに留意を要する点は試料照射部の熱中性子束密度を極力大きくすること、熱中性子束密度と速中性子密度の比を大にすること、熱中性子束密度の時間的変動が少なく試料挿入時の位置ぎめが容易であること、および構成材料としてバックグランドの原因となるごとき材料の使用を避けること、バックグランドの低下を計るように構造ならびに機能的な面で考慮する。 (2)照射部熱中性子束密度の測定 (1)により試作した中性子発生装置ならびに即発γ線測定装置について試料照射部(試料未挿入時)における熱中性子束密度、速中性子束密度の比、熱中性子束密度、熱中性子束密度の時間的変動、熱中性子束密度の空間的分布等の熱中性子源に係る即発γ線測定上の問題となる諸点について測定する。 (3)即発γ線測定装置の特性測定 γ線測定装置の各種エネルギーに対する検出特性(特にエネルギー分解能最大検出効率)を確認する。次に熱中性子発生の状態でバック・グランドの測定を行ない、構成材科その他のバック・グランドへの影響を調べると同時にバックグランド除去についての技術的資料を得る。 2.即発γ線測定と元素分析代表的な単一元素材料について即発γ線のエネルギースペクトルの測定を行ない、その特性を明らかにする。前記検討の結果、利用可能な熱中性子束密度、バック・グランド等を背景として対称元素の検出限界等即発γ線による元素の定量に必要な諸問題を究明する。また複合元素への応用をも考え2~3の複合元素試料について同様の測定検討を行なう。 29.「耐放射線ゴムの開発に関する試験研究」 横浜ゴム(株) (研究目的) 放射性廃棄物貯蔵用タンク・ライニング等の原子力施設に用いるゴム材料は、放射線下において劣化現象が見られるので原子力施設の安全性の観点から耐放射線ゴムを開発するための基礎的資料を得ることを目的とする。 (研究内容) 天然ゴムを基材としてアミノ系老化防止剤を配合した場合の強度および耐放射線性を究明するため次の研究を行なう。 1.天然ゴムを基材としてゴムの老化防止剤、熱老化防止剤、屈曲疲労防止剤、オゾン劣化防止剤、重合停止剤等を配合させた場合の耐放射線性について研究する。 2.放射線による加硫効果および補強剤の効果に及ぼす影響を明らかにする。 3.上記の研究項目について空気中または真空中でγ線〔集積線量5×106r、1×107r、5×107r、1×108r(60Co)〕で照射してその化学的、力学的諸性能に及ぼす影響を明らかにする。 |