原子力局

IAEA主催によるRI訓練コース実施に関する協定


 ラジオ・アイソトープの応用に関する地域的訓練課程に関するIAEAと日本国政府との間の協定について、昨年12月以来わが国とIAEAとの間に交渉が行なわれていたが、合意に達し、去る5月4日オーストリアのウィーンにおいて署名が行なわれた。
 ラジオ・アイソトープの応用に関する地域的訓練課程は、アジアおよび極東地域各国からの参加者を主要な対象とし、国連拡大技術援助計画(EPTA)の資金援助を得て、IAEAの主催およびわが国の協力により、日本原子力研究所ラジオ・アイソトープ研修所において、本年8月17日から約18週間の予定で開催される。
 なお、本訓練課程は、先にわが国が計画したアジアおよび極東地域ラジオ・アイソトープ訓練センターの設置が諸般の事情により実現に至らなかったので、これに代えて、開催されることとなったものである。
 本協定は、本文9項(総則、訓練課程の構成、機関の提供する技術援助、訓練課程に対する政府の協力および効力発生について規定したもの)から成り立っている。

(仮訳)

ラジオ・アイソトープの応用に関する地域的訓練課程に関する国際原子力機関と日本国政府との間の協定
 国際原子力機関(以下「機関」という。)および日本国政府(以下「政府」という。)は、ここに次のとおり協定する。

 総則

1.アジアおよび極東の諸国の専門家および科学者の訓練の機会を設けるためのラジオ・アイソトープの応用に関する地域的訓練課程(以下「訓練課程」という。)は、機関の主催により、政府の協力を得て日本国東京の日本原子力研究所ラジオ・アイソトープ研修所において行なわれる。

2.訓練課程の期間は、1964年8月17日から約18週間とする。

 訓練課程の構成

3.訓練課程は、次の技術職員および参加者により構成される。

(a)技術職員

(I)事務局長政府により任命され、訓練計画を担当し、かつ、訓練課程の運営について責任を負う。

(II)技術顧問機関により任命され、訓練課程の科学的および技術的部門を担当する。

(III)出張教授訓練計画に関する特定の事項に関連して講義を行なう責任を負う。

(b)参加者

(I)最大限度15人の参加者アジアおよび極東の諸国の政府が指名した候補者の中から機関により選抜された者とする。

 さらに、受入国の国民も、訓練課程に参加することができる。

(II)訓練課程に参加し、かつ、機関により費用が支出される学生の選抜は、機関が所定の手続に従って行なう。

機関が提供する技術援助

4.機関は、技術顧問および出張教授の役務を提供する。出張教授は、日本国以外の国から任命されるものとする。

5.機関は、訓練課程に関連して次の費用を支払うが、総額31,100合衆国ドルを超えないものとする。

(a)技術顧問および出張教授の俸給または報酬、手当ならびに日本国へのおよび日本国からの旅費

(b)訓練課程に出席するための奨学金を機関から授与された参加者(日本国民を除く。)の国際連合技術援助評議会が定める率による俸給ならびに日本国へのおよび日本国からの旅費の全部または一部

(c)訓練課程に関する報告書で機関が公表することを決定するものの作成、印刷および配布の費用訓練課程に対する政府の協力

6.政府は、実験および訓練計画を援助するために必要な日本国民の役務を日本原子力研究所が必要な限度において提供するようあっせんする。

7.政府は、技術顧問および出張教授の適当な宿泊施設の提供についてできる限り便宜を与えるものとする。政府は、また、訓練計画への参加者のための宿泊施設が技術援助評議会が定める奨学俸給率の費用で得られるように援助するものとする。

8.政府は、日本原子力研究所が、その予算の範囲内で、次のものを提供し、かつ、その費用を支払うようあっせんする。

(a)適当な設備を備えた会議室または実験室および訓練課程の期間中におけるこれらの建物の維持

(b)訓練課程の正常な運営のために必要とされ、機関と政府との間で相互に合意される現地事務補佐職員

(c)訓練課程に関連して技術顧問および出張教授が必要とするすべての現地輸送(宿舎から訓練課程の場所までの輸送を含む。)

(d)訓練課程に配属される日本人講師および実験助手

(e)教科書、筆記材料および訓練課程に関連して必要なこれらに類する品目効力発生

9.この協定は、署名の時に、または両当事者が同一の日に署名しないときは2番目の署名が行なわれた時に効力を生ずる。

 以上の証拠として、それぞれ機関および政府から正当に委任を受けた代表者である下名は、ウィーンで英語による本書2通に署名した。

 国際原子力機関のために シグバードエクランド

  場所 ウィーン

  日付 1964年5月4日

日本国政府のために 内田藤雄

  場所 ウィーン

  日付1964年5月4日