総合エネルギー部会報告に対する委員会の見解


12月25日発表

 原子力委員会は12月23日付の通商産業省産業構造調査会総合エネルギー部会の報告書について、昭和38年12月25日次のとおり委員会の見解を発表した。

総合エネルギー部会報告書と今後の原子力発電の推進について

1.通商産業省産兼構造調査会総合エネルギー部会は、12月23日付報告書において、わが国における総合エネルギー政策の現状と将来の基本的あり方を検討し、原子力発電については、長期的な総合エネルギー政策の基調となるべきエネルギーの低廉性および供給の安定性の両原則ならびに国際収支の観点から、近い将来、エネルギー供給構造において重要な地位を占めることを明らかにした。すなわち、同報告書は、原子力発電の推進のためには解決を要する問題もあるが、コストの面で遠からず重油専焼火力とも十分競争し得ると考えられること、燃料の供給の安定性も極めて高いこと等から、近い将来におけるエネルギー供給源の有力な担い手になるべきであるという認識に立って、その早期実現を図るため、着実かつ積極的に原子力発電の開発を進める必要があることを強調している。

2.当委員会は、昭和36年2月、原子力開発利用長期計画において、原子力発電の計画期間20年のうち前期10年を国産技術の育成を主とした開発段階、後期10年をその成果を生かした発展段階としてその推進を図るという基本的考え方を明らかにしたが、今回、総合エネルギー政策の観点からもその妥当性が強く裏付けられたわけである。

3.当委員会としては、今後、上記長期計画の一線に沿って材料試験炉の建設、国産動力炉の開発その他の研究開発を一層積極的に進めるとともに、将来の本格的発展に備えての開発段階における原子力発電を推進するため、使用済燃料に対する措置、燃料コスト低減のための措置、建設に対する長期、低利財政資金融資措置等を中心とした具体策を策定し、その実現に努力する所存である。