放射能対策本部の動き


(1)最近における環境および食品等の放射能汚染について

(イ)短寿命核種による汚染
 最近の全放射能の月間降下量はきわめて低い値を示しており、今後核実験が行なわれないかぎりさらに減少して行くものと思われる。
 食品中に含まれている代表的な短寿命核種であるI−131については、本年4月以降全く検出されなくなった。

(ロ)長寿命核種による汚染
 東京におけるストロンチウム−90の月間降下量は3月に入って急に増加して2.58mc/km2を示し積算降下量は3月までで37.9mc/km2になっている。
 米国放射線協議会の発表によると、昭和36年および37年には米ソ両国により総爆発量337メガトンの核実験が行なわれており、これは昭和35年までの総爆発量174メガトンのほぼ2倍の値となっている。
 また、これらによる核分裂の量は、昭和36年、37年に101メガトン、35年までには92メガトンとなっており、ほぼ同程度の値を示しているこれらの核実験の影響で米国に降下する年間の総降下量は昭和38年は昨年の約2倍程度であり、昭和39年はおおよそ昨年に見合う程度と同協議会は推定している。わが国においても、昭和38年は昨年の約2倍程度となるが、昭和39年以降は再び減少するものと推定される。このため、昭和38年末には東京の総降下積算量は約50mc/km2前後になるものと予想される。
 これらの降下量の変化にともなって食品中のストロンチウム−90の濃度は変化するものと思われるが、これら食品中の濃度が変化する時期は、環境のそれに比べて若干遅れるものとなろう。
 セシウム−137についても、ストロンチウム−90とほぼ同様な変化を環境および食品において示すものと思われる。

(2)放射能放策日誌

  7月16日(火)

 第34回放射能対策本部幹事会環境および食品等の放射能汚染について(本部発表第18号)を検討、同時に発表。