昭和38年度放射能調査対策研究委託費の交付決定


 昭和38年度放射能調査対策研究委託費による放射能調査対策研究の委託は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」および「昭和38年度における放射能測定調査委託費および放射能調査対策委託費の委託要綱」にもとづき、(財)放射線影響協会、大阪府、および(財)日本乳業技術協会に対して行なった。研究期間は、昭和38年7月1日から昭和39年3月31日までである。なお、この委託費は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和38年6月25日政令第215号)により「補助金等」に指定されたものである。

昭和38年度放射能調査対策研究委託費交付一覧表



昭和38年度放射能調査対策研究委託費の交付研究の概要

1.「乳幼児対策に関する調査研究」

(財)放射線影響協会

(研究目的)

 放射線感受性の高い乳幼児の防護対策のための基礎研究であって乳幼児の被曝線量の算出と、放射性物質による障害防止のための基礎資料を得ることを目的とする。

(研究内容)
1.乳幼児の沃素摂取に関する調査研究・・・・・・母乳による沃素摂取量を推定するため母乳の分析を行なう。

2.薬物による放射性沃素摂取率への影響の研究。

3.乳幼児の肺機能を研究して呼吸による放射性沃素摂取の基礎的資料を得る。


2.「放射能対策に関する基礎的調査研究」

大阪府

(研究目的)
 環境汚染による障害防止の基礎的資料を得るため、放射性汚染源の物理的、化学的諸性質を明らかにすることを目的とする。

(研究内容)
1.放射性降下物粒子の母体物質の化学組成を種々の手段を用いて明らかにする。

2.放射性降下物中で特に外部線量に寄与するZr95−Nb95の環境での性状を河川について調査する。

3.原子炉冷却水中の放射性核種の性状を調査する

4.海水中のCo60、Fe59等の性状等を調査するための予備的実験を行なう。


3.「放射能除染設備に関する調査研究」

(財)日本乳業技術協会

(研究目的)
 乳幼児対策の一環として、牛乳中のSr90、Cs137の除染法を確立することを目的とする。特にイオン交換樹脂法によるプラント規模の除染実験を行ない、適切な条件を検討すると共にあわせて栄養上、経済上の検討を行なう。

(研究内容)
1.試験規模の牛乳処理プラントを改善し、イオン交換塔を含めて種々の組合せによる除染実験を行ない、最適条件を求める。

2.家畜経体汚染乳と人工的汚染乳との差異を明らかにしてプラント操業の取扱いに資する。

3.動物実験により除染乳の栄養的欠陥の有無等を研究する。

4.以上の結果により除染コストを試算する。