原子力委員会

国産動力炉開発の進め方について


 原子力委員会は、昭和37年8月、動力炉開発専門部会を設置し、国産動力炉開発のための計画に必要な事項につき諮問を行なったが、本年5月20日、同専門部会から報告書が提出された。
 原子力委員会は、この報告に基づき、6月12日、国産動力炉開発の進め方について、次のような決定を行なった。

1.国産動力炉の開発は、原子力開発利用長期計画の後期10年の半ば頃に実用化の見込みの高い動力炉を設計から建設まで一貫して自主的に開発することを目的とし、あわせてこの開発を遂行することにより国内技術水準の向上に資することを期待する。

2.開発すべき対象は、新型熱中性子転換炉とし、核燃料の有効利用と供給の安定化を重視する見地から天然ウランまたは徴濃縮ウランを使用する重水減速型とする。

3.開発を進めるにあたっては、第1段階として、昭和38年度において冷却材にガス、軽水、水蒸気、有機材を用いるものについて比較検討を行ないつつ、概念設計を行ない、開発すべき炉型およびその要目を決定する。第2段階として、原型炉の設計、製作、建設および運転を行ない、第3段階として、これを実用大型炉に結びつけるためのデモンストレーション炉の建設を行なうこととする。
 なお、第2および第3段階の実施にあたっては、それまでの開発の成果を検討、評価の上、さらに具体的な進め方を決定する。

4.開発の主体は、第1および第2段階においては日本原子力研究所を中心とし、民間産業界等の参加協力を求め推進する。このため、昭和38年度から日本原子力研究所に本動力炉開発を担当する部門を設置するとともに、所外の専門家の参加を求め、概念設計の技術的評価および原型炉開発の細目立案についての技術的事項に関し、理事長の諮問に応ずるための委員会を設置する。第3段階における開発の主体は今後の進展に即して決定する。