放射能対策本部の動き


(1)最近の放射能の降下状況について

(イ)環境汚染の状況
 全放射能の月間降下量については、本年1月にはかなりの放射能が裏日本の一部の地方で雨および雪の中にみられたが、これは昨年12月末に行なわれた、一連のソ連の大型核実験によるものと考えられる。
 しかし本年に入ってからは現在に至るまで核実験は探知されていない。
 一方全放射能の月間降下量は2月に入って急速に減少して現在に至り、3月においても全国平均178mc/km2である。ストロンチウム−90の総降下積算量については、昭和36年秋のソ連の核実験再開時には25.7mc/km2であったが、その後行なわれた米ソの核実験の影響で昭和37年12月末には34.9mc/km2となった。
 なお、昭和37年の1年間のストロンチウム−90降下量は8.1mc/km2と同じであった。
 なお、地上のセシウム−137、ジルコニウム−95、ニオブ−95等の放射性降下物の放出するガンマ線による空間線量は一昨年秋から本年3月までの約1年半で約50ミリレントゲン前後であろうと思われる。
 これによって人体の受ける線量はこの値の数分の1程度と推定されている。これらの核種のうちセシウム−137は今後相当の期間にわたって地上にあるが、ジルコニウム−95、ニオブ−95のような寿命の長くないものについては漸次減少するものと思われる。

(ロ)食品の汚染状況
 日常食に含まれるストロンチウム−90は昭和36年秋以降、ストロンチウム−90の降下積算量の増加にともなって増加の傾向を示している。
 一方、野菜および牛乳中のヨウ素−131は昨年秋には高くなったが、その後著しく減少して3月末にはほとんど検出されなくなった。

(2)放射能対策日誌
 4月23日(火)第33回放射能対策本部幹事会。「環境および食品等の放射能汚染について」(本部発表第17号)を検討、同時に発表。