原子力委員会

原子力事業従業員災害補償専門部会の設置

 原子力委員会は、第34回定例会議において原子力事業従業員災害補償専門部会の設置を決定した。

1.設置理由

 「原子力損害の賠償に関する法律」および「原子力損害賠償補償契約に関する法律」においては、原子力事業の従業員の原子力災害はその対象から除外されており、これら従業員の原子力災害補償問題は既存の労働者災害補償制度により概ね処理されることになっているが、放射線障害の特殊性にかんがみ、なお十分な検討を加える必要がある。

 当委員会は、昭和36年11月22日に「原子力事業従業員災害補償懇談会」を設置し、3回にわたる慎重な審議を行なった結果、昭和37年6月19日に一応の結論が得られ、その中で将来更に検討を要する問題も指摘されているので、原子力事業従業員の原子力災害補償について、さらに検討を進めるため標記専門部会を設置する。

2.諮問事項

 原子力事業従業員の原子力災害補償に必要な措置

3.審議事項

 (1)健康管理に関する事項
 (2)認定に関する事項
 (3)補償に関する事項
 (4)法律上の問題に関する事項

 その内容は別記のとおりとする。

(別記)

1.健康管理に関する事項

 (1)現行法令に基づくものを越える特別の健康診断を行なう必要があるか。
 (2)離職後の健康管理について特別の措置を講ずる必要があるか。
 (3)職場転換について、特別な配慮を行なう必要があるか。
 (4)障害発生予防のための予防的または予後的給付その他の特殊の衛生管理について、特別な措置を講ずる必要があるか。
 (5)被曝状況の記録の保存等は十分であるか。

2.認定に関する事項

 (1)有害放射線による疾病の認定基準の改訂を行なう必要があるか。
 (2)認定が困難な場合または認定件数が多い場合のために特別な措置を講ずる必要があるか。
 (3)現在、「疾病」とされていない症状についても、何らかの措置をとる必要があるか。

3.補償に関する事項

 (1)放射線障害の特殊性にかんがみ、現在の労働者災害補償制度による補償で十分であるか。
 (2)寿命の短縮、遺伝的障害、胎児への影響等放射線特有な効果と考えられるものについて何らかの措置をとる必要があるか。

4.法律上の問題に関する事項

 従業員と一般第三者との間においては、賠償の対象、方法等について差異があるが、これらについて検討を行なう必要があるか。