放射線化学中央研究所、群馬県岩鼻に決定

 日本原子力研究所に放射線化学中央研究所を新設する計画は、本年度から正式に発足し、現在その準備が着々進められている。本中央研究所の敷地については、東海研究所とは別に設ける方針の下に、日本原子力研究所において土地選定委員会を設け候補地の検討を行なってきたが、茨城県大洗と群馬県岩鼻のいずれを選ぶかについて日本原子力研究所理事長から原子力委員会の判断が求められた。

 よって委員会は、これら両候補地を自ら現地視察し種々の条件を慎重に比較検討したところ、両者には、いずれも一長一短があり、俄かにその優劣を決めがたいが、本中央研究所がその業務を効果的に推進するためには大学、民間等との密接な共同研究が極めて必要であり、研究所員としては、これら機関からの参加に多くを期待しているので、これら研究者のため、交通および通信上の便宜を特に重視する必要があるとの観点から、岩鼻の方が敷地としてより適当であるとの結論に達し、この旨、日本原子力研究所理事長に通知することとした。

 本件について、茨城県および群馬県が共にその設置を熱心に希望されたことは、委員会の大いに感謝するところである。

 殊に茨城県当局および県民が、わが国原子力開発利用開始の当初から関係施設の設置に協力を惜しまず、終始多大の熱意を示しておられることは、委員会の最も敬意を表するところであって今後ともその熱意を無にすることのないよう配慮したいと考えている。

 なお、本中央研究所の放射能管理については、万遺憾なきを期するものであるので、その設置に伴う放射能の危険や河川、下流の汚染に対する心配はないのみならず、本中央研究所には、放射線化学用原子炉の建設は考慮していないことを併せて明らかにしておきたい。