原子力委員会

原子力開発利用長期計画の決定について

昭和36年2月8日原子力委員会決定

1.原子力委員会は、さきに昭和31年9月、「原子力開発利用長期基本計画」を内定し、これに基づき昭和32年12月「発電用原子炉開発のための長期計画」を決定、また昭和33年12月には「核燃料開発に対する考え方」を発表してきたが、今回その後の内外の情勢の変化を考慮に入れ、必要な改訂を加えるとともに新らたに総合的な長期計画を策定することとし、昨年2月以来約1年にわたる審議を行なってきたが、本日ここにこれを決定し発表することとなった。

2.今回長期計画を策定するにあたっては、広く各方面の意見を十分反映させることに意を用い、昨年7月27日、まず「原子力開発利用長期基本計画の基礎となる考え方」を内定し、これに対する日本学術会議、日本原子力産業会議等、学界、産業界、関係各省庁その他関係機関の意見提出を求めた。これらの意見はもとより、さらに産業合理化審議会、日本原子力産業会議および日本原子力船研究協会等において、それぞれ取りまとめられた原子力産業開発に関する長期計画、長期見通し等を参酌し原案を作成した。

 次いで、昨年9月、委員会に新たに長期計画専門部会を設け、委員会参与をはじめ学界、産業界、関係各省庁その他学識経験者より合わせて48名の専門委員を委嘱し、本年1月末までの間に前後5回にわたって専門部会を開催し、慎重に計画案の審議を行なった。

 このように今回の長期計画は、原子力開発利用の全分野にわたり、関係各界多数の協力のもとに、長期間審議を行なったうえ、さらに委員会としての最終的検討を加えたのち、ここに決定をみるにいたった次第である。

3.このようにして新たに決定された原子力開発利用長期計画は、原子力の動力としての利用、放射線としての利用および核燃料開発利用のほか、これらすべての基盤となる研究開発のすすめ方、さらに安全性確保等あらゆる重要問題について、長期的見通しのもとにわが国がとるべき施策の方向を明らかにしたものである。したがって今後原子力開発利用を推進するにあたっては、広く各方面の協力を得つつ、本計画に基づき、最も効果的な開発が行なわれるよう努力する考えであり、これによって原子力平和利用が、わが国産業経済の発展に大きく寄与することを期待するものである。