八幡製鉄(株)および日本原子力研究所の
技術輸入について

八幡製鉄(株)および日本原子力研究所では、アメリカから乙種技術導入をすべく申請を行なっていたが、このほどその導入は適当であると認められた。その内容の概略は次のとおりである。

原子炉建設用鋼材に関する技術情報(八幡製鉄)

1.輸入相手
 ニュークリア・ディベロップメント・コーポレーション・オブ・アメリカ(NDA)(アメリカ)

2.技術の内容
 現在稼働中あるいは建設中の典型的な原子炉のうち、陸上施設用原子炉および船舶用原子炉からおのおの1基、合計2基をNDA独自の判断で選択し炉の選択の理由の説明およびこれらの原子炉について下記事項の詳細を八幡に提供する。

a)圧力容器ならびに炉内構造物、Cladding、燃料要素部分品および制御要素に使用される主要鋼材の特性、特に放射線照射によっておこる鋼材の特性変化

b)上記a)項の諸鋼材について、名称、品質、化学成分、寸法、使用量およびメーカーの名称に関する詳細な情報

c)上記a)項の諸鋼材について、試験方法、機械的性質、溶接、化学成分、物理的性質、化学的性質および鋼材欠陥に関連する規格に関する詳細な情報

d)原子炉の構成部品を溶接するに必要な注意へ事項

e)原子炉用鉄鋼材料の製造上必要となる試験設備および試験に関する理論的な説明

3.援助の方法
 NDAは上記内容を調査報告書にまとめ、6回にわたって八幡製鉄に送付する。

4.送金事項
 米ドル   85,660ドル

半均質系臨界実験装置に関する技術者招聘(日本原子力研究所)

1.輸入相手
 アメリカ原子力委員会

2.技術の内容
 I 半均質系実験装置
  A 制御安全機構最終試験
  B 燃料の装填
  C 臨界実験

 II 測定実験
  A 特定燃料装填下の実験

1.反射体の変更を含む臨界量の測定
2.中性子束分布、核分裂分布、分布の微細構造の測定
3.吸収棒落下法あるいは分布吸収体による制御および安全棒の効果の測定
4.温度係数の測定
5.移動面積の測定
6.燃料棒の自己遮蔽の測定
7.原子炉振動子の実験

  B 炉心装填の変更を含む実験

1.種々のC/235Uに対する測定
2.炉心および反射体内のC/Thやボイドを変えた測定
3.黒鉛マトリックスの間隔を変えた測定

3.援助の方法
 アルゴンヌ国立研究所からウォルター・カトー博士を約1.5ヵ月間東海研究所に招へいし、上記項目について直接指導を受け、また有効適切な助言を供与してもらう。

4.送金事項
 米ドル   5,030ドル