原子力委員会参与会

第8回(10.13)

第8回

〔日 時〕 昭和35年10月13日(木)14.00〜16.00

〔場 所〕 総理大臣官邸

〔出席者〕 有沢、兼重、各原子力委員
稲生、大屋、大山、菊池(代理久布白)、倉田(代理)、駒形、嵯峨根(代理)、瀬藤(代理石川)、高橋、成富、藤岡、正井、三島、三宅、山県、吉沢、我妻、脇村各参与
大谷政務次官
杠局長、森崎、井上各次長、井上(政策)、高橋、中島、佐藤、亘理、鈴木各課長、武安監理官、村田調査官、ほか担当官
通産省企業局長代理、大蔵省大臣官房長代理、運輸省大臣官房長代理、原研阿部企画室長、神原原子炉管理部長

〔配布資料〕
1.JRR-2の臨界実験について
2.原子力船開発合同会議の設置について
3.障害防止法および規制法関係政府令等の改正について
4.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令
5.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則
6.放射線を放出する同位元素の数量等を定める告示
7.原子炉の設置運転等に関する規則の一部を改正する総理府令、その他
8.原子力委員会各専門部会の審議状況
9.原子力開発利用長期計画の改訂に関する文部省の意見

1.JRR-2について
 原研神原原子炉管理部長から「9月17日機能試験を終了、9月30日から臨界実験を行ない、10月1日臨界に達した。またこの原子炉の最終の受渡しは10月17日である」旨説明があって後資料1の説明に入る。

大屋参与:20%燃料使用のところに90%のものを入れる場合混ぜてもよいか。

神原部長:よい。

藤岡参与:その場合distributionは変らないか。

神原部長:ウラン-235の量は変らずアルミニウムが増加するだけなので、変りはない。

杠局長:22本入れた時10MWは出るか。

神原部長:22本ぎりぎりで出ると思う。しかし90%燃料を使った時は燃料の問題は解決するので望ましい。

宮本参事官:90%燃料を使うようになにか手配してあるか。

杠局長:90%燃料は米国と交渉中である。

 原研久布白理事から前回のJPDRの契約における天災、地変等の不可抗力による遅延の場合の補償問題について

久布白理事:GEの契約の場合の根本的なものの考え方としては、あらゆる方法(保険)で措置できるものは全部カバーし、その他天災、地変等保険がないのであらゆる危険率を含めて加算してあるものを買手が負担する。国内における契約に比べ不満ではあるが米国の一流会社との間の最初の契約としてはたいへん良いほうである。契約の期間より遅れた場合の支払う金額であるが、日本側に原因があった場合50万円/日、GE側にあった場合30万円/日となっているが、これらの相違は普通の遅帯罰金とは違って直接の経費であり漫然と50万、30万と決めたのではなくあくまでも直接経費である。

 たとえば数ヵ月遅れた場合GEの技師がいったん帰国するような場合、その渡航費は日本側で払わなくてもよい。

杠局長:GE側が30万、原研側が50万支払うことを妥当と認めるのか。

久布白理事:そうだ。

藤岡参与:米国での天災、地変は米国が、日本へ向う船中で起こった場合はどうか。

久布白理事:日、米とも領海3カイリをとっているので、それ以内の海域での船中で起こった時はその国で、公海上では保険でカバーできるものはカバーし、また船の積荷の保険はどこでもかけられるので万一事故を起こしても保険はとれる。

 また納期は30ヵ月であるが5ヵ月の猶予がある。

成富参与:JRR-2であるが2月17日まで補償期間があるというが契約上の意味かどうか。

神原部長:契約上である。エンジニアが1名滞在し、その滞在費は原研がもつ。

成富参与:道義上補償するというのではなく契約上ですね。

神原部長:そうだ。

2.原子力船開発合同会議について

 井上政策課長が資料2を説明

山県参与:サバンナ号が日本へ来るとなるといろいろと問題があると思うが、そのような問題もここで扱うか。

政策課長:関係法令の整備もあるので別途考えなければならないと思う。

我妻参与:いつごろまでにそれらの法令の整備をしなければならないのか。

政策課長:それはIMCOの批准、いつごろ入るか、第1船の建造等と関係する。第1船に関してはまだ先であるが安全審査、IMCOの批准、港湾の整備等問題があると思う。

3.放射線障害防止法施行令等の改正について

 亘理放射線安全課長から資料3を説明

藤岡参与:許容量も出ているのか。

亘理課長:資料6の10条に勧告が出ている。

藤岡参与:従来は1週0.3レムか。

亘理課長:年平均5レム。

大屋参与:これは国際的なものか。

兼重委員:新勧告を施行するのは日本のほかにあるかということですね。

亘理課長:既施行国はドイツ9月1日から、アメリカ合衆国は来年1月1日から行なうことを決定、ユーラトムはドイツ以外は時期も決めていない。英国は採用することを決めているが施行の日時は不定である。

大屋参与:東海村の原子力発電所に適用された場合にもよいようになっているか。

兼重委員:正式には旧勧告で始めたが、当時新勧告もすでに出ていたのでどちらでもよいようにしてあると了解している。

藤岡参与:集積線量はsevereになっているが、原研の1号炉にそのような場所があるか。

久布白理事:そのような場所は計算して立入りの時間をきめている。

大屋参与:労働組合が安全性に関して申し入れた場合に、それを根拠にしてつっぱねることはできるか。

久布白理事:これによるよりほかないと思う。

亘理課長:今の規定で十分やっていけると思う。

成富参与:特異体質が訴訟の場合など問題になるか。

亘理課長:これらは一般的に規定せられており放射線専従者は過去の被曝歴を調べてから従事するようにしてある。

久布白理事:原研内部でほ既応被曝を調べてある。

宮本参事官:この法律の適応をうける人数は、

亘理課長:ラジオアイソトープを使用する事業所数は約760ヵ所あり、7,8千人と思われる。

大屋参与:従来の勧告の短期の許容量ほ直したとあるが短期はなくしたのか。

亘理課長:“週あたり”はなくした。

 しかし、Shielding の設計には週いくらいくらとして設計することになっている。

我妻参与:廃棄物処理許可業者はあるか。

亘理課長:日本放射性同位元素協会がある。

 従来は特別の規制はなかった。

我妻参与:他にも業者はあるか。

亘理課長:あるかもしれないが採算が合わないので、補助金を出している状態である。

政策課長:企業として成り立つかどうか問題である。一種の清掃業であり局から補助金が必要である。

局長:大蔵省は採算が合うようにすればよいとの考えであるが、あまり高ければ他に棄てたりすることも考えられ今後大きな問題になる。公共企業と考えるべきだと大蔵省に説明している。

 局長から局内人事の移動について説明

4.原子力委員会各専門部会の活動について
 井上次長から資料8を説明

5.長期計画に対する文部省の意見
 村田調査官から説明

 この後今日の議題以外の西独の新ウラン濃縮法について意見の交換が行なわれた。